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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのブラインド・メロン「スープ」

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Blind Meron 「SOUP」1995年US

1.Hello Good Bye~Galaxie
2.2X4
3.Vernie
4.Skinned
5.Toes Across The Floor
6.Walk
7.Dumptruck
8.Car Seat (God's Presents)
9.Wilt
10.The Duke
11.St. Andrew's Fall
12.New Life
13.Mouthful Of Cavities
14.Lemonade
15.Soup*"Bonus Track in Japan"

「No Rain」
http://www.youtube.com/watch?v=qmVn6b7DdpA
「Toes Across the Floor」
http://www.youtube.com/watch?v=PCP0G6z0aEo


シャノン・フーン(Vo),クリストファー・ソーン(G),ロジャース・スティーブンス(G), グレン・グレアム(Dr),ブラッド・スミス(B)

私のフェイバリットバンド、新譜が出れば即買いアーティスト、になりつづけるはずだったブラインドメロンの名作2ndアルバム「スープ」を紹介。

各地からLAに集まった彼らはメジャー各社の争奪戦の上、91年にキャピトルと契約し、ニールヤングのプロデューサーDavid Briggsのもとでレコーディングを進めるが、最後でお蔵入り、そんな時にガンズのアクセルローズに見いだされてDon't cryのレコーディングに参加、シャノン・フーンの個性的なボーカルが改めて見直され、テンプルオブザドッグ、パールジャムのプロデューサーRick Parasharによる再レコーディングを経て、グランジ全盛の92年ようやく、ガンズのアクセルローズのバックアップで、という売り文句がぎりぎり成立する位の時期にだされたデビューアルバム「Blind melon」で、シングル「No Rain」が全米2位の大ヒットになりブレイクをはたした。

1stアルバムからかなり彼らの唯一無二の個性は炸裂していた。ヒットしたNo Rainは例外的な曲であり、大半はとても多種多様な音が渾然一体となっているものだった。南部テイストの音、レイナードスキナードやオールマンブラザース、グレイトフルデッドらからの影響、エルトン・ジョンやビートルズ、トラフィック、フロイドのシド・バレットら英国勢の影響、まるで南部のビッグバンドジャズのような音、シャノンのボーカルや効果的使われるギターからかいま見られるツェッペリンテイスト、カントリーテイスト、ブルーステイスト、それでいてプロデューサ陣の影響かグランジ的なパンキッシュでガレージでまとまらない良さ。そしてなんといってもシャノンフーンのある意味アクセル並の変幻自在の高音ボーカル。

93年にはニールヤング、レニークラヴィッツらとツアー、94年にはウッドストック'94に参加、ストーンズの前座をつとめ、グラミーでは新人賞にノミネートされるなど、音楽の神に見いだされたような実力と限りない潜在力、彼らの前には歴史的なビッグアーティストへの洋々たる未来が広がっているとしか思えなかった。

94年からはニューオリンズでアンディ・ウォレスのプロデュースで録音開始。
しかしこのころにはかなりシャノンフーンのドラッグ中毒が進行、施設での治療にかかっており、後にこのレコーディングのかなりの記憶がないと認めている。このころ一児が誕生し、2ndアルバムの歌詞の中にも一部親になった気持ちととまどいと喜びがつづられており、今となってはかなり切ない。

そして95年2ndアルバム発表。タイトルが「Soup」と聞いた時点で、まさに彼らの音楽性を言い当てた確信的なそのタイトルに期待度は120%。発売日に買いに行き、封を開けて始めに聞いたときには鳥肌がたったことを覚えている。1曲目の"Hello Good Bye"からGalaxie"への展開の時点で、完全にやられる。先頭打者ホームラン。あの1stアルバムが、まだまだ未熟な状態だったのだと、その時気付かされた。その後もゆったりした1曲目の次はややハードな2曲目、またゆったりしたテイストの違う3曲目、4曲目はカントリーテイストの小品、そして5曲目は静謐で今思えば死の予感を漂わせるような名曲「Toes Across The Floor」。6曲目はアコギとハーモニカのアコースティックな曲。以下後半はやや静かなもの悲しいトーンの曲がつづく。1stから一貫して短い曲の多い彼らだが、このあたりではややどっしりした大曲傾向の名曲が続く。全く捨て曲がないばかりか、1曲ごとの曲の個性がたっており、1stアルバムがアルバム単位でみるとやや似た感じの曲がならびメリハリに欠けたのに対し、2ndは断然の飛躍である。曲ごとのテイストにバリエーションがあるだけでなく、1曲の中でのアコースティックなスタートから分厚くハードな展開への移行と多彩なボーカルの表情、といったように格段の進化がみられる。


彼らの曲に一貫してかんじられる切なさ、やるせなさ、バックの演奏は南部テイストで人間的なぬくもりをかんじさせる土臭く暖かいものなのに、なぜか感じるひんやりした印象。これは歌詞の内容からくるシャノンの心の内が、音間からにじみでるものだろうか。


「生きている甲斐がないと感じたら
 立ち上がって辺りを見渡し
 そして空を見上げることだ

 誰もが明日という日の断片を担っている。
 いろんな行き方があるさ
 俺たちみたいなやり方もな
 ずっとこのままじゃいられない
 だから今日書き留めておきたい。
 俺が描けば、続く奴らが色を付けてゆくだろう。

 そして去ってゆく俺を見てやつらは言うだろう
 『みろよ、あいついったいどこへ言ってしまうんだ。』
 つらい人生に立ち向かうには自分を変えるしかない。」
 (1st "Change")

「俺は言った。
 『神様、少しは助けてくれたって良いじゃないか。
  この俺にも救いの手をさしのべてくれよ。』
 
 今なら分かる、俺はいつだって正しいんだ。
 こんなふうにおもったのは初めてだ。

 これがおれお新しい信条だ。
 代償は小切手で払ってやる。
 そうやって生きていく中で
 俺の魂は徐々に奪われてきた。」(1st "Dear Old Dad")

「なんにもない海におでかけ。
  いるのは魚と俺だけ。
  ここで死ねたらいいと思う。
  次には高い波に打ち倒される。

  僕は波に打たれ、土色になる。
  波に強く打たれる。
  僕は生きている。
  
  たったひとりで。」(2nd "The Duke")

「僕は今までのことをあれで良かったんだと言い続けるだろう。
 やり方も知らずにひとを育てなきゃならないのか。

 どうやって生きていけばいいの。
 今自分たちの生きるこの世界で。」 (2nd "New Life")

1stでは悲しさの中に青さと優しさと希望が入り交じっていたが、2ndになるとやや絶望感とすがるように希望を求める歌詞が増えている。

彼らの魅力は、その豊かな音楽性だけではない。特にデビュー後1stアルバムの頃に見せていたあどけない、といってもいいくらいの彼らの表情、特にシャノン・フーンの童顔な無垢な印象、声にしてもハスキーながら高音で、ヒットしたNo Rainもビデオはミツバチ少女?だし、5人は共同生活を通して絆をふかめたという逸話などからかんじられるイノセントな印象と、歌詞に見られる苦悩と悲しみとよるべなさ、孤独感、とのギャップ。
さらに上で触れた偉大なロック・ジャイアンツからの遺産を見事に抱え込み、のみくだしてしまう器のでかさ、こうした意外性の組み合わせ、という魅力をかれらは持っていた。

そしてアルバム本編はコンセプトアルバムのようにカーミット・ラフィン&リトル・ラスカル・ブラスバンドのにぎやかな南部のパレードのような音でしめくくられる。

本作は華々しかった1stと異なり、評価も厳しく、チャートリアクションも28位にとどまった。内容に狂喜し感動した私には、そんなもんかという感じだった。No Rainほどのシングルヒットもなく、ツアーも厳しかった模様。まだツアーをするほど回復していないという医師の判断も大丈夫と振り切り、一時はカウンセラーを同行させて2ndアルバムのツアーを決行するも、開始後1ヶ月と少し、バスの中で1995年10月21日、コカインの過剰摂取で死亡。享年28歳。

典型的なグランジロックとは違うし、伝統的なロックをふんだんに受け継いでいると言っても、それらのどれにも似ておらず、今時のヘヴィさとも全く違う。王道中の王道を行きながら、唯一無二の音を作り上げ、表現してしまう才能、他のいつでもない「今」の時代の空気を吸ってはき出された切なく悲しく無邪気で優しいはずの世界。

ニールヤング、ストーンズ、ガンズ、レニクラら王道のロッカーに愛された時代寵児たるべき本格派、だったはずのブラインドメロンはもういない。ひんやりした秋の風は彼らの暖かくて切ない南部サウンドを音を思い出させる。

コメント(2)

はじめまして。

最近、レビューをUpdateできていないのですが、コメントありがとうございます!!

ブラインドメロン、もう懐かしいっていう位の時間が過ぎたんですね。
つい昨日のことのようです。

マリオンさんも気軽に、好きなアルバムの感想など載せてみてください。是非。


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