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ビタミン☆らじおFCコミュの優しい王様 第一話

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優しい王様  第1話  王様と歌姫たち


とある雪山の奥深くに王様がいました。

もっとも、王様と言っても彼は人間ではありません。
それは黒い毛に覆われた筋骨隆々たる体格に左右に大きく伸びる角、そう王様とは金獅子(きんじし)とも呼ばれる牙獣種(がじゅうしゅ)の王、ラージャンだったのです。

過激なほどの闘争本能と破壊力ゆえに他の生き物たちから恐れられる存在。

しかし、彼は他の一族たちとは違い、争いごとが大嫌いでした。

心優しい彼はいつも悩みます。
「なぜ、他のみんなはあんなに血の気が多いのだろう?」と。

彼の種族は怒ると体の毛が金色に輝きますが、彼だけは今まで本気で怒った事が無いので金色になったことは一度もありません。


そんなある日、いつものように食事をしているとふもとの方から何やら聞こえてきます。
「あぁ・・・なんて耳に心地よい、優しい音なんだろう・・・。」

ギアノスやブランゴ達の無粋な声に辟易していた王様にとってそれは大きな心の癒しとなりました。

「もっと、しっかりと聞いてみたい・・・。」

その音にすっかり魅了されてしまった王様はその音のする方向へ近づいてみることにしました。

そしてがけの上まで来たとき、その音の正体が2匹の人間のメスの歌声だと言うことがわかりました。

王様はこれ以上は深入りせずに、がけの上からその歌声を愉しむことに決めました。


しかし・・・!!

「キャーーーーーーーーーッ!!」

王様が突然の悲鳴に「ハッ!!」となり、ふもとの方を見ると3匹のギアノスが今にも襲い掛からんとしていました。

1匹のメラルーが必死に守ろうとしていたが、あれでは何の助けにもならなさそうです。

「・・・まったく無粋な奴らめ!!」

そして王様はがけの上からふもとに向けて一気にジャンプしました。






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ギアノス「ギャノス!ギャノス!!」

突如現れた3匹のギアノスに2人と一匹はがけの方に追い詰められていた。

セバスチャン「こ、こっち来るニャー!!」

ミカ「何でこんなところにギアノスがいるのよ?こんな話聞いてないわよ!!」

メグ「そんな事言っても出てきちゃったんだから仕方ないでしょ!!」

メグ「ミカ〜!!」

ミカ「メグ〜!!」

二人抱き合って

ミカ、メグ「誰か助けて〜!!」

二人が叫んだ次の瞬間、雄たけびとともに何か大きな黒いものが空から降ってきてギアノスを瞬く間に全て近くの湖に投げ込んでしまった。

一瞬で起きたあまりの出来事に二人と一匹はただただ呆然とすることしか出来なかった。

そして黒いものがこちらを向いたときに、ようやくその正体がラージャンだということがわかった。

王様「グルルルルルル・・・・・」

ミカ「キュ〜(パタッ!!)」

ミカはあまりの怖さに気絶してしまった。

メグは怖さに気絶も悲鳴を上げることさえも出来ない。

セバスチャン「ギニャーーー!!ラ、ラララララララージャン!?」

王様「ガルルルルルル・・・・」

オトモ「(ガクガクブルブル)ニャ〜・・・・ニャ?」

そしてモンスターの言葉など人間にはまったく判らないが何やら会話を始めた。

メグ「セバスチャン、どうしたの?」

セバスチャン「なまりがきつくて判りづらいんだけど、「無事だったか?」と聞いてるニャ!!」

メグ「・・・えっ?」

セバスチャン「どうやら助けてくれたのニャ!!」

メグ「でも何で?」

セバスチャン「メグとミカの歌声が凄く良かったからだって言ってるニャ!!」

メグ「わ・・・私たちの歌が・・・?あ、ありがとう。」

メグは王様に頭を下げた。

それにつられて王様も頭を下げる。

メグ「あ!そうだ!ミカ!ミカ!起きて!!」

ミカ「・・・う〜ん、モンスター怖いよ〜・・・あ、・・・メグ?・・・あれは夢?・・・ってヒイッ!!」

王様を見てまたしても気を失いそうになるが、今度は何とか持ちこたえた。

メグ「彼が助けてくれたんだよ!!私たちの歌が好きなんだって!!」

ミカ「わ、私たちの歌が?」

メグ「そうだよ〜!!よかったよね?」

ミカ「・・・そうね?人間でなくても私たちの歌を好きだと言ってもらえるのはいいことだよね?」

王様は近くにあった花を摘むと二人にそっと手渡した。

メグ、ミカ「あ、ありがとう。」

ようやく打ち解けてきたところに先ほど湖に投げ込まれたギアノス達がトボトボと岸に上がってきた。

王様と何やら会話をしているようだが、ひどく落ち込んでるのが傍から見ても良くわかった。

そしてメグとミカの前に立ち、

ギアノス「ギャ・・・ギャノ〜ス(しょぼ〜ん)」

と頭を下げた。

セバスチャン「ごめんなさいって言ってるニャ!!」

ミカ「・・・さっきは怖かったけど許してあげる。ねえ、メグ」

メグ「うん、今度来るときは何か美味しいものを持ってきてあげるね?」

ギアノス「ギャノス!ギャノス!!(小躍りして喜んでいる)」

セバスチャン「げんきんな奴らなのニャ〜!」

ミカ「さて、日も暮れてきたし、そろそろ帰らないと・・・」

王様「グルルル・・・」

セバスチャン「だったら帰りはギアノス達に送らせるって言ってるニャ!!」

ギアノス「ギャノス!!ギャノス!!」

セバスチャン「俺たちに乗っていけばあっという間だって言ってるニャ!!」

ミカ「だったら、お言葉に甘えちゃいますか〜?」

メグ「うん!じゃあみんなよろしくね?」

ギアノス「ギャノス!ギャノス!!」

二人と一匹はそれぞれギアノスの背に乗り王様に手を振った。

ミカ「今日はありがとう〜!!」

メグ「また遊びに来るね〜!!」

かくして彼女たちは村に帰っていった。

ふと気がつくと、王様は自分でも知らないうちに彼女らに手を振っていたことに驚いた。




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それから程なくしてギアノス達が戻ってきて彼女たちを住んでいる村の近くまで送ってきた事を聞きました。

ギアノス達は「美味しいものがもらえる〜!!」と過剰な期待をしてますが、王様は彼女たちがまた雪山に来て歌ってくれることだけで十分でした。

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