ＶＩＮＳ！ＶＩＮＳ！ＶＩＮＳ！コミュのワインの味の構成

舌で感じる甘味、酸味、渋味などの味覚、アルコール分の強さや果実味の新鮮さ、エキス分、ミネラル分、ハイブリットな構成によって、ワインの複雑な味が生まれる。

『甘味』

豊富であれば、リッチな印象になり、少ないほど厳しさを感じる。
葡萄中に含まれる糖分は酵母の力で発酵し、アルコールに変化してしまう為、殆どのワインは辛口に仕上がる。
従ってワインに甘味を残す為、以下のような方法が取られている。

１．人為的に葡萄果汁の発酵を途中で停止して糖分を残す（ポートワインなど）。

２．収穫を遅らせる事で葡萄果汁中の糖度を上げる。
（フランスのアルザスやドイツで行われている方法)

３．貴腐菌の作用のよって、樹に付いたまま葡萄の水分を蒸発させて糖分を上げる。
(ソーテルヌやトカイなどの貴腐葡萄)

４．自然乾燥葡萄を使用する（イタリアのレチョートやヴィン・サント)。

いずれの場合も、完全に発酵しきれず、ワイン中に残された糖分が甘味になる。
また、甘味の度合いは、酸味とのバランスによっても大きく左右される。
ワイン中の酸味が強ければ、甘味はバランスを補う役割を果たし、酸味が少ない場合は、ねっとりとした甘味に感じられる。

『酸味』

豊富であればシャープで鋭角的に、足りなければ、ぼやけた味わいになる。
葡萄中の酸味は、酒石酸とリンゴ酸が大半を占めている。
酒石酸は、しっかりとした印象のさわやかさを表現し、リンゴ酸は未熟で刺激の強い味わいの印象をもたらす。
イタリアやスペインなどの南ヨーロッパ、カリフォルニア、オーストラリア、チリ、アルゼンチンなど平均気温の高い温暖な地域では、葡萄が育つ過程でリンゴ酸は分解され酸味は和らいだものとなる。
しかし、ドイツやオーストラリア、北フランスなどに代表される平均気温の低い冷涼な地域では、葡萄中に豊富なリンゴ酸が蓄えられ、非常に酸味の強い味わいになる。
リンゴ酸が過剰なとき、もしくはタンニンを伴う赤ワインの場合、出来上がったワインを樽中に放置し、リンゴ酸が乳酸に変化する乳酸発酵が起きるように促す。その結果、口当たりはより柔らかく感じられるようになる。

『アルコール分』

高い場合は豊かで芳醇な味わいに、低い場合はやさしく平坦な印象に。
葡萄は豊富な甘味を蓄えて生長する。理論的には、約１７ｇの糖分を含む１ℓの葡萄果汁が発酵した場合、アルコール度数１度のワインが造られる。
日照量の少ない地域では光合成が活発に行われない為に、葡萄中に蓄えられる糖分が少なくなり、結果、アルコール度の低いワインになる。
その為人為的に糖分を添加しアルコールを高めることが許されている。
逆に、日照量の豊富な温暖な地域では、アルコール度の高いワインが出来上がる。
しかし、気温が高すぎると光合成は停止し、酸味もアルコール度も不足したワインになってしまう。
アルコール度が高くなるに従ってワインはヴォリューム感を増し、口の中が圧倒されるような印象を受け、不足すれば、平坦で平凡な頼りない味わいに感じられる。

『タンニン』

豊富であれば男性的でたくましく、少なければスマートで女性的。
タンニンは葡萄の果皮、種、果梗に含まれているが、果皮から色素と共に抽出されるものが大半を占める。
従って、赤ワインに特有の味覚ということになる。タンニンを多く含むワインは色素成分が豊富で色も深い。
一般的には、果皮が厚く、色が濃い小粒の葡萄ほど、抽出されるタンニンの量が豊富になる。
醸造する段階で、果皮と果汁の接触時間が長ければタンニンの量が多くなり、新しいオークの小樽で熟成されたワインには、樽に含まれるタンニンも加わる。
過剰なタンニンはワインの味覚バランスを崩してしまうが、少なすぎると熟成に耐えられない。

『果実味』

若いワインは豊富で、熟成と共に失われていく。
一般的には、出来立てのワインからは新鮮な果実味が強く感じられ、熟成と共に失われていく。
また、ステンレス製の槽で発酵されるワインは、空気に触れないため新鮮さが失われにくく、木製の樽で長期間熟成されるワインは、酸化の影響で果実味を失い乾いた味になる。
しかし、葡萄の収穫量を抑える事で果実のエキス分を濃縮させた葡萄には深い果実味があり、濃厚なエキス分を口中で感じる事が出来る。
シャブリやシャンパーニュ、ラインガウなど豊富なミネラル分を含む白ワインは、鉱物的な硬さによって果実味がマスクされ、それが特徴となる。

（世界ワイン大全２０００年版より抜枠)