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ぼくの映画採点表(2006〜2011)コミュの2008年07月度篇

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「イースタン・プロミス」「ミラクル7号」「クライマーズ・ハイ」


ぼくの採点表<07月度篇>

☆・・・20点
★・・・ 5点


『イースタン・プロミス』 ☆☆☆☆

 デヴィッド・クローネンバーグ監督の異様な作風と、暗黒街としてのロンドンの無慈悲なる描写に引き込まれる1時間40分。開巻の二つのショッキングな映像に謎をぶちまかしたところから唸ってしまう、見事なバイオレンス・ミステリー。
 舞台はクリスマスが間もないロンドン。ある夜、産婦人科医のアンナ(ナオミ・ワッツ)のもとに身元不明のクスリ漬けの少女が運び込まれる。少女はお腹に子供を身ごもっていたが、子供を産むと息を引き取ってしまう。少女と子供のために家族を探そうと考えたアンナは、少女のバッグから取り出した日記を黙って持ち帰る。日記は全てロシア語で書かれていたが、ロシア出身の叔父(イエリー・スコリモフスキー)に翻訳を頼むことにし、そして日記に挟み込まれていたロシアン・レストラン“トランスシベリアン”のカードを手がかりに、一抹の不安を感じながらもアンナは、セミオン(アーミン・ミューラー=スタール)が経営するその店まで単身で乗り出す。店の前では、暴力的な男キリル(ヴァンサン・カッセル)と、クールで謎めいた男ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)に出会う。
 ストーリーの細かい部分を語ってしまうとこの映画のネタバレとなるので言わぬが華だが、タイトルの“イースタン・プロミス”が“人身売買”をさす意であるとご存知の方は、さすがに展開にピンとくるかもしれない。しかしこの映画、物語そのものより重量感たっぷりの異様な作風に注目したいところだ。この重量感あっての「サウナでの殺戮シーン」はまさに息を呑む見事な場面。手に汗握ると言うよりも、直視するのも困難になってしまうリアルで残酷な描写にはスゴイの一言!
 ヴィゴ・モーテンセンが惜しくもアカデミー主演男優賞を逃してしまったが、今後彼はおそらく賞レースとは無縁となるのではないかと、やや気の毒に思えてしまったので、今回の彼の最高演技に称賛の意を込めて★一つオマケとしよう。


『ミラクル7号』 ☆☆☆★★★

 大変嬉しくなる愛すべき一篇。『少林サッカー』『カンフーハッスル』で監督・脚本・主演を兼ね大ヒットさせたチャウ・シンチー(わがご贔屓!)が、今回も監督・脚本・主演を果たし、SFテイストを加味した父子の愛情コメディに挑む。
 昼夜建築現場で働きづめのティー(チャウ・シンチー)は、息子ディッキー(シュー・チャオ)の大成を夢見て、学がないばかりに貧しく生きざるをえない自分のような人生は歩ませまいと、無理して息子を私立の名門校に通わせていた。学校でディッキーは、貧しいことで教師やクラスメートのイジメの対象になっていた。そんな様子をティーは一切知ることもなかったが、ティーとディッキーの父子は貧しいながらも、笑顔の絶えない平和な生活を送っていた。そんなある日、“ミラクル1号”という学校で人気のオモチャが欲しいとねだる息子のためにティーは、ゴミ集積場から得体の知れないゴム鞠のようなオモチャを拾ってくる。そのオモチャはやがて喋りだし自由に動きはじめる。
 父と子の愛情ドラマは旧くからあらゆるスタイルで描かれてきているが、チャウ・シンチー特別版は、独特のユーモアセンスにあふれ、子供という存在ゆえのオモチャの扱いよろしく、宇宙からの謎の生命体であるにも拘らず過剰なSF講釈は避け、生命体はあくまで主役の父子関係を強調するための引き立て役という存在に徹しているのが良い。失敗したら途轍もなく暗いストーリーになるところをナンセンスギャグで延々貫き、奇妙なおかし味でぶっ飛ばしてくれる。しかしクライマックスはさすがに悲しいショックが待ち構えている。
 息子を演じたシュー・チャオがとても愛らしく楽しい存在。なんとシューは実際は女の子らしい。驚いた。


『クライマーズ・ハイ』 ☆☆☆★★★

 1985年8月12日、群馬と長野の県境にある御巣鷹山で起きた日航機墜落事故をめぐる地元新聞記者たちの一週間のスクープ闘争を描き、真のジャーナリズムとは何かを問う社会派作品。上映時間2時間25分の力作。
 原作は、映画化が相次ぐ人気作家の横山秀夫。横山は事故当時、地元群馬の地方紙の社会部記者として取材に携わっており、自身の体験を基に同名小説を執筆。体験談ゆえなるほどのリアルな物語を、原田眞人が完全映像化。
 出演は、堤真一、堺雅人、尾野真千子、高島政宏、山崎努、遠藤憲一、田口トモロヲ、堀部圭亮、小澤征悦ら。地味な顔ぶれだが見事な演技アンサンブル。ただならぬ緊張感、そして喧騒としたオフィスの中をカメラが縫うように、縦横無尽に動き回るのはサスペンスを盛り上げた。


『カメレオン』 ☆☆☆★★

 裕福な家庭の人間をカモにしてはお金をがっぽり頂戴する詐欺集団のリーダー的存在である伍郎(藤原竜也)は、どこか掴みどころなく謎めいた男で、街で伍郎とたまたま知り合ったインチキ占星術師の小池佳子(水川あさみ)は、そんな伍郎の怪しげな姿を見て“カメレオン”と名付ける。ある日、披露宴で鮮やかなチームプレイを終えた伍郎らのグループは、地下駐車場で偶然、政府要人が黒ずくめの男らに拉致される現場を目撃してしまい、とっさに伍郎はその様子を録画する。それを察知した男らは詐欺グループのアジトを嗅ぎつけ、皆殺しにしようとする。
 阪本順治監督の頗るパンチの利いたアクション映画。藤原竜也が『デスノート』以上にクールな役作りで、そこにワイルドもそなわり謎めいたヒーローをなかなか好演。
 しかし、ストーリーが思ったより拡がらず、ずいぶん狭まった状態のまま終わってしまう。話も時折矛盾しているような場面があり気になってしまい、主題となる“復讐”もそれほど盛り上がってこない。 


『タクシデルミア ある剥製師の遺言』 ☆☆☆★★

 強烈な個性を持った異色ハンガリー映画。原作はハンガリーの作家ラヨス・パルティ・ナジの短編小説だそうだが、それを、ヨーロッパ映画界期待の新進気鋭の有望監督であるパールフィ・ジョルジが映画化。32歳の若さ(撮影当時)でこれだけの世界観を持ったダイナミックな作品を撮ったジョルジ監督の非凡の才に驚かされる。
 ストーリーは、祖父から父へ、父から剥製師である息子へと三世代にわたり受け継がれてゆく奇妙な運命と彼らの生き様を綴ったもので、エロさとグロさを織り交ぜながらファンタジックに描く。
 ストレートな映像表現が逆に不気味で目を覆いたくもなったが、やはり大変興味深い映画ではあった。


『愛おしき隣人』 ☆☆☆★★

 北欧のとある町を舞台に、ロックスターに恋する少女、コミュニケーションのとれない中年カップル、何十年と精神科医を続けた挙句に自分自身がおかしくなってしまった初老の男、軍楽隊の吹奏楽バンドの連中、人生の虚しさを歌う女、食器を割ったことで死刑判決を下される悪夢を見る男、などなど、この町で暮らす人々の日常生活を独特のユーモアと哀愁で描く群像ドラマ。監督はスウェーデン映画界の今や重鎮と評されるロイ・アンダーソン。
 シュールな展開がルイス・ブニュエルを思わせたが、ブニュエルほどの奇抜さや面白さはない。全編に流れる音楽が奇妙な空間を彩り、映画に深みを与える。


『崖の上のポニョ』 ☆☆☆★

 物事を出鱈目に描いたり、子供の我儘を通すことが“童話”なのではない。子供が好き勝手なことを遣らかすことが“ファンタジー”なのではい。そこに善悪の知識が通っていないのでは、それは“お伽噺”と呼ばれるものではなく、得体の知れないメッセージが一人歩きするようでは、正しく一般に“単なる漫画”と評されるものなのかもしれない。そして今回僕が期待に胸膨らませ拝見したこの映画こそが、実に扱いに悩む作品なのである。
 宮崎駿監督、待ちに待った約四年ぶりの新作は、アンデルセン童話『人魚姫』を基にしたファンタジーで、海辺で暮らす5歳の少年・宗介と、人間になりたいと強く願う人面魚(?)ポニョとの友情と冒険を描く。
 宮崎らしい自由自在な世界観、優しい眼差し、アニメーションならではの躍動感、色彩美に関しては相変わらずだが、CG等の技術を一切排除しての手作りへのこだわりや、あえて簡素化したストーリーやキャラクター設定は、大人が見るには余りに幼稚にしか映らず、ここのところスケールのでっかい大作が続いた監督だけに肩の荷を降ろしたのか、若しくは先般映画監督デビューした息子の処女作にして大作でもあった『ゲド戦記』という壮大なる駄作へのあてつけなのか、リキまない手作りの良さを追求した宮崎の執念から出来上がった今作は、宮崎作品としてはやや物足りず、どこからどう捉えても“子供向け夏休みムービー”程度の薄っぺらなものでしかない。多少のメッセージ性やテーマ性が見え隠れするものの、単純明快過ぎてしまうストーリー上では全ての事態が陳腐に映り、説得力のなさや展開の杜撰さが目立ってしまう。稚拙美と評するには遠く及ばず。
 また、“子供向け”と云うには大人として放っておけない場面が少なくない。母親が子供の夕食にインスタントラーメンを出したり、子供が両親を名前(しかも呼び捨て)で呼んでいたり、カルキが飛ばされていない注ぎたての水道水に金魚を放り込んだり、子供の身勝手な我儘が当たり前のようにまかり通ったり・・・と、何でもかんでも“子供向け”だからと安易に片付けてしまうには一考を要する。それに、周囲の意見を無視してまでも嵐の中車を暴走させた上、ヘタクソな運転で子供を命の危険に晒す母親の理解しがたい行動が、わざわざ劇中最大のクライマックスとなっているのも閉口してしまう。
 もう一言あえて申すなら、この映画を彩るファンタジックな世界である“海の精”たちの存在がどうもよく分からない状態のままで、その世界における“掟”じみたやり取りも何のことだか解しがたい結末。
 声の出演には、山口智子や所ジョージ、長島一茂、天海祐希、吉行和子ら俳優として活躍する著名人を集めたが、誰もかれも起伏のない棒読みになってしまっているので、メリハリのない映画に拍車をかけてしまい、途中何度も睡魔に襲われた。
 唯一の救いとなるのは久石譲の音楽だ。さすがに気分良く聴ける。


『ハプニング』 ☆☆☆
 
 毎回、新趣向のサスペンス・スリラーで注目されているM・ナイト・シャマランが、今回も監督・脚本を手がける新作。得体の知れない力に侵された人々が精神を破壊され死に追いやられてゆき、ニューヨークのセントラルパークで発生したその現象はやがてアメリカ全土に広まろうとしてゆく恐怖を描くパニック・スリラー。
 いつもシャマラン監督はどこか中途半端で詰めが甘く、話の展開もあまり拡がりを見せず視野の狭い作品ばかりだなと思ってしまうのだが、今度の場合も相変わらずの野暮ったさで、子供っぽい発想とルーズな話のハコビには気恥ずかしさを覚える。
 主演をマーク・ウォルバーグがかなり熱演してはいるが、妻役のズーイー・デシャネルが激しく大根なものだから、マークが一人空回りしてしまっている印象。ジョン・レグイザモやベティ・バックリーが脇役でなんとか頑張るものの、彼らの物語上の言動にクエスチョンを感じる部分が少なくなく、シャマランによるキャラクター設定の杜撰さをカバーし切れていない。



☆☆☆☆以上 ・・・ダンゼン優秀
☆☆☆★★★ ・・・上出来の部類
☆☆☆★★  ・・・佳作
☆☆☆★   ・・・見ても損はしない程度
☆☆☆    ・・・標準
☆☆★★★  ・・・標準以下だが見ておいてもよい
☆☆★★以下 ・・・篤志家だけどうぞ


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コメント(7)

ミラクル7号見ましたるんるん
笑いと感動とでよかったです手(パー)面白かった〜
ポニョ・・思ってたようにショッキングでしたバッド(下向き矢印)
悪くはないんだけど・・・・ジブリ的に納得できないすよげっそり

あとの映画まだ見てない〜
わたしも「崖の上のポニョ」あせあせ(飛び散る汗)駄目でした。
なんか…そんだけ自分が童心失ったのかなて冷や汗
「魔女の宅急便」はいつ見ても感動するんだけど!?
ポニョとタクシデルミア見ました。
私も、ポニョは大人目線で見てしまって
だめでした。

タクシデルミアは汚い部分満載で
素敵な映画でした、私的に。。。

ミラクル7号少し見たかったんです。
DVDで見ようと思います。
「崖の上のポニョ」 ストーリーも何も知らず観ましたexclamation
描いていたのと違いがあって(大人になったから?)何か残念な気持ち..あせあせ(飛び散る汗)

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