『とある魔術の禁書目録』シリーズのインデックス役などで知られる声優の井口裕香が4月3日、写真集『MORE MORE MORE』(KADOKAWA)を発売した。

中学生でデビューということもあり、すでにキャリア20年を超える彼女の新作写真集は、撮影に向けて鍛え上げた美ボディを見せつける大胆カットの連続で、発売前から重版になるほど好評を博している。「もともとグラビアが大好きだった」と語る井口に、写真集に込めた思いを聞いた。

■「やるからには作品として残るものを」

――今は声優さんが写真集を出すことは珍しくないですが、今回の井口さんの作品は想像していたよりもど真ん中のグラビアで驚きました!

井口 ありがとうございます(笑)。もともとグラビアを見るのは好きなんですよ。だから、今回の企画をお声がけいただいたときも、どうせやるなら、水辺でパシャパシャくらいの写真集じゃつまらないなって。

――では、大胆な露出も井口さんの希望で?

井口 私からです。「声優なのに?」って思われるかもしれないですけど、デビューから20年も経ったからこそ、声優としての軸がしっかりありつつ、こういう表現にも挑戦できるかもしれないと思ったんです。

井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨 井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨

――20年以上のキャリアを積んできたからこそチャレンジできると。

井口 読者としては日常を切り取ったフォトブックみたいな作品も好きなんですけど、やっぱり「写真集」であるからには、作品として残るものにしたかったので。

――「声優の」といった括りとは関係なく、シンプルにグラビアとして成立するものにしたかったわけですね。

井口 まさにそれをやろうと思いました。

――しかし、ほんとにグラビアがお好きなんですね。

井口 めちゃくちゃ好きです。

――けっこう写真集を持っている?

井口 家にある写真集だけでも、篠崎愛さん、深田恭子さん、後藤真希さん、小倉優香さん、大原優乃さん......。たくさんあります!

――じゃあ週プレもチェックして?

井口 それはもう。だから、こうして取材してくださってうれしいです。

――グラビアのどういうところが好きなんでしょう?

井口 単純に美しさへのあこがれですね。それに私、思わず触りたくなるようなムチッとしたものに対するフェチがあるんですよ。もちもちふわふわしたものが好きなんです。だから、グラビアもそういう目で見ちゃう(笑)。

――では、写真集もモデルさんが出すものというよりは、王道のグラビアのほうが......。

井口 そうそう。水着がちょっと食い込むくらいがいいんですよね。

――今のお話は、そのまま井口さんの写真集の解説になっていますよね。

井口 それこそ、写真集では普段からいろんな媒体でグラビアを担当されているスタイリストさんに入ってもらったんですけど、用意してくださった衣装が全部かわいくて。小さめで食い込む水着を見たときに、「これ好き!」ってなりました(笑)。やっぱりグラビアは食い込んでなんぼでしょ、って。

井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨 井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨

■「グラビアでお尻は大事です」

――そんなグラビア好きの井口さんが、今回で特に気に入っているカットは?

井口 悩ましいですね。やっぱりお尻がドンと写っているものかな。この丸いお尻を作るために、めちゃくちゃカラダづくりを頑張ったんです。だから、お尻はまず見てほしい。あとは水着の紐がお肉に食い込んでいる写真も......。

――やはり食い込みは欠かせない。

井口 今の流行りとして、グラビアもシュッとした女のコが多いじゃないですか。そういうコを見慣れている人には、「肉が乗ってんな」と思われるかもしれないですけど、「あえてやっています!」とは伝えたい(笑)。

――SNSで写真集の告知をしたときも、「けつが良い感じの写真集出します!」とお尻を強調されていましたね。

井口 グラビアでお尻は大事です(しみじみと)。


――実際に写真集を見て、「たしかに!」と納得しました。

井口 それくらいお尻は頑張りました。ページを組んでもらったときも、担当編集さんがボソッと、「ケツ、押し過ぎかな」ってつぶやいていたんですけど、私から「いいじゃないですか」って背中を押して。ほんと大変だったんですよ。もともとジムには通っていたんですけど、正式に企画が決まったのは撮影の3カ月前だったので、そこから必死にダイエットして鍛えて。

――じゃあ、このカラダは3カ月で作ったんですか。

井口 そうです。だから、私のインスタグラムを見ていただくと、去年の夏から撮影までの体型の変化がよくわかると思います。最初から整っていたわけでなく、頑張って作ったカラダを、その変化の過程も含めてさらけ出しているので、そこも見てほしいなって思います。

――ファンからの反響は?

井口 女性からのリアクションが多い気がします。女のコも楽しめるグラビアにしたいと思っていたので、それはすごくうれしいですね。

――男性のファンからは?

井口 昔から応援してくださっている方の中には、「あの井口も女になったのか......」みたいな反応もあって。「変わっちまったな」みたいな(笑)。普段、ラジオやイベントに出るときは、基本的におちゃらけているキャラで、洋服もカラダのラインがわかるようなものを着てなかったりするんですよ。だから、わりとびっくりした人もいるみたいで。そういう方にも、新たな一面を楽しんでもらえたらいいなって思っています。

井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨 井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨

■声優の写真集の露出ラインを作った

――井口さん自身にとっても、新たな扉が開けたという手応えがある?

井口 おっしゃるとおり、これで新たな扉が開けました。特にコロナ禍前の頃、30歳を過ぎたあたりから、新しいことに挑戦するのが怖くなっていたんです。現状維持派になっていました。

でも、コロナ禍を経て、現状維持のままでは退化していく感じがして。もっと率先して新しいことに挑戦しないと、このままつまらない人生になってしまうかもしれないってすごく思ったんです。

そんなときに、ちょうど今回の機会をいただいて、いろいろなものを得られました。トレーニングして、体型が変わって、撮影して。着られる服も、演技の表現も、自分にとっての選択肢が増えた気がしています。だから今は、年齢なんて関係なく、まだまだ挑戦したいっていうプラスの気持ちが芽生えていますね。

――井口さんが「現状維持派だった」とは意外でした。

井口 ほんとですか。

――むしろ、猪突猛進のイメージが強いというか。14歳でアニメショップ「ゲーマーズ」のオーディションに自分で応募したり、今の事務所も高校生ながら自分で電話して所属をお願いしたり......。

井口 たしかに、何かのきっかけを作るときは突撃タイプ。それこそ後先考えない勢いでやるんですけど。でも、声優としてのキャリアを積んでくると、良くも悪くもガツガツっていうよりは、一つ一つのことを丁寧にっていうふうになって。

それにこのお仕事だと、オーディションで落ちることは当たり前にあるんですよ。そういうときに自分を慰めるのは自分しかいない。だから、「しょうがないよね」って自分に言い聞かせるようになっていて。

――それが「現状維持派だった」ということなんですね。

井口 そうだったんですけど、今回の写真集をきっかけに、本来の負けず嫌いがまた芽生えてきました(笑)。

――それが「ここまでやる?」という写真集になって。

井口 今後、ほかの女性声優さんが写真集を出すときに、「どうします?」って聞かれるくらいのラインを作れたんじゃないかなって思っています。「井口さんくらいまでやります?」っていう(笑)。

――これだけ反響があれば、あとに続く声優さんは出てきそうです。

井口 私が勝手に言っているだけなんですけどね(笑)。

井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨 井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』より 撮影/倉本侑磨

■「まさか、その格好で......」

――デビューの頃から振り返って、こうした写真集を出すなんて想像していましたか?

井口 まさかです。写真集は23歳くらいの頃に一度出しているんですけど、この年齢になって2冊目を出せるなんて夢にも思っていませんでした。あの頃の自分に伝えたいですね。

――当時はどういう声優になりたかった?

井口 声優の堀江由衣さんにあこがれていました。当時からアニメも歌も第一線で活躍されていて。大先輩ですけど、ほんとにずっとかわいくて大好きなんです。声優でありながら、ああいうふうにいろんなことに挑戦できる人になりたいと思っていました。

――そこから転機になった作品は?

井口 『とある魔術の禁書目録』シリーズではインデックスという役だけでなく、歌手としてのソロデビューになった作品でもあるので、すごく大きかったですね。

初主演をやらせてもらった『アイドルマスター XENOGLOSSIA』も、それこそ堀江由衣さんや田村ゆかりさんといった尊敬する先輩たちに囲まれながらの収録で、とても貴重な経験をさせてもらいました。

あの当時の自分は、ほんと、じゃがいもみたいだったんですよ。おしゃれなんて何もわかってないのに、変な反骨精神だけはあって。みんながかわいい路線なら、私は髪を短くしてズボンを履く、とか。

――けっこうトガっていたんですね。

井口 謎のトンガリが(苦笑)。先輩たちのかわいさに勝てないから、そっちに逃げていただけなんですけどね。だから、イベントでも私服で行ったら、「まさか、その格好でステージに立つつもりじゃないよね」とマネージャーさんに怒られたり、見かねた川澄綾子さん(同じ事務所の先輩声優)からお洋服をいただいたり......。

メイクもおしゃれもわかってない、野生児みたいな子どもだったんですけど、いろんな人たちに育ててもらって、20年が経って、こんなふうに女性らしさを思いきり表現できる写真集を作ることができたのは、本当に奇跡です!

●井口裕香(いぐち・ゆか)
1988年7月11日生まれ 東京都出身。
2002年に声優デビュー。2007年放送のテレビアニメ『アイドルマスター XENOGLOSSIA』(天海春香役)で初主演を果たした。主な出演作に『とある魔術の禁書目録』シリーズ(インデックス役)、『〈物語〉シリーズ』(阿良々木月火役)など。また、ラジオのパーソナリティとしても高い人気を誇り、インターネットラジオ『井口裕香のむ~~~ん ⊂( ^ω^)⊃』(文化放送 超!A&G+)は2010年の放送開始以来、多くの支持を集めている。その他最新情報は公式HPをチェック!
公式X【@yukachiofficial】
公式Instagram【@ooo31_iguchiyuka_31ooo】

■井口裕香 写真集『MORE MORE MORE』
KADOKAWA 3,520円(税込)

小山田裕哉

小山田裕哉おやまだ・ゆうや

1984年生まれ、岩手県出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映画業界、イベント業などを経て、フリーランスのライターとして執筆活動を始める。ビジネス・カルチャー・広告・書籍構成など、さまざまな媒体で執筆・編集活動を行っている。著書に「売らずに売る技術 高級ブランドに学ぶ安売りせずに売る秘密」(集英社)。季刊誌「tattva」(BOOTLEG)編集部員。

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