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小説しませんか?コミュの二次創作(V.B.ローズ)

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 有坂紫と城井あげはが付き合い始めてしばらく経ったある日、V.B.ローズに異変が起きた。あの黒峰巳艶が珍しく女性に触れなかったのである。
 丁寧に迅速に仕事をこなし巳艶自身の仕事振りとしてはただただいつもの黒峰巳艶と何一つ変わりは無いのだが……、その事実に対する周りの反応は尋常ではなかった。
「おい、ミツ。どうしたんだ。どっか具合でも悪いのか?」
「そんなこと無いよ、紫君? 僕そんなに顔色悪い?」
 何か変な生き物を見るかのように紫は巳艶を眺めていた。だが当の本人にそんな自覚は無くいつも通り余裕のある顔で作業を続ける。
 そう別に変なところは何一つ無いのだがやはりおかしいのだ。長年連れ添ってきた紫だからというわけでもなく、まだ従業員に全く手をつけていないというのは普段の巳艶の行動から考えれば不自然極まりないことだった。
「紫君こそ、どっか具合が悪いんじゃない?」
「はっ?」
「さっきから貧乏ゆすりがとまらないよねぇ〜、学校終わるのもうすぐだもんねぇ〜、はやくあげはちゃんに逢いたいよねぇ〜」
 思い切り図星をさされた紫はソファーに座り込んで頭を抱えた。
(くっ、だめだ。俺ではしばらくこいつに太刀打ちできん)
 あげはと付き合い始めてからこの方、紫はほぼ毎日この手のネタで巳艶にとどまらず、従業員に、そして義理の母親の凛々子にもからかわれていた。実際からかわれていやな気分にはならないのだが、どうにもむずがゆいものがあるのは事実だ。それにどうしても恋人というフレーズにはV.B.ローズの仲間でコサージュ作家の広瀬夏菜と言う名前がいまだに紫の背中には重くのしかかっていた。
 紫の周りの人間はそのことを理解しているためあまり深くは突っ込んでこないしその度合いもちゃんと把握しているが、紫自身はどちらかと言えば出来るだけ考えないようにしていたという方が近い。紫は振り切ったつもりでいるものの今までのあげはと付き合うところにまで至った過程を考えると、他人のことを振り回すことを極端に避けてきた紫にとっての最重要問題はあげはとのこれからの付き合い方であり、それを思うと夏菜を傷つけてしまったのではという紫の思いは、いまだにあげはとの付き合いの中でも根底に根ざしたままである。
「黒峰さん、有坂さん、こんにちはー!」
 と元気な声で扉を開けて入ってきたのはあげはである。いつも通り制服姿でのご登場である。
「やぁ、あげはちゃん」
「お、おう。あげは。早いな」
 先ほどのやり取りのせいか、紫は少し返事がしどろもどろになる。
「そうかな、いつもとあんまり変わらないけど」
 ケータイで時計を確認してつぶやく。
「違うんだよ、あげはちゃん。紫君はね、あげはちゃんが一刻も早く来ないかと、待ち――」
「あげは。ミツのいうことは気にしなくていいからな」
 凛々子直伝アイアンクローを巳艶にかましつつ、言葉をさえぎった。だんだんと力のこもっていく紫の腕を巳艶はすばやくタップする。
「紫君、いたい、いたいから。離してって」
「それで今日のお仕事は?」
「ん? ああ、新しい注文が二件来てるんだが、指示は追々出すから昨日の続きやっておいてくれ。てかお前順応早いな」
「これくらいは想定内なのですよ」
 そう言って微笑んでみせるあげはではあったが、内心ドキドキものであった。紫といるということを考えただけで自然と頬がゆるんできてしまうのだ。側に巳艶がいるかいないかで大違いなのである。
(というか、そんなこといっている有坂さんのほうが随分とゆとりがあるのでは? うぅ、やっぱり大人だなぁ有坂さん)
 お互いに自分の心をさらけ出したものの、初めてのキスからまだ数日と経っていない。緊張するなというのが無理な話である。おまけにあげはにとっては、初めての恋人である。どう対処したらいいのかまだよく分からないのだ。
 とそう思われている紫のほうも内心穏やかではない。巳艶へのアイアンクローも紫なりの照れ隠しなのである。できるだけで平静を装うとしているが紫の心の中もやはりあげは一色なのである。
(ばれてないよな、ばれてないよな俺。かなりあせってるけど大丈夫だよな?)
 ふとあげはと目が合う・・・。何故か見つめあう二人。そして二人が同時に思うこと。
(やべ、あげは、かわいい)
(有坂さん、かっこいい)
 と二人とも俯いてしまった。
「ああ、若いっていいねぇ、青春だね。紫君、今日もお赤飯がいいかな?」
「うるさいミツ! あげは、仕事だ」
「う、うん」
巳艶の茶々を切り上げて今日もV.B.ローズ開店いたします。


コメント(1)

続きはそのうちまた加えていきます。とりあえず全キャラ登場を目標に。できるだけ、オリジナルの設定のまま紫とあげはが結ばれてしばらくしたあとのV.Bローズを描きたいと思います。

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