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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのトラフィック「ジョン・バーレイコン・マスト・ダイ」1970年UK

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Traffic「JOHN BARLEYCORN MUST DIE」1970年UK
トラフィック「ジョン・バーレイコン・マスト・ダイ」


Side A
1. Glad
2. Freedom Rider
3. Empty Pages
+4. I Just Want You To Know

Side.B
5. Stranger To Himself
6. John Barleycorn
7. Every Mother's Son
+8. Sittin' Here Thinkin' Of My Love
+9. Backstage & Introduction
+10. Who Knows What Tomorrow May Bring [ Live Version ]
+11. Glad [ Live Version ]

(Producer) Steve Winwood, Chris Blackwell, Guy Stevens
Steve Winwood (vo,g,org,p,b,dr), Jim Capaldi (dr,perc,vo), Chris Wood
(fl,sax,perc)
 

なんだかわからないが、とにかく後期トラフィックは自分の感性の壺に面白いほどはまってくる。前期トラフィックを経て、クリーム後に強力なボーカリストを求めていたクラプトンとウィンウッドが組んだブラインド・フェイスを経験してから、ウィンウッドとトラフィックは急変する。それもとても良い方向に。
   
未だスペンサー・デイビス・グループの延長上のR&B路線に引きずられていた部分が、クラプトンの自由なインプロヴィゼーション、フリージャズに影響を受けたせいか、完全にフリージャズの影響を表し始めたのが、この後期トラフィック第1作であり、傑作「ジョン・バーレイコン・マスト・ダイ」だ。
 
なんといってもロック史上最高に格好良い瞬間のひとつ、と行って過言でない時間がいきなり訪れる。1曲目の「Glad」から「Freedom Rider」に移る瞬間がそれだ。前期トラフィックからこれほど彼ウィンウッドを変えたものはなんなのか、本来の彼の音楽性やFreeJazzを彼なりに斟酌した結果もあろうが、やはりファンとしてはクラプトンに影響をうけた、と捉えてしまう。最もブラインド・フェイスでのクラプトンは表に出ることを嫌い、裏方に徹していたわけで、何かを探し求めていたウィンウッドが自主的にクラプトンから良いものを学んだ、という感覚の方が近いのかなと思う。
 
結果的に、クリームよりもよっぽどセンスの高い、フリージャズとロックの融合、つぼを心得たハイセンスなインプロヴィゼーションが展開されることになった。
 
そして、スティーブ・ウィンウッドの、白人レイ・チャールズと呼ばれたホワイト・ソウル・ボーカルが、R&Bを離れたところで逆に際だつことになるのだった。
 
ウィンウッドのソウルフルなブルーアイド・ソウルなボーカルは、思いっきりR&Bな曲の中では、どうしてもオリジナリティが出ずに、ソングライティングの面でも、活かされ切らずに来ていた、のだと思う。
 
最小限に音数を絞り込み、音の隙間を、センスと歌心で絶妙に埋めてゆく。
自然体の気張らないウィンウッドのボーカルが、かえってホワイト・ソウルの彼の資質を際だたせる。前期トラフィックの頑張ったパンパンのウィンウッドのボーカルよりも、はるかに隙間のある後期の自然なボーカルの方が、ずっとウィンウッドの黒さ、良さを浮き彫りにすると思う。
 
 
ここに、ソロ時代にまで至るウィンウッドの本当のトラフィック・ワールドが現出した。
トラフィックはこのアルバムの後、さらにFreeJazz路線、気の利いたセンス良いインプロヴィゼーション路線を突き進む。音はさらに洗練され、抑制され、ウィンウッドの黒さがミニマムな音の中で、大人の黒さを増す。
 
ボーカルの力にとらわれすぎていた、と言ったら言い過ぎかもしれないが、間違いなくウィンウッドはソングライティング、メロディーセンスの才能で生き残ってきたアーティストだ。その本当の道の始まりは、このアルバムだったのではないか、と思っている。
 
 
本作は、後期トラフィックの第一作であり、まだどこか前期の元気なブラック路線の入り交じったバランスの元に成り立った、トラフィックとしてのトータルな意味での代表作、といってよい作品だろう。
 
このジャズ的センスに彩られた洒落たブリティッシュ・ソウル路線は、ポール・ウェラーなど、その後のブリティッシュロックに多大なる影響を及ぼす。 
 
クリームらブリティッシュ・ブルース・ロックのブームがのこしたインプロヴィゼーションは下火になっていったものの、そこにまだまだ見落とされた鉱脈があることを信じ、自らの信じる力で、ブリティッシュ・ロックに一筋の道を切り開き、道筋をつけたウィンウッドのトラフィック。間違いなく、史上に残る名盤であり、史上に残る名バンドの奇跡。
必聴です。
  
Glad


Freedom Rider

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