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ぼくの映画採点表(2006〜2011)コミュの2008年05月度篇

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「アフタースクール」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ミスト」


ぼくの採点表<05月度篇>

☆・・・20点
★・・・ 5点


『アフタースクール』 ☆☆☆★★★

 これはウマイ!初監督作『運命じゃない人』(04)で早くも世界の脚光を浴びた内田けんじが脚本も手がけての待望の新作。二転三転するストーリーに振り回された挙句、クライマックスにいたる連続どんでん返し、そして演出の妙、一癖二癖ある役者らのナリキリぶり・・・、何をとってもここ最近の日本映画の中では出色の話術の巧さと云えよう。第一級サスペンス・コメディ。
 物語はある若い夫婦の何気ない朝食シーンから始まり、誠実そうな亭主の木村一輝(堺雅人)が、目の前にいる妊娠中の美人な妻・美紀(常盤貴子)を見ているうち中学時代の淡い告白の場面を思い出す。家には美紀の父親(山本圭)も同居している。木村が仕事に出かけようとするとちょうど中学時代からの友達・神野良太郎(大泉洋)が新車に乗って現れ、木村はその車を拝借し颯爽と去ってゆく。ここまでは平凡な展開でなかなかとっつき難いのだが、会社へと出勤したと思わせた木村が実は会社には向かわずホテルで謎の女(田畑智子)と接触、というところから物語は謎めきだし、木村・神野と並んで三人目の主人公北沢雅之(佐々木蔵之助)が登場してくると一気にスリル感は増し盛り上がりを見せる。北沢は神野の元にやって来ると「中学時代の同級生の島崎だ」と名乗り木村の居所を尋ねるのだが、木村とは既に携帯も繋がらず連絡の取れない状態となってしまっていた神野は、突然消息を絶った木村を探すため北沢と共に行動することとなる。しかし木村の行方を追っていくうちに、今まで実直で心優しいと映っていた木村の姿が、神野の全く知らなかった真実の姿として浮かび上がり、予測のつかない衝撃が続くうちやがて物語は意外な展開を見せ・・・。
 ブラボー!ブラボー!・・・・いやしかし、この映画の良し悪しを語る上でストーリーの巧妙さは欠かせないのだが、如何せん、云わぬが華の展開ゆえ何も語れないのが痛し痒し。ざっと書き出したストーリーもほぼ導入部にしか過ぎず、これ以降の流れを書き出すとネタバレになってしまう。それほどこの映画のストーリーは重要なのだ。映画全体に罠が仕掛けられていると申すべきか、上記のストーリーも僕が初見で引っ掛かった先入観のまま書き出したものであり、真実とは不一致な部分があることも注意しておきたい。伏線の張り方、小物の使い方もサスペンス映画らしく上出来で、二転三転する中で巧く活用されている。
 こういったウェルメイドな秀作は大歓迎。どんどん日本映画で製作されるべきだ。


『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 ☆☆☆★★★

 ダニエル・デイ=ルイスが二度目のオスカーを獲得した作品。監督はポール・トーマス・アンダーソン。労働階級の貧しい男が石油採掘により富と権力を得て石油王の名を欲しいがままにするという、一見、夢を掴んだ男のアメリカンドリームの様相だが、物語はこの男の異常なほどの石油採掘への執念と、成功の裏で多くのものを容易く犠牲にしてゆく冷酷非情な姿を丹念に追ってゆき、やがて身も心も滅んでいったすえ家族すら失ってしまう終幕までが、乾いた映像と厳格なタッチで描かれる。
 ほぼ全編ワンマンショーとなったダニエルの演技は納得のオスカー。30年にわたる主人公の変貌と葛藤を見事に熱演。胡散臭い神父を演じたポール・ダノも印象的だが、ダニエルの息子役を演じたディロン・フレイジャーの凛々しい表情は良かった。


『ミスト』 ☆☆☆★★★

 久しぶりに完成度の高いB級ホラー映画を観られて嬉しくなったので★一つオマケ。人気ホラー小説作家スティーブン・キングとは三度目のコンビネーションとなるフランク・ダラボン監督の本格派パニック・ホラー。
 開巻、嵐のショック場面からいきなり観客を引きずりこみ、あれよあれよと云う間に町全体を覆う得体の知れない濃霧(ミスト)に悪寒を感じさせ、ドラッグストアに偶然居合わせた買い物客たちはそのまま避難するように店内に隔離され、そして、発電機の故障を調べるため外に出た店のスタッフが、突然巨大な触手を持った謎の生物に襲われると、店内は騒然とパニックに陥り、信仰心の強さを超越した狂信的なキチガイ女が登場してくると、買い物客たちは見事に扇動されてしまい、皆が理性を失い狂ってゆく。
 同じキング原作だが、今までのダラボンとは全くスタイルの異なるSF趣向の強い恐怖映画となっている。緊迫としたムード作りも巧く、徐々に恐怖を盛り上げパニックを煽ってゆき、次から次へと霧の中から不気味なモンスターを登場させては仰天させ、息をつく間もない展開で一気に畳み込むように見せてゆく演出は、気持ち良いほどパンチが利いている。ただ若干の生真面目さを感じさせてしまうのは惜しい。
 出演は、トーマス・ジェーン、ローリー・ホールデン、マーシャ・ゲイ・ダーデンら。特にマーシャ演じる狂信的キチガイ女はインパクト大で、異常な状況を見事に盛り上げてくれた。
 しかし、ミステリーゆえ云わぬが華のエンディングの残酷は、途轍もないショックを受ける。無念。


『アイム・ノット・ゼア』 ☆☆☆★★

 6人の俳優がそれぞれ異なった角度から演じるボブ・ディランの伝記映画で、07年ヴェネチア映画祭で審査委員特別賞・最優秀女優賞(ケイト・ブランシェット)に輝く、トッド・ヘインズ監督作。
 クリスチャン・ベイル、ケイト、リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ベン・ウィショー、マーカス・カール・フランクリンらが6通りのイメージでボブ・ディランを演じわけ、ディランが活躍した60年代を中心とした舞台のもと、巧みな脚本と編集で6通りのボブ・ディランを同時進行に交錯させ、ポップでアート感覚いっぱいな映像は話術の妙抜群、時折観念的とも思えるファンタジックな世界を織り交ぜながら、一気に見せてくれる。
 しかし、音楽ムーヴィー色が濃いこの映画を二時間見終えるには多少の忍耐が必要で、途中何度も睡魔と挫折に襲われた。


『最高の人生の見つけ方』 ☆☆☆★★

 ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン、名優二人の顔合わせによる感動ドラマ。監督は、いつも優しくハートフルな作品を作り続けるロブ・ライナー。入院中に知り合った初老の男性二人が、余命幾許もない診断を下されたことを機に“死ぬまでにやりたいことリスト”に基づき世界各国の旅に出て、今までの生活では実現不可能だったことへと挑戦してゆく中で、生きる希望・意義を見出してゆき、残る人生を最大限に謳歌してゆく様を描く。
 ジャックとモーガンの確実な演技力で見せてくれる大人のドラマはさすがと云いたいが、それに乗っかっただけのようなロブ・ライナーの演出は如何にも古臭く、監督の人柄ゆえか、真面目すぎて堅苦しくなっている。“世界の旅”も単調すぎて面白味がないので残念。


『ランボー 最後の戦場』 ☆☆☆★

 『ロッキー』最新作を突如作り成功したシルヴェスター・スタローンが、今度は“ランボー”シリーズを20年ぶりに蘇らせ、監督・脚本・主演の三役をこなしたCG使いまくりで現代感覚満載になってしまった大殺戮映画。
 ベトナム戦争後、心に深い傷を負った帰還兵ジョン・ランボーがたった一人で強大な部隊と戦い抜く様にかつて世界は熱狂し共感したが、果たして現代人はこの男の尋常ではない姿を目の当たりにし、どのように捉えるのだろうか。今回はカレン族を弾圧し続けるミャンマー軍事政権に立ち向かう様を描き、相変わらずのド派手な爆破シーンやら惨殺シーンを延々と見せ付けられ、ラストは一体全体何事もなかったかのような大団円に持ち込み、思い込み激しすぎのクライマックスで締め括られる。
 今までの“ランボー”シリーズのような内面を覆う闇を強調することもなく、アンチヒーロー像剥き出しという印象もなく淡々とオハナシは進んでしまうから、まさしく殺人ショーかテレビゲームかといった類のもの以外の何物でもなくなっている。しかし物足りなさを感じつつも、観終えたあと何かしら気分がスカッとしてしまう、そんな自分は不埒なのだろうか。


『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 ☆☆☆★

 テキサス州出身の国会議員チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)は、社会情勢に対する熱意こそあれど、特に目立った功績もなく、“チャーリーズ・エンジェル”と呼ばれる美人秘書軍団を従え、お酒大好き、お遊び大好きなお気楽議員。ある日、チャーリーの恋人で反共産主義の大富豪ジョアンヌ(ジュリア・ロバーツ)からアフガニスタンの難民を救ってほしいという半強制的な申し出を受け入れると、チャーリーはパキスタンへ赴き、その小国で繰広げられる残酷地獄絵を目の当たりにショックを受ける。そこでは、大国ソ連による侵略が進み、日々子供たちは命を落とし、女性はレイプされ、多くの民が無抵抗なまま大国の犠牲になっていた。難民を救いたいという思いからチャーリーは、ジョアンヌは勿論のこと自ら培ってきた人脈やCIAの偏屈男ガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)らの協力を得て、大国を退けるほどの極秘プロジェクトを展開する。
 監督はいまだに現役で大活躍、新作発表が続くマイク・ニコルズ(撮影当時76歳)。80年代に実在した人物の真実の物語というお墨付きは興味深い。しかし、世界情勢の劇的変化を扱ってはいるが、映画は意外にものんべんだらりとしていてあまりメリハリがない。主人公が感じるほどのアフガニスタン難民らの過酷な現状が伝わって来ないのは残念。その後のプロジェクト遂行に向けたチャーリーの工作が、実際の物語にも拘わらずご都合主義的に思えてしまう。大国ソ連を打ち負かしてゆくところのスリルや達成感も得られることはない。当然結末に感動もなく。


『パラノイドパーク』 ☆☆☆★

 青春映画なら持って来いのガス・ヴァン・サント監督最新作。ひょんなことから人を死なせてしまった少年の不安と焦燥をスケッチ感覚でスタイリッシュに描く。少年の精神世界深くまで入り込み、次第に妄想的逃避を始めてゆく微妙な心の動揺を斬新な映像テクニックで捉える。
 主人公の少年を演じるのは新人ゲイブ・ネヴァンス。ほぼ全編ゲイブ中心に物語は進むが、ゲイブのアンニュイな美しさと存在感で、エンディングまで見事に引っ張る。
 しかし映画的には映像美だけでは成り立たず、発展性のない展開に途中から少々ダレてくる。幻想的に描いたつもりが逆にメリハリを失ってしまって、掴みどころのないものになってしまった。


『相棒-劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』 ☆☆☆★

 僕はあいにく拝見することのできなかったお馴染みのTVシリーズの映画版スペシャル。警視庁特命係の名コンビが数々の難事件を解決してゆく刑事ドラマだが、今回は劇場拡大版というだけあって壮大なスケール、謎の連続猟奇殺人事件を追っていたら、東京ビッグシティマラソンの爆破事件へと発展し、犯人を追いつめたかと思うと意表をついたどんでん返し、そして遂には政界をも巻き込んでの事件の解明、なるほどのスピーディな展開で爆破シーンもたっぷり織り交ぜながら観るものをエンディングまで全く飽きさせない。
 主役の刑事二人はTVシリーズ同様に水谷豊と寺脇康文が演じる。監督はTVシリーズも手がけた和泉聖治。探偵小説的タッチでは手腕を発揮するが、シティマラソン場面などスケールが大きくなってしまうと演出に落ち着きがなくなる。ラストに近付くにつれまだるっこくなってくる。また、タイトルに“相棒”とつけるほど主役二人のコンビネーションは活かされておらず、事件が都合よく紐解かれてゆく展開は些か陳腐。サスペンスとしてはハラハラドキドキ度に物足りなさがある。“相棒”の二人は対称的な人物像だが、どうもそれぞれ白々しい印象も受ける。


『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINSESS』 ☆☆☆★

 黒澤明が1958年に撮った娯楽大作『隠し砦の三悪人』のリメイク。ジョージ・ルーカスが『STAW WARS』を作るのにインスピレーションを得たという話が有名だ。監督は今回、樋口真嗣が担当。出演は、旧作では三船敏郎が演じた侍大将を阿部寛、秋月家の姫に長澤まさみ、旧作での貧乏百姓コンビを威勢のいい若者に置き換えて松本潤、宮川大輔が当たり、敵武将役を椎名桔平が演じるという配役。
 旧作ほどの厳かな雰囲気やリズミカルな展開は味わえず、急展開とド派手な場面の繰り返しで見せるのみなので改めての興味はない。役者陣はなんだか学芸会のような雰囲気で、焦燥を煽るようなBGMで盛り上げはするものの、キャストの薄っぺらな演技が際立ってしまい逆効果。特に長澤まさみが酷く、由緒正しい家系のお姫様とは到底思えない品性のなさ。樋口の演出も中途半端で、全体に間延びしてしまい、パンチの利いた場面はそこそこ評価しても良いが、時折心情メロドラマのような場面が妙な絡み方をしてしまい、映画のバランスを大きく崩す。編集に難を認める。
 これぞ日本映画の魂と呼ぶには遠く及ばず、残念無念。


『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』 ☆☆☆★

 C・S・ルイスの児童文学を映画化した『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(05)の続編。ナルニア国で大暴れしたペベンシー4兄妹が角笛に導かれ再びナルニアへと舞い戻り、王座を奪おうとする叔父ミラースに命を狙われるカスピアン王子を救うべく、そして荒れ果てたナルニア国をミラースの支配下から奪還すべく、巨万の大部隊相手に闘う姿を描くファンタジック・アドベンチャー。
 兄妹を演じるのは前作同様、ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー。カスピアン王子役で今作から加わるのがベン・バーンズ。前作で白い魔女を演じたティルダ・スウィントンも友情出演的に登場。スタッフも、監督のアンドリュー・アダムソンほか前作同様のスタッフが集結。
 前作が特別デキが良かったというわけではないが、ただ前作と較べると今作はファンタジー要素に関しては意外な衝撃もなく面白味に欠ける。4兄妹+カスピアン王子がさんざん死闘を繰広げた挙句ラスト、百獣の王ならぬ無敵の王アスランが姿を出すと瞬時に巨万の敵軍をやっつけてしまい、今までの血が滲むような悪戦苦闘は一体なんだったのかと、狐につままれたかのような肩透かしを喰らう。しかしこれはあくまで子供向けファンタジー。大人がムキになって酷評することもないのである。声の出演のみのリーアム・ニーソン殿・・・・・ご苦労様でした!


☆☆☆☆以上 ・・・ダンゼン優秀
☆☆☆★★★ ・・・上出来の部類
☆☆☆★★  ・・・佳作
☆☆☆★   ・・・見ても損はしない程度
☆☆☆    ・・・標準
☆☆★★★  ・・・標準以下だが見ておいてもよい
☆☆★★以下 ・・・篤志家だけどうぞ


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コメント(1)

「アフタースクール」ノーマークやったでわーい(嬉しい顔)いまやってるやんね!!??
脇役俳優三人が主人公てワケ・・・?そういうの好きやでェ〜指でOK
うわさの「ナルニア」はオレもいまいち。シリーズとして先行き思いやられるかな?がく〜(落胆した顔)
興行成績はええやろから第5章くらいまではなんとか持ちそうかいなたらーっ(汗)

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