「はたらくクルマ」の世界でも電動化が進みつつあるが、日本にも電気で走るトラックの新顔が登場した。HW ELECTROという会社が製造・販売を手掛ける多用途小型商用EV(電気自動車)「ELEMO」(エレモ)だ。どんなトラックなのか。実物に乗って確認してきた。

  • 小型商用EV「エレモ」

    新しい小型商用EV「エレモ」ってどんなクルマ?

フル充電で200キロの走行を想定

エレモは正面から見ると軽トラのようなサイズ感だが、横から見ると案外、前後に長いクルマだ。荷室の形状は基本的に「フラットベッド」「ピックアップ」「ボックス」の3種類から選択するのだが、業態によって幅広く荷室をカスタマイズできる。

  • 小型商用EV「エレモ」

    ボディサイズは「フラットベッド」(写真)だと全長3,910mm、全幅1,380mm、全高1,905mm。ほかの荷室形状だと全長と全幅が少し大きくなる。カテゴリーとしは、小型貨物車などと同じ「4ナンバー」に属する

グレードは「エレモ 120」と「エレモ 200」の2種類。違いは駆動用バッテリーの数で、120は1つ、200は2つを搭載する。フル充電での想定航続可能距離(空荷時)は120が120キロ、200が200キロ。価格は荷室の形状によって幅があり、120が218.9万円~273.9万円、200が275万円~330万円だ。7月24日にwebで注文の受け付けを開始する予定で、納車は11月のスタートを見込む。

  • 小型商用EV「エレモ」

    荷室は追加購入が可能。ボルトでとめてあるような形状なので、簡単に付け替えられる。具体的には大人4人(ボルトを外したりとめたりする作業は1人でもできるが、荷室を持ち上げて運ぶ作業に4人は必要)で10~15分くらいあれば付け替えられるそうだ(写真はピックアップ)

  • 小型商用EV「エレモ」

    荷室をカスタマイズすればさまざまな業態で運用可能。海外では消防車や救急車としての使用実績もあるとか

  • 小型商用EV「エレモ」

    最大積載量は「フラットベッド」「ピックアップ」で650キロ(120)/450キロ(200)、「ボックス」で550キロ(120)/400キロ(200)だ(写真はボックス)

エレモの充電方法は普通充電のみ。充電時間は200Vで120だと6~8時間、200だと10時間くらいかかる。

  • 小型商用EV「エレモ」

    車体構造はラダーフレーム、駆動方式は後輪駆動

HW ELECTRO代表取締役社長の蕭偉城(ショウ ウェイチェン)さんは、エレモを「平常時にはトラック、非常時には動く蓄電池」としての役割を果たすクルマだと紹介する。エレモにはAC100V取り出し用コンセントが付いている(120はオプション装備)ので、蓄電池のように電気を取り出すことができるのだ。

  • 小型商用EV「エレモ」

    「エレモ」から電気を取り出せば扇風機を回すこともできる

実際に乗ってみると、さすがはEVというのか、エレモもアクセルペダルを強く踏むとなかなかの加速をしてみせてくれた。運転中は「ウィーン」という感じの音が聞こえてきたが、決してうるさくはなかった。広めの駐車場に設営されたコースを2周しただけだからはっきりとはいえないが、ブレーキに関しては、ちょっと心もとない感じもした。もっとも、少しスピードを出し過ぎたせいかもしれないのだが……。

  • 小型商用EV「エレモ」

    乗用車のEVと比べるのは酷だと思うが、それでもけっこうスムーズに加速していた「エレモ」

蕭さんによると、今年の販売目標は約500台とのこと。年内にはエレモの軽自動車バージョンを発表する予定で、これがラインアップに加わったら年間1,500台くらいは目指したいとのことだった。日本での事業には軽自動車仕様の開発が急務というのが蕭さんの考えで、将来的には新開発の軽EVトラックを販売する計画もあるという。

  • HW ELECTRO代表取締役社長の蕭偉城社長と一般社団法人JFTD花キューピットの澤田將信会長

    HW ELECTRO代表取締役社長の蕭偉城(ショウ ウェイチェン)さん(右)。HW ELECTROは工場を持たないファブレスメーカーだ。「エレモ」の生産工場は中国にあるという。左はエレモを用いた生花通信配達の実証実験を行う一般社団法人JFTD花キューピットの澤田將信会長

EVであることを度外視して、単なる小型商用車だと考えるとエレモの値段はちょっと高い。それは蕭さんも認めるところだが、EVは高価なリチウムイオンバッテリーを搭載しているので、簡単には価格を下げられないそうだ。補助金なども含め、航続可能距離1キロ=1万円くらいのクルマづくりが可能になれば、軽自動車に比べても遜色のない競争力を獲得できるのではというのが蕭さんの見立てである。