去る1月に開催されたデトロイトショーのクライスラーブースにおいて、異彩を放っていたモンスターマシンを記憶している人も多いと思う。その名はダッジ・トマホーク。バイパーの500psを発生するV10ユニットを搭載したモーターサイクルという破天荒なスペックとワイルド極まりないルックスに「面白いショーモデルだな。クライスラーもやるもんだ!」と感慨を新たにした人も多かったはずである。
多くの場合、こうしたショーモデルはショーが終わった後は良くて保存、トマホークのような現実離れしたモデルは廃棄となる場合がほとんどなのだが、またもやクライスラーがやってくれた。何とあのダッジ・トマホークを市販するというのであるから。
といっても信じてくれない人がほとんどだと思う。しかしクライスラーはホンキなのである。クライスラーによれば、今回販売されるダッジ・トマホークはショーに展示されたモデルの「リプロダクション」とのこと。ただし外観だけを似せたモデルといったわけでは無く、中身はショーに展示された個体そのまま。バイパーのエンジンとスペシャルの2速ミッションによって実際に走行することも可能となっている。
通常のモーターサイクル用タイヤを2組並べた様な前後タイヤはハブセンターステアリングによってコントロールされており、キチンとコーナーリングすることもできるという。なおビルドアップはダッジのワークスファクトリーでクラフトマンの手で仕上げられるという完全なワンオフであり、とりあえずの販売台数は1台のみとのこと。気になる価格はこれもスーパーな55万5000ドル(1ドル115円換算で6400万円弱)となっており、クライスラー側としてはコレクターに買って欲しいとの意向があるらしい。というか並外れたコレクターでなければ買うことなどできないだろう。
ちなみにヘッドライトやウインカーなどの保安部品は装着されているものの、型式認証を受けているわけではないのでナンバープレートの取得はできず公道走行は不可とのこと。首尾良く購入できた人は是非自宅の敷地内で「理論上の」最高速度400mph!、0−60mph加速2.5秒!!というウルトラパフォーマンスを味わって見て欲しい。
で、肝心な「一体どこで買えるのか?」ということだが、販売は全米はもとより全世界をカバーする巨大高級品専門通信販売会社である「Neiman Marcus」のネットワークを通じて購入者を募るとのこと。