東京で一戸建てコミュのモダンとは何ぞや？

モダンの意味は
「現代的であること。今風でしゃれていること。etc」
だそうです
今日はちまたに溢れる「モダン」について思うこと・・・

北欧モダン、スタイリッシュモダン、シンプルモダン
ハードモダン、ナチュラルモダン、和風モダン・・・
正直、私には何が何だか分かりません

ただとても大まかな話ですが、最近は本来の意味から転じて
「装飾を排していること」
という意味合いに変わって使う人が増えて来ていると思います
モダンをネットで検索してみると
「シンプルでモダンなインテリア」などの文句と一緒に
なんの変哲もない真っ白な空間が次々と出てきます

実は私自身
「あなたはモダンな建物が得意ですよね」
と言われたことがあって、
また、それに似た内容の事も言われることがあって以来
モダンって一体何ぞや？と
ぐるぐる頭をひねらされるのです

装飾を排すること→デザイン力がない？お金がない？
白い空間→何とでもなる自在の色？
今風でしゃれて→この多様化の時代に？洒落ですか？

つい、こういったモダン批判から入ってしまいます
６０年代とかなら新成長時代でデザイン全盛で
９０年台からは日本の腰折れ時代でシンプルに・・・？

とても個人的な意見ですが
姫路城は他のどの国の城郭よりきめ細かい繊細な印象と
凛とした強さを持った美しい建築だと思っています
枯山水の庭園が派手な装飾だと思ったことはありません
桂離宮のカラフルな襖の色を初めて見たときは
びっくりしました・・・

彫刻や写真、絵画は眺めるものです
しかし空間は違う気がしてなりません
特に住空間は食う寝る遊ぶ、実に様々なドラマの空間です
真っ白な空間に何種類かのポイントの色があって
美しい写真はたくさん見ることが出来ますが
その空間の心地よさは絶対に伝わらないと思います
そういった風景を好む人が
そういった空間の中で
そういった風景を眺めることで
心地よいと感じてやっと
そのインテリアは素敵なインテリアなんだろうと思います

建築のプロであればそういった写真を見るだけで
ここまで想像できるのかも知れませんが
そうでない人にそこまで想像しろというのは酷でしょう

装飾を落としてシンプルにすることで
本来持っている美しさを創り出す
いわゆるアスリートで言う「究極の脱力」です
様々な住まいとしての機能や住み手のキャラクター
創り手側の思いと社会のニーズと逆の提案
全部ひっくるめて、まとめてこねて
削り削って最後に残ったシンプルなもの
そんなモダンをつくって生きたいと思います

「生活感がないね～」「変わってるねぇ～」etc...

こういう薄っぺらい評価を受ける空間であれば
まだまだだなぁ・・・と、私は反省します

子供が描いてくれた下手くそな似顔絵を飾ることが出来ない
隙のない、緊張した空間は
住宅として「いい空間」とは評価したくありません

私はクライアントの持っている思い出のモノが
目指すインテリアと全然違う時でも
積極的に取り入れようと試みています
その為にバランスが崩れていってもどんどん進めます
そして、バラバラのグチャグチャになって
最後にちょっとだけバランスを整えようとチャレンジします
こんな事をしているので
「あなたはモダンな～」という言葉に？？？となるのです
でも、この最後のちょっとが個性的とカオスで紙一重・・・？
住宅建築家の仕事はココかな？と

住宅はそういった住み手のドラマが違和感なく溶け込んで
住み手のキャラクターを表現できる
キャンバスであって欲しいと思います