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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのREM「Automatic for the people」

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REM「Automatic for the people」1992年US

01. ドライヴ
02. トライ・ノット・トゥ・ブリーズ
03. サイドワインダー・スリープス・トゥナイト
04. エヴリバディ・ハーツ
05. ニュー・オリンズ・インストゥルメンタルNo.1
06. スウィートネス・フォローズ
07. モンティ・ガット・ア・ロウ・ディール
08. イグノーランド
09. スター・ミー・キトゥン
10. マン・オン・ザ・ムーン
11. ナイトスウィミング
12. ファインド・ザ・リヴァー

Michael Stipe(Vo)、Peter Buck(G)、Mike Mills(B)、Bill Berry(D)

僕の初REM体験はアルバム「Green」だった。
その頃聞いていたのは80年代はやっていたLAメタルや産業ロック、もしくはニューウェーブ系のポップス。ホワイトスネイクもボンジョビもマドンナもカルチャークラブも悪くはなかったが、今でいえばビッグサウンドが全盛で、それが当たり前だった。そんな時にたまたま聞いたのが「Green」だった。一聴した印象は、なんだこれは、とにかく新しい!!、だった。

とにかく当時の全盛だったマッチョなハードロックやメタルや
ボスのような力強いボーカルとは対局の、ヒョロヒョロと弱々しい鼻が詰まったようなカエル声のくせに、やけに堂々と主張して、確信に満ちた声で政治的なことを歌って、かつNo1バンドとして受け入れられている?!
そんな何か新しい得体の知れないわくわくするような可能性が待っているようなそんなインパクトを受けたことを覚えている。

一番印象に残っていた曲は「Stand」だった。
「おまえが今いる場所で立ち上がれ」なんてシンプルなこと歌ってる、それだけのことなのに、何故かいつまでも記憶に残る、そして気がつくと「Stand in the place you live 〜」と口ずさんでしまっている。音もシンプルで短くて、メロディアスでポップで、どこか懐かしいほっとするような、とにかくビッグサウンドが蔓延する中でその音は、とてもとても新鮮に響いた。
  
REMの足跡を少し振り返っておく。

イギリスでポリスのマネージャーをしていたマイルス・コープランド(ポリスのドラムのスティーブの兄)がアメリカでのパンクの状況に業を煮やし1979年にロスで設立したレーベルがIRS(International Record Sindicate)。
マイルスの共同経営者ジェイ・ボバーグは元々メジャーレーベルのA&M社でカレッジ・ラジオ局の担当者だった。
カレッジラジオ局は、ほとんどが学生たちのボランティアによって運営され、各大学の非営利のFMラジオ局は商業主義に影響されずに音楽を流すことが可能であることを知っていた彼はそこに目をつけ、このカレッジラジオのネットワークと協力関係を結んで、メジャーの商業主義的音楽に対し、独自の音楽性をもったバンドの発掘、この場合特に反メジャー的な等身大の、パンク的なバンドの発掘を始めた。
つまりメジャーなものに対するオルタナティブ、の発掘を目指した。

特にアメリカという国はイギリスと違ってニューヨークやLAなどの限られた大都市以外は広大な田舎ばかりで、知的なロックであるパンクが受け入れられにくい土壌だったが、大学生とその周辺のインテリ層の音楽マーケットをネットワーク化することでパンク的な音楽が受け入れられる市場を創出した。さらにアメリカ全土に散らばる大学を擁する中規模都市のローカルな音楽市場と、ローカルで活動する各地元の個性豊かなバンド達を含んだ音楽シーンをもとりこむことになった。
このことによりカレッジラジオネットワークは、その地方ごとの多様な音楽性、多様なバンドが次々に登場してくる新鮮な土壌として機能し、そうしたボトムアップな魅力に溢れたカレッジラジオのネットワークは、その代表的なバンドREMの成長と共に、大きな音楽勢力となって、その代名詞である機関雑誌CMJ(カレッジミュージックジャーナル)とともに、オルタナティブ、という言葉自体を体現しているといってもいい存在となっていく。このことは、音楽界マーケティング上の一大発見であり、メジャー一辺倒で閉塞感のあった音楽界に風穴を開けたることになった。さらにはそのことが、ローカルにあって商業主義に流されず独自の音楽性を保つこと、現代のロックに求められる多様性にこたえうる個性として機能してゆく、という90年代から現在にいたるまでのロックの潮流がここから生まれていった、と言っても言い過ぎではないだろう。
そして当然この流れの先に辺境都市シアトルでおこった、いわゆるグランジのムーブメントも、ある。
  
REMは南部のジョージア州アトランタ近郊のアセンズという町の出身であり、今でもそこを本拠として活動している。
上で触れたIRSから6枚のアルバムを出し、IRS最後の87年の「ドキュメント」を最後に600万ドルでメジャーのワーナーに移籍、88年「Green」、91年「Out of time」、92年「Automatic for the people」となる。ここまでのアルバムはどれも劣らない傑作ばかりだが、特徴を言えば「ドキュメント」あたりは政治色が強く、「Green」ではパンク色の強いコンパクトな曲が多い印象、そして「Out of time」ではストリングスやホーン・セクション、ペダル・スティールなどが取り入れられて幅が広がり、とてもポップで、中でもピーターバック(G)がマンドリンを使ったシングル「Losing My Religion」は全米1位を記録、「Out Of Time」は1000万枚を超える大ヒットを記録した。そして「Automatic・・」では一転、静の雰囲気を醸しつつもメロディーとボーカルの伸びやかさがすばらしく、前作をこえる1500万枚を記録、世界的なバンド、現代最高のロックバンドの名をがっちりと刻み込んだ。いずれも甲乙つけがたい傑作ばからいだが、アルバム全体の総合点でいうと「Automatic・・・」がやはりベストだろうか。昔は圧倒的に「Out of time」だったし、「Automatic・・・」は暗くて嫌いでほとんど聴かなかったが、10年経った今では一番好きなアルバムだ。なぜかふいにこのアルバムのことを最近思いだし、今聴けば絶対にはまるはず、と思ったらやはりそうだった。聞き手の年齢と共に聞こえ方が変わる、というか少し大人になるとよりわかるアルバムなのだろう。

REMのサウンドの魅力は、フォークロックやカントリーロックの要素とパンクの影響、それにポップなメロディーセンスがマイケルスタイプの伸びのある声と絡み合う時の何とも言えない雰囲気にあると思う。特にフォークの影響は大きな魅力のポイントになっていると感じるが、それはフォークというよりももう一つ前のフォークロアのようなエスニックな雰囲気にあると思う。「You are the everything」などはツェッペリンを思い出しまった。それはピーターバックのマンドリンやバンジョーと+αの編曲によってももたらされていると思う。
またマイクミルズのコーラスもバーズの影響が感じられて良い味を出しているし、彼ら自身フォークのジョーンバエズやNYパンクのパティスミスの影響を公言している。

かれらのもう一つの魅力は、その楽観的な雰囲気にある、と思う。決して線の太くないマイケルのボーカルが伸びやかで明るいユーモアをたたえているのは、彼らの精神性に、無垢な楽観性から来る確信、荒唐無稽とすらいえる希望、そんなものが歌の背景に感じられたからではないだろうか。
決して明るいとは言えなかった80年代から90年代にかけて、かれらのそのようなオプティミズムに支えられた等身大の歌が一条の光のように、すっぽりと時代の真ん中にはまったのだと思う。彼らのパンクサイドの曲ではメッセージも曲構成もとてもシンプルで、ユーモアすら感じるところに魅力がある。
時代がそんな無垢な希望の歌を望んでいたし、彼らの精神的成長と音楽的成長がぴったりとそこにはまったことによって、かれらは巨大な存在になった。

彼らはずっと地元アセンズから活動拠点を変えていない。メジャーに移ってからも、かれらの精神的状態をそのまま映し出したアルバムを制作してきた。そのことが後に続いてきたオルタナティブのバンド達から尊敬を受ける理由なのだろうか。それはつまり、一度売れるとレコード会社からその路線を踏襲することを強いられ、自由な創造が制限されるものなのに、彼らはおもうままに曲を作り、一般的な売れ線ではないフォークやパンク路線の曲にファンがついてくるということに対する羨望なのかもしれない。だとすると彼ら自身はあまりそれは意識していないことだろう。もともと彼らの中にある豊穣な音楽的才能や要素がそのまま世間に感慨されたのだから、これほど幸せなことはない。

無垢な彼らと時代がシンクロした「Automatic・・・」までの、特に最後の4枚は、その意味でエバーグリーンに輝きを失うことはないだろう。

しかし時代と彼らの精神性の蜜月も永遠ではなかったのだろうか。
94年の「Monster」あたりから何かが変わった。
時代も変わった。カートコバーンが自殺し、グランジバブルがはじけた。オルタナティブはREM自身やソニックユースやなんといってもREMチルドレンたるグランジムーブメントで、ロック界をこえた社会現象となり、大きく社会に浸透し良い意味で当たり前の存在になった。

彼らも変わった。世の中にはうまくいかないことが多い。ドラムのビル・ベリーが去り、長年のマネージャーで5人目のメンバーといわれたジェファーソン・ホルトも去った。苦渋にみちた社会の酸いと甘いをかみしめて無垢な楽観性を土台にしたマイケルのボーカルから伸びやかさが失われた気がするのは気のせいだろうか。
べつにそれは後退だとは言わない。彼らは当然ながら精神性を一つ大人のステージに移行したということじゃないだろうか。
もともと彼らはその時々の正直な精神状態を、正直に歌にしてきたのが彼らだったのだから、彼らが変わればかれらの歌も変わる。彼らは元々アセンズで自分たちの思うままを、自分たちの尊敬するアーティストの影響を自分たちの中にあるそれらの要素を好きなように実験しながら演っていただけだったはずだ。

芸術性は商業主義に勝りうる、オルタナティブのあるべき姿を、圧倒的な芸術性の勝利で証明してきたのがかれらだった。そして時代がかれらとシンクロしなくなっても彼らのスタイルははじめから何も変わらない。これからも変わらないだろう。それこそが彼らが尊敬を受けてきた理由であり、商業主義と相反するオルタナティブであることそのものなのだろう。

コメント(9)

長っ(。・艸・)ハッ! すごいですねぇ。

こんなに↑難しい事はわかんないけどウッシッシ
彼らの音は好きだし出会ってから、もうかれこれ15・6年聴いてます。(LPもってたたらーっ(汗)歳がバレルぅ)
今どうしてるかも知らないけど・・・思い出したかのように今でもたまぁ〜に戻っていくCDです。
このアルバムは20世紀の名盤ですね。私はマイケルは天才だと思います。ファインド・ザ・リヴァー とかエヴリバディ・ハーツとか凡人にはなかなか書ける詩じゃないし、彼の声がまたいいですね。

そうですねー、また秋にあいますね、これも。
曲を聴くと当時のことを思い出したりするものですが、
季節や風のにおいやなんかでデジャブのように曲を思い出すなんて
逆のパターンもあったりしますよね。物思う秋にあうアルバムって感じですか。
僕はまだガキなのでグリーンが1番好きです!
やっぱしout of timeでしょ。名盤です。
このアルバム名盤ですけど個人的にはOut Of Time です。
新作まだ聴いてないですけど、どうだったんでしょうか。
あまり世間のリアクションが話題になっている気がしないんですけど。
いまいちなのかな。

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