ワニブックスは、このほど『北欧の日常、自分の暮らし - 居心地のいい場所は自分でつくる -』(1,595円/桒原さやか著)を発売。本書は、スウェーデン人の夫と2人の子ども、家族4人で長野県松本市に暮らす著者が、北欧のひとたちから学び、実践していることを紹介している。

  • 『北欧の日常、自分の暮らし - 居心地のいい場所は自分でつくる -』(1,595円/桒原さやか著)

著者の桒原さやか氏は、「イケア」勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして6年勤務。また、スウェーデン人の夫とノルウェー・トロムソに移住した経験も持つ。そんな桒原氏が北欧の人々を取材し、発見した"魅力的な北欧の暮らしぶり"を本書では紹介している。

今回は同書の中から、北欧の子育てについて抜粋。ぜひ、あなたも参考にしてみてほしい。

■北欧の子どもは静か? 親の気持ちが伝わる

子どもたちといっしょに、東京から松本へ向かう電車、あずさに乗っていたときの話です。夕方の車内は、仕事帰りのスーツを着たひとで混雑しています。しばらくは大人しくしていた子どもたちも、ひまになったのか、途中から、あー!とか、キャー!と大声を出しはじめて、焦るわたしと夫。「シーーー、静かにしようね」と、冷や汗をかきながら、子どもたちをなだめるのに必死だったのを覚えています。いや~、たいへんでした。

そういえば、北欧の子どもたちは、落ち着いていたような……。小学生くらいの子が集まっている場面でも、ワーワー大騒ぎしたりしていることもあまりなく、大人と同じようなトーンでたんたんと話している印象。それに、小さい子でさえも、グズって大泣きしているのを、ほとんど見たことがない気がするのです。

  • 保育園や学校から帰ってきた、子どもたちの話を聞くのがいつも楽しみというペルニッレさん ※撮影/松浦摩耶

不思議に思って夫に聞いてみると、こんな返事がかえってきました。

「状況にもよると思うけど、そう言われてみると、静かかもねぇ。親が落ち 着いているから、子どもも落ち着いているんじゃない?」

夫の言葉を聞いてハッとしました。というのも、こわい顔で子どもに怒っている自分の姿が頭に浮かんできたのです。それと比べて、感情的に怒鳴っている親を北欧ではほとんど見たことがないかもしれない。

それには理由もあって、北欧では子どもが恐怖を感じるあらゆることが法律で禁止されているのです。叩いたりする体への暴力はもちろん、大きな声で怒って子どもに恐怖を与える、言葉の暴力も禁止。頭ごなしに怒鳴っている親がいると虐待と見なされて通報されることさえあるのだとか

でも、子どもが言うことを聞いてくれず、困っているのはきっと北欧の親だって同じはず。それでは、子どもたちがグズっているときに、どうやって対応しているのでしょうか。リーネさんに聞いてみることにしました。

たとえば、保育園からの帰り道、子どもがアイスクリームを食べたがったとする。でも、夕飯の前だから親はアイスクリームを買いたくない。こんなシチュエーションでどう対応しますか?

「まずはしゃがんで、子どもと同じ目線で話しかけるの。食べたいよね? 気持ちはママもわかるよ。でも、今食べたら、お腹いっぱいになって夕飯食べられなくなっちゃうでしょ? だから、今日はやめておこうね。こんな感じに、わかってくれるまで説明するの」とリーネさん。

でも、冷静に話をしても、わかってくれないときはどうするのでしょうか?

  • 子どもと同じ目線でいつも話しかけるようにしているリーネさん ※撮影/松浦摩耶

「わかってもらえないことも、もちろんある。でも、一度決めたら、考えは変えないようにしているの。どうしても納得してもらえないときは、今日はダメだけど週末に食べようねと約束して、お互いのいい落としどころをみつけるようにしているかな」とリーネさん。

北欧の親たちも悩んでいるのはやっぱり同じようです。劇的な解決方法があるわけではないけれど、たとえ時間がかかっても、「子どもたちが納得するまで辛抱強く話をする」というのを大事にしているんだなと感じます。

「ついつい、子どもたちに大きな声で怒ってしまうことがあるんだよね」とリーネさんに話すと、「わたしにだって、あるわよ~」と返事がかえってきました。

「言いすぎちゃって、落ち込むこともあるの。でも、そんなときは、子どもの目を見てごめんねって言って、ぎゅーっとするの」とリーネさん。

ついついカッとなって子どもたちに怒ってしまうときは、あとからもやもやと罪悪感も残ってしまい、ものすごくエネルギーを使います。同じエネルギーなら、子どもたちと向き合って話すことに使いたいな。そして、どんなときでも自分が間違ったと思ったら、ごめんねと言って、ぎゅーっとしよう。これができていたら、きっと大丈夫な気がしてきました。


書籍『北欧の日常、自分の暮らし - 居心地のいい場所は自分でつくる -』(1,595円/桒原さやか著)

  • 『北欧の日常、自分の暮らし - 居心地のいい場所は自分でつくる -』(1,595円/桒原さやか著)

同書では、子育て以外にも北欧のインテリアや家事、暮らしなどを紹介をしている。気になる方は、ぜひ手にとってみてはいかがだろうか。