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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのプライマルスクリーム「エクスターミネーター」

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Primal Scream 「Xtrmntr」2000年UK
プライマルスクリーム「エクスターミネーター」
 
 
1 Kill All Hippies (04:57)
2 Accelerator (03:41)
3 Exterminator (05:49)
4 Swastika Eyes (Jagz Kooner Mix) (07:05)
5 Pills (04:17)
6 Blood Money (07:03)
7 Keep Your Dreams (05:24)
8 Insect Royalty (03:35)
9 Mbv Arkestra (If They Move Kill Em) (06:41)
10 Swastika Eyes (Chemical Brothers Mix) (06:33)
11 Shoot Speed/Kill Light (05:19)

 
Bobby Gillespie(Vo)
Robert Young(G)
Andrew Innes(G)
Martin Duffy(Key)
Gary"Mani"Mounfield(b)
+
Kevin Shields(Mixing)


プライマルスクリームというバンドは、同時代を生きる伝説です。
 
もしも仮に自分がバンドをやるとして、かつ才能があったなら、彼らのような音楽性、道をたどりたい、彼らのようでありたい、と妄想したりします。
その面において、僕はどのバンドよりも圧倒的に共感を覚えます。
 
 
ぼくは彼らのことを、こう理解しています。
スコットランドのグラスゴー近郊のスプリングバーン、という街で、労働組合のリーダーをしていた彼の父親の影響からでしょうか、ボビー・ギレスビーには、同時代の社会を生きる者としての、社会的な問題意識が強く働いていると思っています。
 
考え方の根っこに社会主義的な影響はあるかと思われます。社会の現場にある我々と、感覚を共にし、わかちあい、それを同時代の音として、代弁者として鳴らしたい、そう心底願っている、そういう問題意識が、潜在的にある気がします。
 
そしてもう一つ重要なことは、ボビー・ギレスビーという人は超超超偏執的に音楽ジャンキーということです。薬の方のジャンキーでなくなった今でも、音楽に対しては変わらずジャンキーです。この偏執ぶりが、他のどのアーティストよりも図抜けた徹底ぶりだという点で、傑出しているのだと思います。
 
 
1980年後半、DJ達によってファンクを初めとするブラックでハウスなダンスサウンド「アシッドハウス」が英国にもたらされ、それがユースカルチャーとして、ドラッグ”エクスタシー”によるトリップ感覚を伴った「レイヴ」という名のムーブメントになりました。
 
ストーンローゼスの項でも述べましたが、それダンス、ハウス、ドラッグ、と集団的連帯感、がロックとリンクしてゆくことによって、ロックが生き返ってゆく様、いわゆるマッドチェスター現象をまのあたりにしたギレスビーは、ほんの少し時期的にも遅れ、少し離れた地方からそれらを見ることが出来たために、それを過不足なくすくい取って、音に変えることに成功しました。
 
それが91年の「スクリーマデリカ」でした。
それが歴史的な一枚になったのは、彼が本物の音楽ジャンキーだったから、彼自身が音にどっぷりと浸りきる張本人でなければ、あんな音は出せるはずもありません。
 
 
つまり、常に彼の中に、「音楽ジャンキー」であり、つねに音楽に偏執的にこだわりつつおぼれていたい、という想いと、「時代の音を鳴らしたい、時代と共にありたい」という2つの想いが交錯している、のだと思っています。
 
 
正直言って、「スクリーマデリカ」については、個人的には後追いです。
91年当時は反応できていませんでした。
しかも聴いた後でも、ドラッグをやらない身としては、100%リアルに体験した、体感したとは言えないと感じています。
つまり「時代性」という意味では、スクリーマデリカを聴いたときはすでに、その革新的な音は、多くのフォロワーによって踏襲されまくった後でしたので、あまりにも典型的な英国的ロックアンセムの数々は、ここから始まったのか、という感慨だけがありました。
 
しかし音のジャンキーっぷり、には圧倒されました。
英国的アンセムは数あれど、ここまでどっぷりとロックという音の世界に、浸りきっている、その覚悟のようなものは、他では出会ったことのないものだったことは間違いありませんでした。心の底から、一身をなげうって、ロックという音のドラッグに身を投げ出して、私利私欲を捨てて、同時代を生きる者のアイコンになろう、というまるで政治的な闘士にも似たような覚悟、を感じました。
 
まるで70年代か、というほどの長尺のリフレインは、ロックがロックらしかった時代の郷愁と共に、本気で、今の時代にこの音を鳴らそうとしている奴がいる、という感激がありました。
この”覚悟”こそが、彼らを時代の寵児たらしめているものだと、私は考えています。
 
 
彼らは時にカメレオンのように音楽性を変える、といわれることがしばしばあります。しかし、もしも彼らが、後付けで時代の気分を音に変えるだけの、器用で作為的なだけの戦略家だったとしたら、これだけ共感をえることはなかったはずです。
 
かれには、時代を生きる覚悟、と音楽へのあくなき偏執愛がある、それが彼の音楽的変節の後ろにあるので、だまってファンは彼の後をついてくるのだと思います。
 
 
4枚目のGive Out But Don't Give Up(94年)も、9枚目のRiot City Blues(06年)も、ロックにダイナミズムを取り戻させたファンクサウンド、R&B、ストーンズそのものに立ち返ってみよう、ということで理解できます。
 
復活作と言われた97年のVanishing Pointにしても、ダヴという音を通して時代とシンクロしようとしたことの現れとして、とても自然な感情の流れだと受け止めることが出来ると思います。
 
 
そして、この「エクスターミネーター(2000年)」が、今のところ私の中で、最も共感できるアルバムです。
 
今までの彼らの実験的な要素、がすべて自然に詰め込まれている”充実感”をすごく感じることが出来るからです。
ファンクで、ハードコアで、エレクトロで、かつ完全にトリップしています。
さらに、フリージャズまで混ざっています。
 
つまりこれは、”Higher than the sun”であり、”Rocks”であり、”コワルスキー”でありつつ、さらに新たな領域に踏み込んでいる、という完全なる集大成的な内容です。
エレクトロでダヴなサウンドも、前作よりもはるかに自分たちのモノにしてしまっていると思います。ダヴという音に引っ張られている感が完全に消え、支配権が完璧に逆転している感があります。この時点でようやく、現代の音で、スクリーマデリカ級の域に再到達しようとしている、のだと思います。やはり、スクリーマデリカは、彼らの中でも、相対視せざるおえない巨大な存在だとは思います。
 
 
それはさておき1曲目のKill All HippiesからMBV Arkestraまで、まったくイカれています。脳みそが爆発した上に、溶けてしまうようです。運転中には危険かも。
 
そして何よりも、この音の中に、”今”の私自身の鬱屈や心模様が、不思議なほど近いものが鳴らされている、ということです。時代の少し先を行く音の洪水の中に、新しい音の配合による混沌の先の化学反応の中に、見事に今の我々の時代の気分が響き渡っています。
 
この暗く内省的な時代にあって、どうすれば我々のどす黒い内面とロックのダイナミズムが共鳴し合うことができるのか、言い換えれば、こんな時代のロックアンセムは何なのか、どうしようもないこいつらに何を聴かせてやれるのか、俺がお前らと共に生きて、何を共に歌えるのか、ボビーの兄貴はずっとそれを考えているんだと思います。
 
 
Evil Heatの時のインタビューで彼は「俺はパンクロッカーなんだ」という発言をしていました。それは、私には、ここにきて彼が、あくまで自分自身に正直であろうとしているように写りました。
 そしてニューアルバム。まだ現時点で試聴程度ですが、とても楽観的なムードの漂う内容になっている、ときいています。
 
そして、それは"今"の彼のメッセージとして、常に一歩我々の先を歩む彼らの、一貫したメッセージなんだと、そういう感じがしています。


コメント(5)

プライマルスの多様な音楽性が見事に調和した現時点での最高傑作だと思います。今後コレ以上の作品を作れるのかどうか?
生きる伝説ですね。
これからどんな歴史を刻んでくれるのか。
はじめましてexclamation
自分はオアシスとかなノリでプライマルのこのアルバムに手を出したんですが、あまりに無機質で攻撃的すぎて、(一部ボビーのラップっぽいのとか)敬遠してたんですが、このレビュー読ませてもらってもう一回聴き直してみようと思いましたわーい(嬉しい顔)
じゅらさん、コメントありがとうございます!!ウインク
オアシスに関しても語りたいことがたっぷりあるので、いつかレビュー書きたいと思います。両者はアラン・マッギーのクリエイションレーベル出だということ、労働者階級ということ、ストーン・ローゼスの影響を受けていることは共通してますが、表に出てくる音楽性やスタンスは随分違いますよね。
本当ですねexclamation全く違う音なのに影響を受けたバンドを辿っていくと交わったりするのもまた面白いですねexclamationそして今マニがプライマルにいるというのも興味深いですわーい(嬉しい顔)
自分はオアシスファンなのですが、先日雑誌を読んでいて、oasisの弟分みたいな存在のカサビアンがプライマルの「エクスターミネーター」からの影響を公言していました電球今回のレビューとカサビアンを通過した耳で今またエクスターミネーター聴き直してます耳
oasisのレビュー楽しみにしてますわーい(嬉しい顔)長文失礼しましたあせあせ(飛び散る汗)

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