ぶったぶたぶたの輪コミュの満月の夜に

あれから、何年経っただろうか、と最近考える。

そう、あれはまだ幼かった時の話だ。
僕の実家は古い家で、僕はまだ小学低学年だった。
夜10時には寝るように親に口うるさく言われていたせいで銀狼怪奇ファイルや、金田一少年の事件簿や、トゥナイトなんかを見るのにあれこれ口実を作って夜更かしをしていた。

それでもやはり眠くなってしまい、二階にある僕の寝室に眠い目をこすりながら上がって布団に入る。しかしなかなか眠れない。さっきまでは眠かったのに何故か寝ようとする時に限って眠れない。

そうして5分くらいかな、時間が経つ。
すると階段を誰かが上がってくる音が聞こえた。トン、トン、トン、ってな感じでね。

しかし階段を上がってからの足音が聞こえない。そうして考えているうちに僕は眠りについていた。

それから次の日もその次の日も僕が布団に入ったら階段をゆっくり上がる音が聞こえた。

おかしいなーと思い家族に訪ねたがみんな知らないという。二階には僕しか寝ていないから夜遅くに上がって来る事はまずない、なのに知らない足音が毎晩毎晩聞こえる。その足音が聞こえると僕はすんなり寝てしまう。

その謎の足音の正体を突き止めようとはしなかった。今でもそのつもりはない。理由は分からないけど怖いものではない気がしたからだろう。

あれはなんだったのか分からないが、もしかしたら子供の僕にしか聞こえない音だったのかもと最近では思っています。ちょうど今日みたいな満月の夜にはよく思い出します。