概説
甲状腺ホルモンを補うお薬です。甲状腺機能低下症などに用います。
作用
甲状腺ホルモンは、体の基礎代謝を高める働きをします。不足すると、体がだるくなったり、動作の緩慢、肌荒れ、声枯れ、冷え、むくみ、便秘、徐脈といったいろいろな症状がでてきます。甲状腺機能低下症です。赤ちゃんでは、心身の発育にも影響します(クレチン症)。
このお薬は、甲状腺ホルモンの一種です。不足している甲状腺ホルモンを補充するのに用います。おもに、橋本病など甲状腺炎にともなう甲状腺機能低下症に使用されています。甲状腺の腫瘍をおさえる目的でも使います。
特徴
合成の甲状腺ホルモン薬(T4)です。ゆっくりと長く効いているのが特徴です。安定した効果がえられるので、甲状腺機能低下症などに広く処方されています。
注意
【診察で】
* 心臓病など持病のある人は医師に伝えておきましょう。
* 服用中の薬を医師に教えてください。
【注意する人】
心筋梗塞を起こしてまもない人には使用できません。心臓に負担をかけるおそれがあるためです。そのほか、心臓病、高血圧、糖尿病、副腎皮質や脳下垂体の働きの悪い人などは注意が必要です。高齢の人も副作用がでやすいので少量を用いるなど慎重に用います。
【飲み合わせ・食べ合わせ】
他の薬と相互作用を起こしやすい性質があります。たとえば、抗凝血薬のワルファリンや交感神経刺激薬の作用を増強したり、逆にジギタリス系の強心薬の作用を弱めるおそれがあります。また、貧血の薬の鉄剤や一部の胃腸薬(制酸薬)と同時に飲むと、この薬の吸収が悪くなるかもしれません(2〜3時間開ければ大丈夫)。
【使用にあたり】
* ふつう、心臓に負担をかけないよう少量(12.5〜25μg)で開始し、時間をかけて徐々に増やしていきます。とくに心臓の悪い人や高齢の人は、慎重に増量します。
* 維持量がきまったら、その量を続けます。指示された期間、きちんと続けるようにしてください。よい効果がでるまでに、数週間から数カ月かかるものです。
* 一般的に治療は長くなりますが、経過がよければ減量中止も可能です。
【検査】
定期的に決められた検査を受け、効果や副作用をチェックするようにしましょう。
効能
【適用】
粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)、甲状腺腫。
【応用】
医師の判断で、別の病気に応用されるかもしれません(甲状腺機能亢進症における抗甲状腺薬との併用療法、うつ病など)。
用法 レボチロキシンナトリウムとして通常、成人25〜400μgを1日1回経口服用する。一般に、服用開始量には25〜100μg、維持量には100〜400μgを服用することが多い。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 効きすぎると、心臓がドキドキしたり、手が震えたり、汗が多くでたりします。人によっては、寝つきが悪くなることもあります。このようなとは、早めに受診してください。少し量を減らしたほうがよいかもしれません。
重い副作用はまずありませんが、狭心症発作に念のため注意してください。とくに、もともと心臓の悪い人、高齢の人、また量を増やしたときに注意が必要です。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
* 狭心症..胸の痛み・違和感・圧迫感
【その他】
* 動悸(ドキドキ感)、脈拍増加、不整脈
* ふるえ、不眠、頭痛、めまい、発汗
* いらいら感、不安感
* 食欲不振、吐き気、体重減少
* 発疹、かゆみ
参考
お薬110番
http://
チラーヂンSの話
http://
甲状腺の病気
http://