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ぼくの映画採点表(2006〜2011)コミュの2008年09月度篇

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「おくりびと」「ウォンテッド」「パコと魔法の絵本」


ぼくの採点表<09月度篇>

☆・・・20点
★・・・ 5点


『おくりびと』 ☆☆☆★★★

 突然の楽団の解散で職を失ったチェロ奏者の小林大悟(本木雅弘)は、良き理解者である妻の美香(広末涼子)と共に故郷の山形に帰って来たが、母は二年前に他界しており、父は大悟がまだ幼い頃に若い女性と家を出て行ってしまっていた。大悟は求人広告で「安らかな旅のお手伝い」と書かれた、仕事内容は分からないが好条件の職を見つけ早速面接を受けてみると、社長の佐々木(山崎努)に即採用され日当2万円もいきなり支給される。しかし仕事内容は実は、遺体を棺桶に収める“納棺師”だった。社長は、広告の「安らかな旅のお手伝い」は誤植で、「安らかな旅立ちのお手伝い」が正しいものだと言う。大悟は戸惑いながらも納棺師の見習いとして仕事を始めるが、仕事内容の特殊さから妻の美香には真相を打ち明けられず、「冠婚葬祭関係の仕事だ」と仄めかすしか仕方がなかった。だが、納棺の現場に立会い、死に逝く人の姿を目の当たりにし、佐々木社長の影響も受け、また様々な人間模様に触れてゆくうち大悟は、いつしか納棺師の仕事に魅せられ、そして納棺師であることに誇りを見出してゆく。それは大悟の人間としての成長でもあった。そんな折、ひょんなことから妻の美香にバレてしまい、納棺師の仕事に恥じる妻はとっとと家を出て行ってしまう。
 監督、滝田洋二郎。素晴らしい。意外な題材は非常に興味深かったが、失敗すれば全編お通夜の雰囲気になりそうな映画を、滝田監督お得意のコミカルなタッチで、何とも云えない間(ま)と笑いで軽快に見せ、それでいて深い感動を与えてくれる、大いに感心の2時間10分。これが映画デビューとなるTVの放送作家・小山薫堂の脚本も良い。オタク味いっぱいな独特のこだわりと、あえて空間を閉ざした作風が題材として活きている。
 そして、この題材に見事にアンサーした本木雅弘の演技は抜かりない。多くの悩みを抱えつつもただただ流れに翻弄されてゆく青年を、ぐっと抑えた演技で見せてくれる。その姿がまた、滝田の軽妙なタッチと見事に呼応する。加えて、広末涼子の愛らしい妻は頗る良い。
 その他の脇役陣に、余貴美子、杉本哲太、笹野高史、吉行和子、峰岸徹ら演技派が顔を揃える。


『ウォンテッド』 ☆☆☆★★

 “新次元”という宣伝文句に興味津々だったアクション映画がいよいよ封切り。恋愛も仕事もうまくいかず人生に嫌気がさしていたごくごく平凡な青年が、ある日突然何者かに命を狙われ、助けてくれた女スナイパーの指導のもと特殊訓練を受け、暗殺組織の一員として活躍してゆくという物語。
 ストーリーはなんてこともない在り来たりなもので、ラストのどんでん返しも大した衝撃もないのだが、“新次元”というフレコミどおりの自由自在に弧を描いて的を射る弾丸の扱いがさすが面白く、確かに新感覚のアクション場面にはワクワクさせられる。
 監督は、ロシア人のティムール・ベクマンベトフ。ジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプ、トーマス・クレッチマン出演。原作は、英国人マーク・ミラーの同名小説。
 案外、小規模なまま完結してしまったので少々欲求不満。思えば理不尽極まりない強引な展開も、クライマックスで盛り上げて細かなことを忘れさせるくらい、といった大胆なストーリーが欲しかった。要所要所の疑問符だけが結局は残ってしまう。


『パコと魔法の絵本』 ☆☆☆★★

 一日しか記憶を持てない可愛そうな少女パコのために、周りの大人たちが少女の心に思い出を残そうと奮闘する姿を、奇想天外に描くドタバタ・ファンタジー。
 『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督がメガホンを撮るので、案の定の賑々しさ及びぶっ飛んだ作風で、終始ハイテンション、怒涛の展開で繰広げられる異様なる世界。舞台となる病院は、変わり者ばかりが集う病院であることゆえ、中島の異様タッチも相まって、どう見ても精神病院にしか見えないのがスゴイ。
 映画の元となったオリジナルは、伝説的な舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」とのこと。“ガマ王子vsザリガニ”というのは、パコがいつも読んでいる絵本のタイトルだ。
 この病院に集った奇妙な連中を演じる俳優陣もすこぶる賑やか。役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、國村隼、上川隆也などなど。皆さんやりたい放題で気分よく演じているが、小池栄子の強烈なナースっぷりには特に驚かされた。役所広司が美味しい役どころだがさすがに巧い。最後には一抹のペーソスさえ漂わせる。阿部サダヲの変キャラは中島タッチと抜群の呼応。


『おろち』 ☆☆☆★

 僕が幼い頃より敬愛するホラー漫画家・楳図かずおの作品群の中でも、最もシンプルにして最高作の一つでもある『おろち』シリーズの完全映画化。監督は鶴田法男。
 古代より人の世をさ迷い人間の愚業を見つめてきた謎の少女おろち(谷村美月)が家政婦として潜り込んだ由緒正しい門前家には、日本映画界のトップ女優・門前葵(木村佳乃)がまだ幼い二人の娘と暮らしていた。娘たちは母の類まれな美貌を受け継ぎ、幼いながらも妖精のような美しい姿をしていた。しかし門前家の女たちは途轍もない美しさを持ちつつも、29歳を迎える頃には突然、額や指先に鱗のような物ができ、それが全身に移りゆき果ては化け物のような姿になってしまうという宿命を背負っていた。門前葵も例外ではなく、女優を引退し世間から遠ざかる生活を余儀なくされていた。やがて20年の歳月が流れ、二人の美しい娘は誰もが羨むほどの美しい成人女性へと成長していた。二人の娘・一草(木村佳乃)と理紗(中越典子)は既に状況を把握しており、いつか訪れる美貌の崩壊に怯えつつ暮らしていた。ある日、妹の理沙は死の間際にあった母から衝撃の秘密を明かされる。それはその後の美しい姉妹に起こる惨劇の幕明けとなる真相だった。
 二転三転するどんでん返しは言わぬが華なので何も語れないが、原作を知らない方でも途中からおおよその予測はできるのではないだろうか。若干、展開に白々しさがある。だが、今までの楳図原作モノの実写化の中では、今回の作品が一番の成功作だと云えよう。原作なみの深みや重みはなく、ホラーらしいおどろおどろしさも感じられないままの出来上がりは物足りないものの、原作が何かを超越しえたくらいの傑作なので、その凄まじい世界観に決して追い付けないことは仕方のないことだ。おろち役の谷村は最初どうかなと思ったが、終わってみれば一番好演だったという印象。


『幸せの1ページ』 ☆☆☆★

 対人恐怖症で潔癖症の人気冒険小説家のアレクサンドラ・ローバーと、南の無人島で科学者の父親と二人で暮らす少女ニムの奇跡の出会いを描く冒険ファンタジー風ドラマ。
 小説家を演じるジョディ・フォスターがコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮。犯罪映画やアクション作、人間ドラマばかりが続いたジョディだけにまるで新境地のような作品だが、実はかつて娯楽西部劇『マーヴェリック』(1994)では手癖の悪い女スパイを演じ、見事なコメディエンヌぶりで話題をさらったものだ。少女ニム役には『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリン。愛らしいヒロインを遊び心いっぱいに好演。父親役にはジェラルド・バトラーが扮するが、ジェラルドはアレクサンドラが執筆する冒険小説の主人公アレックス・ローバー役としても登場。
 全体としては、まあ気楽に観れる大人ファンタジーという程度の趣向で、物語も大した膨らみはないし、強引さと矛盾点いっぱいの展開に特別な期待はできない。観終えて幸せになれるのかどうかも人それぞれか。
 監督・脚本はジェニファー・フラケット&マーク・レヴィンが担当。原作はオーストラリア在住のカナダ人ウェンディ・オルーが99年に出版した児童文学『秘密の島のニム』。


『次郎長三国志』 ☆☆☆★

 津川雅彦がマキノ雅彦と名を改め撮った初監督作『寝ずの番』の大成功から二年、待望の第二作目に津川が選んだ題材は、日本映画の黄金時代を築いた娯楽活劇の名匠・マキノ雅弘(津川の叔父にあたる)が13本も手がけた人気シリーズ“次郎長三国志”。人情とチャンバラと笑いが満載の痛快娯楽時代劇だ。
 配役は地味に華やかで、次郎長一家を束ねる親分・清水の次郎長を中井貴一が熱演の他、妻・お蝶に鈴木京香、大政に岸部一徳、小政に北村一輝、森の石松に温水洋一、桶屋の鬼吉
に近藤芳正、法印の大五郎に笹野高史、沼津の佐太郎に大友康平、関東綱五郎に山中聡、大野の鶴吉に木下ほうか、投げ節お仲に高岡早紀、佐太郎の妻・お園に木村佳乃が扮し、次郎長一家に敵対する黒駒の勝蔵を佐藤浩市、三馬政を竹内力が、他にも真由子や前田亜季、長門裕之、蛭子能収、ともさかりえ、本田博太郎、いしのようこ、寺田農、とよた真帆、高知東生、荻野目慶子、勝野洋、草村礼子、朝丘雪路、六平直政らが続々の登場。
 津川の演出はさすがに威風堂々たるもので安心して鑑賞できる。しかし、ウケを狙う笑いのタイミングだけはどうも収まり悪くナンセンスに感じられる。題材が古臭いのはご尤もだが、センスは最先端であってほしいところだ。


『シャッター』 ☆☆☆

 2004年に製作され大ヒットしたタイ製ホラー『心霊写真』を、日本の落合正幸監督がハリウッドでリメイク。仕事で日本を訪れた新婚夫婦に襲い掛かる悪霊の恐怖を描く。夫婦役をジョシュア・ジャクソン、レイチェル・テイラーが演じる他、謎の女“メグミ”役として登場する奥菜恵は大注目。
 いちおうホラー映画の部類なのだろうが、ハッキリ、怖くない。監督の力量に問題もあるが、新婚夫婦の白々しい演技、有り得ないリアクション、ツナギの悪い場面転換、どこからどう見ても奥菜恵にしか見えない奥菜恵などなど、ホラー映画に欲しいスリルやサスペンスが全く盛り上がらない。また、先が完全に読めてしまう幼稚なストーリーも興ざめ。死体と暮らしていた宮崎美子が、特に警察沙汰にもならず平然と火葬が行われている場面には苦笑してしまう。





☆☆☆☆以上 ・・・ダンゼン優秀
☆☆☆★★★ ・・・上出来の部類
☆☆☆★★  ・・・佳作
☆☆☆★   ・・・見ても損はしない程度
☆☆☆    ・・・標準
☆☆★★★  ・・・標準以下だが見ておいてもよい
☆☆★★以下 ・・・篤志家だけどうぞ









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コメント(1)

「ぼくの採点表」コミュにご参加いただいてる皆さん・・・、管理人のへーちん(元ベルイマン)ですが、
今回“9月度篇”のアップが遅くなりまして申し訳ございませんでした。
僕の個人的な問題で暫くmixiを遠ざかっておりましたもので、こんなタイミングでのコミュ更新となっていました。すみませんでした。

今後とも、当コミュを宜しくお願いします。
少しずつではありますが20世紀篇もアップしてゆこうと計画中ですので、どうか温かく見守ってやって下さい。

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