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野島伸司の世界観に、魅了され♪コミュの【世紀末の詩?】天才が、愛した女。

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これは、婚約者に挙式当日に別れを告げられ、愛に裏切られた若き青年「野亜」と、愛に見切りをつけた元大学教授である「百瀬」との、愛とは何か?を問う物語。

その中の、とあるシーン。
天才ピアニストである父を持つ馨(かおる)と、その天才ピアニストの兄を父に持つ徹(とおる)との、お話。



百瀬「しょせん、生きとし生けるものは
   子孫繁栄という大前提にあるわけだ。
   それならば、すべてのメスはより良いDNAを持つ
   オスと結ばれる戦略を立てていくんだ。
   そこにおいて、最も吸引力の高いのは才能だ
   しかし、いい女でも、才能ある男を手に入れられずに
   ババアになると、ランクを落とす。
   つまり、子供を扶養する財力
   わかりやすく言うと、医者とか弁護士だ
   さらにランクを下げると、せめてバカでも、
   ツラだけでもといいやつに…」

野亜「その理論だと、僕は優秀じゃないから
   結婚できないのかもって?」

百瀬「まぁそう悲観するな。
   俺が思うにな、女の遺伝子の中には
   お前みたいな何の取り柄もない男に
   吸引される例もある。
   慈しむ母性、つまり慈愛だ」

百瀬の娘である祐香(ゆか)は、馨と徹に同時に告白されるも決着方法を決めかねていた。それを百瀬に相談した結果、二人の得意分野であるピアノで勝負する事が決まり、近日行われるピアノ・コンクールがその舞台となった。

以前は、馨と徹は幼馴染であったが、母親同士の憎み合いでいつしか二人もそれに影響されてお互い憎み合う仲になっていた。そんな母親同士も実は昔からの親友で、二人が高校時代に同じ人を好きになってから、お互いを憎み合う事となる。

そのきっかけとなったのが、二人が同時に恋に落ちた天才ピアニストの存在である。馨の母親である清美(きよみ)は彼を一途に思い続けるも、友人である徹の母親、良美(よしみ)から彼に手紙を渡してほしいと頼まれたのだった。しかし、その手紙を清美は渡さないまま、良美を裏切ってしまうのである。その時の景色は、夕陽がとても明るく燃えていた。

やがて清美は天才ピアニストである聰(さとし)と結ばれ、馨が生まれた。しかし聰は何度か良美の所へ訪れている事を清美は知り、徹も実は聰の子なのではないかと信じ込んでしまう。

そして聰は若い内に癌でこの世を去り、実は野球選手になりたかった馨に無理矢理ピアノを教え込ませ、清美は馨に今は亡き彼に面影を託していた。それを知っていた馨もまた、母の思いを叶えようとピアノ練習に勤しんでいた。

実際ピアノのセンスは徹の方が巧い事を、馨は知っていた。それを清美は憎しみを抑え生きてきたものの、耐え切れず良美と暮らす徹の元へ向かった。清美は徹の指を痛めつけようと近くの瓶を割り、錯乱するもある人物に救われ未遂に終わる。

その人物とは、自分の才能のなさに落ちぶれていた聰の兄である勤(つとむ)であった。清美の信じていた過去や裏切りは、錯乱し落ち着きを取り戻した後、良美の口から真実を知った。聡が本当に心から清美を愛していたのだ、と。

手紙を渡さなかった後、良美は聰に直接告白するも「好きな人がいる」と言われ失恋する。その後、良美は勤と知り合う事になり、勤が荒れ狂っていた時期に聰が心配して良美の事を気遣っていたのだった。



野亜「恋をして愛に移行するのは難しいんだと
   つくづく思いました」

百瀬「恋は喜びや楽しさで、やがて終わっても
   アルバムに挿めるものだ」

野亜「時々、懐かしく開くこともできます」

百瀬「だが愛は違う。愛は悲しみも刻み込むものだ。
   お互いの心に、思い出にできない傷をも刻み込む。

野亜「共に生きて行くから?」

百瀬「人はしょせん孤独な生き物だから。
   相手に深く傷を負わせ、また一方で
   包帯を持ち寄るという自虐的なことをする」

野亜「その瞬間の繋がりが、永遠の安らぎに
   変わることが愛なんですね」

百瀬「愛が懐かしい思い出になるのは、
   相手が死んだ時だけだろうな。
   互いに疑うこともなく」

野亜「けど、それじゃ広田聡は
   死ぬ時でさえ安らげなかった?」

百瀬「あぁ、その一枚の手紙の悲劇だ。
   一方的に愛し、妻からは愛されていると
   思えなかっただろう」

野亜「奥さんは取り返しのつかない罪を?」

百瀬「あぁ、もしかしたらいずれその酬いが…」



そして、ピアノ・コンクール当日。
徹が弾いた曲は、馨が弾けないであろう“ショパン”の「スケルツォ第2番」。
会場から大きな拍手が沸き起こる中、馨の出番が回ってきた。馨が弾いた曲は、馨が弾けるはずのない難曲“ベートーヴェン”の「ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調作品57 - 熱情(Appationate)」だったのだ。


馨が演奏中、徹は唖然とした面持ちで馨を見守っていた。
演奏が終わり、会場はスタンディング・オベーションが沸き起こった。徹は「負けたよ」と馨のそばに行こうとしたその時、観客から悲鳴の声が聞こえた。

馨は笑顔で椅子から立ち上がるも、両手の指がすべて切り刻まれていた。馨は自分の手の指が短い事を理由にピアノの夢はおろか、野球選手の夢さえも叶えられない事を何処かで悔やんでいたのだった。

馨はただ一心に、母親を悲しませたくない理由だけで、ピアノが巧くなりたいと、単純にそう思っていた。



“野球選手になれるんだったら、やっぱりピッチャーが良いな。でも、僕は指が短いからフォーク・ボールが投げれないんだ”





 ハローベイビー
 僕がみかん色の夕陽にとけても
 僕のことを忘れないでね
 どうか僕を忘れないで



              「世紀末の詩」第六話、より。

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