原始仏典コミュのナーガ相応

（『南伝大蔵経14　相応部経典3』大蔵出版　P389−398　に相当）


相応部経典＞第3 犍度篇



　　　　　第八　ナーガ相応

　　　第一　清浄
342．サーヴァッティ因。
　比丘たちよ、これら四のナーガの生まれがある。何が四か。
　卵生のナーガ、胎生のナーガ、湿生のナーガ、化生のナーガ。
　比丘たちよ、これら四のナーガの生まれがある。

（ナーガ：龍、象、nāga、蛇の単語はアヒahi）
　

　　　第二　優れている
343．サーヴァッティ因。
　比丘たちよ、これら四のナーガの生まれがある。何が四か。
　卵生のナーガ、胎生のナーガ、湿生のナーガ、化生のナーガ。
　比丘たちよ、これら卵生のナーガよりも、胎生と湿生と化生のナーガの方が優れている。
　比丘たちよ、これら卵生と胎生のナーガよりも、湿生と化生のナーガの方が優れている。
　比丘たちよ、これら卵生と胎生と湿生のナーガよりも、化生のナーガの方が優れている。
　比丘たちよ、これら四のナーガの生まれがある。

　　　第三　ウポーサタ［その一］
344．あるとき先生はサーヴァッティのジェータ林、アナータピンディカの園に住んでいた。そこで一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある卵生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在るのですか。
　比丘よ、ここにある卵生のナーガはこのようにある。
　「私は以前に身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為した。身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為したその私は、身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じた。もし今、私が身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じるならば、この私は身が破れ死して後に善趣・天界に生じるだろう。必ずや私は今から身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じよう」
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある卵生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在る。

　　　第四　ウポーサタ［その二］
345．サーヴァッティ因。あるとき一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある胎生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在るのですか。
　比丘よ、ここにある胎生のナーガはこのようにある。
　「私は以前に身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為した。身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為したその私は、身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じた。もし今、私が身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じるならば、この私は身が破れ死して後に善趣・天界に生じるだろう。必ずや私は今から身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じよう」
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある胎生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在る。

　　　第五　ウポーサタ［その三］
346．サーヴァッティ因。あるとき一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある湿生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在るのですか。
　比丘よ、ここにある湿生のナーガはこのようにある。
　「私は以前に身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為した。身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為したその私は、身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じた。もし今、私が身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じるならば、この私は身が破れ死して後に善趣・天界に生じるだろう。必ずや私は今から身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じよう」
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある湿生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在る。
　　
　　　第六　ウポーサタ［その四］
347．サーヴァッティ因。あるとき一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある化生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在るのですか。
　比丘よ、ここにある化生のナーガはこのようにある。
　「私は以前に身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為した。身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為したその私は、身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じた。もし今、私が身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じるならば、この私は身が破れ死して後に善趣・天界に生じるだろう。必ずや私は今から身善行を行じ、語善行を行じ、意善行を行じよう」
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある化生のナーガはウポーサタに住して身を捨てたものとして在る。

　　　第七　聞［その一］
348．サーヴァッティ因。あるとき一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「卵生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じる。

　　　第八　聞［その二］
349．サーヴァッティ因。あるとき一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「胎生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じる。

　　　第九　聞［その三］
350．サーヴァッティ因。あるとき一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「湿生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じる。

　　　第十　聞［その四］
351．サーヴァッティ因。あるとき一人の比丘が先生を訪ねた。訪ねて先生に挨拶して一方に座った。一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「化生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じる。

　　　第十一−五〇　布施と援助と聞
352−361．一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「卵生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は食べ物を布施する。
　彼は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じる。
　・・・彼は飲み物を布施する。・・・
　・・・彼は衣服を布施する。・・・
　・・・彼は乗り物を布施する。・・・
　・・・彼はアクセサリーを布施する。・・・
　・・・彼は香りを布施する。・・・
　・・・彼は塗り物を布施する。・・・
　・・・彼は寝具を布施する。・・・
　・・・彼は住居を布施する。・・・
　・・・彼は照明器具を布施する。
　彼は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に卵生のナーガの仲間に生じる。

362−371．一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「胎生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は食べ物を布施する。
　彼は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じる。
　・・・彼は飲み物を布施する。・・・
　・・・彼は衣服を布施する。・・・
　・・・彼は乗り物を布施する。・・・
　・・・彼はアクセサリーを布施する。・・・
　・・・彼は香りを布施する。・・・
　・・・彼は塗り物を布施する。・・・
　・・・彼は寝具を布施する。・・・
　・・・彼は住居を布施する。・・・
　・・・彼は照明器具を布施する。
　彼は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に胎生のナーガの仲間に生じる。

372−381．一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「湿生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は食べ物を布施する。
　彼は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じる。
　・・・彼は飲み物を布施する。・・・
　・・・彼は衣服を布施する。・・・
　・・・彼は乗り物を布施する。・・・
　・・・彼はアクセサリーを布施する。・・・
　・・・彼は香りを布施する。・・・
　・・・彼は塗り物を布施する。・・・
　・・・彼は寝具を布施する。・・・
　・・・彼は住居を布施する。・・・
　・・・彼は照明器具を布施する。
　彼は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に湿生のナーガの仲間に生じる。

382−391．一方に座ったその比丘は先生にこう言った。
　先生、何を原因とし何を縁として、ここにある者は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じるのですか。
　比丘よ、ここにある者は身によって善悪を為し、語によって善悪を為し、意によって善悪を為す。
　彼は聞く。「化生のナーガは寿命が長く、容姿が美しく、楽しみが多い」。
　彼はこのようにある。「ああ、実に私は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生まれよう」。
　彼は食べ物を布施する。
　彼は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じる。
　・・・彼は飲み物を布施する。・・・
　・・・彼は衣服を布施する。・・・
　・・・彼は乗り物を布施する。・・・
　・・・彼はアクセサリーを布施する。・・・
　・・・彼は香りを布施する。・・・
　・・・彼は塗り物を布施する。・・・
　・・・彼は寝具を布施する。・・・
　・・・彼は住居を布施する。・・・
　・・・彼は照明器具を布施する。
　彼は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じる。
　比丘よ、これを原因としこれを縁として、ここにある者は身が破れ死して後に化生のナーガの仲間に生じる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　ナーガ相応　　終

　　　その頌
　　　　清浄と優れていると四のウポーサタ
　　　　四の聞と布施援助の章
　　　　五十の集まりの経を　ナーガにおいて善説する


（『南伝大蔵経14　相応部経典3』大蔵出版　P389−398　に相当）



　　　　　ナーガ相応　　　　　完