女医の会(オープンな会♪)コミュの高知県　日本初の女医

日本初の女医

『野中婉(のなかえん)』
　野中婉(四女)
・寛文元年(1661年)生(江戸時代初期)
・父　野中兼山(野中傳右衛門良繼)
・母　池きさ(側室)
・兄弟７人

土佐藩首席家老の父、兼山の失脚(農民に対し過剰な労役等)により兼山急逝。
(野中兼山隠棲地・香美郡土佐山田　享年４９歳)
翌年、家族とも罪人扱いとなり
家録、屋敷など没収され幡多郡宿毛(現高知県宿毛市)へ幽閉(座敷牢)された。
四女の婉わ当時４歳。男兄弟が亡くなるまで
また、子供を産めなくなる歳までの４０年の間
外出を許されず儒学者の谷秦山(たにじんざん)との
文通にて儒学、詩歌、漢学、本草学、医学の指導を受け勉学に励む日々を送った。
また幽閉監視役であった医師、安田道玄(やすだどうげん)にも医術を学び、獄中の兄弟の看病をして
いた。
幽閉者
・市(正室)・よめ(養母)・清七(長男)・欽六(次男)
・希四郎(五男)・貞四郎(六男)・寛(三女)
・婉(四女)・将(五女)
婉４４歳(江戸時代中期)
元禄１６年(1703年)男系滅亡に伴い赦免される。
1664年～1703年の４０年間という長い幽閉生活
を終える。
野中家の旧臣(井口氏)を頼り高知城下の土佐郡朝倉郷(現高知市朝倉丙)へ移り住む。
母や姉、妹を養うため医院を開業。
婉わ裏山の茶臼ヶ森(現高知市朝倉丁、朝倉城跡)へ
薬草を採取し調合、旧臣の伊藤益左衛門に売らせたところ丸薬が大評判となり飛ぶように売れ
家計を維持するのに大いに役立った。
また京都や江戸の名家と交流し、丸薬を流通していた。
ある時、
裏山の松の木に鸛(コウノトリ)が巣を作り卵を産んでいた。しかし近所の子供達が卵を焼いて遊んでいたのを婉わ小銭を渡し止めさせ卵を巣に戻したところ
親鳥が草を咥え巣の卵に被せた。数日後に卵わ孵化し、ひな鳥が生まれたという。
婉わ親鳥が運んできた草に不思議な力を感じ、その草を調剤したところ、ありとあらゆる病気によく効いたという。
庵での生活。診療にわ人と顔を合わせないスタンスだった婉。
患者の手首に糸を巻き、隣の部屋に居る婉が糸の端を持って感じる脈拍(橈骨動脈)などで診察していた。
この診察方法であったが調合された薬がよく効いたことから庶民から『お婉さまの糸脈』と慕われ巷で評判の女医となっていった。
また貧しい庶民から診療代を貰わず無償で診察していた。
ある日、
いたずら好きな庶民が診察に訪れ糸を自身の手首に巻かず猫の足に巻きつけ診療を受けた。
婉わいつものように薬を調合して渡した。
まんまと騙した気分の庶民。家に帰って薬の袋を開けると細かく刻まれた『かつお節』が入っていたという。
婉４４歳
野中一族の墓を創建。
高知市高見山中山間部(市教育委員会管理)
婉が朝倉に移り住み直ぐに婉が整地した(1703年)
・正面　野中兼山墓(野中傳右衛門良継之墓)
・右奥　野中直継墓(野中玄蕃直継之墓)
・右前　野中婉墓(野中良継之女婉之墓)
・左奥　野中太内助継墓
・左中　野中益継墓(野中主計益継之墓)
・左前　野中きさ墓(野中清七一明之生母池氏之墓)
下段　家臣墓地
・正面　古槇治郎八重固之墓
・右横　伊藤玄伯夫婦墓
・左横　乳母信姉墓
婉の実母きさの墓に刻まれる
『孤哀女婉泣植焉(こあいじょないてこれをたつ)』
※たった独り泣きながら一族の墓を建てた
婉わ母親思いであったのだろう。
他一族の墓わ高知県宿毛市(東福院)にある。
兼山正室・市、養母・よね、長男・清七、
次男・欽六、五男・希四郎、六男・貞四郎、
三女・寛、五女・将　
婉４８歳
『無念に去った野中一族の為』
宝永５年(1708年)野中神社創建。(市指定史跡)
野中神社(お婉堂)高知県香美市土佐山田町中組
婉わ野中家の家宝などを売り旧臣の古槇氏の協力を
受けて(古槇氏の土地を譲り受け)父兼山や先祖、家臣などの祖霊を祀る。
現在わ多くの医療従事者、看護師、医師などが訪れ
数々の石碑(歌婢)が奉納されている。

野中婉　没年６５歳(1726年)
藩主による数多くの縁談を全て断り天涯孤独であった。波乱万丈の人生であったが婉わ毎朝、庭先の縁側に来る雀たちに愛されていたようだ。
６０歳で３０歳の肌の美を保ったという。

『人生の殆どを幽閉の身で過ごした私だから言えることがあります。人生はとても単純です。誰かを憎むためでなく誰かを幸せにするために生きればいいのです。』野中婉
関連
・婉女宅低跡(高知県高知市朝倉丙)
・野中神社・お婉堂(高知県香美市土佐山田町中組)
・野中一族・野中婉墓所(高知県高知市北高見町)
・野中一族幽閉の地(高知県宿毛市桜町)
・帰全山公園(高知県長岡郡本山町)
・東福院(高知県宿毛市桜町)