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【絵師と】名無し書店【執筆の】コミュの【銀はな】大罪奇【合作】

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時は現代。
何処にでもいる普通の女子高生、桐生霙はある日流れ星の落下を目にする。
しかしその流れ星は戦いを告げる鐘だった。
落下地点に訪れた霙は自らの内なる力の覚醒を知る。
時計の針が深夜2時を指した時、世界は止まる。そして、霙は異世界への扉を開く。
【時黄泉の空間】と呼ばれる世界に魔王となるべく召喚された霙。霙は自らの運命を変えるために戦う。

敵として現れる内なる自分。具現化された大罪。そして、、、散って行く命。


これは、運命に抗う、可能性の物語。





----------------

銀×はなの合同作品です。

ルールとしては1レス交代で、5レス目にクッション入れてパス。

レス毎の文字数は200〜400。(プロローグのみ500前後)

一話の合計レス数は10〜20(プロローグに限り5レス前後)
栞は禁止です。



コメント(148)

大きさは20〜30メートルくらいかな?
なんだろ?ガンダムみたいな…?

「こいつに乗り込んで戦うんだがな。俺達は"ギア"とか"MS"って呼んでる」

「それなんてゼノギアス!?ガンダム!?」

「ゼノ…?ガン…?なんだそれ?」



あぁ、そうかこの世界はなんでもありだという事を忘れていた。
科学力からして私の世界とは次元が違う。


「乗ってみるか?」

勿論丁重にお断りした。






「で、なんのお祭りなんですか?」

私の問いを待っていたと言わんばかりに、アース王の目が輝いた。

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というわけで私は休日を満喫している。前夜祭である今日も含めて祭は5日ほど続くそうだ。

「霰、秋雨、霧、五月雨、霜…そして雨海。たまには楽しもう?いいよね?」

(お祭りお祭りぃ〜♪)

(休日も悪くねーな。嬢ちゃん頑張ってるしいいんじゃねーの?)

(それよりあの機械に乗らせろぉ!!)

(儂らはまだ日が浅いが戦い続きで疲れたじゃろう…のう霜?)

(そうね、あたいは賛成よぉ)

私の問い掛けに魔王達が賛同してくれる。
雨海はまだ眠ってるのか…
------------------------

夕暮れ時には屋台が立ち並び、老若男女問わず人が群れをなしている。
平和だなぁ…と思いながら、リンゴ飴を片手に街を練り歩く。
きっとアース王の求める平和の形がこの国"アストラル"なんだね。
で、そのアース王はと言うと……

「なんだい嫁さんかい?」

「それも悪くねーな…ハッハッハ」

否定しなさいよ!!てかフレンドリー過ぎるわよ!!
王族の威厳皆無だわ…
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


「地鳴り…!?」

広場の両端から、駆動音を鳴らしながら2体のギアが現れた。

「よっしゃあああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

「急に叫ばないでよもう!!」

アース王は某お兄さんのように咆哮しギアに乗り込んだ。…ってなんで私もつられて乗ってるのよ!?
操縦席は複座式でよくわからないモニターやスイッチ、レバーで埋め尽くされている。

「私は見てるだけだからね…わかんないし」

「勇者なら…勇者ならガッツで補えぇ!!」



ダメだこの人。完全に逝っちゃってる。




「ブロウクンッ…マグ◯ムッ!!」


「某勇者王の技はだめぇえええええ!!!!!!!!著作権がぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!」
「ストレ◯トドリルッ!!!!!」


私の叫びなどお構い無しにアース王は技名を叫びながら戦いを続ける。


もう嫌だこの人。
(霙ぇ!!ぶっ飛ばしてヤレぇ!!!!!!!!)

霧……このヤンキーめ。仕方ない。手伝うか…。



キィィィイイイン

魔力を込めると私達が乗っているギアが紺碧に輝き出す。

「よっしゃあああああ!!!!ヘル…アンド、ヘ○ン!!!!!!」

何を言っても無駄だから諦めよう。

「ゲル・ギム・ガン・ゴォ・○フォ……」

雷を発しながら両手が組み合わさると同時に、電磁波の渦が敵を捕らえ空中に張り付けにする。

「ウィィィイ○ァァァアアアアアア!!!!!!!」

アース王の叫びに合わせ期待が突進する。











勿論、私達の勝利だった。
「これが無限を越えた絶対勝利の力だぁ!!!!!!!!」



魔王を具現化する時より疲れを感じるのは気のせいよね…?
忘れかけていた日常を思い出せた気がする。非日常の中に日常を見た。戦いの日々に戻るのはちょっと辛いけど、また頑張れる。



「アース王…ありがとね」

抱いた感情は感謝の気持ちだった。アース王は照れ臭そうに笑う。





急に何か悪寒がした。
空から無数に近い羽がヒラヒラと舞い落ちる。天使?アース王と私は身構えながら振り向く。そこに立っていたのは……ルシュフだった。あの時、私を庇って死んだはずのルシュフが目の前に立っている。頬を涙が伝うのを感じた。

「ルシュフ!!」

無我夢中で駆け出そうとした途端にアース王に手を引っ張られた。アース王が厳しい顔付きをしながら口を開く。

「執事が主に殺気を放ってるってのはおかしいよな?霙、奴は味方ではないようだ…」

アース王の鋭い視線はルシュフから離れない。落ち着いて感覚を研ぎ澄ませる。悪寒の正体は殺気。殺気の出所は……ルシュフ。なんで?


「ルシュフ?」


返答は無い。ルシュフは右手を突き出し空間を湾曲させ、次元の穴から何かを取り出した。



ノーモーションで盾が飛んで来た。直撃するすんぜんにアース王に引っ張られ、なんとか避けることができた。

「何をしてんだお前は!!」

アース王が背後から私の両肩を掴み叫ぶ。

「いいか霙!今、目の前にいるあいつは俺の知っているルシュフでも、お前の知っているルシュフでもない。お前が戦わないなら…戦えないなら俺が戦う。いいな!?」





戦わなくちゃいけないなら……



「あなたは王様なんだから下がってて!!私が戦う。」

アース王が小さく返事をして一歩下がった気配がした。誰にも手出しはさせない。他の魔王達にも。



「カオス、グングニル、崩天、レーヴァテイン、トランス、、、」

周囲に弧を描くように武器が舞い、腕は竜のように固い鱗に覆われる。が、それらは形を留めず、ゆらゆらと霞がかかったように揺らめく。私だけでは不完全な力なのはわかってる。でも私が…戦う。

「いくよ、ルシュフ」


私はルシュフに決別の意思を伝えるべく、まずはカオスを手に取った。
クッション、クッション、クッション、クッション、クッション、、、

そんな…私はあなたの力になりたかった。あなたの言葉があったから、後押しがあったから戦えた…あなた達の力に、支えになりたかった……今からじゃ遅いのかな?


(嬢ちゃん!!身体を貸せ!!)
秋雨の言葉にハッとなり、魔王の力に身を委ねる。しかし、浮かんだのは秋雨ではなく新たなヴィジョン。輝く金色の髪は七三に分かれ、聡明そうな顔立ちの青年が優しく微笑んでいる。あなたは…雪?


身体から追い出されると"私"はルシュフェルを押し退け後方に跳ぶ。髪は金色に染め上げられ、その手には鞘に納められた日本刀が。

「主に刃を向けるとは何事です?ルシュフェル…いや、我が友ルシュフよ!!」

やっぱり雪だった。そのまま雪は抜刀の姿勢に入り、時間が止まったかのように二人は動かない。先に沈黙を破ったのはルシュフェルだった。

「…雪か。久しぶりですね。抗おうなんて無駄な事はしないで頂きたい。あの方の前では全てが無に等しい。霙様でさえも──」

ヒュンッ

言い終えない内に雪が動いた。左手に持った日本刀を逆手に握り、低い姿勢のまま駆ける雪。昔、おじいちゃんが語ってた記憶がある。あれは抜刀術。つまり居合い。居合いだけでなく全ての格闘の極意は脱力にあるらしい。脱力と力みの振り幅が大きければ大きい程威力が増す。さっきまでの雪は脱力。そして今は…

スパァンッ

濡れたタオルを叩き付けたような音がした。雪は最初のルシュフェルから離れた位置にいる。ルシュフェルの縦には斜めに付けられた一筋の軌跡が……見えなかったけど、雪が切り付けたみたいね。
反撃を受け、衝撃に吹き飛ばされつつも雪は体勢を整え着地し、再び抜刀の姿勢に入る。と、ふいに視界が揺らいだ。そうか、私の身体である以上、ダメージは私に返ってくるのか。でも、私の力ではルシュフェルに一太刀入れる事すら叶わない以上、雪に任せるしかない。

(雪…お願い!ルシュフェルの、いや、ルシュフの目を覚まさせて!!)



雪は哀しそうに微笑むと細い目を開いた。開かれた雪の金色の瞳は、見るもの全てを射抜くように冷たく重く輝く。

「多少ですが無茶をすることになるけど…いいですか?」

雪の問いに迷わず答える。
(腕の一本くらいあげる!!)

私の答えに雪は満足そうに微笑み、口を開く。

「それだけ強い精神力があればいけそうだね……了解です。"魂吸(こすい)"、二段解放。」

魂吸と呼ばれた日本刀の鞘は消え去り刀身はさらに長く伸びて、私の身の丈ほどの太刀となった。金色に輝く刀身には魔ではなく、聖なる力を感じる。

「奥義……天ノ剣(あまのつるぎ)…」


呟きと共に雪の姿が霞みがかり、瞬時に消え去る。ルシュフェルが背後に盾を向けると同時に激しい金属音と共に、光が軌跡を生む。神速を超える光速の抜刀術。

「木阿弥(もくあみ)、土蜘蛛(つちぐも)、水瓶(みずがめ)、不知火(しらぬい)、大金山(だいぎんざん)……五行(ごぎょう)を成して天となる…天ノ剣!!」


音と衝撃がが遅れてやって来る。散弾銃のようにルシュフェルの盾が刻まれ最後に…砕けた。
第7罪


【終着点と出発点】




ルシュフとの戦いから4日後。私とアース王と2人の近衛兵はアストラルから数百キロ南下した所にある小さな町【サウスロッジ】にある宿屋にいた。どうやってここへ来たかは覚えていない。アース王の話によるとエスト城は崩壊し、アストラル国も天使の支配下に置かれてしまったらしい。逃げ延びた人々はアストラルから離れた街に移住したそうだ。色々とこれからの事を考えてみるけど、思考が定まらない。海を眺めながら窓辺に座っているとアース王と近衛兵が大きな紙袋を抱えながら部屋に戻って来た。

「おかえりなさいアース王と兵士さん」

私がそう言うとアース王は自嘲気味に笑う。

「ははっ、アース王はやめろよな?もう国は無いんだからよ。さっ、飯にしようか、下に行こう。」

うん、と言って立ち上がる。レストランでもある階下に向かう私達。







近衛兵の二人が場を盛り上げようとしてくれる。筋肉質でスキンヘッドのラウドは50代の半ばくらいかな?知識が豊富で、食べられる野草の見分け方とかサバイバルに長けているみたい。アストラルの武術師範でもあったレイルはなんと女性だった。細腕で胡桃を叩き割って私を驚かせた。近衛兵でもある─あった─二人は片時もそれぞれの武器である槍と斧を離さない。



そんな二人と話していても、私の気分は晴れなかった。恐らくアース王……アースも。
時黄泉に来て約3カ月、私は成長したのかな?そう言うとアースは笑いながらこう言ってくれた。

「人間ってのは挫折して壁を乗り越えて成長するんだ。お前はいくつもの挫折と試練を乗り越えて来たじゃないか。心も身体も成長してるさ」


アースが言っている言葉の真意は「だから今回も乗り越えて見せろ」という事なんだと思う。でも…私の心にはポッカリと大きな穴が開いたようだった。



魔王達に身体を貸していたといえ、奪って来た沢山の命。霧の時は罪の無い一般人をも巻き込んでしまった。それに私を庇って目の前で命を落としたルシュフ。再び現れたルシュフは…もう私たちの知ってるルシュフじゃなかった。頭ではわかっていても、ルシュフに刃を向けるのは気が引けた。戸惑いが私を弱くする。私は…強くなんかない。


戦いの中で得たモノと失ったモノはどっちが多いんだろう。指折り数えてみても答えは出ない。私は……進むべき道を見失っていた。


------------------------
「ねぇアース、散歩に行かない?」

なんとなく気分転換がしたくてアースを散歩に誘う。部屋に閉じ籠っていたって鬱々とするだけだしね。
一足先に浜辺に来ていたアースは私を見るなり服を脱ぎ出した。

「なっ、、なんで脱ぐのよ!?」

私の問いにアースは笑顔で答える。

「組手やろうぜ?身体が鈍っちまってよ」

一汗かきたいと言うことね。ホッとしつつも構えを取る。アースはユラリと立ち重心が見えない、不思議な立ち方をしている。つまり、ただ立っているだけで構えが無い。

「ほう、、、素人にしては良い構えだな」

秋雨や霰に体術を──密かに──習っていたし、五月雨が覚醒した時に色々な知識を覚えたからかな?私の突きをアースは軽く捌き、掌を繰り出す。が私は寸での所で後ろに飛ぶ。……大人気ないが、アースは本気だ。ならこっちだって、、、

その後、組み手は1時間にも及んだ。

------------------------

砂浜に二人して寝転がる。もうクタクタだ。

「俺の親父は立派な王だった。俺なんかじゃ及ばない。」

アースの語りに耳を傾ける。

「大戦が始まる前にも魔王の器は何人かいてな、親父の代で3人の魔王が魔を納めてきたそうだ。俺が王に即位したのは大戦の真っ只中だった。」

夕日の眩しさに目を細めながらアースは言葉を紡ぎ出す。

「大戦中に親父は言った。『お前は国を治める者にならなくては行けない。だが、お前にも魔王の素質はある。だからと言って、常に戦いの中に身を置くことは王がする事ではない。この戦いは恐らくは敗戦にだろう。再び現れるであらう魔王の助けになるためにも、お前は国を守るのだ。あとは頼んだ』………それが親父の遺言だった。俺は国を守れなかったよ、親父…」

アースが立ち上がり、海に小さな石を投げる。チャポンと少しだけ哀しそうな音がして、アースも哀しそうな顔をしたけど、すぐに笑ってこう言った。

「俺が戦わなかったのは王だからだ。だが、今は一人の戦士として、お前と共に戦おう。霙、幾つか指輪を渡してみろ」

私は右手にはめていた、紅と蒼と金色──霰と秋雨と雪──の指輪を引き抜きアースに渡した。
「ったく、誰がツンデレだ誰が…っと、よう嬢ちゃん。なんか、こうやって話すのは違和感あるな。ま、いいけどよ」

そう言ってアースは─いや、秋雨は笑った。魔王の素質とはこう言うことか…。目の前にいるのは紛れもなく秋雨だった。

「あれ?なんで髪型は微妙にしか変わらないの?」

秋雨の頭から伸びたアホ毛を指差して言うと、秋雨の髪は再び黒く染め上げられ、するりとポニーテールに戻った。

「魔王の器には同調率ってのがあってな、過去の器は姿形まで代わる奴もいたそうだ。俺よりはお前の方が同調率が高いわけだ。」


いっぺんに色々な事を説明されて私の頭はパンクしそうだ。

(そこの坊主よりお嬢ちゃんの方が精神力が強いと言う訳じゃな)

五月雨の言葉にアースが言い返す。

「あのな、じいさん。精神力と同調率は別だろ」

(それは感受性の問題じゃなぁい?魔力はこの子が上よ。魔力=精神力よ?忘れたのかしら?)

霜の言葉にアースは悔しそうに呻く。そういえばアースは指輪をはめていなくても対話してる。感受性かぁ…
気付けばアースと魔王達の会話を聞いていて、笑えてる自分がいた。霰と秋雨はこの上なく喜んでくれた。秋雨は照れ隠しのようにツンツンしてたけど。


------------------------

宿屋に戻って来た私達は今後の策を練るために部屋に集まっていた。昼間のやりとりで私の心は少し落ち着いていた。
アースは地図を拡げ、ラウドとレイルは地域を指差し何やら考えているようだ。
そこの坊主よりお嬢ちゃんの方がクッションがry
「そこでバランスを考えて指輪を分けようと思うんだが………」

アースには珍しい歯切れの悪い言い回し。──あぁ、気を使ってるんだね。"指輪を分ける"っていう行為は私が今までに得た力を手放すのと同じ。でも…その力を肝心な時に使えなきゃ意味がない。────私は右手に嵌めた指輪を迷わずアースに渡した。

「霙…」

「アースが考えてるようなことじゃないからね」

アースが何か言おうとしたのを言葉で遮る。

「例え魔王の力を持っていたって、戦えないなら意味がない。私は今まで自分に甘かったんだと思うんだ。だからこれは決意の証と思って?ね?」

アースの手に握られた紅と蒼と金色の──そう、霰と秋雨と雪を司る──指輪。それは私の明確な意思標示。霰の力は単純な肉体強化……でもそれじゃあ私は鍛えることを放棄してしまう。秋雨の優しさはありがたい……でも弱い私は迷ってしまう。雪は…ルシュフの親友。雪の指輪を渡すということは、、、、

「お前の意思は受け取った。いいんだな?」

私は静かに頷き答える

「私はきっとルシュフに刃を向けれない。今、私に足りないのは霧の非情さや怒り、五月雨の知識、霜の狡猾さだと思うんだ。だから…私は自分を鍛えようと思う。」



その後───目的地を決めるために話し合ったが、各地に潜伏したアースの仲間達の報告待ちとなった。
指輪は私の手に一時的に戻され、───────あと何日あるか解らない平穏の中に私はいた。
ドアを開けるとそこには光の人がいた。全身が淡く輝いていて体格から男の人だと言うことがなんとか分かった。――不意に光は私に背を向け歩き出した。時々振り返り私を眺める(眺めているような気がした)。 ―――ついて来いってことなのか?



それにしても随分人間らしい光だ。――人間が何かの理由があって光ってるのかな?――私と一定以上距離が空くと、立ち止まって待ってくれたり、歩幅を合わせてくれる。


「何かの罠か?」とも考えてみたけど、何故か光から感じられる懐かしさに不思議と安らいでいて、不思議と敵意を感じることはなかった。



─────────────


ああ、海に来たかったのか…
随分と遠回りをしたものの、着いた所は夕方にアースと組手をした浜辺だった。裏手には私達の泊まっている宿屋が見える。


「私を誘った理由を教えてくれてもいいんじゃない?」

光の人に耳があるかなんて分からないし、言葉が返って来るとは思ってないけど聞いてみた。

「最初に言わせてくれ、、、、ありがとう。」

「えっ?」

その声は雨海のものだった。ただ、その声に迷いや苦悩の色は無く、しっかりとした決意が感じられた。

「僕…いや俺も戦える。」

瞬間、私の視界が光で埋め尽くされた。眩しくて優しい碧色の光だ。
最初に言わせてくれ、、、、クッション。
「俺はここにいる」

振り返るとそこに雨海がいた。月の光に照らし出された雨海の姿は儚くも無く、実体としてそこにあった。夢の世界で会った雨海だった。

「君が俺に道を教えてくれた。君は何度も挫けて、何度も立ち上がった。だから俺は…もう逃げない。約束したよな、一緒に戦うって。今がその時だね。」

照れ臭そうに雨海は笑う。
「遅すぎだよ…ばか」

「ごめん」

雨海がどんなに苦悩してたのかも、どれだけ強いのかもわからない。でもこれだけは言える。

「一緒に元の世界に戻らなきゃね!」

「あぁ、一緒にね!!」













これからどんな敵が私達を待っているのかなんてわからない。どんな未来が先にあるのかはわからない。けれど、私達は前に進むしかない。未来を創るのは私達。未来なんて見えないから、今出来る事を未来に繋ぐ。それが私達の道標。













大罪奇第一部【道標】完
ネクストプロローグ




霙、霧、五月雨、霜は復活した雨海と共に打倒ガブリエルを目指して旅に出る。今の力量ではガブリエルに及ばない霙を鍛えるために一同は試練の地へ向かう。



一方、アース、霰、秋雨、雪と近衛兵のラウド、レイルはと言うと【絶対中和】という厄介な能力をもつミカエルを倒すため、聖地ラッソアへ歩みを進める。ミカエルを倒すことでルシュフェルの洗脳が解けるのでは?という淡い期待とともに忌むべき地を目指す。



二つの物語は互いに交わることなく、螺旋階段のように進んで行く。


戦いの果てに待つのは希望か絶望か、、、



銀ェ…


第二部からは新スレで書くよ!よ!

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