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怖い話で眠れなくする!!コミュの夢鬼4

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「〇〇!」

俺達は寺を出る。寺の前で待っていたのは、俺達の両親と先生達だった。

母は俺を見て、名前を叫び、抱きついた。
そして俺を思い切り叩く・・・母の目には涙が滲んでいた・・・


母「本当にあなたって子は!・・・自分が何をしたか分かっているの!
あれ程夢鬼とは怖いものと教えてきたのに・・・」

俺「ごめんなさい・・・ごめんなさいお母さん・・・でも俺・・・俺・・・
こんな事になるなんて思ってもいなかったんだ・・・」


そう、母に言い、俺は泣き喚いた・・・本当に知らなかったんだ・・・

そして本当に怖かったんだ・・・
久しぶりに母の顔を見たような気がした・・・

母の後ろには父が立っていた。父は俺から目を反らし、上を見ていた・・・
多分、俺に涙を見せたくなかったのだろう・・・

スーツ姿の父。仕事など後回しで来てくれたのだろう・・・

俺はこの時だけは、夢鬼の事について忘れていたかもしれない。
母と父を見たら、ものすごく安心したのをよく覚えている。

でもそんな事などすぐに消えた・・・

Eが居ない・・・

俺は周りを見渡す。居るのはE以外の親達。そして俺達と先生達、住職、男だけだった。

Eの親、Eはどこにも居なかった・・・

他の皆も、親達に抱きつかれ、泣いていた。
多分皆も俺と同じ気持ちだったのかもしれない。


俺「Eは?・・・Eはどこに行ったの?」

母「Eちゃんは・・・Eちゃんのお母さんが家に連れて帰ったよ・・・
とても・・・見てられなかった・・・Eちゃんは・・・もう起きることが出来ないの・・・

もうEちゃんは、お母さんの顔も・・・見ることが出来ないのよ・・・
そう思うとお母さん・・・とても悲しくて・・・」


母はそう言い、俺を強く抱きしめた。
その後、すぐに父も俺を抱きしめた。

しばらく何も言わず、3人で抱き合っていた・・・
そして俺は、何もかも忘れ、泣き喚いた・・・

だがその時、住職が口を開く。


住職「親御さん、気持ちは分かるが、もうその辺にしてもらえるかの。
この子達をわしは、連れて行かなければならん場所がある。

その後、こいつとわしで無事に家に帰す。だからそれまで、家で待っていてくれんかの・・・」


そう住職は言い、俺達の前に夢鬼をやった男を指差しながら話した。


父「住職、その人は誰ですか?私達がこの子達を待っている時、急いで寺に入っていきましたが・・・」

住職「こやつは・・・この子達の前に夢鬼を行った者じゃよ・・・
あの事件の当事者じゃ・・・」


!!!!!!!


それを聞いた瞬間、父の顔が険しくなり、その男に掴みかかった・・・


父「お前が・・・お前があの時の奴か!なんて事をしてくれたんだ!
お前が居なければ・・・この子達・・・Eちゃんはこんな事にはならなかったんだ・・・
お前のせいでこの子達は・・・」

先生「やめてください!たしかにこの人が悪いです。でも・・・お子さん達も悪いんです・・・
そして・・・この子達をちゃんと見てなかった私も・・・悪いんです!」


そう先生は父に言い、父をその男から離した。父は一言、「そんな事は分かっています。私も・・・悪いんだ・・・」
とポツリと言い、その場に崩れ落ちた・・・

あんな取り乱した父を見るのは初めてだった・・・


住職「親御さん・・・気持ちは凄く分かる・・・だが、こいつも今までずっと辛い思いをし、生きてきたんだ。
ずっと後悔して、反省して生きてきたんじゃ・・・
それだけは分かってはくれんかの・・・」

父「でも・・・でも住職・・・私には・・・この男を許すことは出来ません・・・」

男「・・・分かっています・・・本当にすみませんでした・・・
お子さん達をこんな事に巻き込んだのは私達に責任があります・・・

許してくれなんて思っていません・・・私達は取り返しのつかない事をしたんです。
あなたのお子さんのせいでも、あなたのせいでもありません・・・

全て私達のせいです・・・本当に・・・すみませんでした・・・」


そう男は言うと、俺達の前で深々と土下座した・・・

俺もこいつを許すことなんて出来ない・・・でも俺達も悪いんだ・・・

こいつを責める資格なんて俺にはない・・・
ただ俺は・・・そいつを見ていることしか出来なかった・・・


父「あたりまえだ!こんな事で許されると思うな!
・・・住職、私達はこの子達の帰りを家で待っています。
無事にこの子達を家に帰す事を約束してください。

そしてお前、俺はお前を絶対に許さない!もう二度と俺達の前に顔をだすな!
分かったな!」

男「分かっています・・・本当にすみませんでした・・・」

住職「無事に帰すことを約束する。
だからこの子達が家に帰った時、暖かく迎えてくれんかの・・・」

父「分かりました・・・〇〇、お父さんと、お母さんは家で待っているから・・・」


そう父達は言い、家に帰って行った・・・他の親達も・・・そして先生達も・・・

親達が帰ると住職が俺達を集め、話し始めた。


住職「お前達をこれから病院に連れて行く。そこに居るのはお前達の前に、夢鬼を行った犠牲者じゃ。少し辛い思いをするかもしれん。
だがわしには確かめなければならん事がある。そしてお前達もそれを知る義務がある」


そう住職は俺達に言い、俺達を男(以降Gとする)の車へ連れて行き、俺達を車へ乗せ、病院へ向かった。

車には運転席にG、助手席に住職、俺達6人は後部座席に乗った。
Gの車はワゴン車だった為、俺達全員乗ることが出来た。

これから俺達の前の犠牲者に会いに行く。
そう思うだけで怖かった・・・
なぜ会いに行くのか・・・その時はまだ分からなかった・・・

車は寺を出て、病院に向かった・・・


G「君達、これから話すことは、俺達が夢鬼をやってしまった時の話だ。
この事は、君達には知っておいて欲しいんだ・・・」


そうGは言うと、運転しながら俺達に話し始めた。


G「俺達が夢鬼をやったのは中学校3年生の時。
その頃はまだ夢鬼の噂などがあった。
そして夢鬼の真相が書かれた書物が、あの寺にある事も、噂で耳にしたんだ。

俺達はまだ中学生だ。中学高生活の最後の思い出として、皆で夢鬼をやることになったんだ。

やろうとしたのは俺を含めて10人、まず始めに俺と、もう一人で寺に忍び込み、書物を読み、やり方などをメモしたよ。

誰かが寺に帰ってくるかもしれない、そう思い、夢鬼のやり方、そしてすでに鬼がいて、そいつに触られると鬼になるという事しか読めなかった。

それを皆に見せ、皆にもそれをメモさせた。
夢鬼について話したら、一人がこんな事を言い出したんだ。

「これ、鬼ごっこみたいだよね」って・・・
今まで夢鬼を行ったのは大勢ではなく、一人づつだ・・・
でも俺達は10人でやろうとしている。

最初の鬼につかまるとそいつが次の鬼になる・・・
だから鬼ごっこ。そう思ったんだ・・・

俺達はただの肝試し感覚だった。だから、夢鬼を行い、最初に鬼になった奴は罰ゲームをする。

そう決めた。これは怖い鬼ごっこなんだと言ってな。

そして俺達は、俺達の中学校を夢鬼を行う場所にしたんだ。

そして、写真を撮り、皆に配った。
夢鬼をやったのは寺に侵入してから3日後。

各自、その日の夜に、夢鬼を決行したよ。

そして、本当に夢鬼が出来たんだ。最初は皆興奮していたよ。

皆同じ夢を見れたんだ。
でも出来なかった奴もいた。
それは後から住職の話を聞いて分かった事だが、そいつは経験者と強い血の繋がりがあったんだ。だから出来なかったらしい。

居たのは俺を含め9人。そして夢鬼が始まった。

でも鬼が全然姿を現さなかったんだ。俺達は怖いと言うよりも、鬼を早く見たい。

そう思い、鬼を探したんだ。鬼ごっこのはずなのにな・・・

そしてしばらくし、鬼を見つけた・・・
君達も見たあの黒い奴だったよ・・・
でも鬼は俺達を追うどころか、逃げていったんだ。
いくら追いかけても、鬼は逃げてしまった・・・」

俺達「・・・・・・」


その時住職の顔をふと見ると、住職は遠くの景色をただ眺めていた・・・

でも目には涙を浮かべていた・・・

G「しばらくし、やっと鬼に追いついた。でも鬼は一向に俺達を捕まえようとはしなかったよ。

そして一人が無理やり鬼に自分を触れさせたんだ。
このままじゃ、面白くないと言って。

そいつは鬼に触れられたあと、すぐにあの黒い奴になった・・・

自分では黒い奴になった事は分かってはない様だったが・・・

そうしたら、最初の鬼が消えた・・・俺達は怖くなり、逃げたよ・・・

鬼に触れられたら、鬼になるという事は知っていたが、まさか黒い奴になってしまうなんて、思ってもみなかったからな・・・

そしてまた一人、また一人と、鬼になり、今、会いにいく奴が最後の鬼になった。

俺は4番目に鬼になった・・・目を覚ましたのは、夢鬼をやってから2日後だ・・・

2日も経っていたなんて思わなかった・・・ずっと辺りは暗かったから・・・
時間の感覚がなかったんだ。

そして目を覚ました俺達は、親達に連れられ、さっきの寺に連れて行かれた・・・

そこで君達と同じように、夢鬼の真相を住職から聞かされたよ・・・
その後、最初の鬼である、住職の奥さんの所に連れて行かされた・・・

住職の奥さんは30年近くも眠っていたんだ・・・
体は痩せこけ、見るに耐えなかった・・・

俺達はそこで、この人の今までの努力を、全て水の泡にしてしまったんだと理解したよ・・・

終わるはずだったこの悲劇を、また起こしてしまったんだと・・・

だから俺達は・・・俺達は・・・もう償っても・・・償っても・・・償いきれないんだ・・・」


そうGは言い終えると・・・泣いていた。

住職も・・・泣いていた・・・そして・・・住職が口を開く・・・

住職「妻は話すことは出来なかったが、この者達が病院に来た時、涙を流していたよ・・・

わしには、自分がこの子達を巻き込んでしまった・・・
また若い子達を犠牲にしてしまった・・・

本当に悔しくて・・・悲しい・・・

とわしに謝っているように見えた・・・
そんな妻を見ている事が、わしには・・・本当に辛かったのじゃ・・・」


住職の奥さんはこの夢鬼を終わらせる為、自ら最後の犠牲者になることを選んだ・・・

でも・・・それは出来なかった・・・

また・・・犠牲者を出してしまったんだ・・・
住職の奥さんは最後まで、終わらせようとしたのだろう・・・

たとえ、数人の若い命を、巻き込む事になったとしても・・・

だからずっと・・・逃げていたのだろう・・・
でも・・・鬼にしてしまった・・・
そして・・・犠牲者は一人になった・・・

住職の奥さんは逃げている間、どんな気持ちだったのだろう・・・

終わるはずだった、夢鬼を、若い者達がやってしまい、自分の元に現れた・・・

終わらせる為には数人の若い者も犠牲にしなければならない・・・
それしか方法がない・・・

さぞ、無念だっただろう・・・

そして結果、犠牲者は一人になった。

今思うと・・・犠牲者が一人だけになった事は、少なからず、よかったのかもしれない・・・

そして俺達が・・・Eを・・・また一人・・・犠牲者にしてしまった・・・

その事だけは・・・何も変わらない・・・

俺達はそれから病院に着くまで、無言だった。

そして、病院に着き、俺達の前の犠牲者の所へ向かった・・・

一つの、病室の前に立つ・・・

そこの病室に書かれていた名前・・・
それはDが図書館で手に入れた写真の裏に、書かれていた名前だった。

この扉の向こうに、俺達の最初の鬼がいる・・・

そこには2人の女性と、医者らしき人が居た。
一人の女性(以降Hとする)は、見るからに痩せこけていて・・・ベットで寝ていた。

窓から遠くの景色を見ている様だ・・

服装がその病院の患者が着る服を着ていた為、この人が俺達の前の犠牲者だと分かった。

いや・・・見るからに・・・この人だって分かったんだ・・・

そしてもう一人の女性(意向Iとする)は、歳からして、この人の母親なのだろうと思った。

それは当たっていた。そして、住職に向かって、Iが口を開いた。


I「住職さん!娘が目を覚ましたんですよ!だからあれ程、娘はいつか目を覚ますって言ったじゃないですか!

・・・そしてあんた(Gの事)ここにはもう来るなって言ったじゃない。
さっきも急に来て・・・
あんた達のせいでこの子はこんな風になってしまったのよ!」

住職、G「・・・・・」

医者「長年眠っていたせいで、今は話す事も、体を動かす事も出来ません・・・
急に目を覚まし、我々も驚いているのです・・・」

住職「そうじゃろうな・・・すまんが少しばかり、席を外してはくれんかの・・・
大事な話があるんじゃ・・・聞かれたくはないのじゃ・・・」

医者「分かりました。」


医者はそう言うと、病室から出て行った。


I「そういえば住職さん、この子供達は?」

住職「・・・この子達がまた、夢鬼をやったのじゃよ。
そのせいで、その子が目を覚ましたんじゃ・・・」

そう住職はIに言い、俺達をIとGの前に出した。

I「そうですか・・・」

そして、Iは俺達の前に立ち、俺達一人一人の頭を撫でる。

「君達が、この子を救ってくれたのね。本当にありがとう。」


!!!!!!


ありがとうだと・・・
ありがとうだと・・・

何故お礼が言える・・・俺達は夢鬼をし、Eを犠牲者にしてしまったんだ。
お礼なんか言われる立場じゃないんだ!

でもこの人はありがとうと言った。
この子を救ってくれてと・・・

そしてこの子はいつか目を覚ますと言っていた・・・

まるで、前から目を覚ますことを知っていたかのように・・・

まさか・・・


住職「奥さん、あなたに聞きたい事がある。これの事についてじゃ・・・」


そう住職は言い、Dが図書館で手に入れた、写真と紙をIの目の前に出した。


住職「奥さん、この写真はこの子(H)のじゃ。
奥さんは、娘が最後に残した物だからだと言い、この写真を持っていったな・・・

でもこの写真はこの子達が手に入れ、そして今ここにある。

そしてこの紙。ここには夢鬼について書かれている。
どういうことじゃ!言うんじゃ!奥さん!」


I「・・・・・・」


Iはしばらく黙った後、Hの所に行き、Hの頭を撫でながら話始めた・・・・


I「私は・・・この子をどうしても目覚めさせたかった。

まだ中学生だったのに・・・これから死ぬまで目を覚まさないなんて・・・
思いたくなかった・・・
でももう誰もこの子を救ってはくれない・・・

誰も夢鬼をしてはくれない。私にも出来ない・・・

なら・・・誰かに夢鬼をやってもらうしかない・・・
そう思い、私は、この写真と紙を図書館の本に挟んだ。

この子の日記に、夢鬼について書かれていたものが、この紙よ。

夢鬼について知っている、大人たちはやってはくれない、だから子供が読むような本に・・・

でも上手くはいかなかった・・・
あまり人気のある本では、図書館の職員に見つかってしまうかもしれない・・・

だから、あまり、人気のない本、誰も読みそうにない本に挟んだわ。

これが、子供が手にする前に見つかったら、もうこんな事は出来ないから・・・

何度も何度も図書館に行き、確認したわ・・・
でも写真と紙はまだ本の間に挟まったまま・・・

だから私は何度も別の本に挟み、誰か手に入れるのを待った。

そして、ついに本が無くなっていたの。

もし、上手くいけば、この子が目を覚ます。
そう思ってたわ。
そしてこの子が目を覚ました。

住職さん、私は悪い事をしたのかもしれない。
でもこの子達がやったのが悪いのよ。

私は本に写真と、紙を挟んだだけだもの。
夢鬼をやってとは頼んでないわ。

この子達が自ら夢鬼をやったのよ・・・

おかげで、この子が目を覚ましたわ。

あなた達、本当にありがとうね・・・」


住職「あんた・・・自分が何をしたか分かっているのか!
あんたのせいで、こんな小さい子達が巻き込まれたのじゃぞ!」


I「そんなの関係ない!私はこの子を救いたかっただけ・・

それに、元はと言えば、あなたの奥さんのせいじゃない!

あなたがすぐに殺さなかったからじゃない!
そしてあんた(G)達のせいよ。
この子は何も悪くない。

だから、犠牲になるのは間違っている!
だから私がした事は当然のことよ!」


住職はしばらく黙り、悲しそうな顔をして、Iに口を開いた。


住職「・・・・・そうじゃのう・・・誰も・・・悪くないかもしれんの・・・

わしが・・・全て悪いのかもしれんの・・・
奥さん・・・もうここには二度と来んよ。」


I「はい、もう来ないで下さい!」


そう言い残し、俺達は病室を後にした・・・

この時の俺達は何が何だかわからず、ただ黙って住職に言われるがままに、病室を出るしかなかった・・・

俺達がした事は間違いなく、悪い事だ。
そのせいで、Eという大切な友達が犠牲になった。
それは間違いない事。

でも・・・でもありがとうと言われた・・・

こんなに悪い事をしたのに・・・感謝する人間がいる・・・

それが凄く・・・怖かったんだ・・・

Iにとって俺達がした行動は、いい事なのかもしれない・・・

でも・・・でも俺にはいい事をしたなんては絶対に思えない・・・

ただ俺達は・・・一人の犠牲者を救い、そしてまた犠牲者を出したんだ・・・

ただ・・・それだけの事なのかもしれない・・・

そして俺達はGの車で、家に帰された・・・
Gは送る途中に

「Hのお母さん(I)は去年、旦那さんを亡くしたんだ・・・
原因は分からないが、多分、自殺だと思う・・・

自分の子供が目を覚まさない・・・親にとってそれは本当に辛い事なのだろう・・・

それからだ・・・あの人は住職に「この子は目を覚ます」と言っていたのは・・・

俺達は、面会を断られていたから、住職に、Hの状況を聞くしかなかったんだ。

まさかIがこんな事をしているなんて思わなかった・・・
ただ、精神を、おかしくしてしまったものだと思っていた・・・

旦那さんも亡くなり、寝ている娘しか、居なくなった訳だから・・・

Hがこんな事になるまでは、本当にいい人だったんだ・・・

自分が一人になり、耐えられなくて、今回の事を起こしたのだろう・・・
そうさせたのは、俺達だ・・・君達は何も悪くない・・・

君達はこれからとても辛い思いをするだろう・・・
俺もそうだった・・・

でもどんなに辛くても絶対に逃げてはダメだ。
住職の様に、最後まで、背負い、生きるんだ・・・

俺達の中には、その辛さに耐えられず、自殺した奴も居たんだ・・・

だから辛くても、絶対に死ぬな!生きることが、唯一出来る、償いなんだ。

これは、住職が俺達に、かけてくれた言葉だ・・・

そして・・・本当にすまなかった・・・」

そう言っていた・・・
住職は最後まで、口を開くことはなかった・・・

Iの行動を予想できなかった自分を、悔やんでいるのかもしれない・・・

そして、また犠牲者を出してしまった事に・・・

自分の奥さんのせいにされた事に、傷付いていたのかもしれない・・・

そして、この時はまだ、この言葉の本当の意味など、分からなかった・・・


そして俺達は家に帰宅した。
俺の家では、玄関で、父と母が俺の事を待っていた・・・
そしてまた、抱きしめる・・・

家の中に入り、俺は先ほどの事を、全部話す・・・
すると母からは、意外な一言が返ってきた・・・


母「こんなことを言うのは、間違っていると思う・・・
でも・・・お母さんはね、あなたが犠牲にならなくて本当に良かったと思っているの・・・

Eちゃんには申し訳ないけど、〇〇の方が、大事なのよ・・・
そして、Eちゃんの前の犠牲者のお母さんの気持ち・・・
凄く分かる・・・

お母さんも・・・もしその人の立場だったら・・・
同じ事をしていたかもしれないわ・・・

〇〇、親と言うものはね・・・自分の事よりも、子供の事の方が大事なの・・・
〇〇も親になれば、その時分かるわ・・・」


そう俺に母は言い、泣いてまた、俺を抱きしめた・・・


そうなのだろうか・・・子供の為だったらどんな事をしてもいいのだろうか・・・

じゃあ、Eのお母さんも・・・この様な事をしてしまうのか・・・

結局終わらないじゃないか・・・
俺はその時は、そう思っていた・・・

それからは俺達にとって辛い日々が待っていた・・・

Eの事が頭から離れない・・・
毎晩あの夢を見てしまう・・・
Eが最後、俺に怯えて、震えているあの顔が頭から離れない・・・

その度に、後悔し、涙が出てくる・・・
もう取り返しの出来ない事をしてしまったと・・・毎日後悔する・・・

俺はこの事を、ずっと耐えながら、生きていくしかないのか・・・

そう思うと、とても怖かった・・・そして・・・辛かった・・・

学校も休みがちになり、先生はよく、家に様子を見に来てくれた。

「〇〇君、辛いのはよく分かる・・・でもね、一番辛いのはEちゃんなの・・・
だから〇〇君は、前を向かなくちゃダメなのよ・・・
Eちゃんの分も、生きなきゃダメなの・・・」

そう言い、俺を慰めてくれた・・・この時だけは、少し、心が癒された気がする・・・

俺は、辛くて、辛くて、何度もこの現実から逃げようとした。
でもその時、Gのあの言葉が頭を過ぎる・・・

生きることが唯一出来る償い・・・

そうだ、Eの方が俺達の何倍も辛いんだ・・・俺達なんてまだ良い方じゃないか・・・

Eはあの暗闇の中、ずっと一人なんだ・・・それに比べ、俺達は・・・
そう思い、俺は辛くても、生き続けた・・・

Eへの面会は、Eの誕生日だけ許されていた・・・
自分の子供をこんな事に巻き込んだ奴の顔など、出来れば見たくはないだろう・・・

でもEの母親は、誕生日だけは、会う事を、許してくれた・・・
誕生日くらい、大勢で、祝ってあげたいと言って・・・

Eは将来、教師になりたかったらしい・・・
自分も先生(俺達の担任)みたいな、優しい先生になるんだと・・・

でも・・・その夢も、俺達が壊してしまった・・・

この事は、一生、変わらないんだ・・・

Eは幼くして、父親を亡くしている。

それからずっと、母親と二人暮らしだった・・・
その母親を、一人ぼっちにさせてしまったのも俺達だ・・・
その事も、一生変わらない・・・

俺達はこの家族を不幸にしてしまった事も・・・



そして、俺は20歳を迎えた・・・

Eはまだ、目覚めていない・・・

そしてEが、もう少しで、20歳の誕生日を迎えようとしていた時だ・・・

事件が起こった・・・

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