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青山繁晴『深淡生』コミュの被爆家族からの核抑止論

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1月に産経新聞が募集していた【オピニオンプラザ・私の正論】テーマ「核問題について考える」の入選作品が、産経新聞で発表されていました。

293編の応募があったが、審査員の大原康男氏によると、そのうち説得力のある反核保有論は皆無だったとのことです。

2つの入選作品のうち、「被爆関係者」が「反核運動」を批判した論文に共感しましたので全文紹介したいと思います。


【オピニオンプラザ・私の正論】第388回
2007/03/06, 産経新聞

テーマ
「核問題について考える」

入選

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「被爆国だから」は思考停止


 亡父は「特別」と形容される被爆者だった。そして「威力は自分が良く知っている。日本も持つべきだ」と言っていた。被爆と敗北、二つの現実がこう言わせた。自身が被災し、直後に街を彷徨(さまよ)って、惨状をつぶさに見たという。私は何人かの被爆者たちに接してきたが、彼らが体験を秘匿することは特になく、父と同じ意見の持ち主も少なからずいた。子供の頃、父が友人たちとそのような話をするのを聞いていた記憶を思い出す。私と同境遇の知人の経験もよく似たものだった。

 今の反核運動が被爆者とその子孫の何パーセントを代表しているのかを私は知らないが、国際関係を合理的に見て、父の意見に首肯している。しかし後に、私が高放射能環境下の業務に従事することになった時、父は「心配だ、自分は被爆者だから」と言った。心底に潜む恐怖の経験と合理的判断との葛藤の表れだったのだろう。技術的事柄を縷々(るる)説明しても心配が消えることは無かった。父の被爆体験は、所謂(いわゆる)「平和教育」や施設展示などを通じて、私たちには疑似体験として植え付けられている。ただし、それらは「核兵器」、時には「核発電」までをも、条件反射的に忌避すべきもの、糾弾すべきものとだけ仕向けられるものだった。このようなものは父や私には、抑圧とも思われた。物理学で核分裂現象が確信されて後、わずか7年余で父たちは核爆弾の被害に遭った。今ではその製造技術に関して秘密事項は皆無に近いと言われている。マンハッタン計画に始まる爆縮レンズ等の技術情報拡散過程の到達点が北朝鮮の現在である。1968年以前の核兵器国が特権的地位を持ち、その他諸国への拡散を防ぐための核拡散防止条約(NPT)体制の機能低下が明らかになった。元来、物理的強制力のない国際条約が技術拡散を完全には阻止できない性質である以上、現在の状況は予測されたことだと言える。
中国はかつて、部分的核実験禁止条約(PTBT)に参加せず、国内の困難を抱えながらも核開発にいそしみ核兵器国になった。

 1971年の国連での中国招請・台湾追放決議が、この地位を最大限に活用したことの成果であるのは疑うべくもない。北朝鮮は金日成時代から、中国の通った道を忠実に辿(たど)っていたのである。彼らは「核兵器国」の地位が、富をも呼び寄せると思っている。経済支援では核廃棄を買えないのだ。現在の中露韓の行為は北にとって、その証明に他ならず、彼らには北の核を「廃棄」させる意思はない。米国には非軍事的方法では、核を廃棄させる手段がない。結局、6者協議が最大限うまくいっても、合意時点での兵器技術レベルを維持した「凍結という名の核兵器保有容認」となるだろう。しかしそれとて、政治的協定の性質上、凍結とは名ばかりに違いない。

 現在の事態は反核運動が標榜(ひょうぼう)し、振りまいてきた想像図の対極にある。こうしてわが国にとって未曾有の安全保障上の脅威が現出した。にも関わらず、依然として「唯一の被爆国であるが故に、核兵器に反対」という観念の突出は、思考停止という他はない。私は自分の子孫に父と同じ被爆と敗北の経験をさせたくはない。手段が講じられるべきである。既視事実は示唆的だ。勢力均衡は唯一、核抑止に成功した方法だった。第2撃能力の保持に各国は腐心した。好ましいとは思わないが、他に方法がない合理的工夫の産物であったと再評価しないわけにはいかない。1980年代の初め、西ドイツ、オランダ、ベルギー等は、米国の核ミサイル・パーシングIIを導入配備し、ソ連のSS20との均衡を取った。民間の反対運動があったが、それはソ連の工作活動の一環だと後に分かった。このような対峙、一種の忍耐比べの結果は衆知の通りである。当時、仏は北大西洋条約機構(NATO)の軍事機構から離脱し、独自の核兵器体系を備えていた。米国が身を犠牲にして「第2撃」を実行する確証が無かったからだ。安全保障のオプションとは、外交的手段は無論、軍事的なものも含んだ全方位を網羅して初めて成り立つ知恵の集大成であるはずだ。

 通常兵器の拡充や反撃能力の付与、ミサイル防衛(MD)計画推進などは、現在の脅威に対抗する重要な部分ではあるが、それがすべてではない。しかし、それすら躊躇(ちゅうちょ)し、強い反発が政治的力をもつ現状を見ると反核運動は罪作りだったのではないかとすら思うことがある。現実的な安全保障への考察を排除するだけの、反核・平和の実現プロセスなどあり得るのだろうかと思える。

 「被爆関係者」であっても唯一の共通的意思などは、元々、存在しなかったと、そろそろ考えてもよい時期ではないだろうか。このことは世上で顕在化している、「被爆者とその子孫」の思いと背馳(はいち)していることは承知しているが、潜在的には存在する「意思」である。われわれには、広島・長崎だけが見るべき過去ではないのである。


中村新平(京都市・会社員)
昭和23年9月長崎県生まれ。58歳。

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中川昭一自民党政調会長や麻生太郎外務大臣による「核議論すべし」の発言は多くのマスコミによってバッシングされ、いま国政の場においては無視され無かった事のように扱われていますが、一部には脈々と受け継がれ、この[青山繁晴『深淡生』]や産経新聞などが議論しています。

北朝鮮の核保有が既成事実となった今、従来からの「被爆国だから」や「核廃絶」という概念だけで思考停止している訳にはいかないと思います。

この論文から活発な意見交換を期待してトピックを立てました。日本の自立というテーマからの各論はそれぞれ存在していますので、ここでは「核アレルギー」と言われているものの存在などを中心に論議しても良いのかな…と考えている次第です。

コメント(8)

【ベルリン=三浦耕喜】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は16日、北朝鮮による核実験の実施発表に関連し「現状を放置すれば、近い将来に最大で30カ国が新たに核兵器の開発能力を持つ可能性がある」と警告


現実的に日本が核保有をすれば、かろうじて成立しているNPT体制がなし崩し的に崩壊し、核保有国が増加する恐れがあるのではないでしょうか。

保有国が増加すれば、その技術は容易に漏洩し必ずや実践使用される日がくるでしょう。不拡散揺るがす「小型核」、要は使える核といわれる小型核兵器の使用も、不可避なものになると思われます。

こんな世界がいずれ現実のものになる、けれどそんな日は少しでも遅い方がいい。北朝鮮あるいは中国が日本に核攻撃を仕掛けてくる危険性がどの程度なのかを踏まえ、NPTの崩壊を天秤に掛ければ、現状の不公平極まりないNPT体制でも、NPTを遵守する方を選択したいと私は思います。
>るるーさん、最初のコメントありがとうございます。

北朝鮮を含めて現在の核保有国は9ヶ国になります。
世界の国家数を192ヶ国とした場合、仮にIAEAのエルバラダイ氏のいう30ヶ国全部が核保有したとして全部で39ヶ国となり、約20%の国家が核保有する事になりますか…。

これはある意味「公平」で良いのではないでしょうか。
核廃絶が不可能である以上、日本が核保有しようがしまいが核拡散は不可避であると思います。現核保有国の優位が崩れ、世界はより公平になるのではないでしょうか。少なくても現核保有9ヶ国が優れて道徳的に(NPT)規則を遵守する国々とは、とても私には見えません。

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日本の外務省は毎年、「核兵器の廃絶を世界に訴える」という決議案を国連に上程している。
外務官僚がこのようなナイーブな「道徳観」に満ちた行動をとるのも、彼らが核戦略理論を真剣に勉強していないからであろう。
核戦略理論を少しでも勉強したならば、「現在の世界諸国が核兵器廃絶という『理想』を実現すれば、国際関係はかえって不安定化する」というロジック(理論)が理解できる筈である。

そもそも「核の廃絶」ということは起こりえない。
米中露英仏の諸国は、核兵器の材料となる濃縮ウラニウムとプルトニウムを大量に所有しているが、これら諸国の所有する兵器用核物質の正確な情報は、未公開である(政府の白書で公開されている数字は、信用できない)。どこの国も、核兵器に関する情報ではウソをつく。世界の九核武装国(米中露英仏印・パキスタン・イスラエル・北朝鮮)で、核兵器に関する本当の情報を公開している国は無い。

核戦略の専門家であるジョン・バートンは、「アメリカとロシアは、現在所有する兵器用核物質の1パーセント以下の量をどこかに隠しておくだけで、それぞれ数百発の核弾頭を製造することができる」と述べている。たとえ奇跡的に「世界中から核兵器を全廃する」という国際条約にすべての国が署名・批准したとしても、世界の九核武装国は自国の兵器用核物質の量を正直に報告せず、どこかに隠しておくだろう。
これら九ヶ国は、正直に核兵器をギブ・アップするような国ではない。

また、「核の全廃」を約束した国際条約の実効性を確かめることも、不可能である。
核兵器の製造能力を持つ諸国は、この条約の実効性を確保するために「国内のすべての行政施設・産業施設・軍事施設・地下施設に対して、他国や国際機関の軍事専門家が何時でも無制限に大規模かつ徹底的な査察を行う権限を与える」という約束をしなければならない。しかし現在の九核武装国の中で、そのような査察権を容認する国は無い。普段は国際法を遵守するフリをしているイギリスやフランスでさえ、そのような査察権を認めないだろう。

★「核廃絶」という国際条約の実効性を確保することは、不可能なのである。

さらに、奇跡的に「核の廃絶」という理想が一時的に達成されたと仮定した場合でも、国際関係は安定しない。現在、世界の40以上の国が核兵器を製造する技術を持っている。
地球上のすべての人類が、突然、マハトマ・ガンジーやマザー・テレサに変身(変心)した場合は別として、そうでない場合は、諸国間の紛争というものは決して絶えないだろう。
人間や国家というものは、自分勝手な理屈を並べ立てて「自分(自国)に有利、相手に不利」な状況を作ろうとする「罪深い存在」だからである(ハンス・モーゲンソー)。
したがって、「核兵器を秘密生産して、我々だけが優位に立つ状況を作ってやろう」と画策する国が必ず現れる。

世界の複数の主要国がそれぞれ独自の核抑止力を備えている場合、ある野蛮国が突然、数十もしくは数百発の核弾頭を秘密生産していたことを発表しても、国際社会は危機に陥らない。相互の抑止力が機能するからである。しかし、すべての国が核廃絶した、「理想的な国際環境」で、ある日突然、ヒトラー、スターリン、毛沢東、金正日のような誇大妄想狂的独裁者が、「我々だけが核兵器を独占所有している!近隣諸国は我々に服従せよ!」という恫喝外交を始めたら、どうなるであろうか。
「文明国が武装解除したため、野蛮国にもてあそばれる」という状況になるのではないか。

核戦略の専門家であるシカゴ大学のチャールズ・グレイザーは、「核兵器の廃絶などという合意は、どこかの国が他の諸国に対する圧倒的な攻撃能力を独占することになるから、国際関係をかえって不安定にする」と述べている。日本政府が誠実に希求している「核兵器の廃絶」という方法によって「平和に満ちた理想的な国際社会」が実現されるのかどうか、疑わしいのである。

核抑止力によるバランス・オブ・パワー(勢力均等)システムには、国際軍事関係における不確実性を低減させ、予測可能性を高める、という効果がある。この効果は過去半世紀間、核を保有する主要国同士の戦争を防止するのに大きな役割を果してきた。

しかし、もし人類が核兵器を全廃して通常戦力だけの軍事関係に戻るならば、16世紀から1945年までの国際関係のように、不確実性が高く、予測可能性が低いという、戦争が頻発しやすい軍事環境に戻ることになる。日本政府が誠実に希求する「理想的な国際社会」とは、そのような不安定な世界なのだろうか。


★国際政治学と軍事学には、ニュークリア・レボルーション(核兵器による革命)とよばれる現象がある。

1.「核兵器は戦争を抑止することには役立つが、戦争に勝つことには役立たない」という特徴のため、核を持つ大国同士の戦争が不可能になった。

2.核兵器は「防御側にとって有利な軍事力」という性格を持つため、国際関係が基本的に安定し、諸国間の軍備競争によるネガティブな影響が低減された。

3.通常戦力による戦争は不確実性が高く、戦争の結果を前もって予測するのが難しい。しかし核戦力の行使は予測可能性が高いため、不確実性や見込み違いを原因とする戦争が起きなくなった。しかも、自主的核抑止力を持つ国の外交は、クレディビリティを獲得する。

4.核兵器の出現は核を持つ諸国間における「軍事交渉力の均等化」と「同盟関係の必要性の低減」という現象を生み出し、米中露のような覇権主義国が他の核保有国に対して利己的で一方的な外交政策をとることを難しくした。

5.世界諸国が核兵器廃絶という「理想」を実現すれば、相互間の核抑止力を失った国際関係はかえって不安定化するから、核兵器の廃絶は望ましいことではない。
                    (解説:伊藤貫)

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仮に39ヶ国の核保有国が存立した場合、保有国の核の管理をいかに厳しく、国家以外に拡散しないようにするかの取決めと手段を再構築すべき問題かと思います。(現在のNPT体制は核保有国の核管理に対してあまりに甘すぎます)

支那国や朝鮮国が日本に対して、突然核攻撃をしかける蓋然性は低いと思われますが、核保有国が非核保有国にそう思わせて通常戦力で有利に攻撃したり、国民を恫喝する事はたやすい事でしょう。
そうした環境をこの国の後継者たちに負わせる事に私はNOをいいたいと思います。例えわが国の核抑止力の保有がNPT体制を崩したと(とっくに崩れていても)非難されようとも、NPT体制護持の為に(ついでに平和憲法の為に)この国の未来を危険に晒すわけにはいかないというのが私の考えです。
確か青山さんって核保有以外の核抑止力?みたいなのを唱えられてたような…
詳しい内容は覚えてませんが
1年5ヶ月ぶりのコメントが入りました。
ただ…特にトピ主としてコメントさせて頂くような必要も無さそうです…が。

青山さんが、日本の核武装に反対の立場でいらっしゃる事は承知しています。
だから…私も反対だという方はそれで結構です。

異なる意見に対する反論は歓迎ですが、誹謗・中傷は恥ずかしいのでやめましょう。


くめさん

青山さんの仰られていた方法は通常戦力による「先制攻撃」だったと思います。

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