しつこくダブステップ。FALTY DLはニューヨークのDJで、このアルバムは「Anxiety」という曲もリズムが非常に面白くておすすめなのだが、今回はこの「To New York」を紹介。恐らくこれがダブステップ流ポップネスの限界地点だろう。下の音(ずっしりヘヴィ!)と上の音(軽快ポップ!)がここまでかけ離れている曲もなかなかあるまい。
フランスのプロデューサーA CAT CALLED FRITZが、女性ラッパーをフューチャーした一曲。00年代のジャジー・ヒップホップを通過したトリップホップといった感じか。ドガの『アプサント』やロートレックの一連の油絵(ポスターではなく)をイメージさせるような、お洒落なのだがどこか陰鬱で、しかも酒臭い雰囲気の世界観が脳内に広がる。
Nine inch nails以降、もう進化はないだろうと思われていたインダストリアル・ミュージックだけれど、この無名の新人はダブステップの手法を利用することで新たなインダストリアルを作り上げることに成功した。とにかく今、ダブステップの他ジャンルへの侵食というのが凄まじい。革新的な動きが次から次へと生まれる。
「Against」「Rust On Metal」の世界観は、今までの音楽にはなかったものだ。インダストリアルを立体的にしたらこのようになるのだろう。ポストモダン時代においても音楽はまだまだ「進化」できるのだということを示してくれる、実に頼もしい作品である。
完璧ではない。時代を担うトップ・アイドルだから、聴けたものではない曲もあって、例えば「Stupid In Love」や「Fire Bomb」といった曲はそれこそ弛緩しまくっていて完全に駄目なのだが、それでも私は本作を二点の理由でもって推薦する。
一点目は、ついにダブステップがメジャー・フィールドに紹介されたという記念碑的な作品だという理由によって。「Wait Your Turn」や「G4L」といった曲を聴いていただきたい。完全なダブステップ・ビートである。地下では完全に浸透していたもののなかなかメジャー化の動きが見えなくて、この見事なまでの資本主義社会だもの、ある程度大衆に紹介されないと歴史から葬り去られるという恐れまでも沸いてくる現在、リアーナによってついに全世界何百万人の耳へとこのビートが届けられた意義は大きい。今年はブルックリンのLemonadeやポストロック番長Tortiseなどのバンドによってロック側からダブステップへのアプローチも増えていた中、リアーナがトドメをさした格好となった。
「Flying Lotus以降」のコズミックな感覚がところどころ感じられる一方で、「Keman Rhythm」や「Jewels And Gems」といった曲からは凝った民族趣味もうかがえる。しかし、根底にあるのはやはり90sドラムンベースの雰囲気。もちろんリズムは新しいが、ずっしりと重い感覚はUKに脈々と受け継がれているあの時代の空気だろう。
2009年ロックの最高峰。ブルックリン・フリークフォーク周辺のムーブメントを中心とした動きはもう加速し続けていて、ここまで来たらもう行けと、行くところまで行ってしまえと叫んでしまいそうなのだが、2008年のGang Gang Danceといえこの周辺はやはり今一番面白い。一体ブルックリンでは何が起こっているのだ。ロックが死んでしまったあとも、こんなに面白く幸福な祭りが行われているなんて!ニューヨークのあれほど狭い地域に、挙げるのに両手で足りないくらいの多数の有能なバンドがひしめいている現状が信じられない。今年だけでも、TelepatheにAkron/FamilyにAmazing babyに・・・!
曲自体はスカスカで、あまりに空洞状態。しかし、一つのひとつ鳴らされる音から伝わってくる説得力が半端ない。ボーカルも凄まじくて、「Stillness Is The Move」などの曲では歌の区切り方がかなり独特。ゼロ年代ラップ出現以降の新たな歌唱法として評価されるべきだろう。メロディを歌う上でのこの息継ぎはこれまで誰もやっていなかった。
そして今年、2009年。Buraka Som Sistemaは、ゼロ年代ならではの“データベース的音楽作成”や“エレクトロの借用”といった手法に頼りつつも、決して肉体性を失っていないという強力な作品を発表してきた。基盤になっているのはアンゴラ生まれのクドゥロという音楽だが、元来クドゥロに備わっていた汗臭さが少しも消えることなく、むしろエレクトロのフィルターを通すことでより強靭になっている。
ポストモダン時代にポストモダン手法を使いながらも肉体性を失っていない・・・その力をここで仮に“ポストモダンフィジカリティ”と呼ぼう。きたるべき2010年代、我々の音楽に対する最大の注目すべきポイントは“ポストモダンフィジカリティが備わっているか否か”に尽きる。その点で、Buraka Som Sistemaの作品には数多の作家が見習うべきポイントが潜んでいる。
それに合わせて国内版出したけど去年の四月なんてまだまだ、みんなクンビアクンビア言ってたから辺境Ghetto Bassのクドゥロなんて日本じゃでんでんだったしね汗
去年末に新宿のタワレコでBuraka Som Sistemaの最近でたRemix盤とBlack Diamondとクドゥロのコンピが合わせて売ってたけど、クドゥロのコンピは直ぐに消えてたなw
じんわりとFUJI ROCK FESでの2度目の来日以降Buraka Som Sistema以外の現地クドゥロにも注目が広がってきてるけど流通悪すぎ苦笑
サラーム海上さん情報ではフランスでクドゥロがかなりブレイク中らしい。
You tubeでKuduroもんを検索したらフランス語で「最高!でも何語だ?」とか「アンゴラ産だからポルトガル語ざんす。」とかコメントついてて笑った。
おいら的には07はM・I・A、08はGang Gang Dance、09はBuruka Som SystemaがPOP MUSICではNo1だね〜。
そんでもって日本でKuduroを作ってる人発見!!
Tokyo funkudoro
HP:http://afulo.jp/kuduro.htm