開発民俗学　「地域共生の技法」コミュの「地域研究」と「開発学」　＜理論各論＞

日本の（戦後の）学会の現状だけかもしれませんが、実は「開発学」にとっては、その重要性は当然みなさん解ってはいるのですが、「地域研究」や「（文化)人類学」は鬼門というか、逆に「地域研究学者」や「人類学者」は、開発へのコミットメントをさけてきました。

これは、「近代化や植民地主義」と「人類学や地域研究」との歴史的なかかわりにまでさかのぼる必要がある重要なテーマですが、このトビでは、そのような因縁をも越えた議論をしていきたいと思います。

特に「地域研究」について大いに語り合いましょう＾＾？

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[1] mixiユーザー 06月08日 03:59

＜導入として＞

すでにいろいろなところで書いていますが、私は「技法」と「倫理」を敢えて分けて考えようと思っています。たとえば最近では、以下の記事の後半部分を参照。

「石弘之編　『環境学の技法（Social Methods of Environmental Studies）』」
＠　『ブログ版　歩く仲間』　2008年6月 6日 (金)
http://arukunakama.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/social_methods__4df8.html

ちょっと引用させていただきます。

「P.S.

ところで、「技法」について私見を一言。

私は「技法」と「倫理」は別のものだと考えていますし、逆に分けて考えるべきだと思います。特に環境（学）や開発（学）については、どうしても情緒的な感情論に流されがちですが、それでもやはり正確な現状認識としての科学的な、論理的な「思考」や「技法」も必要です。当然、それが全てではないことは言うまでもありませんが、私が思うに、現状認識が一般に甘いのではないかということを、マスコミや有識者といわれる人たちに関しても思うことが多々あります。

また逆に「技法」はある程度の訓練で身につけることができると思いますが、「倫理」感や「思想」そのものは教えきれない（教育で押し付けられるものではない）という側面があると思います。

そのような意味で、東大の一連の「技法」シリーズは、学問の限界をわきまえているというか、その割り切った考え方が好きです。

考え方は教えるけれども答えは自分で考えなさい的な突っ放し方、つまりあえて「倫理」に踏み込まないというバランス感覚は、非常に評価できると思います。

また「技法」というか「技」は、技として常に磨いていないと、いざというときに「現場」で全く使えないのですよね。でも「現場」から「技法」に立ち返るというかフィードバックは当然あるべきですし、「技法」自体も個々人で進化（深化）させていくべきものだと思います。

まあ、私がいうことでもありませんし、まったくの蛇足ですが。」

引用終わり。

科学技術に限らず、一般に技術や知識は、それを持つものを相対的に強者の位置におきます。最近では（2001年の9.11の後だと思いますが）、アフガニスタンでトヨタのハイラックスというピックアップ車（荷台に大きくTOYOTAのロゴが書かれているもの）が、ターリバンが利用していることが確かアメリカのメディアで画像入りで（テレビ）で放映され、トヨタというより日本バッシングみたいなことがおきかけました。

もっとも(テロ）戦争を生み出している兵器自体を先進国（当然アメリカも含まれる）軍需産業がつくっているのも事実なので、それほど欧米でも世論として盛り上がらなかったみたいですが。

ともあれ、みなさんお気づきのとおり、科学技術そのものと、それをどう使うかは、別の問題であってほしいとわれわれは考えています。極端な例の一つとしてたとえば「人類の福祉発展のためにも人類を破滅するためにも科学は使える。」例の一つとして、「原子力は原爆としても使えるし、原発としても使える」という話はどっかで聞いたことがあるでしょう。

私としては原子力に関しては断固としてどっちもダメなのですが、事実として、原子力の平和利用としてのレントゲンとか、知らないだけでもっと日常的にその恩恵を受けていること自体は否定できません。

ともあれこの問題（知と倫理）は、学生時代から「知は力なり。ただしそれは開かれたものでなくてはならない」ということで、私のクルドとしていつも考えているのですが、「開発」という行為についても、いろいろな倫理的な問題が常につきまといます。

このトビでは、あえて「地域研究」とか「地政学」の問題など、知の裏面についても言及していいのでは、いや、さらには「科学」の限界と「倫理」の限界についても触れてみようと考えています。

[2] mixiユーザー 06月08日 04:04

「地域研究」について　2008年3月21日　＠　『ブログ版　歩く仲間』
http://arukunakama.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_da1e.html

過去記事ですが、以下に転載させていただきます。

「開発民俗学」にとって、「地域研究」は既に内臓(ビルトイン）されたものと私は考えています。

すでにお気づきのとおり、アラビア語を専攻として、しかも東西交渉史やアラビア語の地理書旅行記に関心をもつ私が「地域研究」を志向していることはいうまでもありません。

今回、日本に帰国して前々から気になっていた「京都大学東南アジア研究センター地域研究叢書」の一冊を購入しました。

立本成文　『地域研究の問題と方法（増補改定）　社会文化生態学の試み』　京都大学学術出版会　第二版（増補）　2001　（初版　1996）　

お薦め度：　★★★☆☆

一口コメント：　まだ完全に読んだわけではありませんが、1993年の　矢野暢編集責任　『地域研究の手法』　（『講座　現代の地域研究　一』　弘文堂に、前田成文名の論文の再構成といった感じなので、注は詳しく新しくなっているものの、それほど論旨が深化しているとは思えません。

逆に、『地域研究の手法』のほうが、東南アジア研の他の個性的な碩学たちがそれぞれの地域研究観を語っている上で、貴重であるといえます。ちょっと手に入りにくいかもしれませんが、『講座　現代の地域研究』は、関心のある方は、全巻読む価値があると思います。というより、私は読みたい＾＾？

実は、京都大学の東南アジア研究センターは以前からチェックしていました。既に「しばやんの本だな」にも地域研究関係の本はかなりリストアップしていますが、京大系の研究者は独特というか、つまり梅棹忠夫、今西錦司と、フィールド科学を専門とする、まあ俗にいう京大学派の伝統があって、ちょっと変わったところでは、ジャーナリストの本多勝一も京大の探検部出身ですよね。

自分が研究者に関心を持ったのも、梅棹忠夫の『知的生産の技術』　岩波新書　1969ですから、京大の学風は、はっきりいって好きです。

さて、地域研究というと、まとまったシリーズとして、1990年初頭の矢野暢所長？の頃の2セットがあります。

企画編集代表　矢野暢　『講座　東南アジア学』　（全10巻　別巻１）　弘文堂　1991

矢野暢編集代表　『講座　現代の地域研究』　（全４巻）　弘文堂　1993

さはいいなん、『講座　現代の地域研究』の第1巻の『地域研究の手法』しか持っていませんが、研究者兼フィールドワーカーたちの熱い思いがこめられているように感じました。

たぶん、このシリーズの後に、地域研究叢書が始まったと思うのですが、まあそうそうたる研究者集団です。

ともあれ、日本の地域研究のレベルは決して低くないので、これらの先達たちの研究を貪欲に学んでいこうと思います。

ではでは＾＾？

（後略）」　　引用終わり。

[3] mixiユーザー 01月25日 23:29

地域研究のメッカとして、やはり国立民族学博物館が上げられます。

トルコ遊牧民の研究者である松原氏の地域研究論を一冊。

松原正毅　『風景の発見　地域研究序説』　《リキエスタ》の会　編集平凡社　２００１年

９４ページのブックレットです。これほどのページすら読めずに図書館に返却する自分が悔しい？です。

[4] mixiユーザー 10月10日 21:56

いわゆる京大スクールについて　＜覚書＞

（ブログ版　歩く仲間　２００９年１０月１０日記事）
http://arukunakama.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-3e63.html

最近、どうも京大スクールの地域研究グループのことが周辺で話題になるというが自分の眼の届く範囲に頻繁に登場するので、ちょっとしたメモを残したい。

以前、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』が私の知的？生活の始まりと書いたが、今、自宅に戻って実際に読書記録の「京大カード」を手に取り直してみると、間違うことない、「１９８６年１２月７日」が０００番で、それがまさにこの書名が記載されていた。

もう２２年も前のことになる。ちょうど高校２年生の冬の話。確かこれをきっかけに１年間に１００冊の本（雑誌を除く）を最初から最後まで読むということを目標にしてやってきたのだが、確かに数年前まで、そのペースを保っていた。（十何年か前からパソコンで読書管理をしてきたのだが、ファイルを壊してしまったこともあって、この数年は記録をしていない。）

５７冊目　１９８７年７月１０日　読了　本多勝一　『戦場の村』　朝日文庫　１９８１

５９冊目　１９８７年７月１２日　読了　本多勝一　『殺される側の論理』　朝日文庫　１９８２

６４冊目　１９８７年７月１６日　読了　鎌田慧　『現代社会１００面相』　岩波ジュニア　１９８７

６６冊目　１９８７年７月１８日　読了　本多勝一　『殺す側の論理』　朝日文庫　１９８４

６７冊目　１９８７年７月１８日　読了　本多勝一　『職業としてのジャーナリスト』　朝日文庫　１９８４

６８冊目　１９８７年７月１８日　読了　本多勝一　『事実とは何か』　朝日文庫　１９８４

７４冊目　１９８７年８月２６日　読了　岡倉古志郎　『死の商人　［改訂版］』　１９６２　

ちょっと脱線したが、この記録を見返すとすごい。私の問題意識は、高校時代に既にインプットされていたようです＾＾？

閑話休題。

私の研究スタイルがどうも京大学派にあるらしいということで、京大の人物列伝。こんな本を読むと京大人脈の一端がうかがわれるのではないかということで、今手元にある内幕暴露的な本の書名をちょっとだけ紹介。

○藤本ますみ　『知的生産者たちの現場』　講談社文庫　１９８７

※梅棹忠夫氏の秘書による京大人文科学研究所の人物とその現場の空気を伝える。（未読）

○高谷好一　『地域研究から自分学へ』　京都大学学術出版会　学術選書　２００６

※京大東南アジア研究センターの創設からを個人の研究史と交えて語る。（未読）

○川勝平太　『文明の海洋史観』　中公叢書　１９９７

※生態史観－戦後京都学派（今西学派）ということで、唯物史観と親和性の高い東大アカデミズムと対置して歴史観について述べる中である程度詳しく言及している。（未読）

○早瀬晋三　『歴史空間としての海域を歩く』　法政大学出版局　２００８

※歴史研究と地域研究の架橋を試み、海域史の構築を試みる筆者のフィールドノート及び書評。京大学派への直接の言及はこの本では控えているが、彼の研究の延長上で、鶴見良行と京大東南アジア研究センターの地域研究に対する強烈な対抗意識があることは本人も明言している。（『海域イスラーム社会の歴史　ミンダナオ・エスノヒストリー』　岩波書店　２００３　の「はしがき」を参照）　　（未読）

どうも未読の書の紹介ばかりですみませんが、‘フィールド’を重視する地に足のついた「地域研究」と「歴史研究」も視野にいれた「開発民俗学」や「海洋民俗学」を考えるには、（戦後）京大学派は絶対に押さえておかなくてはならないことを改めて確認した次第。

ではでは＾＾？

蛇足ながら

２０年前の学生時代は全く意識していなかったというかわかりませんでしたが、人と人のつながりは特に学問の世界では非常に重要。誰が誰と交友関係があり、どのような学問的な刺激を受けて、また与え合っているか。この人のつながりがみえてくると思考パターンが見えてくるというかおもしろい、ということにようやくこの１０年ぐらいで気がつきました。

先行研究や研究者間の交流を調べて読み解くことは後進にとっては非常に重要なことだと思います。

ではでは＾＾？

（この項　了）

[5] mixiユーザー 07月03日 00:47

最近、学問の‘技法’というか‘技術’面や、そもそもの‘問題意識’ってなんだろうということで、‘（地域）研究法’についての教科書をいろいろ（図書館で）漁っています。

とても細部まで読み込めないのですが、とにかく、誰がどんな問題意識で、地域研究なりに取り組んでいるのだろうということで刺激や自分の見方の死角に気づくためのきっかけになればよいと思っています。とても読みきれないのですが今後の参考のために目次程度と一口メモくらいは残しておこうと思います。

○村山祐司編　『地域研究』　「シリーズ人文地理学２（全10巻）」　朝倉書店　2003年

※バリバリの人文地理学研究者の「地理学者」による地域研究論。なかなかおもしろそうですが、とりあえず返却します＾＾？

第1章　地域研究の発展と地理学　［生田真人］

第2章　地域研究の方法　[中川正]

第3章　地域研究法　[山下清海]

第4章　発展途上世界の地域研究－ケニアにおける人間－環境関係を例に　［上田　元]

第5章　先進世界の地域研究－東ヨーロッパを調べる　[加賀美雅弘］

第6章　社会科学の中の地域研究　[永田淳嗣]

第7章　地域研究と地域政策　［戸所　隆］

第8章　地域研究の課題と将来　[矢ヶ﨑典隆]

[6] mixiユーザー 08月20日 00:21

川喜多二郎　『環境と人間と文明と』　古今書院　1999年6月

先日、7月23～24日に大阪のセミナーに出席したときに感じたこと。
どうも、私の学問的ルートは関西、特に京大学派におっているなあとしみじみ思いました。

なぜか。といわれても一言でいうのは難しいですが、京都には‘場’を作る伝統があり、近衛ロンド、人文科学研究所、東南アジア研究センターなど、理系文系を問わず学者が集う習慣があったこと。登山部、探検部をはじめ世界を目指す風潮があること。何よりも京大の研究所の強みは、文人系よりむしろ地学や農学など理系の実証的な研究者が地域研究をひっぱったことなどがあげられると思います。

つまり、文系のいわゆる文学・哲学系の概念から入るのではなくて、実際の‘モノ’にあたるという態度。それが、独創的で現実をよく捉えた研究成果を生み出してきた源ではないかと思います。

当然、その輪の中には具体的な研究者‘個人’があるわけで、それこそ個性的な研究者を輩出しました。

この本は京大人脈に繋がる重鎮の一人の川喜多二郎先生が、京大の東南アジア研究センターがおこなった「総合的地域研究の概念」という科件費の研究会で発表したもの。講演ならではの平易な語り口が読みやすいです。

川喜多二郎先生といえば、ＫＪ法という発想法、その生まれと展開についても触れられています。

ともかく、今の日本は、全体を見ようとする人が非常に少ないような気がします。やはり大学者とは、過去の遺物なのでしょうか。

ともあれ、「地域研究」の実践論の一つとして味読したい一冊です。

ではでは＾＾？

[7] mixiユーザー 08月21日 09:25

前出、川喜多二郎　『環境と人間と文明と』のレヴューを、別のトピックに振ってしまいました。

◆　「越境のアドベンチャー」　‘開発民俗学’は‘総合科学’たりうるか？＜各論＞

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=63493101&comment_count=4&comm_id=2498370

確かに、地域研究論としてもおもしろいのですが、川喜多先生自身が、もともと京大の地理学科から人類学にまで‘越境’して地域を総合的にみることを重要視していることから、‘総合科学’の先達として扱ったほうがよいのではと考えました。

そもそも私がこのコミュでとりあげる研究者は、ほとんど全て地域研究や、総合の学を実際に体現している人とか関心をもって取り組んでいる人ばかりです。

そういう意味で、どのトビを読んでも、なんとなく同じようなことばかり書いてあります。

とはいえ、一人の限られた知識と経験で書いても広がりがでてこないし、そもそもおもしろくないので、みなさまももっと気楽に適当に書き込んでやってください。

たとえば学生さんであれば、自分の経験でもいいし、先生の研究（姿勢）でもいいと思いますし、なんでも結構ですよ。まとまってなくても断片的な閃きでも結構です。

みんなで書き込むことにより、多様性が高まり、学問としての‘幅’が広がると思います。

よろしくご協力をお願いいたします。

ではでは＾＾？

[8] mixiユーザー 08月28日 00:58

つぶやきのトビに書き込んだことですが、なにかこちらにも関係が深そうなのでコピペしておきます。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=21823202&comm_id=2498370

（前略）

今日は、かねてより欲しかった『講座　日本の民俗学５　生業の民俗』雄山閣出版　１９９７　を、たまたま立ち寄った古本屋で半額で購入することができました。

欲しいと思っていると、なんだかんだで集まってくるようで最後には手に入るんだということを、改めて感じました。

教科書というか講座ものは結構好きなのですがなぜかというと、それまでの研究史がまとめてある場合が多いからなのですね。基本的には、その本の出版年以後の研究は自分で改めて調べないといけないですが、研究者の名前をそこで覚えておけば、自分の関心のある研究者のその後の研究をフォローすると、また新しい情報が入るということで、どこで誰がどんな研究をやっているのかという人を押さえるということは、研究の基本の基本なのでしょう。しかももしその先達が在命中であればどこかでお会いする機会もあるのです。研究会で発表があるのかもしれないし、必要があれば自分からコンタクトしてみることも可能です。

でも一番効率がいいのは、学会の大会にでることなのでしょうね。

今、まだ民俗学や人類学系の学会には所属していないので、情報を集めてビジターとして顔をだそうと思っています。

みなさんも、自分の身の回りの研究会や学会の大会など、できるだけイベントを紹介してくださいね。よろしくお願いいたします。

（続く）

[9] mixiユーザー 08月28日 01:00

（続き）

さて、それにしても研究者って大変ですね。よく調べますわ。大体私がおもしろいと思う研究はフィールドワークをちゃんとした実証的な調査が多いので、時間もかかるし、現場に行くのもタダじゃないので、その苦労がしのばれます。

とはいえ、その研究の成果がどう実社会に活かされているのか、地元の人々にどのように還元されているのかについても気になります。

実際に現場で生きている人のその後の人生にどう影響があるのか、その地域になんらかの正負の影響を与えるとしたら、などいろいろ考えてしまうこともあります。

ともあれ、思うのは、開発の現場で働くコンサルタントの実務家の人たちは、本当に忙しいです。せっかくの同じ‘現場’を共有する研究者の知見や提言ですら、知らないでいることが多いのでは。

とにかく地域‘研究’の専門家は、開発援助の現場にいないのではないかと思います。地域‘開発’の専門家とは、大概、農業土木のいわば農業開発の専門家か、都市計画の専門家であり、未来志向で科学的な近代的な農業開発や都市開発の絵は描けても、現地のリソースをよく調べて、それをうまく活用するとか現場の智恵として取り込むこと、それ自体も難しいことなのですが、地域‘研究’者からしてみれば、もっと基本的な民俗、宗教、風習、歴史、地理など、その‘現地’の全てをせめて自分達と同じくらい知った上で、開発‘計画’をして欲しいというのが本音のところでしょう。

しかしならが、今の開発援助業界では、地域研究者の知見全てを反映できるようなプロジェクトは存在しないというか、確かにアドバイザーとしては呼ばれていても、政治的なとか予算など経済的な面からプロジェクトの大筋に研究者が口を出すことはかなり難しいといえます。（私が現役であったのは２００８年９月までなので、新生ＪＩＣＡ（ＪＩＣＡとＪＢＩＣが統合した）の動きは知りませんが、どうなのでしょうか）

つまり地域研究者の経験や知識は、切り売りされた状態で、部分的にしか省みられない、もしくは、地域研究者は自分の関心のある細部だけに意見を言うが、その他の大筋のところにはあえて見てみぬフリをするというか、そればかりかプロジェクトの全体には関心すらない方もいるようです。

当然、そんな状態ではだめなのでしょうが、現実では、地域‘研究’者は、地域‘開発’の専門家ではない。

確かに、限られた人生、人間がそれぞれプロフェッションとして、それぞれの専門スキルを磨くことは必要で、しかもそれだけで手一杯であるのも事実なのです。

でも、せめて、その地域や現場に関わっている人が‘自分（達）’以外にもいることは頭の片隅においておきましょう。

現地の人にも幾重にも層があり、外部者もまたしかり。そんななか、ひとつの‘場’で協業できたら、それぞれの見方から一人や二人では思いもつかないいいアイデアが湧いてくると思うんですがねえ。

私が、現場に戻るとしたらそういうコーディネートに徹して、優秀な専門家と、さまざまな立場の現地の人でセッションをやってもらいたいですね。別に、自分が指揮をするのではなくて、‘場’を設けて、後は成り行き任せというか、とりあえずは蔭で裏方に徹する生き方もいいんじゃないか。とはいえ、それなりに目立ちたがり屋だから、なにげにでしゃばっているのが目に浮かぶのですが＾＾？

ともあれ、このコミュでは、球出しというか餅投げに徹します。みなさん、受けてもいいし、打ってもいいし、投げ返すもよし、別のところに投げてもよし、食べてもいいし、まあ好きなようにしてください。

できれば、まったく違ったものに作り変えて投げ返してもらえるとうれしいですね。球出しというか餅投げをした本人としては。

なにか、話しが脱線しまくりですが、専門書を手にしていつも思うことです。ああ、俺って勉強していないな。しかも、このような知識は、なかなか現場ではすぐに活用できないというか、自分のモノとして使えるようになるまでかなり時間がかかります。

でも、地域研究の素養があるのとないのでは、現場に立ち向かったときの理解力というか把握力が全く違うと思いますよ。

まあ、時間はかかりますけど、ラブ‘地域’ということで地道に勉強を続けていきましょう。

ではでは＾＾？

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