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Olafur Eliasson

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詳細 2022年11月11日 21:25更新

オラファー・エリアソンの作品は自然現象を扱う.工学分野の優れた手腕を活かし,エリアソンは自然現象やその逆転現象を,科学的な仕掛けを用いて再現してみせる.作品は科学研究や発明の過程とよく似ているが,エリアソンの営為は理論的な一般化やモデルを想定した論議などの伝統的な境界を越えているため,範疇の枠からはみ出してしまう.エリアソンの関心は最終的に出来上がる作品そのものよりも,鑑賞者の生々しい情緒的,感覚的な反応を引き出す過程にある.エリアソンの手がけるオブジェは巧みに選択され,精密に機能するけれども,作品の焦点かというとそうでもない.作品の基本はよく工夫された仕掛けによって人工的現象を作り出し,それによって鑑賞者に疑似と現実の間のような体験を与えることにある.エリアソンの関心は,作品と鑑賞者とのそうした関係,エリアソンが駆使する光,空気,水,植物,石,熱,音と関わりながら,鑑賞者が体験するさまざまな感覚にある.こうした要素を巧みに用いて錯覚を生じさせることによって,鑑賞者が自然,科学技術双方との関係について,さまざまな発見を行うように仕向ける.

エリアソンは光を用いて物質と非物質の狭間の世界を作り出すが,これはエリアソンが鑑賞者の存在を重視していることの現れだろう.光という物であって物でないものを用いて,その掴みどころのない特質に着目することによって,エリアソンはこの関係を巧みに操作する.「あなたの奇妙な確信はまだ失われていない」(1996年)と題された作品では,ストロボ光が落下する水滴に投射され,ほんの一瞬だが,水滴が中空に静止したような印象を与える.これも光を用いた「不思議な庭」(1997年)では可視光線のほとんどを遮断し,黄色の波長の光だけで部屋を満たす.これらの作品では,光を照射されるオブジェと光源のみからすべての効果が生み出される.そしてその結果,鑑賞者は感覚を刺激され,そこからさまざまなものを引き出す.凍てついた水滴の錯視を例にとれば,私たちは知っていることと目に見えるものの間の関係のねじれと向かい合いながら,完治のあり方を限定された状況の中で,能動的な感知の手段について考えざるを得なくなる.エリアソンは周囲を感知する私たちの注意をさまざまな方向に集中させる手段として,写真も用いる.エリアソンが風景に対してとくに敏感なのは,アイスランドで育ったせいもあるだろう.またこのことを踏まえて,エリアソンは芸術のロマンティックな伝統も発想の契機とする.「ロマンティックな想像力は,主観的なものである限り,重要です」というのは本人のことばである.風景.美.写真を現代の視覚文化の枠内で扱うことの難しさを知りつつ,エリアソンの提示するイメージは見ることにまつわる上下関係をゆさぶろうとする.写真によって一度は目に触れているものを提示することによって,インスタレーション作品にも通じる人工的な仕掛けの要素を保持するのである.エリアソンは人工的な体験もまた現実にほかならないと指摘しながら,同時に現代文化における表現の複雑さにも鑑賞者の目を開かせる.鑑賞者の知覚能力を操作することによって,感覚を遮断し,思いがけない角度に方向を変えさせることによって,これを成し遂げるのである.<横浜トリエンナーレ2001パンフレットより>

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