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原始仏典コミュの増支部経典 一集 1

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(『南伝大蔵経17 増支部経典1』大蔵出版 P1−22 に相当)




「   かの先生・阿羅漢・正覚者に帰依します



     増支部経典



     一集



   第一 色等品

1.このように私は聞いた。
 あるとき先生はサーヴァッティのジェータ林、アナータピンディカの園に住していた。そこで先生は比丘たちに「比丘たちよ」と呼びかけた。比丘たちは「先生」と先生に応えた。先生はこう言った。
 比丘たちよ、これほどにも男性の心を占領し続ける色を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、女性の色である。
 比丘たちよ、女性の色は男性の心を占領し続ける。
2.比丘たちよ、これほどにも男性の心を占領し続ける声を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、女性の声である。
 比丘たちよ、女性の声は男性の心を占領し続ける。
3.比丘たちよ、これほどにも男性の心を占領し続ける香を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、女性の香である。
 比丘たちよ、女性の香は男性の心を占領し続ける。
4.比丘たちよ、これほどにも男性の心を占領し続ける味を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、女性の味である。
 比丘たちよ、女性の味は男性の心を占領し続ける。
5.比丘たちよ、これほどにも男性の心を占領し続ける触を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、女性の触である。
 比丘たちよ、女性の触は男性の心を占領し続ける。
6.比丘たちよ、これほどにも女性の心を占領し続ける色を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、男性の色である。
 比丘たちよ、男性の色は女性の心を占領し続ける。
7.比丘たちよ、これほどにも女性の心を占領し続ける声を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、男性の声である。
 比丘たちよ、男性の声は女性の心を占領し続ける。
8.比丘たちよ、これほどにも女性の心を占領し続ける香を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、男性の香である。
 比丘たちよ、男性の香は女性の心を占領し続ける。
9.比丘たちよ、これほどにも女性の心を占領し続ける味を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、男性の味である。
 比丘たちよ、男性の味は女性の心を占領し続ける。
10.比丘たちよ、これほどにも女性の心を占領し続ける触を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、男性の触である。
 比丘たちよ、男性の触は女性の心を占領し続ける。



   第二 断蓋品

11.比丘たちよ、これほどにも生じていない欲への意欲を生じ、生じた欲への意欲を増大させ広大にする法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、清浄の相である。
 比丘たちよ、清浄の相を非根本に作意すれば、生じていない欲への意欲を生じ、生じた欲への意欲は増大し広大になる。
12.比丘たちよ、これほどにも生じていない怒りを生じ、生じた怒りを増大させ広大にする法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、違逆の相である。
 比丘たちよ、違逆の相を非根本に作意すれば、生じていない怒りを生じ、生じた怒りは増大し広大になる。
13.比丘たちよ、これほどにも生じていない惛沈睡眠(だるさと眠気)を生じ、生じた惛沈睡眠を増大させ広大にする法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、退屈、だるさ、欠伸、食べ過ぎ、心の退縮である。
 比丘たちよ、退縮した心ならば、生じていない惛沈睡眠を生じ、生じた惛沈睡眠は増大し広大になる。
14.比丘たちよ、これほどにも生じていない掉挙悪作(躁と鬱)を生じ、生じた掉挙悪作を増大し広大にする法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心の不寂静である。
 比丘たちよ、不寂静の心ならば、生じていない掉挙悪作を生じ、生じた掉挙悪作は増大し広大になる。
15.比丘たちよ、これほどにも生じていない疑を生じ、生じた疑を増大し広大にする法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、非根本作意である。
 比丘たちよ、非根本に意を作すならば、生じていない疑は生じ、生じた疑は増大し広大になる。
16.比丘たちよ、これほどにも生じていない欲への意欲を生じず、生じた欲への意欲を断つ法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、不浄の相である。
 比丘たちよ、不浄の相を根本に作意すれば、生じていない欲への意欲は生じず、生じた欲への意欲は断たれる。
17.比丘たちよ、これほどにも生じていない瞋を生じず、生じた瞋を断つ法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、慈心解脱である。
 比丘たちよ、慈による心の解脱を根本に作意すれば、生じていない瞋は生じ、生じた瞋は断たれる。
18.比丘たちよ、これほどにも生じていな惛沈睡眠を生じず、生じた惛沈睡眠を断つ法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、発勤界、精勤界、勇猛界である。
 比丘たちよ、精進を起こすならば、生じていない惛沈睡眠は生じず、生じた惛沈睡眠は断たれる。
19.比丘たちよ、これほどにも生じていない掉挙悪作は生じず、生じた掉挙悪作を断つ法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心の寂静である。
 比丘たちよ、寂静心ならば、生じていない掉挙悪作は生じず、生じた掉挙悪作は断たれる。
20.比丘たちよ、これほどにも生じていない疑は生じず、生じた疑を断つ法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、根本作意である。
 比丘たちよ、根本の意を作せば、生じていない疑は生じず、生じた疑は断たれる。

 註 欲への意欲 カーマ〔欲への〕チャンダ〔意欲〕 kāma chanda 欲望
   清浄の相  スバ〔清浄の〕ニミッタ〔相〕 subha nimitta 浄相
   怒り ビャーパーダ vyāpāda 瞋恚、瞋   
   違逆の相  パティガ〔違逆の〕ニミッタ〔相〕 paṭigha nimitta 違相



   第三 無堪忍品

21.比丘たちよ、これほどにも修習されなければ、有用とならない法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習されなければ有用とならない。
22.比丘たちよ、これほどにも修習されれば、有用となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習されれば有用となる。
23.比丘たちよ、これほどにも修習されなければ、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習されなければ大きな不利益となる。
24.比丘たちよ、これほどにも修習されれば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習されれば大きな利益となる。
25.比丘たちよ、これほどにも修習されず不明瞭であるならば、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習されず不明瞭であるならば大きな不利益となる。
26.比丘たちよ、これほどにも修習され明瞭となるならば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習され明瞭となるならば大きな利益にある。
27.比丘たちよ、これほどにも修習されず多く為されないならば、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習されず多く為されないならば大きな不利益となる。
28.比丘たちよ、これほどにも修習され多く為されないならば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習され多く為されるならば、大きな利益となる。
29.比丘たちよ、これほどにも修習されず多く為されないならば、苦をもたらす法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習されず多く為されないならば苦をもたらす。
30.比丘たちよ、これほどにも修習され多く為されれば楽をもたらす法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。 
 比丘たちよ、心は修習され多く為されれば楽をもたらす。



   第四 無調品

31.比丘たちよ、これほどにも訓練されなければ、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は訓練されなければ大きな不利益となる。
32.比丘たちよ、これほどにも訓練されれば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は訓練されれば大きな利益となる。
33.比丘たちよ、これほどにも防護されなければ、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は防護されなければ大きな不利益となる。
34.比丘たちよ、これほどにも防護されれば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は防護されれば大きな利益となる。
35.比丘たちよ、これほどにも守護されなければ、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は守護されなければ大きな不利益となる。
36.比丘たちよ、これほどにも守護されれば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は守護されれば大きな利益となる。
37.比丘たちよ、これほどにも律儀されなければ、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は律儀されなければ大きな不利益となる。
38.比丘たちよ、これほどにも律儀されれば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は律儀されれば大きな利益となる。
39.比丘たちよ、これほどにも訓練されず、防護されず、守護されず、律儀されなければ、大きな不利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は訓練されず、防護されず、守護されず、律儀されなければ、大きな不利益となる。
40.比丘たちよ、これほどにも訓練され、防護され、守護され、律儀されれば、大きな利益となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は訓練され、防護され、守護され、律儀されれば、大きな利益となる。

 註 訓練された ダンタ danta  布施・調御・自制の「調御」と同語
   防護された グッタ gutta  根門防護の「防護」と同語
   守護された ラッキタ rakkhita 
   律儀された サンヴタ saṃvuta パーティモッカ律儀の「律儀」と同語



   第五 志向・隠覆品

41.比丘たちよ、たとえば稲の穂先や麦の穂先を悪く向けて手や足で触っても手や足を破り、血を出すというこの処は知られない。それはなぜか。
 比丘たちよ、穂先が悪く向けられているからである。
 比丘たちよ、まさにこのように比丘が悪く向けられた心によって無明を破り、明を生じ、涅槃を実証するだろうというこの処は知られない。それはなぜか。
 比丘たちよ、心が悪く向けられているからである。
42.比丘たちよ、たとえば稲の穂先や麦の穂先を正しく向けて手や足で触ると手や足を破り、血を出すというこの処は知られる。それはなぜか。
 比丘たちよ、穂先が正しく向けられているからである。
 比丘たちよ、まさにこのように比丘が正しく向けられた心によって無明を破り、明を生じ、涅槃を実証するだろうというこの処はある。それはなぜか。
 比丘たちよ、心が正しく向けられているからである。

43.比丘たちよ、ここに私は一部の汚れた心の人をこのように心によって心を確かに知る。「この人がもし今死ぬならば、配置されるように地獄に堕ちる」と。それはなぜか。
 比丘たちよ、彼の心が汚れているからである。
 また比丘たちよ、心が汚れていることを原因として、このように一部の生ける者は身が破れて死んだ後に苦処・悪趣・堕処・地獄に生じる。
44.比丘たちよ、ここに私は一部の清い心の人をこのように心によって心を確かに知る。「この人がもし今死ぬならば、配置されるように天に生じる」と。それはなぜか。
 比丘たちよ、彼の心が清いからである。
 また比丘たちよ、心が清いことを原因として、このように一部の生ける者は身が破れて死んだ後に善趣・天界に生じる。

45.比丘たちよ、たとえば湖が濁り、揺れ、混濁しているならば、眼のある人がその岸に立っても牡蠣も貝も、砂も礫も、泳いだり止まっている魚の群れも見えない。それはなぜか。
 比丘たちよ、水が濁っているからである。
 比丘たちよ、まさにこのようにかの比丘は濁っている心によって自己の利益を知り、他者の利益を知り、他者の利益を知り、超人法である十分に聖なる知見の領域を実証するだろうというこの処は知られない。それはなぜか。
 比丘たちよ、心が濁っているからである。
46.比丘たちよ、たとえば湖が澄み、綺麗で、濁っていないならば、眼のある人がその岸に立てば牡蠣も貝も、砂も礫も、泳いだり止まっている魚の群れが見える。それはなぜか。
 比丘たちよ、水が濁っていないからである。
 比丘たちよ、まさにこのようにかの比丘は濁っていない心によって自己の利益を知り、他者の利益を知り、他者の利益を知り、超人法である十分に聖なる知見の領域を実証するだろうというこの処は知られる。それはなぜか。
 比丘たちよ、心が濁っていないからである。

47.比丘たちよ、たとえば湖の樹木の種類の中では栴檀が柔らかさと有用さにおいて最高であるとされる。
 比丘たちよ、まさにこのように修習され多く為されれば、柔らかくなり有用となる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、心は修習され多く為されれば柔らかくなり有用となる。
48.比丘たちよ、これほどにも軽く変化する法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、心である。
 比丘たちよ、譬えることすらできないほど容易に、心は軽く変化する。
49.比丘たちよ、この心は光り輝いている。それは外から来た汚れに汚される。
50.比丘たちよ、この心は光り輝いている。それは外から来た汚れから脱する。

 註 光り輝いている パバッサラ pabhassara 極光浄
   汚れ  ウパッキレーサ upakkilesa   随煩悩



   第六 弾指品

51.比丘たちよ、この心は光り輝いている。それは外から来た汚れに汚される。
 聞くことのない凡夫はそれを事実の通りに知らない。
 それゆえ「聞くことのない凡夫には心の修習がない」と私は言う。
52.比丘たちよ、この心は光り輝いている。それは外から来た汚れから脱する。
 聞くことのある聖なる弟子はそれを事実の通りに知る。
 それゆえ「聞くことのある聖なる弟子には心の修習がある」と私は言う。

53.比丘たちよ、指を弾く瞬間であっても、もしも比丘が慈心を実行するならば、こう言われる。
 比丘たちよ、「この比丘が禅那に住するのは空しくなく、師の教えを実行し、教誡を実行し、この国の食物を食べるのは無駄ではない」と。
 まして多く為す場合はどう言おうか。
54.比丘たちよ、指を弾く瞬間であっても、もしも比丘が慈心を修習するならば、こう言われる。
 比丘たちよ、「この比丘が禅那に住するのは空しくなく、師の教えを実行し、教誡を実行し、この国の食物を食べるのは無駄ではない」と。
 まして多く為す場合はどう言おうか。
55.比丘たちよ、指を弾く瞬間であっても、もしも比丘が慈心を作意するならば、こう言われる。
 比丘たちよ、「この比丘が禅那に住するのは空しくなく、師の教えを実行し、教誡を実行し、この国の食物を食べるのは無駄ではない」と。
 まして多く為す場合はどう言おうか。

56.比丘たちよ、何であれ不善の法、不善の部分、不善に含まれるもの、すべてそれらは意を先行とする。意はそれらの法の最初に生じ、後に不善の法がある。
57.比丘たちよ、何であれ善の法、善の部分、善に含まれるもの、すべてそれらは意を先行とする。意はそれらの法の最初に生じ、後に善の法がある。
58.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、放逸である。
 比丘たちよ、放逸であるならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。
59.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、不放逸である。
 比丘たちよ、不放逸であるならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
60.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、懈怠である。
 比丘たちよ、懈怠であるならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。


   第七 発勤精進等品
61.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、精進努力である。
 比丘たちよ、精進を開始するならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
62.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、大欲である。
 比丘たちよ、大欲ならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。
63.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、少欲である。
 比丘たちよ、少欲ならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
64.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、不満足である。
 比丘たちよ、不満足ならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。
65.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、満足である。
 比丘たちよ、満足ならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
66.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、非根本作意である。
 比丘たちよ、非根本に意を作すならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。
67.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、根本作意である。
 比丘たちよ、根本に意を作すならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
68.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、無自覚である。
 比丘たちよ、無自覚ならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。
69.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、自覚である。
 比丘たちよ、自覚ならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
70.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、悪人の友である。
 比丘たちよ、悪友がいるならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。



   第八 善友等品

71.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、善人の友である。
 比丘たちよ、善友がいるならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
72.比丘たちよ、これほどにも生じていない不善法を生じ、生じた善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、不善法と結合し、善法と結合しないことである。
 比丘たちよ、不善法と結合し、善法と結合しないならば生じていない不善法は生じ、生じた善法は捨てられる。
73.比丘たちよ、これほどにも生じていない善法を生じ、生じた悪不善法を捨てる法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、善法と結合し、不善法と結合しないことである。
 比丘たちよ、善法と結合し、不善法と結合しないならば生じていない善法は生じ、生じた不善法は捨てられる。
74.比丘たちよ、これほどにも生じていない覚支を生じず、生じた覚支の修習円満に行かせない法を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、非根本作意である。
 比丘たちよ、非根本に意を作すならば生じていない覚支は生じず、生じた覚支の修習円満に行かない。
75.比丘たちよ、これほどにも生じていない覚支を生じ、生じた覚支の修習円満に行かせる方を私は他に一つも認めない。
 比丘たちよ、根本作意である。
 比丘たちよ、根本に意を作すならば生じていない覚支は生じ、生じた覚支の修習円満に行く。

76.比丘たちよ、これは少量の損失である。即ち、親族の損失である。
 比丘たちよ、これは損失の最たるものである。即ち、智慧の損失である。
77.比丘たちよ、これは少量の増大である。即ち、親族の増大である。
 比丘たちよ、これは増大の中の最上である。即ち、智慧の増大である。
 比丘たちよ、それゆえこのように学ぶべきである。
 「私たちは智慧の増大によって増大しよう」と。
 比丘たちよ、あなたたちは実にこのように学ぶべきである。
78.比丘たちよ、これは少量の損失である。即ち、財産の損失である。
 比丘たちよ、これは損失の最たるものである。即ち、智慧の損失である。
79.比丘たちよ、これは少量の増大である。即ち、財産の増大である。
 比丘たちよ、これは増大の中の最上である。即ち、智慧の増大である。
 比丘たちよ、それゆえこのように学ぶべきである。
 「私たちは智慧の増大によって増大しよう」と。
 比丘たちよ、あなたたちは実にこのように学ぶべきである。
80.比丘たちよ、これは少量の損失である。即ち、名誉の損失である。
 比丘たちよ、これは損失の最たるものである。即ち、智慧の損失である。
81.比丘たちよ、これは少量の増大である。即ち、名誉の増大である。
 比丘たちよ、これは増大の中の最上である。即ち、智慧の増大である。
 比丘たちよ、それゆえこのように学ぶべきである。
 「私たちは智慧の増大によって増大しよう」と。
 比丘たちよ、あなたたちは実にこのように学ぶべきである」




(『南伝大蔵経17 増支部経典1』大蔵出版 P1–22 に相当)


   続く

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