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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのモデストマウス「生命の大航海」2007US

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Modest Mouse 「We Were Dead Before the Ship Even Sank」2007年US
 
モデストマウス「生命の大航海」
 
1. March Into The Sea
2. Dashboard
3. Fire It Up
4. Florida
5. Parting Of The Sensory
6. Missed The Boat
7. We've Got Everything
8. Fly Trapped In A Jar
9. Education
10. Little Motel
11. Steam Engenius
12. Spitting Venom
13. People As Places As People
14. Invisible
 
アイザック・ブロック(ヴォーカル/ギター)
エリック・ジュディ(ベース)
ジェレイア・グリーン(ドラムス)
ジョニー・マー(ギター)
トム・ペローソ(ウッドベース)
ジョー・プラマー(パーカッション)

1993年にシアトル近郊の町で結成されてから6枚目のアルバムになる本作まで地元のSUBPOPなどのインディーズを中心に活動を続けてきたアンダーグラウンドのベテランがメジャーシーンでついにUSビルボード初登場1位を獲得してしまった作品。
 
なんといっても話題は元スミスのジョニー・マーの参加。
しかし彼の持ち味として発揮されているのは、クリアで小気味の良い躍動感のあるギター。つまり元の曲のよさを最大限に浮き立たせるふちどりのような役目であって、このバンドの魅力の本質はバンドの中心人物アイザック・ブロックにあるといっていい。
 
音がとにかく個性的。
 
すぐに連想するのは、80年代のニューウェーブ系。
まあ繰り出すセンスがやたら80年代。
 
個性的なボーカルスタイルはXTCかトーキングヘッズか。
まさに英国パンクが類型的な産業ロックのスタイルを駆逐した後に花開いたニューウェーブ。
個性的なセンスと斬新かつ先進的な音。パンキッシュな意識。
 
それまでロックが持ち得なかった感情の領域。
 
グラムロックやアートロックなども取り込みながら、多様な個性も新しい時代の到来を感じさせるセンスとしてロックの中に取り込み、一面的なロックのボキャブラリーを大幅に広げた功績がありました。
 
このバンドにはその時代の影響が濃厚に感じられます。
 
 
そこへ長年インディーで培ったオルタナティブ精神が加わり、迷いのない音の強さ、が備わっているといえる。
 
  
静かでアコースティックな導入部から、徐々にジャムロック的でサイケデリックな盛り上がりに突入してゆくあたりの感覚が現代的だ。
 

2曲目のDashboardに代表されるポップで洗練されたメロディーセンスが、人間くさいクセのあるボーカルと混ざり合って、段々はまってくる。
 
どこかかつてのオーストラリアのミッドナイトオイル(古い?!)を連想させるたたきつけるような強いメッセージを感じさせるボーカルスタイル。
 
よくあるオルタナティブとは一線を画している。
 
 
なぜ今、この音なのか。 
 
90年代初めのオルタナ、グランジの時代から、2001年9月11日を経由し、2007年にいたるまで、ずっと彼らは病んだアメリカと並走してきたことになる。
 
カート・コバーンが死んでゆくさまも、ブッシュの戦争も、テロも。
 
思えば、ニューウェーブが描いてきた音は、不毛な政治的停滞間の元において、パンクが焼き尽くした荒野に、新しい可能性が芽吹いた個性の時代だったが、その背景はやはり病んだ社会であり、その中で人間性を見つめたものであり、ある意味では従来的な人間性を超越しようとした価値観の提示や構築であったとも言える。
 
時代はめぐり、ところはアメリカに移り、グランジというアメリカにおけるパンクの嵐が世界を焼き尽くした。ブッシュの8年、世界は暗い影に覆われた。
 
人の心はめぐり、繰り返す。
 
世相に対する違和感と戦う分子は、同じように現れる。
 
新しい可能性を感じさせる音、違和感を訴える音、まったく異なる価値観と新鮮さを感じさせるアフリカン・サウンド、自分たちの出発点を見つめなおし価値観を問い直すことを意識させる古いアメリカン・サウンド、それらを取り込むことは、まさに時代の気分と言えるだろう。
 
ひとはその様にして、それぞれの想いの中で、時代と戦っていて、それが潜在的に共感を呼ぶ時代の音になる。
 
 
2007年、いわばオバマ前夜、夜明け前。
 
最も闇が暗くなるといわれる夜明け前。
 
そんな時代に希望の可能性、ニューウェーブという音を引っ張り出し、たたきつけるように歌ったモデストマウス。
  
闇に戦う闘士。
 
時代をまたいで、ジョニー・マーは再び廻って来た季節に、まったく若い世代に、何を思うのか。
 
停滞した時代のアメリカを生きてきたインディーズの重鎮、モデストマウスの快作にして時代の名盤です。

"Dashboard" 船長さんがアイザックです

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