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ぼくの映画採点表(2006〜2011)コミュの2008年03月度篇

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「ノーカントリー」「ラスト、コーション」「レンブラントの夜警」


ぼくの採点表<03月度篇>

☆・・・20点
★・・・ 5点


『ノーカントリー』 ☆☆☆☆

 本年度のアカデミー賞で作品賞・監督賞・助演男優賞・脚色賞に輝いた大注目の犯罪映画がいよいよ登場。 
 独特のスタイリッシュ映像とブラックユーモアでいつも愉しませてくれるコーエン兄弟(ジョエル&イーサン)だが、今回はいつものブラックユーモアなどは超越してしまい、途轍もなく恐ろしい映画になっている。テキサスを舞台に、麻薬絡みの大金を偶然にもネコババしてしまった男と、男を追う凶暴な殺人鬼、事件解明を急ぐ老保安官、殺人鬼を始末すべく組織に雇われた殺し屋、顔を揃えた役者たちの追いつ追われつ、執念のサスペンス・スリラーだ。
 コーエンらしい暢気さや奇抜な音楽の扱いは一切期待されず、映画はただ静寂さを保ち、シャープで乾いた不気味な演出、そして何が起こるかも分からない異様な雰囲気が漂い、全体を通しておぞましい限りの恐怖に支配されている。出会った者はハト一匹であろうと惨殺してしまう殺人鬼に身の毛もよだつ。この殺人鬼の存在感に尽きるが、しかしそれが見事な娯楽作となっているのだから凄い。
 ネコババのすえ逃亡生活を送る破目となる男をジョシュ・ブローリン、非情な殺人鬼にハビエル・バルデム、老保安官にトミー・リー・ジョーンズ、やたらと軽ノリな殺し屋にウッディ・ハレルソン、ジョシュの妻役にケリー・マクドナルド、トミーの妻役にテス・ハーパー。役者陣の確かな演技力が見事に生きている。特にハビエル・バルデムの怪演ぶりは映画史に残る悪役となるほどのインパクト。自分に関わった者は何人たりとも始末してしまう怪物のような男。奇怪なヘアースタイルと合わさって夢に出てきそうだ。
 途中、尻切れトンボになってしまったかのような演出と、結末の扱いの不味さにじゃっかん減点せざるを得なかったが、コーエン監督としては、過去の諸作と比べるなら出色の出来栄え。


『ラスト、コーション』 ☆☆☆☆

 1942年日本占領下の上海、特務機関の顔役イー(トニー・レオン)暗殺のため送り込まれた女スパイ、ワン(タン・ウェイ)は、肉体を利用してイーの心を鷲掴みにすると愛人の身で懐に収まり“殺し”の機会を窺っていたが、イーとの逢瀬を重ねるうちにいつしかイーに対し愛情が芽生えてしまう。
 人間ドラマに定評あるアン・リー監督の新作。前作『ブロークバック・マウンテン』に続きまたもやヴェネチア映画祭でグランプリ受賞。頗るアン・リーの演出は安定していて狂いがない。完璧だ。トニー・レオンが能面のような表情で好演だが、それ以上に、一万人のオーディションから選ばれたという大型新人のシンデレラガール、タン・ウェイの体当たりの熱演ぶりに大注目。ほぼ出ずっぱりで見事にワン役をやってのけた。
 物凄く良く出来た映画で感動的だったのだが、どこか物足りない印象なのは贅沢だろうか。ストーリーがありきたりで古めかし過ぎたのだろうか。過激な性描写が話題にはなっているが話の展開に必要性が感じられず、セックスシーンはどうもくどい。


『レンブラントの夜警』 ☆☆☆★★★

 イギリス映画界の鬼才ピーター・グリーナウェイ久々の新作。1640年代アムステルダムを舞台に、バロック三大画家の一人レンブラントが遺した壮大な謎「夜警」(世界三大名画のひとつ)の誕生秘話に迫るミステリー仕立ての大作。2時間19分。
 相変わらずのグリーナウェイ美学に度肝抜かれる。光と闇を多用した不気味な肖像画ばかりのレンブラントの絵画さながら、グリーナウェイもまたレンブラントの絵画を再現するがごとき独創的かつ様式美に満ちた映像で、「夜警」に隠された真相を独自の解釈で説得力ある描写で一気に見せてくれる。また、当時の風俗描写も実に心得ており、レンブラントが愛した三人の女性に触れていることも興味深く、それら全てを巧くグリーナウェイの世界に引き摺り込んだ天才技に拍手。凄まじく圧倒させられた。
 映画が始まった頃はどうも取っ付き難く閉口するが、レンブラントが「夜警」創作に取り組み出したあたりから殺人事件が起きたり、市警団の正体を暴いていったりと、探偵小説的で面白い展開になってゆく。
 レンブラント役はマーティン・フリーマンが大熱演。他にエヴァ・バーシッスル、ジョディ・メイ、エミリー・ホームズ、ナタリー・プレスら共演。


『ぜんぶ、フィデルのせい』 ☆☆☆★★★

 フランスから愛すべき佳篇が登場。社会派の名匠コスタ=ガヴラスを父に持つジュリー・ガヴラスの長編映画デビュー作。
 舞台は1970年代のフランス=パリ。弁護士の父(ステファノ・アコルシ)と雑誌記者の母(ジュリー・ドパルデュー)、生意気で甘えん坊の弟フランソワ(バンジャマン・フイエ)と暮らすアンナ(ニナ・ケルヴェル)は、名門のカトリックスクールに通い何不自由ない生活を送る上流階級のお嬢様。しかし、スペインで反政府活動を行っていた伯父の死をきっかけに、父と母は突然共産主義に目覚め、庭付きの屋敷やお洒落なドレスなど華やかな暮らしは一切手放し、小さく狭いアパートへと移り住み、質素な暮らしと両親の不可解な活動にアンナの不満は募るばかり。
 少女目線で描かれた当時の社会の動きが頗るユーモラスでおかし味たっぷり。ある日突然の大人たちの変化、平和の崩壊、そしてまた新たなる“居場所”を家族として築いてゆくドラマを、決して湿っぽくなったり重たくは描かず、軽やかに自然な流れとして描き、途中チリのアジェンデ政権の誕生から軍事クーデターによる崩壊までの背景や、母のフェミニズム運動など社会問題もうまく織り交ぜ、奥の深い良質な家族劇として仕上がっている。
 タイトルのフィデルは、もちろんキューバのフィデル・カストロのことだ。少女アンナが、激変する日常生活の悪因がすべて、フィデルにあるのだと激怒する場面から引用してのこと。


『魔法にかけられて』 ☆☆☆★★

 おとぎの国(ディズニーアニメ)のプリンセスが、現実のニューヨーク(実写)にやって来たらどうなるか?というビックリ企画のロマンチック・コメディ。おとぎの国を、女王(スーザン・サランドン)の罠にはめられ追放されたジゼル(エイミー・アダムス)が、迷い込んだ大都会ニューヨークで繰広げる奇想天外、おかし味たっぷり、うっとり夢見心地な物語。
 ディズニー映画の“不自然”な常識を「誰もが知っている大前提」として扱い一種のパロディと化しているのが面白く、ジゼルを追っかけてニューヨークまでエドワード王子(ジェームズ・マースデン)がせっかくやって来たのに、当のジゼルは既に別の男性ロバート(パトリック・デンプシー)に惹かれつつあるという切ない設定も哀感漂い大いに宜しく、女王の手下(ティモシー・スポール)がニューヨーク市民に化けてあの手この手でジゼルに近付き毒リンゴを喰らわそうとするドタバタ・サスペンスもユーモアいっぱい、いよいよ痺れを切らした女王が自らやって来て、巨大なドラゴンに変身しジゼルに襲い掛かるクライマックスまでかなりハイテンションで一気に引っ張り、ディズニー映画の優雅なファンタジーなど何処へやら、まさに現代らしい展開に溢れたお話なので全く飽きずに最後まで愉しめた。
 ロバートの娘とジゼルとの交流を、もう少しあれこれと織り交ぜれば映画ももっと深みが出たところだが、ケヴィン・リマの演出は頗る素直で、楽しい映画を作ろうという製作者の意図がストレートに伝わってきて、こちらも気分が良い。リスのピップはあらゆるアイデア豊富に描かれていて愉快だ。


『ダージリン急行』 ☆☆☆★★

 父の死後一年、まったく疎遠となっていた不仲の兄弟、長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)、次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)、三男ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)が、尼僧になった母を探すため再会し、ダージリン急行に乗りインド横断の旅に出る。乗車中三兄弟はお互い、腹の探り合いの中喧嘩が絶えず、そして列車が行き先を間違えて迷子になってしまったり、毒ヘビ騒動が起きたり、川で溺れる少年を救えなかった挙句村の葬儀にまで参加する破目になったり、色んなハプニングを重ねてゆくうち、とうとう母に出会えた兄弟は、いつしか心の通い合った掛け替えのない兄弟となっていた。
 監督は家族ドラマをユーモアたっぷりに描くことで定評あるウェス・アンダーソン。今回もウェスらしい暢気さと遊び心いっぱいで描かれるロード・ムービーなのだが、兄弟が失われた絆を取り戻してゆくロード・ムービーだと、昨年フランスのコリーヌ・セローが撮った『サン・ジャックへの道』を観たところなので、どうも新鮮味に欠け乗り気になれない。インドの異国感をもっと趣豊かに描写して欲しかった。


『人のセックスを笑うな』 ☆☆☆★

 美大生の青年と、大学に赴任してきたばかりの女講師のおかし味たっぷりな恋模様を描く青春映画。監督は井口奈己。女流監督らしい詩的な雰囲気が良い。
 美大生を松山ケンイチが演じ、恋に悩む青年の純情を素朴に表現。女講師には永作博美があたり、自由奔放なスタイルで生きる飾り気のない女性をナチュラルに演じる。他に蒼井優、忍成修吾、あがた森魚、温水洋一ら共演。遠景ショットを多用したことで虚無感をうまく表出したのは宜しいが、映画全体にどうも音声が悪く、役者の台詞が聞き取り辛かった。あえての狙いかもしれないが。


『風の外側』 ☆☆☆★

 映画監督として世界的に高い評価を受けている奥田瑛二の監督第四作。オペラ歌手を夢見て名門校に通う良家の娘・真理子と、ひょんなことから真理子のボディガードをするようになったチンピラ青年の切ない純情を描く人間ドラマ。
 映画が始まって暫くは、在り来たりなストーリー展開に加え奥田の演出も役者の演技も単調で、素人制作かと思うほどまだるっこく嫌気をさしていたが、お互いに惹かれあっていた主役の二人が実は在日韓国人同士であることが発覚するあたりから、奥田ならではの厳しい眼差しと重苦しいタッチが生きてきて、展開も泥沼のように行き場をなくしてゆく残酷なものとなり、段々と見応えは増す。
 真理子役は奥田の実娘の安藤サクラが演じ、奥田自身が父親役としてチョイ役で参加。母親役にはかたせ梨乃。ボディガードの青年は、モデルとして活躍している佐々木崇雄が熱演。佐々木の母親役で夏木マリ。他に綾戸智絵、江原啓之、石田卓也、北村一輝ら共演。
 安藤サクラはオペラ歌唱でかなり頑張るものの、あまりにも美しくない容姿で役柄に無理がある。佐々木崇雄の演技も酷い。奥田の暗い演出がしんどそうだ。夏木マリと奥田の過去の馴れ初めシーンはどうでもよい。無理に盛り込む必要はなかった。
 奥田としては、今回の作品は凡打に終わった。


『ジャンパー』 ☆☆☆★

 突然瞬間移動能力(テレポーテーション)を身につけた青年が、自由自在に世界中を瞬時に飛び回り、銀行の金庫からは大金を拝借して巨万の富を得て、何不自由ない生活を手に入れたかと思うのも束の間、古代より瞬間移動能力の持ち主“ジャンパー”を追跡し抹殺してきた謎の組織“パラディン”が、いよいよ主人公青年に迫り来る。
 主人公デヴィッド・ライスを演じるのは如何にもマッチョなヒーローでなく、スマートなヘイデン・クリステンセンなのが逆に好印象。宿敵パラディンの親玉ローランドにサミュエル・L・ジャクソンが登場。存分に悪役ぶりを披露。デヴィッドの恋人役にレイチェル・ビルソン、ジャンパー仲間にジェイミー・ベルが扮する。デヴィッドが5歳の頃家を出て行った母メアリー役(キーパーソン)としてダイアン・レインが顔を出す。
 監督はダグ・リーマン。パンチの利いた演出はさすがと云ったところだが、案外ストーリーは瞬間移動だけに拘りすぎてサスペンス・アクションとしては盛り上がらない。着想はまあまあ面白いのに拡がりがないので残念。パラディンという組織の容貌をもっと明らかにし、灰汁の強い存在として描くべき。
 ラストの恋人を助け出す場面が意外にも淡々としていたのには白けてしまった。テレポーテーションを利用した決闘場面も、何が何だか分からないくらい目まぐるしい瞬間移動を繰り返すから、映像の凄さに圧倒される以前にゲップと興ざめが起こる。単調なストーリーはやはり喰い足りない。


『ゼロ時間の謎』 ☆☆☆★

 アガサ・クリスティーの『ゼロの時間へ』を完全映画化した本格派ミステリー(らしい)。駄作『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』を何故か大ヒットに導いたフランスのパスカル・トマ監督がメガホンを撮り、再びクリスティーの世界に挑む。
 知的で好青年のギヨーム(メルヴィル・プポー)は、再婚した新しい妻キャロリーヌ(ローラ・スメット)を連れて、避暑地の別荘で暮らす大富豪の叔母カミーラ(ダニエル・ダリュー)のもとに訪れる。今回のバカンスにはギヨームの前妻オード(キアラ・マストロヤンニ)も滞在することとなる。自由奔放で現代的なスタイルの女性キャロリーヌのことをカミーラは「下品な女だ」と嫌っており、対称的にオードは慎ましやかで気品ある女性だった。カミーラの世話役マリ(アレサンドラ・マルチネス)はこの状況を快く思っていなかった。
 奇妙な三角関係とも云える緊張感漂うカミーラ邸に、オードに思いを寄せる親戚のトマ(クレマン・トマ)、キャロリーヌの古い友人フレッド(グサヴィエ・ティアム)、弁護士のトレヴォースらが招待客として加わり、役者がそろったところでとうとう初めの殺人が発生する。初めの殺人は事故として処理されかけてしまうが、しかし第二の殺人が起こると事態は一変、捜査が始まると次第にギヨームに殺人の容疑がかかる。結末は“云わぬが華”ゆえに何も書かないのでご安心を。
 パスカル・トマの演出はフランス映画らしく終始洒落っ気たっぷりで陽気な気分なのはよろしいが、事件の解明に向け真相が二転三転する展開の中、洒落っ気のみ重視の演出はどうも一本調子でダラダラしている印象。もっと映画的メリハリが欲しいところ。クリスティーの小説はどれをとっても確かに気取った雰囲気はあるが、事件は事件として重くそして残酷に扱っている。何よりパスカル・トマに物足りないのはミステリアスなムードだ。これは最大の欠陥点。クリスティーのそれは、怪しき登場人物たちの怪しき言動、怪しきムードいっぱいで成立する謎解きゲーム。それなくしてミステリーとは云えない。


『Sweet Rain 死神の精度』 ☆☆☆★

 『アヒルと鴨のコインロッカー』など映画化が続く人気急上昇中の若手有望作家・伊坂幸太郎の同名原作を、同じく若手の筧昌也が映画化。
 不慮の死を遂げる予定にある人間の最後の七日間を見届けた上“実行”or“見送り”の判定を下す死神の物語。原作は全六話からなるオムニバス形式で、最終話の「死神対老女」で意外な結末を愉しませてくれたが、映画版はそのうちの三つのストーリーをピックアップし再編成、映画風に大胆にアレンジしている。  が、映画版はどうも三つのストーリーの関連性が希薄なくせに無理やりにこじつけている印象を受け、全体に野暮ったく安物に思えてくる。それに逐一完全に読めてしまう展開は知恵がなさ過ぎる。二話目のヤクザ抗争の場面は幼稚すぎて閉口する。
 出演は、死神役を金城武がコミカルに演じる他、一話目のヒロインを小西真奈美、二話目のヤクザを光石研、石田卓也、三話目の老女を富司純子が演じる。あまり多くをこの紙面に書き記すことはご法度なので語るに語れないが、三話目の設定に関してはどうも無理があり過ぎる。海辺の美容室で人知れずこっそりと余生を過ごす老女の設定は苦しい。
 気軽に観れる映画なので暇つぶしにどうぞ。


『THEM ゼム』 ☆☆☆

 これは実際にルーマニアで2002年に起きた事件を、フランスの新鋭監督ダヴィッド・モローとグサヴィエ・バリュが共同で監督し再現した、身の毛もよだつショッキングなサスペンス・スリラーだ。この映画を見終えて僕は、恐怖と同時に耐え難いショックに襲われた。
 ルーマニアのブカレストに仕事のため引っ越してきた若い夫婦リュカ(ミヒャエル・コーエン)とクレモンティーヌ(オリビア・ボナミー)。森の奥にある大きな屋敷で暮らすこの夫婦を突如襲う得体の知れない侵入者たち、そして恐怖。絶体絶命の一夜の惨劇を、冒頭からノンストップで一気に畳み込むように描くサバイバル。姿なき殺人鬼たちとの死闘に、こちらの心臓が凍ってしまいそうになる。
 意外なラストに恐怖が倍増してしまうが、映画マナーの“云わぬが華”という訳で、クライマックスにはあえて触れないでおこう。
 ダヴィッドとグサヴィエの「怖い映画を作ろう」という狙いは、ホラー映画ファンにとっては嬉しくて堪らなかった。何でもない物を異様な照明で怖く演出する様は面白い。しかし随所繋ぎがスムーズに進行してないのがしどろもどろの印象で少し気になった。この二人はハリウッドにも進出するとのこと。今後の活躍に期待大だ。
 『THEM』は2006年のフランス=ルーマニア映画。観ているうちに昨年公開された米国の『モーテル』が重なってしまった。どうも似ている。そう思うのは僕だけだろうか。


『デッド・サイレンス』 ☆☆☆

 大ヒットシリーズとなった現代ホラーの代表格『ソウ』の生みの親ジェームズ・ワン監督が新たに仕掛ける新感覚のスリラー。
 ジェイミー・アーシェン(ライアン・クワンテン)と妻リサ(ローラ・リーガン)の元に差出人不明で届けられた不気味な腹話術人形。その夜リサは何者かによって舌を切られ惨殺される。刑事リプトン(ドニー・ウォルバーグ)に疑いをかけられたジェイミーは、腹話術人形に何かを感じ、故郷レイブンズ・フェアに古くから伝わる“腹話術人形の呪い伝説”を頼りとし、数年ぶりに父エドワード(ボブ・ガントン)の元を訪れる。ジェイミーを出迎えてくれたのは父の新しい再婚相手エラ(アンバー・ヴァレッタ)だった。父は今では車椅子生活となり病の床に臥せる様態であり、会話もままならなく、殆ど四六時中エラが付き添っていた。ジェイミーは葬儀屋のヘンリー(マイケル・フェアマン)とその妻のマリオン(ジョアン・ヘネイ)と接触するが、彼らはリサの死に関して異様なほど怯えている。そしてそれは、レイブンズ・フェアの町に伝わる“腹話術の呪い”に関係すると思ったジェイミーは、何十年も前に変死した腹話術師のメアリー・ショウ(ジュディス・ロバーツ)の過去を調べることにする。すると、この町でかつて起きた忌々しい事実を知り、それはジェイミーにとって逃れようのない宿命だった。
 以上のストーリーだが、特に奇抜性はないものの、ジェームズ・ワンらしいスタイリッシュな映像とやかましい音響効果の多用によりジェットコースター趣向で見せてゆく謎解き的展開は『ソウ』と類似するが、今回は怨念や霊魂、怪奇人形などホラーテイストがぐんと多くなっている。だが、話の中盤以降はなんだか同じパターンの繰り返しが単調で、怖さも緊張感もなくなってきて興ざめ。モダンな映像処理も恐怖を半減させて逆効果。話が進むにつれ、無理やりなハコビと連続する矛盾さに閉口する部分も少なくない。そもそも、昔々の怨念が何ゆえ今頃蘇ってくるのか・・・肝心な部分が一番理解できない。



☆☆☆☆以上 ・・・ダンゼン優秀
☆☆☆★★★ ・・・上出来の部類
☆☆☆★★  ・・・佳作
☆☆☆★   ・・・見ても損はしない程度
☆☆☆    ・・・標準
☆☆★★★  ・・・標準以下だが見ておいてもよい
☆☆★★以下 ・・・篤志家だけどうぞ


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コメント(6)

「ノーカントリー」
いろんな雑誌で評価高いすねー

ぼくは「ジャンパー」面白かったでつーるんるん
グリーナウェイついに新作登場ですね〜。
こんな独特の世界観はほかでは見れないですしね〜。
モザイクないけどいいんですか?て思った場面ちらほら・・ブタ
「ラストコーション」は見たかったな…涙
今月もいろんなジャンルっすね〜邦画ざんねんあせあせ(飛び散る汗)

「死神の精度」ジーンときましたよ泣き顔泣き顔良かった。
三月度もご苦労様です。わたくし「魔法にかけられて」が意外にも心に残ってます。意外にも良く出来た映画で、意外にも感動しすぎてしまったのです。
「ノーカントリー」は既にあらゆる評論家が評価してますが、娯楽作としても優秀ですけれど。ハビエル・バルデムの迫真演技、まさに悪夢ですな。
怒濤の評論活動ご苦労様〜☆
「ぜんぶ、フィデルのせい」あたしも好きですね〜
憎たらしいのに憎めないアンナが可愛かったです!!?
ヨーロッパの映画て奥深くって、心に残ります〜

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