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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのデフトーンズ / サタデイ・ナイト・リスト

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Deftones / デフトーンズ
「SATURDAY NIGHT WRIST / サタデイ・ナイト・リスト」2006年11月US

01. ホール・イン・ジ・アース
02. ラプチュア
03. ビウェア
04. チェリー・ウェイヴス
05. メイン
06. u,u,d,d,l,r,l,r,a,b,select,start
07. XERCES
08. ラッツ!ラッツ!ラッツ!
09. ピンク・セルフォン
10. コンバット
11. KIMDRACULA
12. RIVIERE

「Hole In The Earth」
http://www.youtube.com/watch?v=pT9w6GmOsdI

「Digital Bath」
http://www.youtube.com/watch?v=JigvTXm6FVM

「No Ordinary Love」
http://www.youtube.com/watch?v=JxmeTdegS4w

チノ・モレノ(ヴォーカル)
ステファン・カーペンター(ギター)
チ・チェン(ベース)
エイブ・カニンガム(ドラムス)
フランク・デルガド(ターンテイブル)

久々に最近のヘヴィロックバンドを紹介。
デフトーンズはカリフォルニア、サクラメント出身のヘヴィ・ロック・バンド。
本作は5枚目で、すでに中堅からベテラン?の域だ。

グランジ全盛の90年代以降、HM/HR界も大きく変わった。パンテラ、メタリカのブラックアルバム、グランジ勢とよばれたニルヴァーナやアリスインチェインズやサウンドガーデンらのハードロック的側面がHR/HMに与えた影響力は大きく、音はよりダークに重くブラックサバスの影響を進化させたものが大勢を占めるようになりヘヴィロックという大きなくくりが大勢を占めるようになり、単純なヘヴィメタルという言葉自体を一気に死滅させてしまった。なにより時代の空気が、より重く、より激しくダークなものをリアルだと感じ、それを求めていたのだと言えるだろう。

また一方で、80年代からのレッチリやフィッシュボーンらのミクスチャーロックの流れがレイジアゲインストザマシーンの登場により、シリアスなハードロックへ高次元で持ち込まれ革命が起こった。この両方の要素を取り入れたKorn、さらにヒップホップとのミクスチャーの要素を強めたSlipnotやLINKIN PARK、LimpBizkitなどの登場と商業的なブレイク、それも主にHIPHOPが日常に浸透している白人のティーンズ・低年齢層をねらったとおぼしき音楽性とファッションで、中身はといえばスラッシュよりのヘヴィロック・メタルとHIPHOPを混合させ、速くてダークでなかなか過激でかつターンテーブルが演奏陣に取り込まれていたり、ラップのMCがはいっていたりという形態をとったものなどがチャートを席巻するようになった。もともと速射砲のように怒号のようなフレーズを断続的にはき出すようなスラッシュ系のザクザクしたリズム形態はそのままHIPHOPのラッピングと融合しやすいものだったのかもしれないが。

こうしてメタル・スラッシュ勢もヘヴィロック系とHIPHOPメタル的なものというおおきな潮流の中でシーンはニルヴァーナを進化させたようなAt The Drive Inあたりを契機としたFinchやUsedらスクリーモ勢などを加え、さらに多種多様に細分化され、様変わりしてきた。90年代半ば以降のHR/HM界の変容のスピードは、それ以前とは比べものにならない。まるで低年齢化がすすむ日本の女子プロゴルフ界のようだ。それ以前のベテランの姿が急に見えなくなった。
 新しい勢力はそのHIPHOPの配分具合と、商業的な面の比重具合が賛否両論のバンドが多く、硬派なファンの耳に耐えうるバンドは限られ、昔からのHR/HMfanとしては「嘆かわしい」「聞く気がしない」「KIDS化してしまった」という声もよく聞くようになった気がする。
 しかし、レイジやパンテラやAICなど傑出したバンドが出てくれば、その後にタケノコのように玉石混淆のフォロワーが続くことは世の習いというかレコード会社の習いで、その中からまた玉が出てくることによってさらに一歩ずつシーンは動いてゆくものなのだろう。できればその時には、きちんと過去の財産を引き継ぎ、自然にそれらを消化したしっかりしたベースの上に立って、その上で新しいものをミックスさせるなり、新しい個性を出していってもらう、という地に足をつけたバンドに時代を動かしてもらいたいものだし、我々もそんなバンドを聞き分ける耳をもちたいものである。

随分前置きが長くなってしまったが、まさしくこのデフトーンズはそのような実力とオリジナリティを備えたバンドのひとつ、といってもいいのではないかと思っている。

登場したての頃は、HIPHOPメタル系か、と見なされる向きもあり、敬遠される人からは敬遠されていたかもしれない。が、そういう出自のきっかけが良くも悪くもデビューからずっとアメリカでは一定以上のセールスをあげ続け、毎回ビルボードチャートにはトップ10以内に初登場を果たしてきているのも事実である。

彼らのターニングポイントとなったのは傑作3rdアルバム「White Pony」だ。
ボーカルのチノ・モレノの声質は、ザクザクしたラップメタルのフレーズも歌いこなすものではあるが、それ以上にミドルテンポの曲における色気のある声質、天に昇ってゆくような伸びのある声質が誰にも真似できない得難い個性であり、この3rdアルバムでは、バンドのザクザクした演奏隊と耽美的なボーカルが半々くらいに中和されていて1曲の中でも両方の面が顔をだす、という聞きごたえのある曲が揃った傑作となった。特に「Digital Bath」「Passenger」といった超のつく名曲は、歴史的普遍的な名曲の水準に達していると行っても良いだろう。
このような彼らの取り組みは先ほど挙げたスクリーモ系とも饗応し影響を与える存在ともなった。さらにかれらのそのような耽美的なバックグラウンドが暴露されたのが「B-side&Rarities」で同郷の先輩HELMETに納得しつつ、SADEの「No Ordinary Love」やレイナードスキナードの名曲「Simple man」などには驚きつつも出来映えに納得、という感じがした。

そして今回の5thアルバムだが、好き嫌いもあろうが私的にはまずジャケットが良い。中身も、ジャケット同様さらに耽美的な面が拡大され、サイケな浮遊感すらただよっている。1曲1曲が丁寧に作り込まれ、水準が上がっている、とも言える。さらにはただ耽美的になったのではなく、深遠で深く暗い世界を、ハード&ヘヴィとは違う方法論で表現しようとしたときに、プログレ的な、静けさと間合いの方向にそれを求めて行っている、という言い方も出来るかもしれない。逆に速く叫ぶような曲は1,2曲に抑えられている。よりチノ・モレノの個性をバンドとして活かす方向になっているし、もはやここまでくると、ジャンルの域を超えてしまっている。むしろ80年代ニューウェーブ系の影響、たとえばDepech ModeやU2、本人達も公言しているCure、最近で言えばCOLD PLAYからMUSEあたりに通じるものがある。メタル界からのレディオヘッドへの回答、といわれるのもうなずける。しかしインテレクチュアルになることなく、あくまで耽美的で官能的でありながらチープにならないのは、かれらの根っこに過去から引き継いだ遺産が自然な歌心として発揮されているからではないだろうか。プロデューサーにフロイドの『ザ・ウォール』や『鬱』などを手掛けた名手、ボブ・エズリンが迎えられていることもあり、盟友TOOLが現代のキングクリムゾンというならDeftonesは現在のPinkFloid(後期の)と言ったら言い過ぎだろうか。

この5thアルバムで唯一気になるとすればラウドな荒くれた曲が極端に減っていることだ。3rdはその加減がちょうど良かった気がするし、ラウドな曲の出来も、耽美的な曲の中での活かされ方もよかったが、本作の2曲目や8曲目のパンク的な曲におけるチノ・モレノの出来は良いとは言い難い。4thアルバムではそのようなトライがなされた、と言えるかもしれないが、より進化したこの5thアルバムの後で、よりスケールアップしたWhite Ponyを聞いてみたい気がする。

ここで思い出してしまうのはメタリカのことだ。かつてスラッシュ四天王といわれた時代から、ブラックアルバム以後ジャンルを超えた実力と歌心ゆえにドメインを見失ってしまった御大のことだ。Deftonesにはあくまでヘヴィでラウドな持ち味と本作での耽美的な路線を融合させた孤高の領域まで達してもらいたい、と期待してしまうのだ。

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