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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのブルー・マーダー「ブルー・マーダー」 

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ブルー・マーダー「ブルー・マーダー」 
Blue Murder 「Blue Murder」1989年US
 
1. Riot
2. Sex Child
3. Valley of the Kings
4. Jelly Roll
5. Blue Murder
6. Out of Love
7. Billy
8. Ptolemy
9. Black-Hearted Woman
 
 
ジョン・サイクス(Vo,G)、カーマイン・アピス(dr)、トニー・フランクリン(b)
  
最後の正統派ブリティッシュハードロックの継承者、ジョン・サイクス様。
アイリッシュ・ハードロックの雄シン・リジィの薫陶を受け、その人間くさい叙情派ハードロックの世界の普及に、再評価に一役買いつつ、しっかりその後継者としての存在感を発揮されてます。
  
ゲイリー・ムーアの後継者として、というよりフィル・ライノットの気まぐれでシン・リジィに加入した後は、言わずとしれた白蛇ホワイト・スネイクのギタリストに迎えられ、LAメタルが斜陽期にさしかかった1987年、ハードロックの原点回帰のようなLAメタルとは一線を画す本格派ハードロックで世界を席巻し800万枚以上売りまくったのが、ホワイトスネイクの「(邦題:サーペンス・アルバス)White Snake」だった。このアルバムで白蛇に大ブレイクの機会を与え、アルバムの出来に多大なる貢献をしたのがジョン・サイクスだということは今となっては明らかといっていい。
 
シン・リジィ譲りの泣きのメロディとHR期のゲイリー・ムーアとジミヘンからの影響もうかがえるワイルドで腰の据わった縦横無尽の魂の節回し、超キャッチーなフックのあるメロディを書けるサイクスの才能が、パンチのあるカヴァーデイルのこれ以上ないほどの正統派ボーカルと交わることで生まれた大傑作だった。
 
プライドの高い2人が当然のように決裂した後、相当な決意と自負を共に結成したのがブルー・マーダーだ。ベースにザ・ファームにいたトニー・フランクリン、ドラムには初めコージー・パウエルが入ったが、なかなか進まないアルバム制作とボーカル選びに脱退してしまい、後釜にコージーとは因縁のある、ハードロック界のパイオニア・ドラマー、カーマイン・アピスが入った。ハードロックが難しい時期に入った来た時代に、シン・リジィへの愛情とプライド、白蛇への恩讐、という熱いモチベーションがサイクスを突き動かして作らせた、といった感じのブルー・マーダーだった。
 
ドラムのカーマイン・アピスはヴァニラ・ファッジに始まり、カクタス、ベック・ボガート&アピス、ロッド・スチュワートらとの歴史的な仕事に関わってきたハードロックドラマーのパイオニアであり、ツェッペリンのジョン・ボーナムやコージー・パウエルにも影響を与えたといわれ、このアルバム時点では42歳、現在も還暦を過ぎて現役の生き仙人だ。
 
しかしこのアルバムではベースのトニー・フランクリンが大きな働きを見せてくれている。トニーはフレットレスベース(フレットのないベース)使いとして有名だが、このアルバム全体を幻想的な雰囲気で包み込むのに大きな貢献を果たしている。ディストーションなどSEを駆使してサイクスのメロディアスな楽曲群を、よき時代のブリティッシュロックの模糊とした印象に作り上げている。
  
 
自分的には1曲目のRiotが一番好きだ。幻想的な雰囲気で始まり、エッジの効いたギターと腹からしっかり出された良く通るサイクスのボーカルが一気に曲を加速させながら、ギターと絡み合う。そして徐々に曲は幻想的な雰囲気の中にわけいってゆく。霧の立ちこめたジャングルの中に迷い込んでゆくようなメロディの中で、印象的なドラムが緊張感をたたき出し、蛇のようなベースが歩を共にする。まさに本作を象徴するような名曲だ。
 
続く「Sex child」もサイクスの血気が見え隠れする未完成な感じが逆に味になっていて悪くないし、名バラード「Out of love」、冒頭のドラムが印象的な「Blue Murder」、「Billy」などの粒ぞろいの曲が揃っている。
 
本作に続く2ndも大好きなアルバムだが、その後トニーもアピスも抜けて、アルバムは音像のくっきりしたものになり、ポップよりになる。
 
そうしてみると、この1stアルバムは、自分を首にしたカヴァーデイルへの恩讐とサーペンス・アルバスを作ったのは俺だ、ということを音そのもので証明してやる、ということだけで作ったものではないのだ、と思う。
 
ここで聴かれるブリティッシュな音へのこだわりは、正統な継承者としての高すぎるプライドが、白蛇アルバムを遙かに超えてゆこうとする強烈な意志だろうし、メンバー選びにもそれは見て取れるだろう。そして自分を見いだしてくれたフィル・ライノットの世界への愛情と、それを知るものとしての誇り、サイクスのメロディーメイカーとしての天賦の才能をもってしても、そのシン・リジィの世界には頭を垂れ、愛情と憧憬を持って、あのDancing in the darkの世界をどうにか自分の中に、という亡き親に対する想いのような節回し。2ndの後に出されたフィル・ライノットに捧げたLiveアルバムも泣きまくっていて最高だが、そこでのハイライトの一つがこの1stの冒頭をかざる「Riot」であることを考えても、自分が何者であり、どこへ行きたいのか、目指す高みとおのれをはっきりと自覚した男の決意のアルバム、それがこの1stの緊張感を生み出しているのだと思う。名手2人と白蛇脱退直後、という要素があってこそ生まれた名盤だった、ということは否定はできないだろうし、こういうアルバムが出たのも、「サーペンスアルバス」の直後、がギリギリ最後の時代だった、と言えなくはないかもしれない。
 
しかし、このアルバムからはや20年近く、再びこの3人がBlue Murder名義のアルバムを出してくれたら、と思わずにはいられません。他に誰がブリティッシュHR/HMの普遍性を謳って回れる生き証人がいるでしょう。サイクスは今49歳。まだまだ良いアルバムを出してもらいたいところです。

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