うつせみ 樋口一葉 Google 『うつせみ』は、樋口一葉が1895年(明治28年)8月に「読売新聞」で発表した短編小説です。一葉がもっとも多くの傑作を生み出した「奇跡の14ヶ月」と呼ばれる時期の作品ですが、他の代表作に比べて謎解きのようなミステリー仕立ての構成になっている点が大きな特徴です。作品のあらすじ、登場人物、タイトルの意味について分かりやすく解説します。あらすじ物語は、ある家族が引っ越してきたところから始まります。その家族の娘である雪子(ゆきこ)は、なぜか精神を病んでおり、うわ言ばかりを繰り返していました。最初はその原因が伏せられていますが、物語が進むにつれて雪子の過去が少しずつ明かされていきます。実は、雪子には親が決めた許婚(いいなずけ)がいたにもかかわらず、女学校時代の教師である植村(うえむら)と深く愛し合っていました。しかし、その不自由な自由恋愛は周囲に引き裂かれてしまいます。恋人を失ったショックから雪子は心を病んでしまい、さらに物語の終盤、植村が絶望してすでに自殺していたという、取り返しのつかない悲劇的な事実(遺書)が判明します。主な登場人物雪子(ゆきこ):主人公。経済的には恵まれた身分でありながら、引き裂かれた恋のストレスから精神を病んでしまう美しい少女。植村(うえむら):雪子が通っていた女学校の教師。雪子と相思相愛になるが、引き裂かれたのちに絶望して自ら命を絶つ。正雄(まさお):雪子の兄。心を病んだ妹を優しく介抱する。タイトルの「うつせみ(空蝉)」が持つ意味「うつせみ」には主に以下の2つの意味が重ねられています。「蝉のぬけ殻」:魂が抜けてしまい、体だけが残ってうつろになっている雪子の痛々しい姿の比喩。「はかないこの世」:自分の意志ではどうにもならない、明治時代の厳格な家制度や、ままならない恋愛の切なさを象徴。『たけくらべ』や『にごりえ』のような貧困に苦しむ女性ではなく、「恵まれた環境にいながらも、自由な恋愛を許されずに壊れていく女性」を描いた、一葉の作品群の中でも異色かつ隠れた名作です。『うつせみ』について、さらに詳しく知りたい情報はありますか?