日本初開催となった「フォーミュラE」(ABB FIA フォーミュラE選手権)の第5戦「東京E-Prix」は、3月30日の午前中に予選、午後から決勝レースが行われた。日本からは唯一の参戦となった日産自動車はどう戦ったのか。会場の様子は? 現地観戦レポートをお届けする。

  • フォーミュラE東京大会の様子

    東京の市街地を超高速で激走! 「東京E-Prix」を観戦してきた(本稿の写真は撮影:原アキラ)

日産がポールポジション獲得!

予選は参加11チーム、22台のマシンがAとBの2グループに分かれ、それぞれタイムアタックを実施。各グループの上位4台、計8台が時間差スタートの1対1で対戦する「デュエル予選」に進むという形式だ。日産チームのゼッケン23、サッシャ・フェネストラズ選手は残念ながらこの時点で敗退したが、前回大会でも入賞しているゼッケン22、オリバー・ローランド選手は絶好調で、準々決勝、準決勝を勝ち抜き、見事予選ファイナルへと進出した。

マセラティMSGレーシングのマクシミリアン・ギュンター選手との対決では、スタート直後にわずかにリードを許したものの中盤で逆転。0.021秒差でアタック合戦を制して見事にポールポジションを獲得した。

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    デュエル予選を勝ち抜き、ポールポジションを獲得したローランド選手(日産)の結果を表示する会場内の掲示板

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    ポールポジションを獲得した日産チームに向け小旗を振るファン

東京コースの特徴は?

フォーミュラEは公道を利用したコースを主に使用するのが特徴。今回の東京大会は有明にある東京ビッグサイト周辺の道路を封鎖した1周2.582kmの周回コースで行った。

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    会場となった東京ビックサイトに向かう観戦者の列

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    観客の目の前を通過する日産のゼッケン23、サッシャ・フェネストラズ選手のマシン。後方には有明の高層マンション群が見える。観戦を楽しんでいた親子連れに話を聞くと、「自宅はコース横にある高層マンションで、すぐ近所でこうしたレースが開催されることを知ってやってきました。目の前で、普段通っている道路上を高速で通り過ぎるマシンを見ることができるのは本当にすごいです」と感想を語ってくれた

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    決勝レースを前に、コース上には東京大会の実現にこぎつけた小池百合子東京都知事が登場。サプライズで駆け付けた岸田文雄首相は「CO2を出さず、騒音の少ないフォーミュラEだからこそ、東京での開催を決定することができました」とレース開催を歓迎した (C)フォーミュラE

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    ホームストレート上を首相が乗る黒塗りの「センチュリー」とレクサスの車列が走り抜けるという珍しい光景も見られた

コースには大小18カ所のコーナーが設けられており、さらにアップダウンが加わった変化に富んだレイアウトで、各ドライバーはフェンスギリギリまで攻めるダイナミックな走りを披露し、この日集まった約2万人の観客を楽しませた。

エンジンを使用する「F1」などのモータースポーツとは異なり、会場内にはインバーターが発する「キュイーン」というEV(電気自動車)特有の静かなサウンドと、コーナリング時にタイヤから発生する「キュルキュル」という音が響きわたる。第2ターンから第3ターンに向かう途中には下り坂のバンピングポイントがあり、タイヤが一瞬宙に浮いたあとの「ドスン」という着地音が迫力満点だ。こうした音の効果も相まって、新しいスポーツが行われているという実感がわいてくる。

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    第2~第3ターンに向かう下り坂ポイントで激しくジャンプする日産のマシン。後輪が浮いているのがわかる

決勝は最終ラップまでもつれる波乱の展開!

午後3時4分にスタートした決勝は、ポールポジションのオリバー・ローランド(日産)を先頭に各マシンがテールtoノーズで一斉に第1コーナーに突入。激しいトップ争いは20周目に発生した接触事故によるセーフティカー導入まで続いたが、レース再会後の28周目にはトップが入れ替わり、ギュンター選手(マセラティ)が先頭に。その瞬間、日産ファンが詰めかけた会場からは一斉に「アァッ!」というため息が漏れた。

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    ポールポジションのオリバー・ローランド選手(日産)を先頭に一斉スタートする各車

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    ローランド選手を先頭にコーナーに侵入する各車

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    接触事故によりセーフティカーが出動。クルマはポルシェのフル電動スポールモデル「タイカン」だ

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    直後にマクシミリアン・ギュンター選手(マセラティ)が先頭に躍り出た

35周目のファイナルラップでは、2位のローランド選手が激しくプッシュしてトップに並びかけたものの、追い越しが難しい狭いコースレイアウトもあって、逆転することは叶わなかった。チェッカーフラッグが振られると、優勝したギュンター選手だけでなく、悲願の地元優勝を果たせなかったローランド選手、さらにそれに続く各マシンに向けて健闘を讃える温かい拍手が沸き起こっていた。

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  • レースはそのままの順位でチェッカーフラッグとなった。会場の画面にはガッツポーズのギュンター選手の姿が

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    ピットガレージ後方には、日本テイストを醸し出す竹を模したオブジェが飾られていた

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    各選手たちののぼりがはためく会場

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    各チームのガレージ内に設置されているABB製のチャージャー。合計出力は160kWhで、80kWhの充電口が2本取り付けられている。約30分でフル充電できるという