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今野敏作品について語ろう!コミュの警察小説競作 鼓動 「刑事調査官」

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警察小説競作 鼓動「刑事調査官」所収(新潮文庫)2006.2.1


解題:西上心太
 安積警部補と部下たちの捜査の過程を克明に描いた正統的な警察小説である《ベイエリア分署》シリーズや、警視庁科学特捜班に所属する特種能力を持った五人が活躍する《ST》シリーズを書いているのが今野敏だ。現在の国内ミステリー作家の中でも有数の警察小説の書き手といっていいだろう。
 その事件は単純な飛び降り自殺と思われた。マンションの屋上には揃えられた靴に加えて、遺書の入った封筒までが置かれていたからだ。しかし変死を疑った所轄署員の依頼で谷平史郎刑事調査官が、心理調査官(プロファイラー)の島崎優子を連れ、現場に足を運んできた。検死官とも呼ばれる谷は、刑事畑一筋三十年という大ベテランで、たたき上げで警視にまで昇進した伝説の男だった。谷は墜死した男の姿勢や、膝の裏についた擦過傷、さらに爪の間に残された人の皮膚などから自殺を偽装した殺人と判断する。
 ところが捜査は難航し、捜査員の間でも実は自殺ではなかったのかという囁きが漏れはじめ、谷を私淑する警視庁捜査一課の大島巡査部長も少なからず動揺する。そんなおり、不審火が続いている足立区で、放火による死亡事件が起きた。現場検証に赴く谷と島崎。谷の直感により、偽装自殺事件の捜査は大きく動き出す。
 小心者と自覚している大島という一捜査員の視点から、捜査本部ができるほどの大きな事件の顛末を描いている。短い枚数で捜査が主体となる作品をまとめ上げるには、並々ならぬテクニックが必要だが、作者は易々とその難事をクリアしていることに注目してほしい。意外性のあるプロットだけでなく、本庁と所轄の署員が入り交じる捜査本部の雰囲気なども過不足なく活写されている。なお週刊新潮誌上でシリーズ二作目の「老婆心」が掲載された。連作短編集として一冊にまとまる時が楽しみだ。

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新潮社の作品紹介サイト

http://www.shinchosha.co.jp/book/120845/

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