ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

ぼくの映画採点表(2006〜2011)コミュの2008年12月度篇

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「ラースと、その彼女」「百万円と苦虫女」「ワールド・オブ・ライズ」


ぼくの採点表<12月度篇>

☆・・・20点
★・・・ 5点


『ラースと、その彼女』 ☆☆☆★★★

 久しぶりに腹を抱えて大笑いさせもらえた。ネット販売で手に入れたリアルドール(セックス人形)との恋愛問題に苦悩する内気な青年と周囲の人々との温かい関係が、ユーモアとペーソスを交えながら静かなタッチで懇切丁寧に描かれる。
 少年期のトラウマで対人関係が苦手になってしまった純真無垢な青年ラース(ライアン・ゴズリング)は、特に女性との接触には拒絶反応が生じてしまい、自分に思いを寄せる同僚のマーゴ(ケリ・ガーナー)の誘惑からも逃れる毎日。そんなある日ラースは、ネットで出会ったというガールフレンドのビアンカを連れて、自分を心配している兄のガス(ポール・シュナイダー)と妻のカリン(エミリー・モーティマー)のもとに食事会に訪れることとなる。しかし、ラースと一緒に現れたガールフレンドは、ラースがネット販売で購入した等身大のリアルドールだった。
 監督は、CMを多く手がけてきたクレイグ・ギレスピー。話術の妙とまでは称賛できないが、手作りの良さと間合いの巧さで独特の作風を生み出し、ビアンカの存在感もあって、グッと主人公の妄想世界に引き込まれた。そんな主人公を演じたライアンの変キャラはバツグンだ。これが長編デビューとなったナンシー・オリバーのオリジナル脚本も素晴らしい。


『百万円と苦虫女』 ☆☆☆★★★

 蒼井優という自然体少女のような女優を見事に活かした、女流監督タナダユキの脚本も兼ねた哀愁佳篇。
 大学を卒業したものの定職に就けず実家暮らしのままアルバイト生活を送る佐藤鈴子(蒼井優)は、中学受験を控える弟・拓也(斎藤隆成)に疎ましがられ、家に居づらくなり友達とルームシェアを始めることにするが、のっけから大失敗をしてしまい思いもよらぬ結果で刑事告訴されて前科者となり、再び実家に戻るが近所の目や家族との不和のあまり窮屈になった鈴子は「百万円溜まれば出ていく」と啖呵を切り、あっさり出て行ってしまう。その時から、百万円溜まれば次の居住地を求めて旅立ってゆく“一か所につき百万円”の旅ガラスか根無し草といった遊牧民のような生活が始まる。
 行く先々で出会う人々との交流の中で少しずつ成長してゆく主人公の姿を丹念に映し出し、生きることの困難と幸福をユーモアたっぷり、一抹のペーソスも交えながら、人間ドラマとして描くロードムービー。
 訪れたそれぞれの町で出会う人々に、森山未來、ピエール瀧、笹野高史、竹財輝之助、佐々木すみ江、堀部圭亮ら個性派俳優が顔を揃える。
 なんと云っても、飾らない女優・蒼井優の魅力に尽きる!


『ワールド・オブ・ライズ』 ☆☆☆★★

 またまた大規模ロケーションで大奮闘するレオナルド・ディカプリオが、貫禄ぶり・たくましさを更に増して挑戦する最新サスペンス・アクション。ヨルダンを舞台に、国際テロ組織の内部に潜入し首謀者を追跡してゆくCIA工作員の死闘を描く。監督は、先般『アメリカン・ギャングスター』で話術の妙とその老練ぶりを存分に見せつけてくれた巨匠リドリー・スコット。さすがの骨太な場面作りと老いを感じさせないパワフルなアクション場面の臨場感には畏れ入る。レオナルドと並びもう一人の主役にはリドリー作品常連のラッセル・クロウが登場。やり手のCIA幹部を演じ、現場には一切顔を見せないで本部から電話一本で冷酷な指令を下し、現場で命がけで闘うレオナルドとは対称的な人物として描かれる。
 リドリーの若さに驚きつつも、しかし、敵と味方が大胆に入り乱れての攻防戦のすえ、なんだか焦点が途中からボケてしまったかのような印象を受け、あっさり首謀者が捕獲されてしまうラストには肩透かしを感じる。巧妙に仕掛けた“嘘”と“罠”がストーリー上で巧く活きては来ておらず残念というしかない。レオナルドがヨルダンを追放されたかと思えばヨルダンに戻ったり、拷問を受けたり、居残る決意に達したり、といった経緯も強調し切れていない点が少なくないので、一瞬「あれ?」と考えさせられてしまうのは娯楽大作としては興醒めの一因。
 それでも小生はすこぶる愉しめた映画なのだが。


『K−20(TWENTY) 怪人二十面相・伝』 ☆☆☆★★

 軽妙な語り口とパンチの利いたアクション場面の連続で見せてくれる現代風江戸川乱歩の世界。劇作家・北村想の『怪人二十面相・伝』を原案に、特異なジャンルで脚光を浴びてきた佐藤嗣麻子が監督・脚本を担当し、ダイナミックな映像で怪人二十面相の真相に迫る。
 第二次世界大戦が起こらなかった別次元のとある国(架空都市・帝都)では、19世紀から続く華族制度によって生まれた極端な格差社会で、富の多くはごく一部の特権階級に集中していた。そんな状況下、富裕層を狙っては美術品や金銀財宝を鮮やかに盗み出す“怪人二十面相”が世を震撼させていた。ある日、サーカスで危険な技に挑み続ける曲芸師・遠藤平吉(金城武)のもとに、シルクハットを目深にかぶった謎のジャーナリスト(鹿賀丈史)が現れ、財閥令嬢・羽柴葉子(松たか子)と名探偵・明智小五郎(中村トオル)との結納の儀に潜入して写真を撮ってくるよう依頼をし、報酬の前払い金を残して立ち去る。人の好い遠藤は、貧しさのあまり医者にも行けない状態でいる病身の団長のことを思い、依頼を引き受けることにする。しかしそれは、怪人二十面相が仕掛けた巧妙な罠であり、遠藤はまんまと罠にハメられ怪人二十面相に仕立て上げられてしまう。
 怒涛の展開で最後まで一気に観られるので、物語の細かな矛盾や大げさは一切気にならない。CG技術をふんだんに活用した迫力満点の映像と架空都市・帝都のレトロで懐古趣味的な映像との見事な調和で、江戸川乱歩小説とは一味違った冒険活劇を存分に味わえる。
 ストーリーをもう一ヒネリ欲しいところだが、アクション映画に弱い邦画としては出色の出来栄えなので、まずは及第点としよう。


『トウキョウソナタ』 ☆☆☆★★

 世界が認めるが僕は認めなかった黒沢清監督最新作。ミステリーやホラーなど血塗られた映画が多かった印象の黒沢だが、東京で暮らすごく普通の家族を舞台に、長年の蓄積の中でいつしかズレてしまっていた互いの不協和音の末、やがては完全に崩壊しバラバラとなる悲惨な姿の中に、現代日本社会が抱える現実問題を厳しく映し出した今回のこの作品はなかなかの出来栄えで、大いに感心した。
 リストラされたことを家族に告げられないでいる父親役に香川照之、良妻賢母に疲れ果てた母親役に小泉今日子、日本をさげすみアメリカ軍に入隊志願する長男に小柳友、給食費をくすねてピアノ教室に通い出し次男に井之脇海。そのほか井川遥、役所広司、津田寛司、児嶋一哉ら登場。
 異様な視点での人間観察を得意としてきた黒沢らしく、ある一家の人間模様を探る眼差しは秀逸で、今までにないシャープさが際立っていた。香川と小泉はすこぶる好演。強盗役を演じた役所は少々オーバーで不自然。
 ラストのピアノ演奏の場面はさすがに感動的だが、たった数か月でここまでピアノを上達するわけがないだろうと、現実に引き戻されてしまった。


『画家と庭師とカンパーニュ』 ☆☆☆★★

 機知と味わいと美しさに富んだフランスの映像詩。
 妻とも娘とも折り合いが悪く、パリでの生活にも疲れ果てた画家のキャンバス(ダニエル・オートゥイユ)は生まれ故郷のカンパーニュに戻ってくる。かつて美しい庭園だったが今は荒れ果ててしまった庭を手入れするためキャンバスは庭師を雇うが、やって来たのは偶然にも小学生時代の悪友ジャルダン(ジャン=ピエール・ダルッサン)だった。全く違う人生を歩んできた二人がお互いの過去を振り返り、ささやかな出来事を語り合う何気ない日常を過ごすうち、童心に帰った二人は幸せに充ち溢れたかのように思えたが・・・。
 監督はフランスのジャン・ベッケル。『クリクリのいた夏』など自然の美しさの中に人情の機微を映し出してゆく映像の詩人と呼ぶに相応しいベッケルの最新作もまた、カンパーニュの大自然を、映像が果しうる限りいっぱいいっぱいの描出をもって、老境にさしかかった二人の男の友情を素朴に、優しく、かりそめに、そして感動的につづる。“映画に酔いしれる”とはまさにこの境地。映画を味わって下さい。


『ブタがいた教室』 ☆☆☆★★

 テレビでドキュメンタリー放映され(1993)話題を呼んだ、大阪の小学校の新任教師によるブタ飼育の実践教育を基に映画化した力作。監督に前田哲、新任教師役に妻夫木聡があたり、“クラスでブタを飼育し最後は自分たちで食べる”というテーマに従い、“食育”や“命の大切さ”について真っ向から描く。
 オーディションで選ばれた子供たち26人には、白紙の脚本が配布されるという実験的とも云える方法で撮影が行われ、子供たちが自分たちの感情のままに演技をすることによって、カメラはよりリアルな子供たちの表情を捉える。
 映画的に良いのか悪いのかは別問題にして、子供たちの一生懸命な眼差しにはやはり胸を打たれてしまう。ただし子供たちの“ブタの生命”をかけた白熱戦トークの描写は、はっきり、くどい。大人たちの余計な配慮によるものであろうが、逆にリアルを損ねる。


『アラトリステ』 ☆☆☆★★

 17世紀、西欧を支配下に置く大国スペインを舞台に、実在の歴史登場人物と史実のなかに“アラトリステ”という架空の剣士を登場させ、戦争に明け暮れる男たちの“戦闘”と“愛憎”のドラマを悲愴感たっぷりに描く大作。
 監督はアグスティン・ディヤス・ヤネス。出演者はヴィゴ・モーテンセン、エドゥアルド・ノリエガ、ハビエル・カマラ、ウナクス・ウガルデ、マリアドナ・ヒル、エレナ・アナヤら。
 一つ一つの場面作りは非常に巧く重厚なタッチも慎重で良いのだが、場面ごとの繋ぎがどうもスムースでなく、全体にモタついてしまっているよう。スケール感いっぱいで迫力ある映画なのは認めるが、面白味のない作品であることも事実だ。


『252−生存者あり−』 ☆☆☆★★

 巨大台風に襲われた大都心・東京を舞台に、地下鉄の構内に閉じ込められた人間と、彼らを救おうとするレスキュー隊員らとの災害に立ち向かう死闘を描く“脱出”と“救出”の大スペクタクル・パニックムービー。
 監督は、昨年の『舞妓Haaaan!!!』から大きくイメチェンを図った水田伸生で、災害に直面した人々のパニック、不安、恐怖をうまく描き、なおかつ家族や仕事といったドラマ部分も丁寧に加味する。
 出演は、この手の映画での主演が似合ってしまう伊藤英明。他に内野聖陽、山田孝之、木村祐一、桜井幸子、MINJI、山本太郎、香椎由宇、杉本哲太、大森絢音ら。
 前半くらいまでは手に汗握る興奮をさせてもらえたが、後半は意外にもダレ気味で、物語の変化も期待できず惰性的に引っ張るかの印象。
伊藤の娘役を演じた大森絢音の愛らしさに十分泣かせてもらえたので★一つオマケしよう。


『ミラーズ』 ☆☆☆★

 恐怖映画『ハイテンション』で突然現れ旋風を巻き起こしたフランス人監督アレクサンドル・アジャが、渡米して撮影した傑作ホラーの呼び声高い名作『ヒルズ・ハブ・アイズ』に続くホラー映画が今回の作品で、今までは“殺人鬼”を題材としてきたアジャだが、今回は完全オカルト・テイスト仕立てで、鏡に潜む“魔力”と闘う元警官と、その家族が体験する未曾有の惨劇を描く。アジャは脚本も手がける。
 出演者は、元警官役にキーファー・サザーランド、妻役にエイミー・カーソン、妹役にアンジェラ・カーソン。迫真の演技で恐怖を盛り上げる。
 物語の後半が思ったよりも拡がらず、怪奇現象の真相に関しても衝撃的なオチがなく意外性を期待していたら肩透かしを喰らってしまう。エンディングも腑に落ちない。


『私は貝になりたい』 ☆☆☆★

 今から50年も前にTVドラマとして放映された不朽の名作(のち1959年に映画化)を、オリジナルで脚本を手掛けた橋本忍(映画版では監督も兼ねた)があえて再びシナリオを改訂し、監督にTVドラマで活躍する福澤克雄を迎え、主役の夫婦を国民的人気スターの中居正広と仲間由紀恵が演じ、戦争という悲劇に翻弄された挙句、戦犯として逮捕され“絞首刑”の宣告を下された小市民の絶望を通し、戦争が齎す残酷を、厳しい眼差しで辛辣に問う。
 全編を劇的に彩る久石譲の音楽は素晴らしい。この物語をとくと心得ている。しかし、主演の二人がお茶の間の人気者でありすぎていることが逆効果で、バラエティなどで活躍する中居が死刑囚を演じても、リアルさとはほど遠く、おかし味さえ感じさせてしまうことは残念。仲間も貫禄不足であり、戦中の貧相な女性像とは無縁のイメージ。この二人では“夫婦愛”“家族愛”のテーマにまで迫り切れない。
 脇役に石坂浩二、笑福亭鶴瓶、上川隆也、六平直政、武田鉄也、伊武雅刀、平田満、西村雅彦らなど揃うが殆ど友情出演的存在。福澤監督の演出も、景色にこだわりはしただろうが、一本調子で面白みなく、軽妙なノリは安物感漂う。


『ウォーリー』 ☆☆☆

 西暦2700年。地球はもはやゴミに埋め尽くされ、人類は宇宙に新たな住環境を見出し飛び立ったまま700年もの年月を経ていた。そんな中この荒廃した地球に残された地球型ゴミ処理型ロボットの“WALL・E”は、一人ぼっちでゴミ処理作業を続けていた。ある日、宇宙から新型のロボットのイヴがやってきた。イヴは地球の現状を偵察にきた使者のようだった。700年ものあいだ孤独に荒れ果てた地を片付けてきたWALL・Eは、一目でイヴに恋するが、しかしイヴは宇宙船にさらわれてしまい・・・・。
 ディズニー/ピクサー制作によるおなじみCGアニメーションで、監督は『ファイディング・ニモ』のアンドリュー・スタントンが担当。環境問題を真っ向から描いたアニメだが、あまり重苦しく考えることもなく気楽に観れるのでご心配なく。物語はいたって単調で、あっと驚くような起伏も感動もない。しかもぼくは、始めから終わりまでWALL・Eの存在に馴染めず、彼のとる行動の一つ一つが気に食わなくて仕方なかった。


『地球が静止する日』 ☆☆☆

 1951年公開のSFテイスト映画『地球の静止する日』(ロバート・ワイズ監督)のリメイク。地球の滅亡を告げに突如現れた宇宙からの使者と、地球の危機に直面した人類のパニックを描くSFスリラー。
 宇宙からのミステリアスな使者クラトゥを演じるのはキアヌ・リーブス、クラトゥを信じ擁護する生物学者ヘレン・ベンソン博士にジェニファー・コネリー、ヘレンの継子ジェイコブ役にジェイデン・クリストファー・サイア・スミス、国務長官役にキャシー・ベイツ。
 『ウォーリー』に同じく、地球環境資源問題をテーマとして扱った上で宇宙に目を向け、人類が犯した壮大な罪をSF娯楽の中に訴えかける事においてはさすがに無視できず、深刻に捉えねばならない義務があるのかもしれないが、はたして、この映画の善し悪しを問われれば、全く面白くもない凡作と云わざるを得ない。結局は問題提起のみに終わってしまった映画で、ストーリーの拡がりなど皆目期待できず、演出もメリハリなく一本調子で興味が湧かない。主演のキアヌはキアヌにしか見えず、国務長官役のキャシーは変。ジェニファーが演じるシングルマザーの複雑な家庭環境などは如何にも現代的な姿だが、逆にわざとらしい。
 監督は、スコット・デリクソン。



☆☆☆☆以上 ・・・ダンゼン優秀
☆☆☆★★★ ・・・上出来の部類
☆☆☆★★  ・・・佳作
☆☆☆★   ・・・見ても損はしない程度
☆☆☆    ・・・標準
☆☆★★★  ・・・標準以下だが見ておいてもよい
☆☆★★以下 ・・・篤志家だけどうぞ

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

●「ぼくの採点表」コミュトップページへ●
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1610490

●「2008年度」目録へ●
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=28154242&comm_id=1610490

●「50音順」目録へ●
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=28154121&comm_id=1610490

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

ぼくの映画採点表(2006〜2011) 更新情報

ぼくの映画採点表(2006〜2011)のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。