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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのサウンドガーデン「バッドモーターフィンガー」

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Soundgarden「Badmotorfinger」1991年US
サウンドガーデン「バッドモーターフィンガー」
 
1 Rusty Cage (04:26)
2 Outshined (05:11)
3 Slaves And Bulldozers (06:56)
4 Jesus Christ Pose (06:51)
5 Face Pollution (02:24)
6 Somewhere (04:21)
7 Searching With My Good Eye Closed (06:31)
8 Room A Thousand Years Wide (04:06)
9 Mind Riot (04:49)
10 Drawing Flies (02:25)
11 Holy Water (05:07)
12 New Damage (05:40)

 
Ben Shepherd (Bass), Chris Cornell (Guitar, Vocals), Ernst Long (Trumpet), Kim Thayil ( Guitar ), Matt Cameron ( Drums )
 
 
80年代後半から90年代に精神形成した年代にとって、この音は圧倒的な説得力と共感を覚えるものだと思う。
 
あらゆる大人の言葉は表面的に感じられ、自分たちの築きあげたものへの誇りとプライドで武装されていて、でもそんなものが今の現実とは離れてしまっていることを感覚的に分かっているものにとって、今を共に戦う同士としての説得力をもたない、ドロドロしたそのまっただ中にいるものにとっては、目の前の現実はもっとドロドロした黒い塊のようなもので。
 
サウンドガーデンの地元シアトルを舞台にした「ツイン・ピークス」は、平和そうに見えるシアトルの日常に潜む怖さ異常さを描いたものだった。しかし僕たちにとって、異常さやアブノーマルな暴力性は薄皮一つ向こうの紙一重だったはずだ。なんの不思議でもない。
 
そんな気分を直感的に感じながら育った世代はX世代と呼ばれた。
あらかじめ時代は悪くなっていく、と知っている世代、というわけだ。
 
グランジの草創期を作った伝説のバンド、グリーンリヴァーやスクリーミング・トゥリーズと列んでグランジ第一世代のサウンドガーデンは、ギターのキム・セイルがシアトルの重鎮メルヴィンズからチューン・ダウン法を学ぶことで、70年代の初期ブラック・サバスを持ち込むことにより音楽性を確立させた。周りで鳴っていたドゥームやパンクやハードロックと混じり合うことで、90年代ならでは、彼らのサウンドができあがっていった。
 
彼らがサバスやドゥームに接近したのは、偶然ではないはずだ。絶望的な気分に覆われていた70年代のサバスの黒魔術、悪魔の音楽に相通じる気分を感じていた、ということはあると思う。
 
このメジャー2作目で聴かれる音は、凄まじい。
パンク色が強いナンバーが多いが、現代ハード&ヘヴィロック・ボーカルの最高峰であるクリス・コーネルの鳥肌ものの圧倒的なボーカルの力により、むちゃくちゃに暴力的でいつつスケール感を感じさせる、というサウンドガーデン以外にはあり得ない世界が繰り広げられる。
  
それから切れの良いエッジの立ったハードロック的な音が、ツェッペリンを感じさせます。ちょっとファンクな要素もあり。
 
 
このアルバムの特徴は、その後の彼らの2枚のアルバムに比べると速く、性急な曲が揃っています。特に1曲目からたたみかける中盤までの流れは、ロック史上でも最高の部類にはいるもの。言葉を失います。ただ血が沸騰します。
 
 
僕が思うに、当時感じていたグランジバンドの魅力は、そのミステリアスさにありました。遠く日本から、何か地方都市シアトルで、メジャーでスポイルされていない本当の歌を歌うリアルなロックバンド、それも相当の実力を備えた、荒々しいリアルなバンドが蠢いている、的な。メタルとも違う、REMとかカレッジ系とも違う、ひげ面のかれらこそ、その象徴でした。まさにシアトル勢の黒幕、兄貴分的な。
 
 
ニルヴァーナらを輩出したシアトルのサブポップレーベル自体、サウンドガーデンを売り出すことをメインの目的に立ち上げられた、という話も、映画「Hype」でされていました。荒削りなニルヴァーナやその他のグランジ勢と違って、彼らは相当の実力を備えていて、頭一つも二つも抜けた存在でした。
 
 
このアルバムのあとのニルヴァーナ、パールジャム、スマッシング・パンプキンズらのブレイクで一気にシーンが世界レベルになり、兄貴分であるサウンドガーデンが満を持して用意したアルバム「Super unknown」の発売前夜、先行シングルだったか「Spoonman」がラジオで流されていた頃、確かに彼らがロックバンドとして世界を制圧した瞬間があったことを、なぜかとてもよく記憶しています。
 
 
このアルバムの後、彼らは「Super unknown」でもそうですが、比較的ゆったりしたスケール感のあるナンバーを出していきました。わりとドロドロした感じが薄いナンバーが増えた気がしました。
 
 
もともとニルヴァーナとかパールジャムと比べて、兄貴的な彼らは、インタビューなどでも結構受け答えも大人、な部分がありました。特に曲に政治的なものを持ち込むのを非常に嫌い、U2のことを相当けなしていました。純粋に音楽的にグランジなバンドで、そのヘンが少し違っていました。ある意味では、音楽的にプロフェッショナル、職人系の臭いが孤高の「侍」のような雰囲気、クリス・コーネルやキム・セイルの風貌もどこか古武士然としているように見えました。
 
またある時は、パールジャムやニルヴァーナら後輩が良い作品を作って売れたことによって、俺たちが妥協しないで、すきな音楽を追究することができる状況になったんだ、という意味の発言をしていたりしました。
 
 
そんな大人な部分が、「Super unknow」を比較的落ち着いた、やや作られた感のある音にさせ、さらにラストアルバム「Down on the upside」を散漫なものにしてしまった気もします。
破滅への道をたどり短く散っていったニルヴァーナやアリス・イン・チェインズ、やや大人でプロだったサウンドガーデン、どちらも長くは続かなかった。皮肉なものです。 
  
クリス・コーネルのボーカルは、ロック界の至宝、ザック以外のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンと結成したオーディオ・スレイヴでもさらに強力なボーカルを披露してくれていて、大変うれしく、ソロとなった今後の動向も気になるところです。
 
本作はそのジャケットのように、ドリルのようにうなりをあげて、目の回るような、つんのめるような演奏を聴かせるこのアルバム、ムワッとするほど男臭がこもったパンク・ハードロックアルバムであり、まぎれもなくグランジロックシーンを作った時代の爪痕、名盤なのです。圧倒的です。
 
 

 


コメント(2)

過去の記事まで丁寧なコメントありがとうございます!
クリス・コーネルには又バンドを組んで欲しいもんです。
大人のパンク・ハードロックを聴かせてもらいたい。

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