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洋楽名盤・新譜 レビューコミュの「メロンコリー〜そして終りのない悲しみ」スマッシング・パンプキンズ 1995US

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Smashing Pumpkins「Mellon Collie & The Infinite Sadness」1995US

■dawn to dusk
01. mellon collie and the infinite sadness
02. tonight, tonight
03. jellybelly
04. zero
05. here is no why
06. bullet with butterfly wings
07. to forgive
08. an ode to no one
09. love
10. cupid de locke
11. galapogos
12. muzzle
13. porcelina of the vast oceans
14. take me down

■twiright to starlight
01. where boys hear to tread
02. bodies
03. thirty-three
04. in the arms of sleep
05. 1979
06. tales of a scorched earth
07. thru the eyes of ruby
08. stumbleine
09. x.y.u.
10. we only come out at night
11. beautiful
12. lily (my one and only)
13. by starlight
14. farewell and goodnight


ビリー・コーガン(Vo,G)、ジェームス・イハ(G)、ダーシー(B)、ジミー・チェンバレン(Ds)


言わずとしれたメガヒットアルバムであり、スマパンが大きくスケールアップし、その絶対的な世界観で圧倒し、グランジという枠から一気に突き抜けた傑作。

2ndまでの真綿のようなナイーブさを脱ぎ捨て、自らの内にある残酷さと可憐さ、暴力性と優しさ、絶望感と希望、激しさと静寂、天使と悪魔、そんな両極端なものが同居する矛盾した複雑で繊細な気分を洗いざらいぶちまけた、そんなアルバムだ。

その結果、2枚組である上に、起伏も激しく、ぎっしりと中身が濃く、圧倒的なボリュームを感じさせながら、ビリーコーガンの天才的なメロディーセンスによって、全曲がシングルカットできそうなクオリティを保っている。


オーケストレーションと繊細なメロディ、ボーカルの対比が美しい"Tonight, Tonight"の入ったdawn to duskよりも、個人的にはtwiright to starlightが好きだ。

"Thirty Three"、"In the arms of sleep"、"1979"への抑えた流れ、後半の"Beautiful"から"Lily"、"By Starlight"、"Farewell & Goodnight"への流れは何とも言えない。彼らの繊細な多様な要素が、絶妙なブレンドとバランスの上でゆったりとした味わい深い世界を生み出している。"Farewell & Goodnight"では悟りのようなニールヤングのような空気を醸し出してすらいる。


始めてビリー・コーガンのインタビュー記事を何かで読んだときに、その冷静で客観的でかつ情熱的なバランスのとれた受け答えにとても驚いたことがある。

他のグランジ系バンドと違って、ビリーにはメジャー指向的なものがあるというバッシングもあった。でもそれは正確ではないと思う。そしてこのことを考えることは、このバンドの精神性のありかを知る一つのきっかけになる気がする。

2ndの頃のインタビューなどで、ビリーは「初めの頃は、ライブで自分のために演奏していたが、今はいかに良いショウにするか、いかに良い曲を良い曲として演奏するか、ということに腐心するようになった。エンターテインするという意味ではなくて」という意味のことを言っている。

また2ndのツアーの中で、ビッグになってゆくバンドと、それに伴って倍増してゆくバンドのことを余り理解していないオーディエンスとの葛藤、ツアーのフラストレーション、完璧主義・進歩主義でバンドの尻をたたかなければいけない立場で生じるメンバーとの軋轢、癒しのための曲作り。そういう状況の中で、この3rdの2枚組の曲は書かれていったようだ。


つまりビリー・コーガンという人は、確かに完璧主義者で、進歩主義者かもしれないが、自らの音楽的嗜好、デペッシュモードやキュアーやニューオーダー、マイブラッディバレンタインのような英国勢、ニューウェーブ系などからの影響、それでいて米国のバンドらしい大胆で豪快なハードロック、ヘビーロックな部分、という自らの資質をきちんと見つめていた、ということなのだろう。シカゴ、という場所で、シアトルともロスともNYとも離れた場所で、ナチュラルに、喧噪の外からシーンを見つめていた、という気がする。

そして、ガレージでパンキッシュなグランジ全盛の中にあって、あえて荘厳なオーケストレーションを伴った2枚組をぶつけてきたのだ。そうすることにより、かえってバンドの資質である繊細で危うく暴力的で優しい、という内面的な部分が際だつことになったのだ。
そういう彼らの音楽性の中に他のグランジ、パンク勢とは違う方向性があっても然るべきなのだ。批判はあたらない、と思う。


イハとビリーの独特のギターサウンド、ベースのダーシー、ラウドで力強いジム・チェンバレンのドラム、どれもが揃って3rdまでのスマパンサウンドはなりたっていたし、4人の愛すべきキャラの立ち方も他のグランジバンドにはあまりないことだった。

ドラッグでメンバーを失い、一緒にいた常習者ジムを解雇したときも、ジムを再び迎え入れてダーシーと決別したときも、イハと仲違いした後も、ビリーは音楽に対する完璧主義で向かい合ってきたはずだが、黄金の4人のメンバーが揃っていた3rdまでの初期の音にはマジックがあったことは、今となっては明らかなのだろう。

ビリーは別のインタビューで1stアルバムの「ギッシュ」の頃について、「あのナイーブさはとりもどせない、特に僕らのような体験をしたバンドはね」と語っている。

本作は全米初登場1位。全世界では1000万組以上のセールスを記録し13カ国でNo.1。このアルバムでマルチ・プラチナ及びゴールド・ディスクを21ヵ国で獲得。グラミー賞最優秀ハード・ロック・シングル、アメリカン・ミュージック・アワード、オルタナティブ・最優秀アーティスト賞を受賞。

極端な二面性が同居する繊細で内面的なサウンドは、同時代の内面性を最も正確に映し出し、僕らと共にあった。4人のメンバーの写真はいつも僕らと共にあるような気がしていた。そうして今に至る90年代の気分を代表する存在として、スマパンはいたと思う。

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