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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのセパルトゥラ「ケイオスA.D.」1993年US

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Sepultura「Chaos A.D.」1993年US
セパルトゥラ「ケイオスA.D.」

01. Refuse/Resist
02. Territory
03. Slave New World
04. Amen
05. Kaiowas
06. Propaganda
07. Biotech Is Godzilla
08. Nomad
09. We Who Are Not as Others
10. Manifest
11. Hunt
12. Clenched Fist
 
Andreas Kisser(Guitar), Igor Cavalera(Drums), Max Cavalera(Guitar/Vo), Paulo Jr.(B)


REMやメタリカのレビューでも書きましたが、1980年代中盤以降のロック界は、社会世相を反映し、よりダークなもの、よりリアルなもの、より荒々しく破壊的なものを求められるようになりました。

そのひとつの表れが、REMらCMJ勢の台頭であり、ガンズ&ローゼスの登場であり、それまで主流だったNWOBHM(ニューウェイブ・オブ・ブリティッシュ・へヴィ・メタル)つまりアイアンメイデンやデフレパード、もしくはプリースト・プリーストまでの硬派なメタルと、ハードコアが結びついたスラッシュメタルの隆盛でした。
 
ギターソロよりも硬派なギターリフ中心のスラッシュは、アングラな男のロック、そこに時代の目が向いた時期でした。
 
もうスラッシュメタルはあたりまえ、デスメタルやゴシックメタル、ハードコアからグラインドコア、メロディックコアまでがロックの表舞台にあがってきた時期でした。
 
いわゆるスラッシュ四天王と呼ばれたメタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスなどがアンダーグラウンドシーンからの代表選手としてメジャーで人気を得るようになりました。
 
また主流のHR/HMも、モトリークルーのDr.feelgood、Skid RowのSlave to the grindをはじめ、へヴィネスに舵を切り始めました。
 
 
そして決定打となったのが、スラッシュ勢である91年メタリカのブラックアルバム、92年パンテラのVULGAR DISPLAY OF POWERであり、93年のセパルトゥラのChaos A.D. でした。
 
このあたりを契機に、今まで本流のメタルだったベテラン勢、デフレパードやジューダスプリーストを初めとするほとんど全てのバンドがヘヴィネスに鍵を切ることにより自らのオリジナリティや良さを見失い、一気にHR/HMはひとつの時代を終えてしまう、という大きなうねりを経験することになりました。
 

時代が求めた暗さ、荒さ、重さ、それらに本質的に応えることが出来たのは、80年代から硬派に、自らの道を貫き続けて日陰の地下世界で生きてきたスラッシュ勢だったこと、命を永らえようと無理に暗さを身にまとおうとした門外漢たちは、自然に去り行かざるを得ませんでした。時代はもう戻りませんでした。
 
91年の「Arise」でスラッシュとしての完成を見たセパルトゥラは、自らのアイデンティティであるブラジリアン、トライバルなルーツへの回帰により、スラッシュメタルからもうひとつステージをあげることに挑戦し、見事にそれを成功させました。それがこのChaos A.D.であり、次作「Roots」でした。
 
特に本作は、時期的にスラッシュメタルが全盛を越え、次のレベルへの生き残り、音楽的に世間が求める次のステージへの待望感の中で産み落とされた傑作であり、それだけにセパルトゥラという存在を名スラッシュメタルバンドの域から、世界的なヘヴィロック界の寵児に押し上げることになりました。 
 
 
彼らの特徴はなんといっても、スラッシュメタルで頂点を極めただけのバランスのよさ、ヴォーカル、演奏テクいずれも一流、というベースの上に、ロック界でも後進のブラジル出身というところを逆手に取った躍動感、筋肉質のパワーが全ての音にみなぎっているところでしょう。
 
リズム隊、ギターリフ、そして超絶ヴォーカルの全てから弾き飛ばされるようなパワーが、張り詰めた弓のような緊張感を曲、アルバムにみなぎらせています。
これは中々一朝一夕にはまねできるものではないはずです。
 
メタリカのブラックアルバム同様、ミドルテンポ以下のゆったりしたブラックサバス的チューンが中心。その中でビョンビョン弾みかえる音を繰り出すテクは自信の裏打ちでしょうか。
 
また彼らの特徴のひとつに、わかりやすいキャッチーなフレージングがあるでしょう。
Refuse/ResistだったりChaos A.Dだったり、TerritoryやRootsといったメッセージを、伝わりやすいフレーズで、シンプルに、ダイレクトに、明快につたえる力は、おおきな才能といえるでしょう。
 
スラッシュというマイナーなジャンルのアルバムでありながら、91年リリース当時、メインストリームのロックファンのハートをがっちりつかんでいましたね。どのくらいのあいだでしょう、本作はかなり長い間、数ヶ月レベルで日本でもロック・メタル系のチャートの頂点に座り続けていましたよね。みんな聴いていたと思います。本質的なものとポピュラリティを両立した凄み、をかんじさせてくれます。
  
時代性ということを抜きにすれば次作Rootsはこの路線を突き詰め、個々のパワーもMaxまで極められた傑作ですから、是非そっちもお勧めです。そしてそれが主メンバーであるマックス・カヴァレラの在籍した最後のアルバムとなりました。 
そして時代はKornの登場を待つことになる訳です。 
 
本作Chaos A.D.は、自らの道を貫き、時代に迎合することなく、自らの本質を突き詰めることで、聞くものを圧倒するクオリティを手に入れ、時代を引き寄せ、時代を変えるひとつのギアにすらなってしまったバンドの、歴史的な名盤だとおもいます。

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