1 Mr. Tambourine Man (02:29) 2 I'll Feel a Whole Lot Better (02:32) 3 Spanish Harlem Incident (01:57) 4 You Won't Have to Cry (02:08) 5 Here Without You (02:36) 6 Bells of Rhymney (03:30) 7 All I Really Want to Do (02:04) 8 I Knew I'd Want You (02:14) 9 It's No Use (02:23) 10 Don't Doubt Yourself, Babe (02:54) 11 Chimes of Freedom (03:51) 12 We'll Meet Again (02:07)
62年に登場したボブディランは、主にニューヨークはグリニッジヴィレッジを中心に活動し、ポピュラーミュージックに恋愛の歌だけではなく社会性を持ち込み、ポップスの世界を押し広げ、時代的な背景と共に圧倒的な支持を受けていたが、そんなディランですら言葉でメッセージを伝えるフォークの限界と、ビートルズのインパクトを含めたロックという、自由で新しいスタイルの音楽に惹かれ、両者を融合させた「フォーク・ロック」という方向に大きく舵をきった、それが65年の「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」であり、このアルバムから漏れたお蔵入りの曲のカバーを1曲目に入れてアルバムタイトル「Mr.Tambourine Man」として同年に出されたのが、このバーズの1stアルバムである。ディランは、バーズによって蘇り全米1位にまでなったこの曲によってフォークロックへの舵取りを決意、「Like a rolling stone」の誕生に繋がるのである。
バーズの1stと2ndはこの時期のボブディランと期を同じくして、それまでのフォークとビートルズやビーチボーイズのロックを融合させた「フォークロック」の旗手としてアメリカ西海岸において登場し、先の「Mr.Tambourine Man」と2ndから「Turn Turn Turn」を全米1位に送り込み、一気にシーンの表舞台に躍り出、ビートルズに対するアメリカからの回答、とまで言われる存在となった。 ディランにさえ与えたその影響はさらにビートルズにまで逆輸入され「Nowhere man」「If I needed someone」などはバーズの影響を受けて作られたという話もある。
1stでは4曲がディランのカバーの他はブリティッシュビートへのコンプレックスを感じさせるような曲も多いが、逆にそれが初々しさ、フレッシュさや勢いのようなものを感じさせている気がする。2ndでもディランは2曲がカバーされているが、メンバーの個性が徐々に発揮され始めており、フォークロックの形は大幅に進化されており、全体としては1stよりもすこしゆったりと構えた印象を受ける。7曲目ではクリスヒルマンが持ち込みジーンクラークが歌うカントリーが早くも後期のカントリーロックの萌芽を感じさせる。10曲目「Wait and see」などからはREMやトムペティへの影響を感じさせるものがある。
65年の11月に「Turn Turn Turn」を1位に送り込んだ彼らだが、その10ヶ月後の66年9月にはサイケデリックロックを導入した「8 miles high」を発表し、その音楽性を大きくシフトしてゆくことになる。