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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのMC5「Kick Out The Jams」1969年US

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MC5「Kick Out The Jams」1969年US

 
1. Ramblin' Rose
2. Kick Out the Jams
3. Come Together
4. Rocket Reducer No. 62 (Rama Lama Fa Fa Fa)
5. Borderline
6. Motor City Is Burning
7. I Want You Right Now
8. Starship
 
 
デニス・トンプソン(ドラム)
フレッド・スミス(ギター)
マイケル・デイヴィス(ベース)
ロブ・タイナー(ボーカル)
ウェイン・クレイマー(ギター)
 
 
私たちが、日常の中でわすれてしまいがちなもの、本気で、いや死ぬ気で何かに取り組むこと。熱に浮かされたように、熱く。
 
68年、世界はそんな若い熱さに揺れていた。
大暴動となったシカゴ民主党大会、その渦の中で演奏していたのは、MC5だった。
 
文化による自由の革命は、社会を本気で変える気でいた。
アメリカ政府当局の政治的な思惑や、危険分子の取り締まりや、警察権力による暴力の数々は、かえって彼らを煽るだけだった。
 
”ここではないどこか”に、自由の楽園をもとめて、Jamってるヒッピーとは、熱さの方向性が完全に、違っていた。ジャムってるようなぬるい奴らはけっとばせ(アルバムタイトル「Kick out the jams」)。
 
マネージャー役になったジョン・シンクレアの活動は反体制的なものとして、MC5を時代の大きなうねりの中に巻き込んでゆく。かれの逮捕に抗議したジョン・レノンは「ジョン・シンクレア」を書いて歌った。
  
 
公民権に絡む黒人暴動とベトナム反戦運動に燃える1966年にシンクレアと出会い、デトロイトのCBGCともいうべきグランド・ボールルームとハウス・バンドの契約を得た彼ら。ジミヘンが、ジャニスが、ザ・フーが演奏し、誰もがここで演奏することを求めて集まった場所。
正統派R&B、ブルース、ジェイムス・ブラウン、チャック・ベリーに影響を受け、似たルーツと方向性をもつThe Whoに影響を受けた。
 
 
ライブアルバムの冒頭は、血も沸騰するようなロブ・タイナーの演説と熱狂する観客の反応で始まる。
 
"自分自身が問題(problem)になるのか、それとも答え(solution)になるのか、ブラザー&シスターズ、5秒で決めろ。5秒でこの惑星におまえがいる目的に気付け。そして行動に移すまで5秒だ。証明(testify)するときが来た。証明する準備は良いか。おまえ達に証し(testimonial)をやろう、MC5だ。"
 
徹頭徹尾、初めから終わりまで、毛の先からつま先まで、怒り、だけではない不当な弾圧に対する反抗、革命への使命感、に充ち満ちている。使命感の名の下に、自分は自分以上のものになり、同じ思いでつながった者同士が、観客も演者も超えた連帯感を生み出し、ホール全体が火の玉のよう。
 
 
ロブ・タイナーのボーカルは、決してうまくはないが、かといって切れ切れに叫ぶだけではなく、ちょうど良い具合に歌っていて、R&Bの影響の原型を見せている。野獣のようなパワフルでタフなスクリームはアメリカンロックに通ずるひとつの形だろう。
 
そして時折見せる縦ノリ一辺倒ではない抑揚のきいたパフォーマンスに、R&Bに裏打ちされた彼らの才能の片鱗を感じさせる。
 
そして何よりすばらしいのは、ウェイン・クレイマーとフレッド・スミスのダブル・ギターの何と雄弁なこと。タイナーの演説以上に熱く激しく、かきむしるような叫びをあげていく。
 
このすばらしいギターノイズによって本作はある意味ギターロックアルバムといっていいほどだ。これほどかっこいいギターアルバムを、他にそれほど知らない。 
 
 
1991年に再発されたリマスターCDによせたロブ・タイナーのライナーが泣かせる。
革命に翻弄され、政治的な色の強さゆえに色目で見られ、このライブアルバム以降は商業的な成功はなく、ゆえにパンクやヘヴィメタルの起源だと取り扱われる以上には社会的な評価も、同じ時期の同じデトロイトのストゥージズに劣る彼ら。
 
しかし、かれらの戦った足跡は、そんなこととはまったく関係がない。
 
46歳になった91年のタイナーは言う。
 
  
"あの道程を、我々は共に駆け抜けた。熾烈で過酷なあの道程を。
僕らは僕らの闘争を闘い、石と矢を浴びせられ、それでも数々のバンドが戦ってきた偉大な戦いで僕らなりの勝利を勝ち取った。
 
このアルバムを録音してから多くの物事が変わった。永遠に変わってしまったものもある。でも、今、君たちに語りかけることができるなら、僕らがかつて味わったあの連帯感をもって、こう言わせてくれ。
 
未来の人々よ。
過ぎし日々の深遠なる淵から、君たちに呼びかけよう。
 
夜の雷鳴よ、永遠に!"
  
 
この再発CDがリリースされる前に、彼は心臓発作で亡くなりました。
  
 
個人個人の内面と向き合う内省的なロックが主流の現代。
内向きなストゥージズの方が、今のロックのルーツなのかもしれない。
 
  
しかし、本気で社会を変えようとした熱い気持ち、
浮かされるような使命感に燃えた日々、
自分以上の何かに身を捧げて、同じ思いの仲間と分かち合った連帯感、
 
  
本作は、そんな本気の何か、を今の僕たちに、いつまでも、いつまでも
問いかけてくる
 
この惑星に生まれてきた目的は何なのか
5秒で気付け

Are you ready to testify ?!!

 
パンクとは?ヘヴィメタルとは?
 
そんな域で語る話じゃない何か、
 
英国のデヴィッド・ボウイが、結局はMC5にはなれなかった、と語り、
Rage against the machineが、ボビー・ギレスビーがMC5をカヴァーし、
求めてやまないもの。
  
68年という時代が産み落とした記録が、
無限の何か大切なことを語りかけてくる
 
そういう名盤です。
 
Kick out the jams 

コメント(1)

ランブリンローズのライブ版はいつ見ても失禁物ですよね。
どきどきです。

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