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ぼくの映画採点表(2006〜2011)コミュの2008年04月度篇

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「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「王妃の紋章」「スパイダーウィックの謎」


ぼくの採点表<04月度篇>

☆・・・20点
★・・・ 5点


『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』 ☆☆☆★★★

 1960年代、世界各地で勃発する暴動を受けて起こった学生運動を火種に誕生した連合赤軍の実態に迫り、国家権力への闘志と熱い革命魂が、いつしか狂信的なものへと変貌し、山岳ベースの設置と共に過激な訓練を繰り返す彼らは、時には同志を死へと追い詰め、裏切り者や弱音を吐く者は“自己批判”と称し粛清のため次々と陰惨な集団リンチを加えられ、狂気の沙汰が引き起こす悲劇の連鎖はただただ悪夢のようであり、やがて、行き場を失った彼らは、あさま山荘に、民間人の女性を人質に立て篭もることとなる。
 若松孝二監督が描く壮絶且つ厳格な、3時間10分に及ぶ力作。映画導入部では連合赤軍の誕生までを、原田芳雄のナレーションでリズミカルに、アップテンポに綴っていたものが、連合赤軍の様相がはっきりし、山岳ベースを設置するあたりからは連合赤軍の内情を丹念に描き出し、若者たちの異常な反骨精神をリアルに、大胆に映し出す。その中で繰り返される仲間による残虐な制裁シーンは思わず目を覆いたくなるほど過激な描写で、こちらの精神まで破壊されそうなくらいだ。当分“総括”という言葉が胸を締め付ける。
 出演は、坂井真紀、地曵豪、ARATA、並木愛枝、伴杏里、佐野史郎、奥貫薫ほか。誰をとっても見事な迫真の演技で大熱演。すべて文句なし。フェミニンな雰囲気で部活のノリ的に軽い気持ちで参加したかのような遠山美枝子役を演じる坂井真紀が、いたぶられた挙句気が触れてしまい犬死にに終わる場面は陰惨極まりない。連合赤軍の統率者的存在を演じる地曵豪と伴杏里は凄まじい存在感で一番印象に残る。
 よく出来た映画なのだが、唯一、クライマックスとなるあさま山荘での攻防戦が、なんだか全体に間延びしてしまっている。もう少し、絞まりや面白みが欲しかった。


『王妃の紋章』 ☆☆☆★★

 人情味豊かな現代ドラマで毎回感動させてくれる中国映画界の名匠チャン・イーモウは僕の大好きな映画監督だが、チャンは今回のような歴史大作を作らせても定評があり、『HERO』『LOVERS』そして今回の作品にいたるまで全て興行成績も含め大成功を収めている。唐王朝末期の紫禁城を舞台に、贅の限りを尽くした華やかな宮廷に暮らし、絶対的権力で国を統一し君臨する王家の一族内部の血みどろの骨肉争いを描く。
 何不自由ない生活を送る王家の一族内部では実は、王妃を毒殺せんと毎日の漢方薬に毒を盛り続ける非情な国王、事実を知りつつも国王に逆らえないで毒薬を呑み続ける王妃、王妃との不義な関係に悩み続ける皇太子、王の正体を知り王妃の策謀に巻き込まれる第二王子、歪んだ関係の王族の姿を冷ややかに受け止める第三王子、皇太子と肉体関係にある宮廷医の娘、王家の秘密を知る宮廷医の妻、彼ら各々がお互いに隠し事を持ち、あわよくば命を頂戴しようと虎視眈々機会をうかがうという不気味な緊張の中にある。
 黄金色をふんだんに使用した絢爛豪奢な映像美と大迫力の演出でスケール感十二分、大スペクタクルとして一気に見せきるチャンの自信たっぷりな演出は歌うように流暢で素晴らしい。そしてチャンのパワーに引き込まれるように呼応し見事な演技で勝負してくれるのが、国王役のチョー・ユンファ、王妃役のコン・リー、皇太子役のリウ・イェ、第二王子役のジェイ・チョウ、宮廷医の娘役のリー・マン、宮廷医の妻役のチェン・ジンら。
 しかし結局観終えてみると、スケール感や何百万本にも及ぶ菊の花の絨毯などアクション志向の趣ばかりが印象に残り、王家内部の愛憎劇といった筋書きの面白さやダイナミックな展開から受ける余韻は一切残らない。ストーリー以上に映像美だけが先行してしまったかのよう。人間関係はよく分かるものの、お互いの心情をうまく表現し切れていないので、結末における処理の仕方には欲求不満になってしまう。
 久々にチャンの作品に登場したかつて常連ヒロインだったコン・リーは、熟年期を迎えますます美しく、ますます貫禄づいてきているようで嬉しくなる。


『スパイダーウィックの謎』 ☆☆☆★★

 両親が離婚したのでニューヨークを離れ、郊外の古びた屋敷に引っ越してきたジャレッド(フレディ・ハイモア)は、大好きな父親と離れ離れになったことで母親(メアリー・ルイーズ・パーカー)とはうまくいかず、姉のマロリー(サラ・ボルジャー)とも諍いが絶えず、双子の弟サイモン(フレディ二役)が唯一話せる相手ではあるが理解者ではない、といった状況の下、好奇心旺盛なジャレッドは屋根裏部屋を探索したところ一冊の本を見つける。本は固く梱包され「決して読んではならない」と警告メモが添えられていたが、ジャレッドは警告など無視して謎の書の封印を解いてしまう。そこには妖精世界の全ての秘密が書き記されていた。この書を命がけで創作した人間はジャレッドの大叔父アーサー・スパイダーウィック(デヴィッド・ストラザーン)だった。そして、決して解き放ってはいけない謎の書を開いた瞬間から、ジャレッド一家と暗黒の妖精たちとの決死の闘いが始まる。
 監督はマーク・ウォーターズ。子供向けのファンタジー大作なので細かな点を批評しても意味がないのでしない。しかし子供向けと云えども、ぎくしゃくとした関係の家族が、映画の進行と共にお互いが向き合うようになってゆき、やがて強い絆を取り戻す家族愛のメッセージを、映画全体にわたって必死でアピールしている姿は実直な印象で良い。『チャーリーとチョコレート工場』などファンタジー映画の主人公が多いフレディ君が今回は頗る好演。主人公の双子を演じて意外にも演技力を発揮。
 僕個人的には、子供たちを襲う悪い妖精たちがもっと怖い物だったら良かったところだが、如何せん子供向けファンタジーなのであまり子供客を脅かすわけにはいかず、なんら怖くもない敵との格闘場面には全くスリルもサスペンスもない。子供に分かり易い漫画的図式で単調な展開は安物感いっぱい。


『4ヶ月、3週と2日』 ☆☆☆★★

 ルーマニアの新鋭クリスティアン・ムンジウ監督の長編第2作にして、2007年のカンヌ国際映画祭で見事パルムドール(最高賞)を受賞した話題の作品。1987年、チャウシェスク大統領による独立政権末期のルーマニアを舞台に、ルームメイトの違法中絶を手助けする主人公の波乱の一日を描く。
 ルームメイトを助けるヒロイン役には新人のアナマリア・マリンカが大抜擢。ムンジウの演出はワンショットカメラ長回しを多用し、リアリティー溢れる世界を創り出している。
 着想としてはまあ面白いのだが、途中どうでもよい場面が結構多発してしまっている。思っていたより物語の発展性もなく、こじんまりした域で留まってしまったのは物足りない。変な期待が最後まであったのだが、ラストも呆気ない印象で終わる。これでパルムドールか?という印象。


『モンゴル』 ☆☆☆★★

 浅野忠信が主演に抜擢され、アカデミー賞外国映画賞にもノミネートされたことで只今大注目となっている話題の大作がいよいよ登場。しかもドイツ、ロシア、カザフスタン、モンゴル合作という世界的規模の映画。運命に翻弄されながら愛する妻や家族を命がけで守り、のちにチンギス・ハーンとしてモンゴルを統一し、世界の半分を制する大帝国を築く男テムジンの物語を壮大なスケールで描く。監督は、ロシアのセルゲイ・ボドロフ。
 モンゴル建国モノと言えば昨年、邦画の『蒼き狼』を観たところなので、またモンゴルか・・?と思ってしまったが、『蒼き狼』は如何にも日本の作り手っぽく湿っぽい作品だったが、今回はさすがにドライな作風で、余計なメロドラマや家族物語に流れ込まず、モンゴル民族の血生臭い争いを、淡々と、時に残酷に描写し、戦闘場面の繰り返しで野性的な印象だけを残す。
 見応え十二分で満足感は得られるものの、映画の軸となる物語性が希薄なので映画的余韻までは得られない。テムジンの内面部分を少しは盛り込んでみると映画に膨らみが出たはず。あえて人間味を排除したのだろうが、こういうスケール大作はドラマ性を重視することで、より深みのある面白い映画になるのだが。
 映画全体の流れも断片的で些か野暮ったく感じられ、強引さが目立つ箇所も少なくないのだが、ま、今まで評価したことのなかった浅野忠信が、外国映画では意外な実力を発揮、全編オールモンゴル語の台詞で、圧倒的存在感と凄みをもって頗る驚かせてくれたから、★一つオマケで進呈することとしよう。


『スルース』 ☆☆☆★

 1972年に、ジョゼフ・L・マンキウィッツ監督、ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン主演によって映画化されたことでも有名な舞台劇『探偵<スルース>』のリメイク。郊外の大豪邸に暮らす初老のミステリー小説家と、彼とは別居中にある妻と一緒に暮らす若い愛人との生死を賭けた心理戦を描くサスペンスドラマ。
 映画ファンは殆どご存知の旧作なので、今回の見所はそれをどう調理するかというところに興味があった。監督は、前作『魔笛』で豪奢絢爛ファンタジーを見せてくれたケネス・ブラナー。相変わらずの実験的映像テクニックとブラナーならではの格調で、サスペンスを盛り上げる。旧作で若い愛人役を演じていたマイケル・ケインが、今回は老小説家で登場。ジュード・ロウが愛人役に当たる。
 全編にわたりアート感覚で凝りに凝ったカメラワークが愉しめるものの、やはり分かりすぎたストーリーゆえ、ドンデン返しのショックは何も得られず、それどころか、後半以降における主人公の人物像がよく分からないものとなってしまい、緻密なサスペンス仕立てとなる前半部分での引き込んでゆく二人芝居の面白さは、一気に野暮ったくなる。結局は、リメイクとしては成功とは云えない作品だ。


『砂時計』 ☆☆☆★

 小学館漫画賞を受賞した芦原妃名子の同名コミックが原作となる純愛ラブストーリー。父が失踪し、続けて母が自殺という過酷な出来事を背負った少女の初恋から別れまでの心の変遷を、島根県の豊かな田舎風景を重ね合わせて情感たっぷりに描く。
 14年間に及ぶストーリーを2時間以内に詰め込んでしまったため、映画全体が希薄な印象で、原作コミックのダイジェスト若しくはイメージフィルムといった程度に納まってしまい、感情移入とまではいかなかったのは残念。原作が持つ“救いようのない悲劇”と思ってしまうかのような重厚な展開は、映画版では味わえず。特に大人になってからの部分が簡単に処理されてしまっているので、クライマックスの自殺シーンが不自然な展開に感じられてしまう。
 ヒロイン役を松下奈緒、その少女期を夏帆、初恋の相手を池松壮亮、大人になってからを井坂俊哉が演じ、二人の幼馴染を塚田健太、岡本杏里、ヒロインの母親役に戸田菜穂、父親役に風間トオル、祖母を藤村志保がそれぞれあたる。映画が薄っぺらなので役者の演技も大根に見えてきてしまうのが惜しいが、ヒロインの少女期を演じた夏帆が意外にもフレッシュな存在で好演。一番良かった。


『クローバーフィールド HAKAISHA』 ☆☆☆★

 突然、謎の生命体によって壊滅されてゆく巨大都市ニューヨークと、途轍もない恐怖に見舞われた市民のパニックを描くSFサバイバル。映画は全編、劇中の登場人物がひたすら撮影し続けるハンディカメラによる映像で綴られ、記録映画的手法を用いたことが新たな感触となる。
 しかし、導入部分ののんびりとした空気がやたらとモタつき、謎の生命体出現後の演出も一本調子であまり盛り上がって来ず、ストーリーじたいも大した拡がりを見せないせいで、思っていた程面白い作品とはなっていない。ハンディカメラ映像の必要性に疑問符が感じられ、そもそも劇中ここまでの極限下でありつつも撮影を続けるお気楽な神経が気になって仕方がない。
 監督はテレビ界出身のJ・J・エイブラムス、出演者は、マイケル・スタール=デビッド、マイク・ヴォーゲル、オデット・ユーストマン、リジー・キャプランら何だかよく分からない面々。


『ヒットマン』 ☆☆☆★

 組織によって殺し屋として幼い頃から特殊訓練を受けた男が、新しい任務で組織によって罠にはめられ命を狙われる身となるサスペンス・アクション。
 ビデオ・ゲームのヒット作が原作だが、デジャヴかと思ってしまうくらい今までにもありがちなストーリーの映画で、今更なんの魅力もない。途中まだるっこい場面が何度も重なってきてウンザリとしていると、突然クライマックスを迎え戸惑ってしまう。これだけ世界各国で事件を起こしていた男が半野放しなのも不思議だが、頭が丸坊主で後頭部にはバーコードが打たれているというかなり個性的で目立った容姿であるにも拘わらず、全く取り押さえられずにいるというのも解しがたい。
 監督はザヴィエ・ジャン、出演はティモシー・オリファント、ダクレイ・スコット、オルガ・キュリレンコら。


『大いなる陰謀』 ☆☆☆

 俳優としてトップ路線のロバート・レッドフォードは、満を持しての映画初監督作『普通の人々』(1980)でいきなりアカデミー賞監督賞を受賞する快挙を成し遂げ、以来社会派なテーマを多く扱った作品の数々は全て優秀で、レッドフォードの才能には平伏するばかり。
 ところが今回の作品は、とうとう猿も木から落ちてしまい、七年ぶりのメガホンということで勘が狂ったのか、レッドフォードとしては凡作止まりとなってしまった。
 物語は、対テロ政策に関わる人物たちの、それぞれの立場から三つのストーリーを同時進行に描いた群像劇で、戦争の意義やジャーナリズム、正義とは何かを問い、人間の生命に関して根源的意味へと問題提起する人間ドラマ。キャストはビックリするくらいの豪華共演で、監督のレッドフォード、トム・クルーズ、メリル・ストリープ、マイケル・ペーニャらとかなり賑やか。
 しかし、せっかくの実力派トップスターが共演しているにも拘わらず、なんだかトップスターを巧く扱いこなせず、映画の持つメッセージ性ばかりが一人歩きしてしまい、ストーリーらしいストーリーもないまま映画的魅力が全く得られないで、何事もなく終焉を迎えるオチには頗る肩透かしを喰らわされる。この映画の持つ格調や重厚感、そして華やかなスター共演という割には、恐ろしく貧相な内容になってしまっている。要するに失敗作だ。


☆☆☆☆以上 ・・・ダンゼン優秀
☆☆☆★★★ ・・・上出来の部類
☆☆☆★★  ・・・佳作
☆☆☆★   ・・・見ても損はしない程度
☆☆☆    ・・・標準
☆☆★★★  ・・・標準以下だが見ておいてもよい
☆☆★★以下 ・・・篤志家だけどうぞ


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コメント(5)

毎月たくさん映画を見られてますね!わーい(嬉しい顔)
「砂時計」号泣でした!ダイゴいい人すぎですから!
でも私はドラマ版のほうが好きかな…涙
ベルさまマイブームの連合赤軍はここからわーい(嬉しい顔)

今月は傑作はなかったんすかー?
「大いなる陰謀」見たいけど、評がビミョっすねー!
「王妃の紋章」スゴイ色彩でした♪目がくらみそうな黄金カラーに感動しました♪
映画の出来ばえは??・・・・・ブタブヒ まあまあ。
「クローバーフィールド」て、秘密にするほどのもんじゃないですよ?もったいぶりすぎかな?
邦画が上位すか〜!めずらしい〜
GW映画が4月後半からいろいろ始まってますし、たのしみ。
「王妃の紋章」
派手な映像おもえば、内容は物足りませんでした。チャン・イーモウは家族のドラマなどといった人情ものがベルイマンさんの言うように本格的でしょう。

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