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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのリトル・フィート「セイリン・シューズ」1972年US

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Little Feat「Sailin' Shoes」1972年US
リトル・フィート「セイリン・シューズ」
 
(A)
1.Easy To Slip
2.Cold, Cold, Cold
3.Trouble
4.Tripe Face Boogie
5.Willin'
6.A Apolitical Blues
(B)
7.Sailin' Shoes
8.Teenage Nervous Breakdown
9.Got No Shadow
10.Cat Fever
11.Texas Rose Cafe

Lowell George (Slide guitar, vo)
Roy Estrada (Bass)
Bill Payne (Piano, key, vo)
Richie Hayward (dr)
 

今の耳でリトルフィートを聴くとするなら、この2ndアルバムじゃないでしょうか。
 
ウィルコとかベックとか聴いてる人は、是非今再び、これ時代なんじゃないでしょうか。
  
 
彼らは、歴史に残る大名盤である次の3rd「ディキシー・チキン」からはメンバーも変わり、一気にニューオリンズ的なディープなシンコペーションのリズムがもちこまれ、枯れた大人のスワンプミュージックに進化してゆくわけです。
  
 
しかし、この2ndではその前夜、本作では、青年らしいすっきりした姿がさわやかです。
ファンキーなテイストがまだ薄いために、11曲中8曲を書いたロウエル・ジョージんもさわやかな青年的ソングライティングが光ります。 
  
 
彼らが偉大である最たる特徴として、カントリー・ロック、スワンプ・ロック、ブルース・ロックを取り込みながらも、決してどれにも属さない、オリジナルなアメリカン・ロックを生み出していたこと、があるとおもいますが、それはこのアルバムでも十分に発揮されていると思います。
 
 
それは、実はロウエル自身が南部に行ったこともなく、LAという人工の都市で、デフォルメされたアメリカンルーツミュージックを、再構築したところから生み出された、オリジナルなアメリカン・ロックだからでしょう。
 
 
その点、カナダ出身のザ・バンドの連中、二ール・ヤングが伝統的なアメリカへの憧憬から彼らの音楽を生み出したこととも通じるものがあるかもしれません。
   
 
この2ndから歩みを共にするプロデューサーで元ハーパース・ビザールのテッド・テンプルマンを初めとする、ワーナーのいわゆるバーバンク・サウンドの人脈という力を得て、リトルフィートは、イーグルスやドゥービーブラザースやスティーリーダンに代表されるウエストコーストロックの全盛期の中で、特異な存在として歴史に名を残しました。
 
 
中でも、やはり、ロウエル・ジョージです。
 
デュアン・オールマン、ライ・クーダーらと並んでスライドギターの名手として歴史に名を残すこの方、元はフランク・ザッパのマザーズ・オブ・インベンションにいましたが、本作にも収録されている代表作「Willin'」が、ドラッグのことを歌っていたためにドラッグ嫌いのザッパから追い出され、同じマザーズのベーシスト、ロイ・エストラーダ、そしてドラムのリッチー・ヘイワード、キーボードのビル・ペインと1969年リトル・フィートを結成します。
 
もっともザッパも、このWillin'を聴いて、グループに居させるよりも自分のグループを作ったほうがいい、といったあたりさすがです。 
  
 
本作は、全体的に、2009年の今、とても新鮮に聞こえます。
 
今の現役のオルタナティブ・カントリー・ロックの新作だといっても、ひょっとすると違和感がないかもしれないくらいです。
 
とても混沌としていて、パンキッシュな空気すら漂っています。
 
アメリカン・ルーツな要素が、いろいろ詰め込まれているカオスな感じ、なのにスワンプやニューオリンズに偏りすぎず、まるで現代のミクスチャーそのものです。 

それでいて、さきにも述べたように青年性というか青さがあり、内省的でちょっと暗めな印象があって、そこもグランジ以降の現代のオルタナ的です。
  
ファンキーで大人な次作以降にはないテイストです。
 
 
冒頭の「Easy To Slip」はさわやかな曲です。次作の冒頭とは対照的です。
 
2曲目は強烈です。
いきなりテンポも雰囲気も変わります。
しかしボーカルが最高です。
 
太いリズムとねじれたスライドギターが絡みつき、これぞリトルフィートって感じですが、ねじりあげた挙句、リズミカルにまとめる曲構成の妙が最高なニュー・オリンズのテイストが圧巻です。
 
3曲めでいきなりバラード「Trouble」です。渋すぎます。
やはりボーカルが最高です。
落差に、完全にやられます。
リトルフィート史上でも有数の名唱でしょう。
 
 
4曲目は再びファンキーにお祭りモードです。
ファンキーに跳ね回るリズムとピアノに、ロウエルのスライドギターの高音が自由に、ほんとに自由な感じで飛び回る感じです。
同じファンキーさでも、後期には少ない奔放さです。
 
 
さて、まってました大名曲「Willin'」です。
ビル・ペインのピアノが効いています。
しかし冒頭のつぶやきのような始まりから、メロディがかぶさってくるあたり、何度聴いても鳥肌が立ちます。
 
自由自在なボーカルも素晴らしい。
 
ゲストのスニーキー・ピートのペダル・スティールも美しさをそそります。
 
彼らの代表曲のひとつであるにとどまらないウェストコースとロックを代表する一曲でしょう。
 
 
6曲目は超ディープなブルースナンバーです。ハウリン・ウルフの影響がかなり感じられますが、節回しや随所にオリジナリティが感じられます。
  
B面冒頭の7曲目は不思議なブルースです。
この一筋縄ではいかない暗さ、かなり個人的なテイストで、オリジナルな感じ、現代のオルタナに通じるな、と思うゆえんですが、いかがでしょう。
 
 
8曲めはブギ調のR&Rです。間奏でのスライドが効いています。

続く9.Got No Shadow、10.Cat Fever、はビル・ペインの作品、ゆったりしたナンバーです。

10はビル・ペインがヴォーカルをとっています。さっぱりしたニューオリンズ・テイストといったところです。やっぱりロウエルのボーカルはいいんだなと正直思ってしまいます。
 
 
ラストは、間奏で変拍子が入り、ピアノやスライドやドラムの幻想的なバトルがあったかと思えば、再び拍子をもどして終わるという不思議なナンバーで締めくくります。
  
  
3rdの「ディキシー・チキン」は聞いたことあっても2ndは聴いたことない、という人がいたら、それはとてももったいない。
 
2ndにしかない、今のロックに通じるテイストがあるとおもいます。 

そして彼らは商業的にはあまり成功しませんでしたが、レッド・ツェッペリン、エルトン・ジョン、ロリー・ギャラガーなどなどミュージシャンの中で彼らの人気は絶大な、ミュージシャンズ・ミュージシャンです。
 
そんな彼らの若さあふれるウエストコースト・ロック史上に残る傑作です。  
 

コメント(4)

今回リトルフィートのアルバムを取り上げていただき、感激しています。
わたしにとって、彼らの音楽は重要な位置を占めています。
ザ・バンド、ライ・クーダー、スティーリー・ダンとわたしの中では、自然とつながっています。
一曲一曲に丁寧な感想を載せてくださり、音楽に対する深い思いを感じます。
感謝。
自分にとってもリトルフィートは、洋楽にのめりこんでいくきっかけになったバンドのひとつです。
 
ロウエル・ジョージが生きていたら、なんて考えても詮無い事ですが。
なんという偶然!!

アナログで持ってたのですが アマゾンで安かったからCDを買ったとこです
妙に聴きたくなって
おー、たしかに800円くらいでしたか。
 
自分の中にすり込まれた音楽って、気分とか季節とか匂いとかの自分の引き出しにインプットされてますよね
 
それでふと聴きたくなる

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