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丸山健二コミュのトピにするのは、ちょっととっぴだけど、地球浪漫をお届けします

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丸山健二のことも、ちょっとだけ書いてますので、



地球浪漫2005

101) 通勤途上の公園で出会う野良猫は、夏も冬も同じ毛皮を着ている。冬だからといって厚着をするわけでなく、雨の日に傘をさすわけでもない。暑さ寒さに関係なく、いつも悠然としている。ホームレスのおじさんたちの寒々とした土気色の顔に比べると健康そのもの。我々の環境適応能力は、猫一匹に劣る。

 「はだかの起原 不適者は生きのびる」(木楽舎, 2004年、1900円)の著者島泰三先生は、日本の山中でニホンザルを追いかけ、マダガスカルの熱帯林でアイアイを追いかけて生態観察を行った人類学者。餌付けされていない野生のサルだけを観察する第三世代のサル学者である。

 著者が、ヒトに毛皮がないこと、裸であることを疑問として受け止めたのは、1982年秋、千葉県・房総半島でニホンザルの群れを追いかけていたときのことだ。台風直撃の豪雨の中、一日中サルたちを追いかけまわし、疲れはてた夕刻、小猿たちがいつもと変わらない様子で遊んでいる姿に衝撃を受ける。

「愕然とした。これだけの風雨も、彼らには何の影響も及ぼしていなかった。こちらは夕方になって冷え込んできて、濡れた体はもうこれ以上無理と言っている。しかし、このサルの子供たちは、雨具もなく服もなく、ただ濡れるだけ濡れているはずなのに、普段と同じか、あるいはそれ以上に風に揺れる枝の動きを楽しんで遊んでいる。たしかに毛皮は濡れている。だが、ブルッとひとつ身震いするだけで、水滴は飛び、また快適な毛皮である」「そこに完璧な雨具があった。寒暖、風雪、晴雨にかかわらず、常に体を守る完璧な衣類がそこにあった。それがサルたちの毛皮だった。なぜこんなに大切なものを、人間は失ったのだろうか?」

以来著者は、この疑問を抱きつづけてきた。なぜ人間は無毛なのか。裸になって得なことは何もない。人間が裸であることは、ダーウィンの適者生存説でも性淘汰説でも説明がつかない。

 著者は、博物学的な知識を駆使して、裸の哺乳類を分類し、分析する。

ゾウやサイやカバなど体重が1トン以上の大型哺乳類は、「餌を食べるだけで体温が上がってしまい、熱を外に出さないと自分の中で自分がゆだってしまう」ので放熱手段として裸化した。

大型哺乳類以外に裸の哺乳類はほとんどいない。いても一属に一種だけの、完全に弧絶した例外的な現象である。

コビトカバは熱帯地方の水辺の、トンネルの中に住む。ハダカオヒキコウモリやハダカデバネズミは、洞窟を棲家とする。

? 著者は、現人類の祖先は、今から20万から30万年前に、東アフリカの高地で突然変異的に裸化したとする。外敵からの安全が保証され、温度や湿度の安定した洞窟に住みついた原人のひと群れが、何世代か、何十世代かの間に、洞窟の特殊環境に適応して裸になったと考えてもよいだろう。

洞窟の中で、体温や水分調節が必要なくなり、徐々に毛皮は薄くなる。他の動物の毛皮を衣服として使いはじめると、摩擦によって毛は薄くなり、ますます裸化は進む。洞窟という特殊な環境の中で両親が獲得した形質は、洞窟の中で生まれる子供たちに遺伝形質として伝わる。

おそらく文化も洞窟の中で生まれた。暇と安全を手に入れたヒトは、壁に絵を描いたり、顔に顔料を塗ったりし、言葉を発するようになる。言葉で考えるようになり、死や将来のことに恐怖を抱きはじめる。文化の起原である。

実際、我々は洞窟が好きだ。洞窟を見ると入ってみたいと思う。洞窟に入っていると気分が落ち着く。子供たちが押入れに隠れて遊ぶのも、お父さんたちが駅前の小さなスナックに安らぎを得るのも、アフリカの洞窟に住んでいたときの記憶が深層意識に残っているからではないか。

? 個体数が増え、洞窟の中が手狭になると、人間は洞窟の外に擬似的な洞窟、雨露を凌ぐための閉鎖空間=住居を作る。こうして文明が始まる。

文明は自然に対立する、自然の反対概念である。文明とは「自然のままでは生きていけない人間が、自然環境を改変してつくりだした人工的環境及びそれに関連する装置」と定義してみよう。

都市文明、農耕文明、機械文明、石油文明、自動車文明、文明の利器、文明生活、文明という言葉と結びつく概念は、自然を人工物や人為で置き換えることを前提とする。

文明のおかげで人間は異常繁殖した。今、地球の人口は65億人。この30年というもの毎年ほぼ1億人ずつ増えてきた。地球人口はすでに地球の許容限度を超えているような気がする。

一人の人間は毎年一定量の穀物を食べるので、人口は穀物生産量に近似でき、生産に必要な面積に換算できる。したがって、人口増加は、自然林の喪失と表裏一体をなす。

自然林は、人間の食糧生産のための農耕地や、人間だけが生活する都市や、パルプや薪炭や建築材のための人工林に変えられ、それまで森林に住んでいた野生動物は餌場を失って滅んでいった。

102)「歯周病の原因として細菌がまず第一に関与しますが、これは文明生活と深く関係しています。人類進化の黎明期に火を使うことを覚えると、食品をすべて加熱するようになります。生の食品は栄養が未消化で硬いため食べる時に食物を噛んでつぶしても、口の中の歯の表面に澱粉質や糖質はほとんど付着しません。」(西原克成著「歯はヒトの魂である 歯医者の知らない根本治療」(青灯社、2005年、1600円)

 人間が生きのびるための文明が、人間を病気にする。人間もまた動物であるからだ。人間は進化の袋小路の中であがいている裸のサルだ。

口腔医である西原先生は重力や熱などのエネルギーが、生物の進化や病気に及ぼす影響を研究してこられた。「顔の科学」、「生物は重力が進化させた」や「内臓が生みだす心」、「免疫、生命の渦」といった生命進化を解明した本のみならず、「アレルギー体質は口呼吸が原因だった」、「赤ちゃんの生命のきまり」など一般読者向けのわかりやすい医学書も多数書いておられる。

 特に現代では、口呼吸、冷たいものの飲食、過労が万病のもとであることを強く訴えておられる。私はここ三年、西原医学を実践して冷たいものを控えているおかげか風邪ひとつひいてない。

103) 私が吉祥寺の合気道多田塾月窓寺道場に入門したころ、黒帯を取ったら厳しい禊修行に参加すると聞いていた。昨年末に初段をいただいたので、2月に禊修行に参加した。

山岡鉄舟の晩年の高弟小倉鉄樹が東大の学生たちと大正7年にはじめた一九会道場は、都下・東久留米市にある。

? 修行は、まず、大きく息を吸ってから完全に吐ききる深呼吸を数回行い、祝詞をあげる。それから、トホカミエミタメという神の名を、最初はゆっくり、だんだんリズムに乗って、腹の底から声を振り絞って、全力で唱える。

 一回の座が4,50分で、一回終わるごとに休憩する。木曜の夜から日曜の午後まで、28回、ひたすら同じ行をくり返した。

応援の人たちが個々の入門修行者を取り囲み、「声が小さい」、「息が吐ききれてない」などと口頭で指導を行い、さらに平手で背中を鞭撻する。二度声が潰れ、背中が腫れて痛くなった。

私を含めて参加者は5人。20代2人(うち女性1名)、30代1人、40代2人。外は雪景色なのに一切暖房のない控え室で、コートを着て、靴下をはき、手袋をはめ、次の座が始まるのを、言葉もなく待っていた。暖房がないことはあまり苦にならなかった。

8回頂いた食事は、どんぶり一杯の麦飯と、生味噌少々、沢庵二切れ、梅干一個だけ。お茶もなく、白湯だけだったが、毎回おいしくいただいた。粗食でも十分生きていける。

104)  日本の人工衛星はやぶさは、3年以上かけて、地球から約3億km離れた小惑星イトカワに到達し、着陸し、帰還の途上にある。

 今年は戦後日本の宇宙開発の原点であるペンシルロケット水平発射実験から50年。ペンシルロケットといえば、糸川英夫博士であり、糸川博士といえば旧陸軍の戦闘機隼の設計者である。はやぶさとイトカワの出会いは、ペンシルロケット50周年をみごと祝福した。

? 4月23日にお台場の船の科学館で開かれた「東大ロケットOB及び現役懇親会」に、OBでも現役でもないのに参加させて頂いた。 さまざまな分野の研究者、ロケットや衛星の製造メーカー、OBと現役合わせて二百人近くが参加した、和気あいあいとした大昼食会。

 きわめて多岐にわたる分野の研究者や技術者が、心をひとつにして取りくむと、宇宙開発計画は成功するということを実感した。

 糸川博士は、宇宙開発においては、さまざまな分野の専門技術をひとつにまとめあげる「システム工学」が大切であるといっておられた。それは組織運営あるいは技術的・業務的なまとめあげにとどまらず、参加する人間ひとりひとりの心をひとつにすることまで含んでいたのだ。全員の心の中で一本通い合うものがあれば、計画はスムーズに進み、成功しやすいし、お金もあまりかからない。逆に、それがなければ、いくらお金をかけても成果は上がらない。

105) 通信衛星を設計し、製造し、ロケットに搭載して大気圏外に射出し、地球から約3万6千kmの静止軌道に移動させて、そこで管制制御しながら、衛星通信の運用を行うためには、極めて高度な技術が必要とされる。

 しかし、求められる技術水準の高さは、必ずしも顧客数や市場規模とは見合わない。

たとえば、KDDI(旧KDD、国際電々)といえば、国際衛星通信黎明期に行った貢献(たとえばケネディー暗殺のテレビ中継の成功)で、NHKのプロジェクトXで一本の番組として取り上げられたほどであるが、今や日本の国際通信のほとんどが光海底ケーブルによって行われているため、同社での衛星通信の比重は極めて小さい。 

 衛星通信に比べて光海底ケーブルは、圧倒的大容量のデータを高速伝送でき、静止衛星軌道を往復する〇・二五秒の遅延もない。衛星通信はすでに過去の技術になってしまった感がある。

 今、衛星通信を必要としているのは、光海底ケーブルを埋設しても採算の合わない大洋の島嶼国家、船舶や航空機などの移動体、野外・国外活動を行う軍隊だけだといっても過言ではない。

? 冷戦後、自衛隊の国外派遣が始まった。平成3年のペルシャ湾掃海活動、翌年のカンボジア国連停戦監視団と、当初は国連の平和維持活動に限定されていたものが、平成十五年のイラク派遣で、国連活動でなくても派遣するようになった。今後自衛隊法が改正されて国外活動が本務化し、中央即応集団の運用が始まれば、ますます海外派遣の機会は増えることになる。

 これは、日本に、衛星通信技術を必要とするユーザーが生まれたことを意味する。 

106)8月、千葉県御宿で開かれた鷹揚の会(読書会)の夏合宿に4年ぶりに参加。課題図書は、小熊英二著「<民主>と<愛国> 戦後日本のナショナリズムと公共性」(新曜社、2002年、6300円)。二五〇〇枚の大著である本著は、終戦直後から、戦後教育、六〇年安保、全共闘運動、ベ平連に至るまでの、戦後日本で活躍した思想家たちの発言をていねいに整理し、日本のナショナリズムを考えるための基本文献となっている。

 著者は、ナショナリズムの定義を、「心情の表現手段として『民族』や『国家』という言葉が採用された状況」とするが、これではちょっとあいまいすぎて議論が成り立たない。

 ナショナリズムが近代以降に果たした役割をきちんと評価して、「ナショナリズムとは、国家(nation)と民族(nation)を同じnationという言葉で表現することにより、国民(nation)という新たな複合概念を作り出し、そこに生活する生身の人間たちに、民族と国家は運命をひとつにする運命共同体であるいう国民教育を施して、動員し、総力戦を闘うための思想」と定義したい。

 戦前の日本でも、ナショナリズムは総力戦の思想だった。日本の場合、国家+民族=国民という擬制の上に、さらに、「国民は天皇の赤子である」とする神話が広められた。これは、国家機構の最底辺の臣民が、最上部の主権者を親よりも大切に慕う、超国家的な精神の短絡帰還回路をもつ「ターボ・ナショナリズム」であり、日本の強さの秘訣であった。二・二六事件の青年将校たちが決起したのも、神風特攻が実現したのも、このためだ。

? 戦後この思想は完全に否定され、ナショナリズムの思想的混迷は今も続く。

混迷の原因は、1 前主権者である天皇が一切責任を取らなかった。天皇が自らの責任を明確にしないまま、うやむやのうちに主権者の座から消え去った。一方、国民主権は絵空事だという暗黙の了解があるため、今も主権者(責任者)が誰かあいまいなまま、責任不在の状態が続いている。2 占領下でアメリカに強要された日本国憲法を、なんら議論も検討もしないまま受け入れたように、統治機構や主権について主体的に考えない癖がついた。主体性を失ったままの占領下の意識が今なお続いている。3 アメリカが占領下で押し付けた憲法9条と自衛隊の表面的矛盾がイデオロギー対立を引き起こした。この話題はタブーとなり、冷戦が終わった今もなお思考停止の状態が日本の言論界を支配し続けていることにある。

? 憲法条文と表面上は矛盾する自衛隊イラク派遣は、アメリカの強い要請で実現した。おかげで、矛盾の原因はアメリカにあったことが明らかになった。我々は憲法と現実の矛盾に悩む必要はない。悩むべきはもっと別の次元にある。

107) 5月、神奈川近代文学館の「生誕80年・没後35年記念展 三島由紀夫ドラマティック・ヒストリー」展にいく。七月、田中千世子監督の映画「みやび 三島由紀夫」を観る。三島の死は、日本的精神の滅びの象徴だったか。

10月、今年7月にオープンした札幌のモエレ沼公園を散策する。イサム・ノグチの最後の作品。190Haの公園内を歩きながら、園内の景色を見ているだけで心が和む。聖地である。

 11月、三鷹天命反転住宅の竣工を祝った荒川修作の四夜連続トークを聴く。また、現地内覧会にも参加。荒川は「位相的に生きる」場というが、外の気配をひしひしと感じられる空間である。千代女の「朝顔に釣瓶とられてもらい水」のような驚きが、日常茶飯事となる生活空間。

 12月、27年ぶりに行われた作家丸山健二のトークに参加。自立せよ。誤魔化すな。ひたすら面白く生きてみよという過激なメッセージ。

108)今年行った報告。

3月、「日本の衛星ビジネス」、戦前の桜花、秋水、戦後のペンシルロケットが、究極の「目的なき宇宙開発」といえる平成の「まいど1号」に至る悲喜劇について、三水会(異業種勉強会)にて。

5月、「軍事宇宙開発の運用要求」、日本航空宇宙工業会(SJAC)のF4研究会にて。

 7月、「地球規模海洋汚染の意味とメカニズム ― その時間的空間的実態」、東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学の「マネジメント事例研究―日本海学の構築をめざして―」で、海洋汚染の絶望的な実態について報告。

コメント(5)

ごめんね

読まない自由もあるからと思って、、、

今後気をつけます
ふふふ、
新幹線☆ひかりさん、

僕が答えないときに
君はあせったり怒ったりするの?

自分で答えをみつけなさい

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