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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのディクシー・チックス「TAKING THE LONG WAY」2006年US

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Dixie Chicks「TAKING THE LONG WAY」2006年US
ディクシー・チックス「テイキング・ザ・ロング・ウェイ」
 
1.The Long Way Around
2.Easy Silence
3.Not Ready To Make Nice
4.Everybody Knows
5.Bitter End
6.Lullaby
7.Lubbock Or Leave It
8.Silent House
9.Favorite Year
10.Voice Inside My Head
11.I Like It
12.Baby Hold On
13.So Hard
14.I Hope
  
Emily Robison
Martie Maguire
Natalie Maines 
 
 
98年のメジャーデビューアルバム「Wide Open Space」と99年2ndの「Fly」は郊外へドライブするときの定番でした。晴れた日に田舎道をとばすときなんかぴったりです。
スカッーーとしますね。
 
これ以上ないくらい完璧なポップソング群でありカントリーアルバムだったこの2枚はいままでのカントリーのイメージを打ち破るものでした。

そしてほぼ全ての曲において、聴いていると会心の満塁ホームランを打ったときのようなカタルシスを得られる超きもちいいナタリー・メインズのヴォーカル、が最高でした。
それが12曲も13曲も続くわけで、これで売れないわけがない。
 
第一彼女たちのルックスが、すらっとして現代的でしたし、おどけた感じもアメリカンコメディドラマの女優みたいでしたから、イメージもカントリーっぽくありませんでした。
 
当然世界的に爆発的に売れ(1200万枚と1000万枚)、彼女らはカントリーらしくない現代の新たなカントリーの普遍性を示すポップスター、救世主になりました。
1日に86万7千枚(約57億円)のコンサートチケットを売り、ストーンズの記録を破ったりしました。
 
 
そんな頃には、私も、彼女らが今みたいな感じのアーティストになるとは思いもよりませんでしたね。 
 
3rdアルバム「Home」が出た少し後の2003年でした。
社会事件化したのでご存知の方も多いでしょうが、ヴォーカルのナタリーが、イラク侵攻の準備中だったブッシュに対し、同じテキサス出身のブッシュを恥ずかしく思う、という発言をしたために、彼女らの境遇が一変してしまいました。
 
保守層、右派が多いカントリー業界に身を置いていたために、業界・ラジオから閉め出しをくらったのです。
数多くのバッシングや報道、脅迫に身をさらされました。
 
この騒動は、当時、私的にはとても意外でした。
そんな感じの政治的発言や反戦的言動は、ロック界ならパールジャムとかもっと色々あったはずなので。
第一、数多くのハリウッド映画で、言論の”自由”を守って戦い抜く主人公が最後には改革の成功と栄誉を手に入れる、という筋書きのドラマを見ては、それこそがアメリカのすばらしさ、と感じてきたからです。
 
まあタイミングは悪かったかもしれません。テロという新たな脅威と被害を受けて、米国民が一丸となった風潮がそのままイラク侵攻へつながっていった気分が、過去の反戦ムードとはちょっとちがってたこともあるでしょうし、彼女らがカントリーアーティストだったから、というのは大きいでしょうし。
 
 
ブッシュ再選を阻止しよう、という選挙戦の中でブルース・スプリングスティーンは、彼女らについて述べています。
 
「俺から見れば彼女達は、発言の自由というアメリカ人の権利を利用して心を表現した素晴らしい“アメリカ人アーティスト”だ。彼女達がラジオ全体から追放されるのは、ハッキリ言って非アメリカ的だ。(略)俺たちはイラクに自由を創造する為に闘っているはずなのに、この国で自由を行使しようとする人々に対して脅迫したり罰を与えている。俺は彼女達を支持する」
 
 
3rdアルバムは、この影響もあってか600万枚でセールスがとまりました。
それでも凄いですけど。
 
そして、4thアルバムの本作。
まあ散々な目に遭わされた後でのアルバムだけに、大注目のあつまった中で、圧巻の内容をぶちかましてくれました。
迎えた2007年2月のグラミー賞は感動的なものでした。
その年のグラミー賞の5部門(アルバム/ソング/レコード/カントリーアルバム/カントリーボーカルグループオブ・ジ・イヤー)を制覇して

しまったのです。特に、最優秀アルバム、ソング、レコード賞を独占したのはすごいことでしょう。
 
彼女達の発言にはすばらしいものが多いですが、この時のスピーチも印象的なものでした。
苦労をかけた家族に感謝するとともに、「かならずグラミーまで連れてくるって言ったでしょ」と言ったナタリーさんには泣かされました。

またメインズさんもグッとくる発言をしています。
「カントリー界の人は何か騒動があると、さっと姿を消してしまう。人の為に立ち向かおうとしない。愛国心の大きさを表明するばかりで吐き気がするし、なぜ愛国心にこだわるのか分からない。この世界は私達の為の世界ですか?私はすべての国を愛しています。」
 
Showの中では、象徴的なシングル、本作3曲目の「Not Ready To Make Nice」の絶唱がありました。
この曲は何度聞いても、鳥肌がたちますね。
  
  
”ベッドに入ってベイビーみたいに眠りなさい
何も後悔しないで、何を言っても気にしないで
母親にとって悲しいことね
自分の娘に、知らない人を憎むように教えるなんて
私の言葉にいくら怒ったからって、
どうしてあんな手紙が書けるの?
「黙って歌だけ歌ってろ!
でないとお前の命はないぞ」なんて!

まだ、いい人なんかにはなれない
まだ、引き下がるわけにはいかない
まだ、私は本当に怒っている
まわりくどいことをしてるヒマはないの
元の鞘に戻すには遅すぎる
できたとしてもやらないわ
だって私はまだ怒っているんだから
あなたたちの助言になんか従えないわ

許す、それっていい言葉ね
忘れる、私にはまだできないわ
時がすべてを癒すというけれど
私の痛みはまだ消えはしない”
 
 
上のメインズさんの発言もあるように、彼女らは歌詞の中で、カントリーの支持母体である、アメリカ中西部の古い価値観に、現代の女性の立場から真っ向から立ち向かうような内容を歌ったりしています。
 
上の反戦テーマだけでなく、宗教的な価値観を問う7曲目、保守的な女性像と不妊症について歌う13曲目など、特に本作はシリアスかつパーソナルなテイストになっています。
 
3人共が家庭を持って、子供を持って、30代を迎えた女性であることならではの、等身大の内容になっていて、ポップな1stや2ndとは随分と違ってきています。
 
プロデューサーには、なんとレッチリやビースティーボーイズのリック・ルービン大将です。
主張するアーティスト、として一回りも二回りも大きくなったカントリー3人娘は、歴史に名を残す偉大なグループとしてこれからも成長を見届けたいと思います。そんな彼女らを語るには欠かせない一枚となった本作、現代の名盤でしょう。



コメント(2)

このアルバムの貢献者ダン・ウイルソンはSemisonicのメンバーです。クロージングタイムのヒットで90年代にグラミーノミネートされたこともあります。私はすごく好きですけど日本ではあまり知られていないのかも・・・。
前に紹介したJayhowksのゲイリー・ルーリスも何曲か書いてますね。ダン・ウィルソンと同じミネアポリスで。彼女たちが普遍的なオルタナカントリーロック路線を選託する中で、彼女たちの方から声をかけたようですね。正統派で素直な感じのアコースティックなアメリカンロックって日本では響かないですね。ジョン・メイヤーとかフーティー&ザ・ブロウフィッシュとかマッチボックス20とかとか。

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