BMWが日本の若き富裕層に熱視線を送っている。高級SUV「X7」と高級EV「i7」をお披露目した国立新美術館(東京都港区)でのイベントにて、彼らをターゲットに据えた会員制コミュニティ「エクスクルーシブ・メンバーシップ・クラブ・コミュニティ」(仮称)の立ち上げを発表したのだ。熱視線などという言葉を使っている時点で筆者は年齢的に相手にされないと思うが、この会員制クラブ、入るとどんないいことがあるのだろうか。

  • BMW「i7」

    BMWが日本の若き富裕層にアプローチ?

新型「X7」を初公開

BMWの日本法人であるビー・エム・ダブリューは11月15日、六本木の国立新美術館にて「BMW THE SEVEN ART MUSEUM」と題したイベントを開催。SUV「X7」の新型を発表するとともに高級セダン「7シリーズ」と電気自動車(EV)「i7」についてのプレゼンテーションを実施した。

  • 「X7」は2019年に登場したBMW初のフルサイズSUV。今回はマイナーチェンジを経た新型が発表となった。ボディサイズは全長5,170mm、全幅2,000mm、全高1,835mm、ホイールベース3,105mm。価格はディーゼルエンジン(最高出力340ps、最大トルク700Nm)の「xDrive40d Excellence」が1,339万円、「xDrive40d M Sport」が1,386万円、ガソリンエンジンの「M60i XDrive」が1,698万円。納車は2022年12月以降の予定

  • BMW「i7」

    「7シリーズ」の日本発売は2022年1月。価格はディーゼルエンジン(300ps、670Nm)が1,460万円、ガソリンエンジン(380ps、540Nm)が1,490万円、EVのi7(544ps、745Nm、フル充電での航続距離は約600km)が1,670万円。7シリーズについては「すでにたくさんの注文」が入っているそう。2023年3月からの生産分は30~40万円の値上げを予定しているが、2022年12月末までに注文すれば今の価格で購入できるそうだ(写真は「i7」)

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    「7シリーズ」はBMWの量産モデルで初となる「2トーン塗装」をオプションで注文できる。展示車は下が紺、上がシルバーだった(写真は「i7」)

  • BMW「i7」

    スワロフスキー製のクリスタル・ヘッドライトがきらめき、輝く(写真は「i7」)

  • BMW「i7」
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  • カシミヤと本革のコンビネーションシートがオプションで選べる(写真は「i7」)

  • BMW「i7」
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  • 後席には31.3インチ、8Kの大型シアタースクリーンを搭載。ドアのひじ掛けにスマートフォンのようなタッチパネルが埋め込まれており、タップするだけで画面を展開したり格納したりできる(写真は「i7」)

このイベントでビー・エム・ダブリューの遠藤克之輔さんは、今後のマーケティングについて「セブン(7シリーズのこと)を皮切りにラグジュアリーの戦略をさらに進化させていく」と発言。特に、日本の若い富裕層については、「BMWだけが持っている本質的な価値」と「いかに顧客とその価値を共有していくか」を大事にしていくという。

その文脈で挙げた5つのテーマは「共創と最適化」「サステナビリティ」「オフラインとの融合であるデジタル」「Z世代やミレニアル世代に向けた、カジュアル化(あるいはストリート化)したラグジュアリー」「ウェルネスやマインドフルネス」で、これをいかに顧客と「共創していくか」と考え、解決策として導き出した新たな取り組みがクラブメンバーシップの立ち上げだ。ラグジュアリーというブランドの立ち位置をより多くの、そしてより進化した若い世代の富裕層に「共創という形で」届けるための施策なのだという。

メンバーには「お金で買えない特別な体験という特典を用意」しているという。案としては例えば、新車のワールドプレミアイベントへの招待、ツーリング、「M」を使ったサーキットでのイベント、アーティストとのコラボイベントなど、「ライフスタイル系」の取り組みを進めていく意向だ。2023年春には、リアルなタッチポイントとして東京に新たな拠点「BMWエクスペリエンスクラブ」(仮称)を設立する。

遠藤さんによれば、クラブ立ち上げの狙いは「若い世代の富裕層の中には、今はまだクルマやBMWに強い関心を持っていない人も多いので、そちらをより明確なターゲットにしてコミュニケーションしていきたい。ターゲットが変わればやり方も変える必要があるので、このような新規の取り組みとなった」という。

輸入高級車ブランドの中では、BMWはどちらかというと顧客の年齢層が低めなのかと思っていたのだが、遠藤さんは「確かにそうだが、それは他社と比べればそうというだけで、我々としては、もっと若い方に親しみを持ってほしいという思いがある」と話す。

若い富裕層に提案するには、7シリーズが適しているかもしれない。EVがあったり、ヘッドライトがスワロフスキーだったり、アマゾン「Fire TV」内臓の大型スクリーンが後席で楽しめたりと見どころが豊富だからだ。

ビー・エム・ダブリューでは全国で7シリーズの内覧会を実施したそうだが、来場者には「間違いなく若い人が多かったし、新規の客も多かった。このクルマには、より若い方に訴えかける力があると実感した」(遠藤さん)という。