ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

洋楽名盤・新譜 レビューコミュのCSN&Y 「デジャ・ヴ」1970年US

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Crosby, Stills, Nash & Young 「Deja Vu」1970年US
クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング「デジャ・ヴ」
 
<A>
1.Carry On
2.Teach Your Children
3.Almost Cut My Hair
4.Helpless
5.Woodstock
 
<B>
6.Deja Vu
7.Our House
8.4+20
9.Country Girl
10.Everybody I Love You
 
デヴィッド・クロスビー(元バーズ)
スティーヴン・スティルス(元バッファロー・スプリングフィールド)
グラハム・ナッシュ(元ホリーズ)
ニール・ヤング(元バッファロー・スプリングフィールド)
 
 
時代の風化を受け付けない、永遠に新鮮で鮮烈な、名盤中の名盤、それがCSN&Yの「デジャ・ヴ」です。若いロックファンで、まだ聴いていないという方は、まずレコード屋へ。
 
いかに本作が巨大なアルバムであるか、は例えば歴史的なロック・イベント「ウッドストック」のドキュメント映画のテーマ曲が5曲目のWoodstockであったり、やはりその時代の気分を象徴するような名画「小さな恋のメロディ」のほぼ主題歌が2曲目Teach your childrenだったり。
ちなみにこの映画は、当時の「大人を信じるな」というフラワームーブメント、反戦運動、ヒッピーカルチャーの気分を象徴するような内容になっており、かつ全編CSN&Yのサントラみたいになっているので、先の「ウッドストック」「小さな恋のメロディ」と本アルバムは、3つ合わせて体験してもらいたい。少しでも、当時の世界が追体験できると、本作の聞こえ方も変わると思います。
 
 
当時の作品は永遠の命をもった作品もある一方で、爆発的な人気を博しながらも今聴くにはちとつらいものも結構あります。
そんな中で、この「Deja Vu」は全く古びない、どころか未だにこれほどみずみずしいロック、にはなかなか出会わない、聴くたびに新鮮なインパクトを与えてくれる傑作です。
  
 
本作に永遠の命を吹き込んだ理由はいくつもあるでしょうが、バーズに代表されるウェストコーストのロックグループが、ヒッピーカルチャーの集団的な共同幻想志向、アジテーション的、反体制的な活動の在り方に対し、そろそろ行き詰まりと窮屈さを感じ始めていたこと、に対し、このCSN&Yが、とりわけ主張の強い”個”を尊重したグループの在り方を提示して、あらたなスタイルで大成功を納めることで道をひらき、あらたな時代へシフトしてゆく先駆け、となったこともあったかと思います。実際、時代はこの後、さらに個の歌をクローズアップしたシンガーソングライターの時代へと移行してゆきました。
 
 
さて本作の主役達について触れましょう。
 
バーズをやめたスティルスとバッファロースプリングフィールドをやめたデヴィッド・クロスビーは2人で音楽活動を始めることにしましたが、2人よりも高い声の出るもう一人を加えることで、ハーモニーがより良くなる、と引き合わされたのがホリーズの活動に不満を持っていたグラハム・ナッシュでした。
 
イギリスのポップロックグループとして一時代を築き、ビートルズやストーンズに代表されるブリティッシュ・インベイジョンの一角としてアメリカでも人気のあったホリーズの一員としてEMIに契約があったグラハム・ナッシュはデヴィッド・ゲフィンの尽力により、リッチー・フューレイのポコとのトレードという形でアトランティックへの移籍が実現されました。
 
ナッシュのポップなメロディーのすばらしさ、がCSNそしてCSN&Yにみすみすしいメロディーとイギリスのミュージシャンらしい繊細さという大きなアクセントを与えることになりました。ちなみにそれ以降、デヴィッド・ゲフィンは、デヴィッド・クロスビーの彼女だったジョニ・ミッチェルのマネージャーのエリオット・ロバーツとCSNYのマネージャーとして共同事務所を開きます。
 
3人はCS&Nとして69年にアルバムを出しましたが、ツアーに出るにあたり、3人のコーラスだけだと、ちょうどその頃ブレイクしていたサイモン&ガーファンクルと似た感じになってしまうことへの懸念などから新たにベースとキーボードを加えたバンドサウンドにしようとキーボード奏者を探すことになります。しかし、候補に挙げられたスティーヴ・ウィンウッドにもポール・バターフィールド・ブルース・バンドのマーク・ナフタリンにも断られ、かわりに候補になったのが、ニール・ヤングでした。
 
スティーブン・スティルスとバッファロー・スプリング・フィールド時代に散々衝突してきたヤングを加えることには相当な抵抗があったはずですが、ツアーまで時間の猶予がなかったこと、ヤングの側もCS&Nの新たな音楽性に興味を持っていたこと、CN&Y側もソロになってからのヤングの音楽性に共感する部分があったこと、さらにはニール・ヤングとしてのソロ活動を保証すること、グループ名をCSN&Yとして一人一人を平等に扱うこと、などを条件に1969年7月新体制がスタートすることになりました。
 
 
彼らは翌月8月16日のシカゴでのデビューコンサートに続き、18日伝説のウッドストック・フェスティバルに出演しスーパーグループとして話題を集め、このアルバムは予約だけで200万枚以上、全米1位を獲得します。
 
 
曲を見ていきましょう。
 
みな揃って2曲ずつ納められています。
スティルス作品は1のCarry onと8の4+20。
後々まで良くも悪くもこのグループの主導権を握り続けたスティーブン・スティルスは、本作の冒頭で、らしい曲を提供しています。すばらしいハーモニーの切れがアルバムのひきしまった緊張感と繊細さを象徴しています。
 
4+20は当時24歳だった彼のアコースティックな一曲でクロスビー的な曲。
 
グラハム・ナッシュ作品は2のTeach your childrenとOur House。
Teach your childrenはこのアルバムのハイライトの一つだと個人的には思っています。グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアが参加しています。
本作がスティルスとヤングの緊張関係に収まらないバラエティを得た大きな要因が、ナッシュの存在であり、カントリーテイストとブリティッシュポップをブレンドし、彼の日だまりのような優しいパーソナリティを混ぜ込んだ永遠の名曲です。
 
Our Houseも同様に優しさと美しくもポップなメロディに溢れた一曲で、ジョニとの生活と世相を対比させるように歌っており、どこかビートルズを感じさせる部分もあります。
 
クロスビー作品は3のAlmost cut my hairと6のDeja Vu。
3はまるでヤング作品かと思うようなハードな曲で、クロスビーの気合いの入ったところを見せてくれる傑作。まるでそれを煽るかのようなヤングのギターがヘヴィなこと。やはり一人一人の個性が傑出していて、それぞれの持ち味を別々にかつ存分に出しきり合ったことが、本作を大傑作に押し上げた、そんなことを感じさせる傑作です。
  
6のタイトル曲もすばらしい。B面の冒頭をかざる一曲ですが、Aの冒頭のCarry onの再現かとおもわせる入りから、すぐに転調し、ロック的なミドルテンポのナンバーに表情を変えながらサイケデリックな色合いを醸し出してゆきます。印象的なハーモニカは、元ラヴィン・スプーンフルで、ナッシュをスティルスとクロスビーに引き合わせたジョン・セバスチャン。 
 
ヤング作品は4のHelplessと9のCountry Girl。
Helplessはヤングの代表曲といっても良い名曲。
こんな曲を惜しげもなくここで発表したことが、かえって彼の世間的な評価を高め、以降の彼のソロとしての大成功へと繋がっていきました。彼は本作の出た70年3月の半年後の70年9月、代表作となる3枚目のソロ「After the gold rush」を発表しスーパースターへの道を爆進します。
9のCountry Girlは、アルバムの終盤を飾るにふさわしい壮大なアレンジの一曲。
 
5.Woodstockは、クロスビーに発掘され元彼女でもあり、当時はナッシュの彼女だったジョニ・ミッチェル作品。ハーモニーの美しさとソリッドなギターの切れが中盤を引き締める本作のもうひとつハイライトの一つでしょう。
 
ラストの10はヤングとスティルスの共作。やはりソリッドなギターとコーラスが、高いテンションと緊張感を保って、するどく迫ってきます。そして転調、美しいです。
 
やはり前作のCS&Nと比べて、格段に曲の粒が揃っているし、ソリッドさがかなり増しています。ふたまわり以上は成長したかのように感じさせるのは、ニール・ヤングの加入の効果なのでしょうか。おそらくはそれが良い刺激となって、4人それぞれが全盛期といって良いくらい実力を発揮し、グループという妥協がそれを中和してしまうことがなかったこと、が成功した要因なのでしょう。 
 
アーシーでカントリーテイストを感じさせつつ、イギリス的で繊細かつポップな新味を混ぜ合わせた新たなアメリカンロックは、その後のウェストコーストロックだけでなく、ツェッペリンなど世界中のロックに影響を与えました。
 
 
3声コーラスの平等な均衡のハーモニー、ソリッドなギター、優しさに溢れたメロディ、それらは同時にウッドストックやヒッピーカルチャーや、そんなものをひっくるめた色々を映し出した時代の代表的なサウンドトラックのような作品なのでしょう。この作品がすばらしく、いつまでもフレッシュさを失わないこと、永遠の魂を吹き込まれたこと、それがあの時代の”肝”だった大切なことを伝えてくれているのでしょうし、それは多分普遍的なことである気がします。そんなことに感謝と感動をあたえてくれつつ、その後の4人の歩みについての歴史の味わいをも感じさせてくれる作品です。
 
ロック史上最高レベルの傑作です。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

洋楽名盤・新譜 レビュー 更新情報

洋楽名盤・新譜 レビューのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング