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原始仏典コミュの律蔵 「ゴータマ伝3」 ヤサ・伝道命令・マーラ・賢衆

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(続き)


「(七)
 そのとき、バーラーナシー市にヤサという名のものがいた。族姓の子、長者の子で繊細優美であった。彼に三つの宮殿があった。一つは冬用、一つは夏用、一つは雨期用であった。彼は雨期の宮殿にいて男性を交えない妓人(ぎにん、舞姫、芸者、遊女、娼婦)に囲まれて四ヶ月の間、宮殿から降りなかった。時に族姓の子ヤサは五妙欲を豊かに備えて囲まれていたが先に眠り、後から侍女たちもまた眠り、夜通し油燈は燃えていた。
 時に族姓の子ヤサは先に目覚め、自分の侍女たちが眠っているのを見た。ある者は琵琶を脇にし、ある者は小鼓をうなじに置き、ある者は鼓を胸にし、ある者は髪を乱し、ある者はよだれを流し、寝言してあたかも墓場が現れたようだった。見終わって彼に過患(かかん、患い)が生じ、心は厭患に定まって住した。時に族姓の子ヤサは嘆いて言った。
「ああ、災いだ、ああ、禍いだ」。
 族姓の子ヤサは黄金の履き物を履いて、家の門に向かった。非人たち(人間でないものたち)が家の門を開いて言った。
「族姓の子ヤサが在家を出て出家することを誰であろうと妨げてはならない」。
 時に族姓の子ヤサは城門に向かった。非人たちは城門を開いて言った。
「族姓の子ヤサが在家を出て出家することを誰であろうと妨げてはならない」。
 時に族姓の子ヤサはイシパタナ・ミガダーヤに向かった。
 そのとき先生は夜明けに起きて露地にいて経行(きんひん、そぞろ歩き)していた。先生は族姓の子ヤサが遠くから来るのを見た。見て経行しているところから降りて、座を敷いて座った。時に族姓の子ヤサは先生の近くに来て嘆いて言った。
「ああ、災いだ。ああ、禍いだ」。
 時に先生は族姓の子ヤサに告げて言った。
「ヤサよ、ここには災なく、ここには禍いなし。ヤサよ、来て座りなさい。私はあなたのために教えを説こう」。
 時に族姓の子ヤサはここには災いなくここには禍いなしと聞いて、歓喜して黄金の履き物を脱ぎ、先生のいるところに詣った。詣って先生を敬礼して一方に座った。族姓の子ヤサが一方に座ったとき、先生は彼のために順序立てて説いた。つまり、布施の話、戒の話、天に生まれる話、もろもろの欲望の過患・邪害・雑染・出離の利益を説いた。
 族姓の子ヤサに堪忍な心・柔軟な心・障害を離れた心・歓喜の心・清らかな心が生じたことを知って先生はもろもろのブッダの本真の説法を説いた。苦・集・滅・道である。たとえば清浄で黒い点がない布が綺麗にその色に染まるように、そのように族姓の子ヤサにその座において遠塵離垢の法眼が生じた。生じることがあるものはすべて滅びることがある、と。

 時に族姓の子ヤサの母は宮殿に上ったが族姓の子ヤサが見えなかったので、長者居士のもとに行った。行って長者居士に言った。
「居士よ、あなたの子のヤサが見当たりません」。
 時に長者居士は使者を馬に乗せて四方に派遣し、自らはイシパタナ・ミガダーヤに向かった。長者居士は黄金の履き物の跡を見た。見てその跡を追った。
 先生は長者居士が遠くより来たのを見た。見て先生にこのような思念が生じた。
「私はよろしく神通変化を現し、長者居士がここに座っても、ここに座る族姓の子ヤサが見えないようにしよう」。
 時に先生はそのような神通変化を現した。
 時に長者居士は先生のいるところに詣った。詣って先生に言った。
「先生は族姓の子ヤサを見ましたか」。
「それならば居士よ、ここに座りなさい。あなたはここに座れば、場合によっては族姓の子ヤサがここに座っているのを見るだろうから」。
 時に長者居士は「私はここに座れば、族姓の子ヤサがここに座っているのを見るだろう」と歓喜して先生に敬礼して一方に座った。
 長者居士が一方に座ったとき、先生は彼の為に順序立てて説いた。つまり、布施の話、戒の話、天に生まれる話、もろもろの欲望の過患・邪害・雑染・出離の利益を説いた。長者居士に堪忍な心・柔軟な心・障害を離れた心・清らかな心が生じたことを知って先生はもろもろのブッダの本真の説法を説いた。苦・集・滅・道である。たとえば清浄で黒い点がない布が綺麗にその色に染まるように、そのように長者居士にその座において遠塵離垢の法眼が生じた。生じることがあるものはすべて滅びることがある、と。時に長者居士はすでに法を見、法を得、法を知り、法に悟入し、疑惑を越え、猶予を除き、無畏を得、師の教えを除いては他によることがなく、先生に言った。
「素晴らしい、素晴らしい。たとえば倒れている者を起こすように、覆われているものをあらわすように、迷う者に道を教えるように、暗闇に灯火を掲げて眼がある者に色を見させるように、このように先生は様々な方法で法を明らかにしました。私はここに先生と教えと比丘たちに帰依します。先生は私を優婆塞として受け入れて下さい。今日からはじめて命が終わるまで帰依します」。
 彼は世間においてはじめて三帰依を唱えた優婆塞であった。

 時に父のために説法したとき、族姓の子ヤサは観るにしたがい知るにしたがって地(ブーミ、大地)を観察し、その心は執着なく諸漏より解脱した。時に先生に思念が生じた。
「父のために説法したとき、族姓の子ヤサは観るにしたがい知るにしたがって地を観察し、その心は執着なく諸漏より解脱した。族姓の子ヤサは還俗して先に在家であったときのように諸欲を享受することはできない。私はよろしく神通変化を止めよう」。
 時に先生は神通変化を止めた。
 長者居士は族姓の子ヤサが座っているのを見た。見て族姓の子ヤサに言った。
「お前ヤサよ、お前の母は憂い悲しみに満ちている。母を死なせることがあってはならない」。
 時に族姓の子ヤサは先生の方を見た。時に先生は長者居士に告げて言った。
「居士よ、あなたはどう思うか。ヤサがすでに有学(学ばなければならない者)の智、有学の見解によって法を観ていることはちょうどあなたと同じである。彼は観るにしたがい知るにしたがって地を観察しその心は執着なく諸漏より解脱した。居士よ、ヤサは還俗して先に在家であった時のように諸欲を享受することができるだろうか」。
「できません」。
「居士よ、族姓の子ヤサがすでに有学の智、有学の見解によって法を観ていることはちょうどあなたと同じである。彼は観るにしたがい知るにしたがって地を観察しその心は執着なく諸漏より解脱した。居士よ、ヤサは還俗して先に在家であった時のように諸欲を享受することができない」
「族姓の子ヤサの心が執着なく解脱したのは族姓の子ヤサにとって利益です。族姓の子ヤサにとって大きな利益です。先生、願わくば私の招待を受け、今日族姓の子ヤサをお付きの沙門として食を取って下さい」。
 先生は沈黙して招待を受けた。時に長者居士は先生が招待を受け入れたのを知り、座から立って先生を敬礼して右回りの礼をして去った。
 時に長者居士が去ってまだあまり経たないうちに族姓の子ヤサは先生に言った。
「私は願わくば先生のみもとにおいて出家して具足戒を得たいと思います」。
 先生は言った。
「来たれ比丘よ、法は善く説かれた。正しく苦を滅尽するために梵行を行じなさい」。
 これがかの尊者の具足戒であった。その時、世間に阿羅漢は七人になった。

(八)
 時に先生は明け方に下衣を着て、衣鉢を持って尊者ヤサをお付きの沙門として長者居士の住所に着いた。着いて設けの座についた。時にヤサの母と旧妻とは先生のいるところに詣った。詣って先生を敬礼し一方に座った。
 先生は彼らのために次第説法をした。つまり、施論、戒論、生天論、諸欲の過患・邪害・雑染・出離の利益を説いた。彼らに堪忍な心・柔軟な心、障害を離れた心・歓喜の心・清らかな心が生じたことを知って世尊はもろもろのブッダの本真の説法を説いた。苦・集・滅・道である。たとえば清浄で黒い点がない布が綺麗にその色に染まるように、そのように長者居士にその座において遠塵離垢の法眼が生じた。生じることがあるものはすべて滅びることがある、と。
 彼らはすでに法を見、法を得、法を知り、法に悟入し、疑惑を越え、猶予を除き、無畏を得、師の教えを除いては他によることがなく、先生に言った。
「素晴らしい、素晴らしい。たとえば倒れている者を起こすように、覆われているものをあらわすように、迷う者に道を教えるように、暗闇に灯火を掲げて眼がある者に色を見させるように、このように先生は様々な方法で法を明らかにしました。私たちはここに先生と教えと比丘たちに帰依します。先生は私たちを優婆夷として受け入れて下さい。今日からはじめて命が終わるまで帰依します」。
 彼らは世間においてはじめて三帰依を唱えた優婆夷(うばい。女性信者)であった。
 時に尊者ヤサの母と父と旧妻とは、先生と尊者ヤサとに優れた食事を自ら献上し満足させ、先生が食べ終わって鉢と手を洗ったのを知って一方に座った。時に先生は法を説いて尊者ヤサと母と父と旧妻とを教え、勧め、励まし、喜ばせて座より立って去った。

(九)
 尊者ヤサに四人の在家の友人がいた。バーラーナシー市の長者、あるいはそれに次ぐ長者である族姓の子であるヴィマラ、スバーフ、プンナジ、ガヴァンパティという名であった。彼らは聞いた。
「族姓の子ヤサは、髭と髪を剃り、色の汚れた衣(カーサーヤ・ヴァッタ、袈裟衣)を着て、在家を出て出家した」。
 聞き終わって彼らに思念が生じた。
「これは下劣な法と律ではない。これは下劣な出家ではない。なぜならここにおいて族姓の子ヤサは髭と髪を剃り、色の汚れた衣を着て、在家を出て出家したから」。
 彼ら四人は尊者ヤサのところにいたった。いたって尊者ヤサに敬礼して一方に立った。時に尊者ヤサは彼ら四人の在家の友人とともに先生のいるところに詣った。詣って先生を敬礼して一方に座った。一方に座って尊者ヤサは先生に言った。
「この四人は私の在家の友人です。バーラーナシー市の長者随長者の族姓の子であるヴィマラ、スバーフ、プンナジ、ガヴァンパティという名です。先生はこの四人を教導し、教誡してください」。
 先生は彼らのために次第説法をした。つまり、施論、戒論、生天論、諸欲の過患・邪害・雑染・出離の利益を説いた。彼らに堪忍な心・柔軟な心、障害を離れた心・歓喜の心・清らかな心が生じたことを知って先生はもろもろのブッダの本真の説法を説いた。苦・集・滅・道である。たとえば清浄で黒い点がない布が綺麗にその色に染まるように、そのようにその座において彼らに遠塵離垢の法眼が生じた。生じることがあるものはすべて滅びることがある、と。
 彼らはすでに法を見、法を得、法を知り、法に悟入し、疑惑を越え、猶予を除き、無畏を得、師の教えを除いては他によることがなく、先生に言った。
「私たちは願わくば先生のもとで出家して具足戒を得たいと思います」。
 先生は言った。
「来たれ比丘たちよ。法は善く説かれた。正しく苦を滅尽するために梵行を行じなさい」。
 これが彼ら尊者の具足戒であった。時に先生は法を説いて彼ら比丘を教導し、教誡した。世尊が法を説いて教導し、教誡したとき、彼らの心は執着なく諸漏より解脱した。その時、世間に阿羅漢は十一人になった。

(一〇)
 尊者ヤサに五十人の在家の友人がいた。市の古い家柄、それに次ぐ古い家柄の族姓の子である。(彼らは聞いた。)
「族姓の子ヤサは、髭と髪を剃り、色の汚れた衣を着て、在家を出て出家した」。
 聞き終わって彼らに思念が生じた。
「これは下劣な法と律ではない。これは下劣な出家ではない。なぜならここにおいて族姓の子ヤサは髭と髪を剃り、色の汚れた衣を着て、在家を出て出家したから」。
 彼らは尊者ヤサのところにいたった。いたって尊者ヤサに敬礼して一方に立った。時に尊者ヤサは彼ら五十人の在家の友人とともに先生のいるところに詣った。詣って先生を敬礼して一方に座った。一方に座って尊者ヤサは先生に言った。
「この五十人は私の在家の友人で、市の古い家柄、それに次ぐ古い家柄の族姓の子です。先生は彼らを教導し、教誡してください」。
 先生は彼らのために次第説法をした。つまり、施論、戒論、生天論、諸欲の過患・邪害・雑染・出離の利益を説いた。彼らに堪忍な心・柔軟な心、障害を離れた心・歓喜の心・清らかな心が生じたことを知って世尊はもろもろのブッダの本真の説法を説いた。苦・集・滅・道である。たとえば清浄で黒い点がない布が綺麗にその色に染まるように、そのようにその座において彼らに遠塵離垢の法眼が生じた。生じることがあるものはすべて滅びることがある、と。
 彼らはすでに法を見、法を得、法を知り、法に悟入し、疑惑を越え、猶予を除き、無畏を得、師の教えを除いては他によることがなく、先生に言った。
「私たちは願わくば先生のもとで出家して具足戒を得たいと思います」。
 先生は言った。
「来たれ比丘たちよ。法は善く説かれた。正しく苦を滅尽するために梵行を行じなさい」。
 これが彼ら尊者の具足戒であった。時に先生は法を説いて彼ら比丘を教導し、教誡した。世尊が法を説いて教導し、教誡したとき、彼らの心は執着なく諸漏より解脱した。その時、世間に阿羅漢は六十一人になった。

(一一)
 時に先生は比丘たちに告げた。
「比丘たちよ、私は天・人の一切の羂索(けんさく・けんじゃく)から脱した。
 比丘たちよ、あなたたちもまた天・人の一切の羂索から脱した。
 比丘たちよ、遊行しなさい。これは衆生の利益、衆生の安楽、世間の哀愍、人天の義利・利益・安楽のためである。二人してともに行ってはならない。
 比丘たちよ、始めも善く、中も善く、終わりも善く、義理と文句を備えた法を説きなさい。完全円満なる清浄な梵行を明らかにしなさい。生ける者の中に塵垢が少ない者がいる。もし法を聞かなければ退堕するが、聞くならば法を悟ることを得るだろう。
 比丘たちよ、私はまたウルヴェーラーのセーナーニガマ(軍村)に行って法を説くだろう」。
 時にマーラ・パーピマン(魔・波旬)は先生のいるところに詣った。詣って詩をもって先生に言った。

 「天と人との一切の
  羂索にあなたは縛されたのだ
  あなたは大いなる縛に縛されたのだ
  沙門よ、あなたは私から脱することはないだろう」

 「天と人との一切の
  羂索より私は脱している
  私は大いなる縛より脱している
  死魔よ、あなたは破られた」

 「ここに意という羂索がある
  虚空を翔って往来する
  これによってあなたを縛そう
  沙門よ、あなたは私から脱することはないだろう」

 「色・声・香・味と触れられるものとは
  意を楽しませるだが
  私はこれらを求めない
  死魔よ、あなたは破られた」

 時にマーラ・パーピマンは
「先生は私を知っている、善きところに達した方は私を知っている」と苦悩し悲嘆して、そこにおいて消えた。

(一二)
 その時、比丘たちは諸方諸国より出家を希望し、具足戒を希望する者を伴って来て、先生に要請して出家させ具足戒を授けようとした。こうして比丘たちも疲労し、出家を希望し具足戒を希望するものも疲労した。時に先生は黙想していたときに心に思念が生じた。
「今比丘たちは、諸方諸国より出家を希望し、具足戒を希望する者を伴って来て、私に要請して出家させ具足戒を授けようとした。こうして比丘たちも疲労し、出家を希望し具足戒を希望するものも疲労する。私はまさに比丘たちに許可して『比丘たちよ、あなたたちは自らそれぞれの方面、それぞれの国において出家させ具足戒を授けなさい』と言おう」
 時に先生は夕方に黙想より起ち、この縁により、この時において比丘衆を集合させ、法を説いた後に比丘たちに告げて言った。
「比丘たちよ、私は今黙想していると心に思念が生じた。『今比丘たちは、諸方諸国より出家を希望し、具足戒を希望する者を伴って来て、私に要請して出家させ具足戒を授けようとした。こうして比丘たちも疲労し、出家を希望し具足戒を希望するものも疲労する。私はまさに比丘たちに許可して『比丘たちよ、あなたたちは自らそれぞれの方面、それぞれの国において出家させ具足戒を授けなさい』と言おうと。
 比丘たちよ、私は許可する。あなたたちは自らそれぞれの方面、それぞれの国において出家させ具足戒を授けなさい。
 比丘たちよ、出家させ具足戒を授けるにはまさにこのようにしなさい。はじめに髭と髪を剃り、汚れた衣を着て、上衣の一方の(右)肩をあらわにして、比丘たちの足を礼し、ひざまずき、合掌させてこのように唱えなさいと告げなさい。
 ブッダ(覚った人。buddha)に帰依します。
 ダンマ(法。教え。dhamma)に帰依します。
 サンガ(集団。saṅgha)に帰依します。
 二たびブッダに帰依します。
 ダンマに帰依します。
 サンガに帰依します。
 三たびブッダに帰依します。
 ダンマに帰依します。
 サンガに帰依します。
 比丘たちよ、この三帰依によって出家させ具足戒を授けることを許可する」。
 
(一三)
 時にマーラ・パーピマンは先生のいるところに詣った。詣って詩をもって先生に言った。

 「天と人との一切の
  羂索にあなたは縛されたのだ
  あなたは大いなる縛に縛されたのだ
  沙門よ、あなたは私から脱することはないだろう」

 「天と人との一切の
  羂索より私は脱している
  私は大いなる縛より脱している
  死魔よ、あなたは破られた」

 時にマーラ・パーピマンは「先生は私を知っている、善きところに達した方は私を知っている」と苦悩し悲嘆してそこにおいて消えた。


(一四)
 時に先生はバーラーナシーに意のままに住した後、ウルヴェーラーに向かって遊行した。時に先生は道を離れて一つの密林に着いた。着いてその密林に入って一つの樹の下に座った。その時、三十人の賢衆(バッダヴァッギヤ、bhaddavaggiya、原註には彼らは王子で容姿も心も優れており、必ず一緒に遊ぶゆえに賢衆と言うとある)の友人たちは夫人たちを伴ってこの密林で遊んでいた。一人は夫人を持たず、そのために妓女(芸者、娼婦)を伴っていた。時に彼らは放逸に遊んでいたが、その妓女は財物を取って逃げた。
 時にその友人たちはその友人を助けてその女を探してその密林を徘徊していた時、先生が一つの樹の下に座っているのを見た。見て先生のいるところに詣った。詣って先生に言った。
「先生は一人の女を見ましたか」。
「青年たちよ、あなたたちは婦女をどうするのか」。
「今わたしたち三十人の賢衆の友人たちは夫人たちを伴ってこの密林で遊んでいました。一人は夫人を持たず、そのために妓女を伴っていました。時に私たちは放逸に遊んでいましたが、その妓女は財物を取って逃げました。そのために私たち友人はその友人を助けてその女を探してこの密林を徘徊しています」。
「青年たちよ、あなたたちはどう思うか。あなたたちはどちらを優れていると為すか。女を探すのか、あるいは己を探すのか」。
「私たちは己を探すことを優れているとします」。
「青年たちよ、それならば座りなさい。私はあなたたちのために教えを説こう」。
「はい」と。
 彼ら賢衆の友人は先生を敬礼して一方に座った。
 先生は彼らのために次第説法をした。つまり、施論、戒論、生天論、諸欲の過患・邪害・雑染・出離の利益を説いた。彼らに堪忍な心・柔軟な心、障害を離れた心・歓喜の心・清らかな心が生じたことを知って先生はもろもろのブッダの本真の説法を説いた。苦・集・滅・道である。たとえば清浄で黒い点がない布が綺麗にその色に染まるように、そのようにその座において彼らに遠塵離垢の法眼が生じた。生じることがあるものはすべて滅びることがある、と。
 彼らはすでに法を見、法を得、法を知り、法に悟入し、疑惑を越え、猶予を除き、無畏を得、師の教えを除いては他によることがなく、先生に言った。
「私たちは願わくば先生のもとで出家して具足戒を得たいと思います」。
 先生は言った。
「来たれ比丘たちよ。法は善く説かれた。正しく苦を滅尽するために梵行を行じなさい」。
 これが彼ら尊者の具足戒であった」 (続く)


    『南伝大蔵経3 律蔵3』大蔵出版 P26〜43  を現代語訳

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