原始仏典コミュの禅那相応２　　「瞑想技術」

（続き『南伝大蔵経14　相応部経典3』大蔵出版　P446−457　に相当）





　　　第二十−第二十七　住−出の八
681−688．サーヴァッティ因。
　比丘たちよ、これら四の禅那する者がいる。何が四か。
　比丘たちよ、ここにある禅那する者は、三摩地に住することは善であるが、三摩地から出ることに善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地から出ることに善であるが、三摩地に住することは善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地に住することも善でなく、三摩地から出ることも善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地に住することも善であり、三摩地から出ることも善である。
　比丘たちよ、このうち三摩地に住することも善であり、三摩地から出ることも善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。
　比丘たちよ、たとえば牛から乳が、乳から酪が、酪から酥が、酥から醍醐があり、これを最高の食とする。
　比丘たちよ、このように三摩地に住することも善であり、三摩地から出ることも善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。
　・・・三摩地に住することは善であるが、三摩地において安楽であることに善でない。・・・
　・・・三摩地に住することは善であるが、三摩地の所縁に善でない。・・・
　・・・三摩地に住することは善であるが、三摩地の行境に善でない。・・・
　・・・三摩地に住することは善であるが、三摩地の引発に善でない。・・・
　・・・三摩地に住することは善であるが、三摩地の恭敬作に善でない。・・・
　・・・三摩地に住することは善であるが、三摩地の常作に善でない。・・・
　・・・三摩地に住することは善であるが、三摩地の有効作に善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地の有効作に善であるが、三摩地に住することは善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地に住することも善でなく、三摩地の有効作も善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地に住することも善であり、三摩地の有効作も善である。
　比丘たちよ、このうち三摩地に住することも善であり、三摩地の有効作も善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。
　比丘たちよ、たとえば牛から乳が、乳から酪が、酪から酥が、酥から醍醐があり、これを最高の食とする。
　比丘たちよ、このように三摩地に住することも善であり、三摩地の有効作も善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。

　　　第二十八−第三十四　出−安楽の七
689−695．サーヴァッティ因。
　比丘たちよ、これら四の禅那する者がいる。何が四か。
　比丘たちよ、ここにある禅那する者は、三摩地から出ることは善であるが、三摩地において安楽であることに善でない。
　・・・三摩地から出ることは善であるが、三摩地の所縁に善でない。・・・
　・・・三摩地から出ることは善であるが、三摩地の行境に善でない。・・・
　・・・三摩地から出ることは善であるが、三摩地の引発に善でない。・・・
　・・・三摩地から出ることは善であるが、三摩地の恭敬作に善でない。・・・
　・・・三摩地から出ることは善であるが、三摩地の常作に善でない。・・・
　・・・三摩地から出ることは善であるが、三摩地の有効作に善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地の有効作に善であるが、三摩地から出ることは善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地から出ることも善でなく、三摩地の有効作も善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地から出ることも善であり、三摩地の有効作も善である。
　比丘たちよ、このうち三摩地から出ることも善であり、三摩地の有効作も善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。
　比丘たちよ、たとえば牛から乳が、乳から酪が、酪から酥が、酥から醍醐があり、これを最高の食とする。
　比丘たちよ、このように三摩地から出ることも善であり、三摩地の有効作も善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。

　　　第三十五−第五十四　安楽−所縁・・・恭敬作−有効作
696−715．サーヴァッティ因。
　・・・三摩地において安楽であることは善であるが、三摩地の所縁に善でない。・・・
　・・・三摩地において安楽であることは善であるが、三摩地の行境に善でない。・・・
　・・・三摩地において安楽であることは善であるが、三摩地の引発に善でない。・・・
　・・・三摩地において安楽であることは善であるが、三摩地の恭敬作に善でない。・・・
　・・・三摩地において安楽であることは善であるが、三摩地の常作に善でない。・・・
　・・・三摩地において安楽であることは善であるが、三摩地の有効作に善でない。・・・
　・・・三摩地の所縁に善であるが、三摩地の行境に善でない。・・・
　・・・三摩地の所縁に善であるが、三摩地の引発に善でない。・・・
　・・・三摩地の所縁に善であるが、三摩地の恭敬作に善でない。・・・
　・・・三摩地の所縁に善であるが、三摩地の常作に善でない。・・・
　・・・三摩地の所縁に善であるが、三摩地の有効作に善でない。・・・
　・・・三摩地の行境に善であるが、三摩地の引発に善でない。・・・
　・・・三摩地の行境に善であるが、三摩地の恭敬作に善でない。・・・
　・・・三摩地の行境に善であるが、三摩地の常作に善でない。・・・
　・・・三摩地の行境に善であるが、三摩地の有効作に善でない。・・・
　・・・三摩地の引発に善であるが、三摩地の恭敬作に善でない。・・・
　・・・三摩地の引発に善であるが、三摩地の常作に善でない。・・・
　・・・三摩地の引発に善であるが、三摩地の有効作に善でない。・・・
　・・・三摩地の恭敬作に善であるが、三摩地の常作に善でない。・・・
　・・・三摩地の恭敬作に善であるが、三摩地の有効作に善でない。・・・

　　　第五十五　常作−有効作
716．サーヴァッティ因。
　比丘たちよ、これら四の禅那する者がいる。何が四か。
　比丘たちよ、ここにある禅那する者は、三摩地の常作に善であるが、三摩地の有効作に善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地の有効作に善であるが、三摩地の常作に善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地の常作も善でなく、三摩地の有効作も善でない。
　比丘たちよ、またここにある禅那する者は、三摩地の常作も善であり、三摩地の有効作も善である。
　比丘たちよ、このうち三摩地の常作も善であり、三摩地の有効作も善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。
　比丘たちよ、たとえば牛から乳が、乳から酪が、酪から酥が、酥から醍醐があり、これを最高の食とする。
　比丘たちよ、このように三摩地の常作も善であり、三摩地の有効作も善である禅那する者がこれら四の禅那する者の最高者・最勝者・上首・最上者・最優秀者である。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　禅那相応　　終

　　　その頌
　　　　サマーディとサマーパッティと住、出と安楽と所縁
　　　　行境・引発・恭敬作、常作とそして有効作。　　


　　　　　　　　　　犍度篇　　終


　　　その頌　
　　　　犍度とラーダ相応と、見と入と生起
　　　　汚れとサーリプッタ、ナーガ・スパンナ・ガンダッバ
　　　　ヴァラーハカとヴァッチャとジャーナ、十三の犍度篇。


　　　　　　　　　　
　　　　　『南伝大蔵経14　相応部経典3』大蔵出版　P429−457　に相当


　　　　　　（犍度篇は禅那相応で終わりです。次からは六処篇が始まります）




禅那　：ジャーナ jhāna、一定の集中状態に入ること、禅、特に四禅那
三摩地：サマーディ samādhi、集中、精神統一、定
入　　：サマーパッティ samāpatti、禅那や三摩地に入ること、入定
住　　：チティ ṭhiti、住すること、止住、定立
出　　：ヴッターナ vuṭṭhāna、（罪や瞑想から）出ること、出起、戻る
安楽　：カッリタ kallita、安楽な、快意な
所縁　：アーランマナ ārammaṇa、所縁、縁境、三摩地の原因
行境　：ゴーチャラ gocara、行境、行処、「牛のgo」＋「行ないcara」、牛の行く範囲、三摩地の境界線
引発　：アビニーハーラ abhinīhāra、引発、志向、決意、取り出すこと、向けること
恭敬作：サッチャッカ・カーリン sakkacca kārin、恭敬して作すこと、尊重して
常作　：サータッチャ・カーリン sātacca kārin、常に作すこと、継続して
有効作：サッパーヤ・カーリン sappāya kārin、適当な、験ある、随応の、有益

牛　：ガヴァ gava=go
乳　：キーラ khīra
酪　：ナヴァニータ navanīta=nonīta　らく、練乳、酥、生酥、乳酥
酥　：サッピ sappi　そ、バター、酥、熟酥
醍醐：マンダ maṇḍa　だいご、バターオイル





　　　　禅那相応　　　完