ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

自己満足小説コミュの「親友」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント(10)

美紀と加奈子は高校からの親友。
大学も同じで学部も文学部。
現在、32歳独身。

二人は、会社も同じ。
出版会社に勤めている。
「文談社」という会社だ。

本格的な小説からアダルトまで扱う会社で、
二人は、小説担当である。

時には喧嘩もするが、すぐに仲直りする。

二人は親友であり、ライバルでもあるのだ。

とある、有名な作家が文談社から長編ミステリー小説を発行することになった。
数々の受賞をし、ミステリー小説の重鎮である。

編集長は誰を担当にするか悩んだ挙句、
美紀と加奈子の二人を担当につけるという、
重鎮に対しての好待遇を選んだ。

なぜなら、二人は仕事も出来るがルックスもいい。
美紀はぽっちゃりだが、愛嬌があり気が利く。
加奈子は、はっきり物を言い、愛嬌はそこそこだが気は利く。
そして、一番は仕事ができる二人なのだ。

小説家自ら、担当者を指名してくることも多い。
二人は、人気がある。

今回の重鎮である人物は、「KEI」というペンネームで出しており、
公の場には一切顔を出さない。

二人も今回の打ち合わせで初めて会うことになる。

彼の小説は独特な切り口で書かれていて、
初めて読んだ人は、衝撃をうけるのだ。

担当が決まる前から、二人は彼の小説が好きで全部読破している。

加奈子が、
「KEIって、すごいいかつい感じしない?」美紀に聞いた。
「だよね〜。あんな凄い小説書くんだから、気難しそうよね。」

二人は、分担して「KEI」について調べた。
打ち合わせの際に、粗相しないようにだ。

打ち合わせ当日の日がきた。

応接室に入ってきた彼は、
二人と同年齢くらいの、とても顔の整ったイケメンだった。

「はじめまして、KEIです。よろしくお願いします。」
物腰柔らかな喋りに佇まい、とても、ミステリーを書くようには見えない。

二人は、自己紹介をした。

すると、
「君たち二人が僕の担当ですか?二人もつけていただけるなんて光栄です。
しかも、綺麗な女性二人なんて。」

照れる美紀をよそに、加奈子は本題に入った。

「今回はどういった、話をお考えですか?」

KEIはサラッと
「女同士の男の取り合い、修羅場。今までとは趣向を変えようと今決めた。」

二人はびっくりした顔で、同時に
「今決めたんですか!?」

「うん、違うの考えてたけどやめた。よろしくね。」
と爽やかな笑顔で答えた。
そして、
「今日はこの辺で、終わりにしてもいいかな?
話しの流れはメールで送るよ。」
そう言って、帰っていった。

「美紀、あの人相当な食わせ物だよ。」
「かもね〜。何で公の場に出ないのかな?」

後日、なかなかメールが来ないので、
様子をみに、美紀が行くことになった。
KEIの自宅に着いた美紀は驚いた。
和風な家だったのだ。

インターホンを押すと、何も言わないうちに
「美紀ちゃんだっけ?開いてるから入って。」
ふと上をみるとカメラがあった。

仰々しいほどの入り口が開くと、
美紀は更に驚いた。

丁寧に整えられた日本庭園。
敷地が広い。
玄関に行くまで、100mはあっただろう。

途中、小さな橋を渡ったとき、
池には鯉ではない魚が泳いでいた。

玄関のインターホンを押すと、
「奥の部屋にいるから、来て。」
KEIの声は低音だが、人に安心感を与える声だ。

家の中に入ると、すごい広さの和風な部屋が、
廊下を間に、両側にあった。
右の部屋の隣には10畳くらいの部屋があり、
チラッとみると、仏間だった。

言われた通り奥の部屋へ行くと、突き当たりに洋風なドアがあった。
ノックすると、
「どうぞ」
言われるまま部屋に入ると、ここだけ洋風だった。

白を基調に、高そうなインテリア。
大きな本棚にはたくさんの書籍。
「すごい・・・」
思わず出た言葉に、
「俺、洋風が好きなんだよね。両親の財産ってやつ。」
KEIが微笑んだ。

美紀の中で、KEIに抱きしめられる自分を想像してしまった。

「あのう、ストーリーのことなんですが。」
「出来てるよ。とっくにね。」

何で送ってこなかったんだろう?

それを見透かすかのように、
「ちょっと、足りない部分があってね。君の力が必要なんだ」
「何ですか?」
少し、おどおどした美紀に、
「大したことないんだけどね、女の友情について聞きたくて」
「は?」
「ほら、君と加奈子ちゃん、高校からの付き合いでしょ。
お互いのことよく知ってるんじゃないかなって。
今回の小説には大事な部分でもあるからね」

美紀は、仕事のためだと思い、
「わかりしました」


その質問が、美紀と加奈子の関係に疑問を持たせることになるとは
知らなかった・・・。
KEI宅で、質問を受けることになった美紀。
何を聞きたいんだろう?
不思議に思いながらも、

「何でしょうか?」

美紀はKEIの顔を直視できない。
恥ずかしいのではない。
KEIをみると、何かを思い出しそうになるのだ。

嫌な何かを・・・。

「美紀ちゃんと加奈子ちゃんは高校からの付き合いだよね?」

我にかえった美紀は、
「あ、は、はいそうです。」
思わず声が上ずる。

「何がきっかけで友達になったの?」
「転校してきた私に、一番に声かけてきてくれたのが、
加奈ちゃんだったんです。」

夏休みに、突然父親の転勤で家族で引っ越すことになった。
不安だった。
友達ができるのか、勉強に追いつけるのか・・・。
美紀は以前の高校では常に成績上位で、
みんなからも慕われていた。

2学期の始まり、女子高へと転校した美紀。
案内された席の後ろが加奈子だった。

「ふーん。女子高だったよね?どんな感じだった?」

現実に引き戻され、慌てて答えた。
「はい、みんな仲良かったです。
それぞれグループはあるけど、行事とかは一致団結でした。
私と加奈ちゃんとあと3人の5人でよく遊んでました。」

遊んでもいたが、5人とも援助交際をしていた。
加奈子が話しを持ち出したのだ。
小遣い欲しさに、やった・・・。

その時、何かが頭に浮かんだがすぐに消えてしまった。

「大丈夫?顔色悪いよ。ちょっと休憩しようか。
コーヒーでも飲む?」

「あ、私やりますんでKEIさんは書いててください。」
「僕のコーヒーは美味しいよ。」

初めて二人の目が合った。

美紀は
(私、この人知ってる!)
でも、記憶を辿っても答えは出ない。
同時になぜか罪悪感がでてきた。

KEIのコーヒーは美味しかった。
ほろ苦く、柔らかい香りが鼻をスーッと通り抜ける。
「美味しい!」
思わず言うと、
「僕のブレンドなんだ。企業秘密だよ。」
笑顔があまりにも可愛いと思ってしまった。

「大体の構成はできたから、プリントアウトするまで、
家の中を案内するよ。」

最初に、仏間に通された。
そこには、男性・女性・一人の女の子の写真があった。

「僕の両親は事故で死んじゃったんだ。
そのときに、妹も同乗しててね。」

美紀は何て言っていいかわからなかった。

「もう15年前だけどね。
次行こうか。」
和室や茶道部屋など全部で6つの部屋があった。

「すごいですね。広すぎて迷いそう・・・」
「ん〜あまり自分の部屋からは出ないからね。」

最後は、寝室兼KEIの部屋だった。

台所や風呂場・トイレなど全て揃ってる。
ここでまたデジャヴのような感覚が美紀を襲った。
というより、確信だった。

「KEIさん、私この部屋以前来た覚えがあるんですけど、
気のせいでしょうか?」

「あるよ・・・。」

そう言ったKEIの悲しげな顔が印象的だった。
それと同時に、何かが頭の中に入ってくる。
思い出せない・・・。

美紀はあることを記憶から消していたのを、
少しずつ開かれていくような感覚を覚えた。

構成を取り、会社へ戻る途中も
この道知ってる。ここのお店来たことある。

思い出せないまま会社へ戻り、構成を読んだ。

あまりの衝撃に声がでなかった。
翌朝、出勤した美紀は加奈子を直視できなかった。

「おはよ〜美紀。どうした?顔色悪いよ。」
「な、何でもないよ。ちょい疲れ気味かな。」
苦笑いをする美紀に、
「無理しちゃだめだよ。」
優しい言葉をかける加奈子に、嫌悪感を覚えた。

突然、電話が鳴った。

社員の一人がとり、
「加奈子さん、KEIさんから電話です。」
一瞬加奈子の顔が強張った・・・。
すぐに、
「わかりました、2番ですね。」
電話をとる加奈子

美紀は見逃さなかった。
あの加奈子の強張った顔を・・・。

ふと思い出すと、初めてKEIに会った日も加奈子にしては落ち着きがなかった。

「ねえ、美紀〜あたしこれからKEIさんの家に行くんだけど、
昨日何か持って行った?」
さっきとうってかわり、いつもの加奈子だった。
「途中で和菓子買って行ったけど・・・。」

昨日、ふいに選んだ和菓子。
KEIは大好物だった。

加奈子の表情がまた強張る。

「そっか〜、じゃああたしは別なの持ってくわ。
あ、構成のコピーくれる?行く途中で読むから。」
加奈子はまだ中身を知らない。
読んだら、どうなるのだろう。

4枚の構成をコピーし封筒に入れ渡した。

「ありがとう。じゃ行ってくるね。」
「うん、今日は私も別の担当のところに行かなきゃいけないから。」

出て行った加奈子の後姿はなぜか脅えてるように見えた。

加奈子にとって、生涯忘れることのできない1日が始まった。
加奈子にはKEIの自宅へ行きたくない理由があった。
思い出したくないし、思い出させないで欲しかった。

KEIがまさかあの人だったなんて・・・。
今更、何を・・・。

色々な感情が入り混じったまま、KEI宅へ着いた。

入り口を入ると、相変わらずの見事な日本庭園。
小さな橋を渡るとき、加奈子は鯉ではなく
ピラニアが泳いでるのに気付いた。
前は立派な錦鯉がいたはずなのに。

玄関に着くと、KEI自ら出てきた。

「やあ、久しぶりだね。加奈子ちゃん」
この笑顔忘れるはずもない。
大学時代に、加奈子の好きだった人なのだから。

「お久しぶりです。」
おどおどした様子の加奈子を面白そうにみているKEI

「入りなよ。」
言われるがまま入った加奈子。

「圭吾さん、あのストーリーはどういうつもり」
単刀直入に聞いた。

「まんまだよ。あの時のね。」

加奈子は一気に思い出していた。

あの日の出来事を。
大学時代。
合コンで知り合った圭吾。
美紀も一緒だった。

そして、二人とも圭吾に恋をした。

圭吾が選んだのは美紀だった。

加奈子はほんとは美紀が高校のときから大嫌いだった。
みんなに好かれ、成績も加奈子より上で、
転校してきた美紀をみた瞬間から嫌いだった。

美紀に話しかけ、善人ぶっただけ。

美紀に負けたくなくて、同じ大学へ入った。
今の会社もそうだ。

大学時代、仲のいい二人をみるだけで腹が立ってしょうがなかった。

加奈子はいつも美紀を下にみていた。
あたしのほうが、綺麗だしスタイルもいいし、モテルし。
何で圭吾は美紀を選んだのだろう。

美紀に対する憎悪が深まるばかりだった。

そして、あの事件が起きた。

加奈子は、クラブでナンパされた男たちにあることを頼んだのだ。
その日は、穏やかな天気だった。
真夏なのに、さほど暑さを感じなかった。

加奈子は知り合った男たちに、
美紀をレイプするように頼んだのだ。

しかも圭吾の見てる前で・・・。

夜、美紀が圭吾の家に行くことはわかっていた。
侵入もたやすい。

ビデオカメラ・紐・ガムテープ準備はした。
後は決行するだけ。

そのときの加奈子には罪悪感など一切なかった。
憎悪の塊で支配されていた。
ただただ、美紀の恐怖に脅える顔と、
圭吾の苦しむ顔だけを想像していた。

夜、圭吾宅に着いた加奈子と男3人は塀を越え、
離れにある圭吾の部屋へと向かった。

二人の楽しそうな声が聞こえる。

加奈子の感情は更に憎悪を増した。
して
男の一人が、窓を割り部屋へ入ると、
二人は驚きで声も出せなかった。

圭吾は美紀を守ろうと、美紀を自分の後ろにして庇った。

すると、二人の男が入ってきた。

最初に入ってきた男が、圭吾を殴る蹴る。
美紀は悲鳴をあげたが、別の男に口を塞がれた。

散々、暴行を受けた圭吾を椅子に縛り、ガムテープで口を塞いだ。
意識が朦朧とする中、
男3人が、美紀を裸にした。

一人の男が、
「加奈子もすげえこと考えるよな。」
するともう一人が
「バカ、あいつの名前出すなよ!」
圭吾はしっかりと聞いた。
加奈子の名前を・・・。
必死に抵抗する美紀に、ますます興奮を覚える男たち。

椅子を動かし必死で紐をほどこうとするが、無駄だった。
声にならない声をあげ、必死で美紀のところに行こうとするが、
椅子も柱にくくりつけられている。

全裸になった美紀を、圭吾の前でわざと股を広げ、
もう一人が恥部をいじる。

美紀もガムテープで口を塞がれ、声が出せない。
「ん〜ん〜!!!」
必死で抵抗する美紀だが、男の力には勝てない。

一人がビデオカメラを固定した。

ここから、美紀と圭吾の長くて辛い夜が始まった。

「おい、こいつ全然濡れてねーよ。」
「俺、ローション持ってるよ。」

美紀の体中にローションが塗られていく。

目を背けたい圭吾は、目を閉じようとしたが、
美紀の気持ちを考えるとそれは出来なかった。

胸を抉られるような感情で、声にならない声を圭吾は出し続けた。

散々、男たちに弄ばれた美紀は抵抗する力もなく、
されるがままだった。
もう声もでない。
涙だけが溢れてくる。
けいちゃん、見ないで!
こんな私をみないで!
心の中で叫ぶ美紀。

それを泣きながら見ている圭吾。

もう何度目だろうか、美紀は意識が朦朧とし始めた。

やっと、終わった。
悪夢だったのか・・・。

男たちは消えていた。

朦朧とする意識の中で、圭吾の紐を外した。
泣きながら抱き合う二人。

美紀は倒れこんでしまった。

頭からは出血が・・・。

急いで救急車を呼び、
圭吾自身も傷だらけのため、一緒に救急車に乗った。

「美紀は大丈夫ですよね!なんともないですよね!」
「検査してみないとわかりません。」

圭吾も暴行を受けたせいか失神してしまった。

目が覚めると、病院だった。
痛む体を無理矢理、起こし、美紀の様子を見に行こうとした。
看護ステーションで聞くと、

「あなたが彼氏?良かったね。彼女覚えてないみたい。」

あの出来事を美紀は、ショックと頭を強打したことで、
忘れてしまったようだ。

病室へ行くと、加奈子がいた。

「てめえ!よくのこのこと来れたなあ!お前が犯人なんだろ!」

美紀が
「ねえ、加奈ちゃんこの人誰?」

大声を出したせいで、看護師に抑えられ病室を追い出された。
加奈子の不敵な笑みを最後に、
二人とは会えなくなった。
美紀はあの日の出来事とともに、俺の存在まで忘れてしまった。
俺を見ると、頭が痛くなり発狂してしまう。

俺は大学を別の大学へと編入した。

小説家になって、美紀を幸せにしたかった。
小説家としての夢は叶ったが、美紀を幸せにできなかった。

22歳の若さで大きな賞をとり、一躍人気作家となった。
あの事件の母屋を壊し、家の中に部屋を増築し篭った。

10年の時を経て、再び美紀に再会するとは・・・。

しかも、あの加奈子まで一緒に・・・。


美紀はあの日の出来事を忘れ、圭吾の存在も消してしまった。
時々、大学時代彼氏がいたような錯覚に陥るが、
加奈子に、いなかったと言われ、美紀はそれを信じた。

退院後、加奈子の勧めで引越し、加奈子と一緒に住み始めた。
何人かと付き合ったが、SEXになると、異常なまでの嫌悪感が押し寄せできなかった。
付き合った男たちは、それが原因で離れていった・・・。

時々、頭痛とともになにか思い出しそうになるたび、
加奈子は、
「無理しないで、今を楽しもうよ。」
加奈子には随分励まされた。
運よく同じ会社にも勤めることができて、美紀は安心だった。

KEIが現れ、新しい小説の構成をみるまでは・・・。


加奈子はいつ思い出すかわからない美紀と一緒に住み、
思い出しそうになると、必死で誤魔化した。

加奈子はあの出来事のあと、自分の気持ちに気付いた。
自分が好きなのは美紀だということに・・・。
罪悪感にさいなまれ、美紀への償いを一生をかけてしようと誓った。

KEIが現れ、あの出来事を小説にしようとするなんて思ってもみなかった。

KEIの家に行ったとき、加奈子は自分の気持ちを圭吾に話し、
小説を書くのをやめるよう懇願した。
美紀なしでは生きていけない。

愛情と憎悪は表裏一体だということに気付くのが遅すぎた。


構成で一気に全てを思い出した美紀は、
担当の作家の家の帰りに、圭吾の家に行き思い出したことを、
伝えることにした。

加奈子を恨む気持ちもあるが、今となっては全て許せる自分がいた。
加奈子によって出来た心の傷は、加奈子によって癒されたのだ。

まだ加奈子が圭吾の家にいることを祈り、
二人に全て思い出したこと、加奈子を恨んでないこと、
圭吾に謝りたい。

急いで圭吾の家に向かった。
入り口は開いていた、玄関へ行くと、

「お願い!あれを小説にするのはやめて!美紀は今を生きてるの。」
加奈子の泣き叫ぶような声が響く。

「駄目だよ。僕の心は今でも美紀でいっぱいなんだ。
10年間変わらずにね。
君が美紀を好きでも、取り返しのつかないことをしたんだ!」

「お願い、やめて・・・出さないで・・・。」
むせび泣く加奈子の声。

美紀は思い切って、家の中にあがった。
「二人ともやめて!」
美紀の言葉に、振り向いた二人は驚いていた。

「私、思い出したよ。あのこと・・・。」
その言葉に、加奈子はへたり込んでしまった。

「ごめんね、美紀、ほんとにごめんね。」
泣きじゃくりながら謝る加奈子に、

「恨む気持ちはまだあるけど、10年間私のために、
自分を犠牲にして罪を償ってきたんだよね。ありがとう。
でも、ごめんね。圭ちゃんと一緒にいたい・・・。」
美紀は失った圭吾との日々を取り戻したかった。
圭吾も同じだ。

「美紀・・・ごめん。思い出さないほうが幸せだったのかもしれない。
でも僕はあの日君をみたとき、思い出して欲しくなったんだ。
心の傷は、僕が癒していく。
だから、もう一度・・・」

「いや〜〜〜〜〜〜〜!!!美紀はあたしの大事な存在なの。
奪わないで!」
発狂したように叫ぶ加奈子に、

「加奈ちゃん、私も加奈ちゃん大事だよ。
でも、愛してるのは圭ちゃんなの。
あのことを思い出して、苦しくなっちゃうかもしれない。
それでも圭ちゃんといたいの。」
美紀は諭すように加奈子に言った。

加奈子はしばらく黙っていたが、
「そうだよね。あたし高校の頃から美紀が嫌いだと思ってたの。
あの事件のあとに、嫌いじゃない、大好きなんだって気付いた。
でも、もう遅かった。
美紀が幸せなら、あたしには何も言う権利なんてない。」

美紀は
「ありがとう。圭ちゃんとの日々を取り戻したい。
だから、これからは加奈ちゃんとは会わない。」
毅然とした声で美紀は言った。

「圭ちゃん、また私と時間をともにしていい?」
圭吾は、涙を流し、
「当たり前だろ。僕の台詞言うなよ。」

その後、加奈子はアメリカへと渡った。

1年後、美紀と圭吾は桜咲く季節に二人だけの挙式をあげた。

美紀はカウンセリングを受け、あのことと向き合い克服した。
お腹の中には、新しい命が芽生えてる。

圭吾の家にある枝垂桜を眺めながら、
「何だか怖いくらいに幸せ。桜、綺麗だね。」

「桜って、昔は人の死体を埋めていてその養分を栄養にしてたんだ。」
圭吾が言った。

その言葉に美紀は、
まだ何か忘れてることがあると確信した。

でも、今はいい。

思い出さないほうが、幸せな気がした。


ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

自己満足小説 更新情報

自己満足小説のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング