「残留」か「放出」か…マンチェスター・Uの現有戦力の評価とは？

　エリック・テン・ハフ体制1年目のマンチェスター・Uは、充実のシーズンを送ったと言えるだろう。

　シーズン序盤こそ苦戦したが、そこからすぐに立て直すとカラバオ・カップを制して6シーズンぶりにタイトルを獲得。さらに宿敵マンチェスター・Cに決勝で敗れたとはいえFAカップでも準優勝。そして何よりリーグ戦で3位に入って2シーズンぶりとなるチャンピオンズリーグ（CL）出場権を手に入れた。

　来季は本格的にプレミアリーグの覇権奪還に挑戦しながら欧州の頂を目指すことになるため、今オフには戦力補強が必要になる。すでにチェルシーからイングランド代表MFメイソン・マウント（24歳）の獲得が噂されるなど新シーズンに向けて動き出しているが、現有戦力に関してはどうすればよいのだろうか？

　イギリス紙『ミラー』が今オフの現有戦力の“取り扱い”をまとめているので紹介しよう。果たしてマンチェスター・Uは誰を放出するべきなのか？

[写真]＝Getty Images

■ダビド・デ・ヘアは残留？

　チーム最古参のGKダビド・デ・ヘア（32歳）の去就に注目が集まっている。チームがステップアップするためには新たなGKの獲得が必要だと主張する声もあるが、ベテランキーパーは今季プレミアリーグで全試合にフル出場するとクリーンシート16回で自身2度目となるゴールデングラブ賞を受賞した。現行の契約は今夏満了するのだが、『ミラー』は同選手を評価しており「残留」させるべきだと主張する。

　一方で、同じく契約が満了するGKトム・ヒートン（37歳）に関しては、契約が切れた時点で「放出」される見込みだ。さらに、今年1月にクリスタル・パレスからローン契約で加入したGKジャック・バトランド（30歳）は「放出」となり、6日にはレンジャーズと4年契約を締結したことが発表されている。

　また、今季はノッティンガム・フォレストにローン移籍していたGKディーン・ヘンダーソン（26歳）も、そのまま同クラブに「売却」されると見られている。

■DF陣

　テン・ハフ監督の下、シーズン後半に定位置を確保した右サイドバックのアーロン・ワン・ビッサカ（25歳）は「残留」。同じく右SBのディオゴ・ダロト（24歳）に関しても守備面の成長が見られており、来季もチームの構想に入るため「残留」と見られている。

　左SBは、イングランド代表DFルーク・ショー（27歳）が安定したパフォーマンスで評価を高めており、来季も主力として活躍することが予想される。もちろん彼は「残留」だ。そして、昨夏にテン・ハフ監督が連れてきたオランダ代表左SBタイレル・マラシア（23歳）も公式戦39試合に出場しており「残留」となる。

　一方でブランドン・ウィリアムズ（22歳）は今季の出場機会がEFLカップの1試合に留まっており、本人のキャリアのためにも「売却」となるべきだ。セビージャにローン移籍していたブラジル代表DFアレックス・テレス（30歳）にも居場所はないため「売却」となる可能性が高い。だが、2部のプレストンにローン移籍していたアルバロ・フェルナンデス（20歳）は将来性があるため、来季もどこかに「ローン移籍」となるだろう。

　センターバックに関してはテコ入れが見られそうだ。マルセイユにローン移籍していたコートジボワール代表DFエリック・バイリー（29歳）は「売却」。デ・ヘアと同じく2011年から所属していたDFフィル・ジョーンズ（31歳）は今季一度も出番がなく、すでに今オフの契約満了による退団が発表されている。

　一方、昨夏アヤックスから加入したアルゼンチン代表DFリサンドロ・マルティネス（25歳）は、175センチメートルの身長が不安視されたが、シーズン終盤にケガで離脱するまでレギュラーとして活躍。当然だが「残留」させるべきである。

　フランス代表を引退したCBラファエル・ヴァラン（30歳）はケガもあって出番が限られたが、出場した際には間違いなくチームに貢献しており「残留」となるべきだ。スウェーデン代表CBヴィクトル・リンデロフ（28歳）はシーズン終盤にケガのリサンドロ・マルティネスの穴を埋めてその価値を証明したため「残留」となる。

　片やイングランド代表DFハリー・マグワイア（30歳）はキャリアの分岐点に来ている。2019年に鳴り物入りしたものの、今季は左SBルーク・ショーの方がCBとして優先されるなど5番手扱い。『ミラー』は3年前の移籍金8000万ポンド（130億円）を回収できないとしても「売却」すべきと結論付けた。

■中盤

　まずは議論の余地なく「残留」となるのは、今季公式戦で「14ゴール＋15アシスト」を叩き出したポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデス（28歳）。そして加入1年目にしてチームの主軸として活躍したブラジル代表MFカゼミーロ（31歳）だ。さらにプレイメーカーとして確かな存在感を示したデンマーク代表MFクリスティアン・エリクセン（31歳）、シーズン後半はケガで出番がなかったMFドニー・ファン・デ・ベーク（26歳）も「残留」だろう。MFフレッジ（30歳）はFAカップ決勝など役割が明確な試合で活躍しており、現時点では「残留」という評価になっている。

　一方で、スコットランド代表MFスコット・マクトミネイ（26歳）は夏にクラブを離れる可能性がある。テン・ハフ監督の下で定位置を確保できていない生え抜きのMFは、移籍を選ぶのなら引く手あまたとなるため「売却」は選手とクラブのどちらにとっても好判断かもしれない。また、バイエルンからローン加入したマルセル・サビツァー（29歳）もローン契約満了に伴い「放出」となる。

　将来が嘱望される若手に関しては「ローン移籍」となるだろう。ウルグアイ代表MFファクンド・ペリストリ（21歳）、チュニジア代表MFハンニバル・メイブリ（20歳）、イラク代表MFジダン・イクバル（20歳）は経験を積むためローンに出されるべきだ。

　だが、昨季ローン先のサンダーランド（2部）でリーグ戦37試合13ゴールの結果を残したコートジボワール代表の攻撃的MFアマド・ディアロ（20歳）に関しては「プレミアリーグ内でローン移籍」も考えられるが、マンチェスター・Uでチャンスを与えられるべきとして「残留」という結論になっている。

■前線

　まず「残留」すべきは公式戦30ゴールですっかりエースの地位を確立したイングランド代表FWマーカス・ラッシュフォード（25歳）だ。さらに、少し批判を集めることもあったが1年目で8ゴールを奪ったブラジル代表FWアントニー（23歳）も再びチャンスが与えられるべきとして「残留」となっている。

　アルゼンチン代表FWアレハンドロ・ガルナチョ（18歳）は、後半途中から出場したFAカップ決勝で積極的に仕掛けてチャンスに絡み、マンチェスター・Uファンに希望を与える活躍を見せた。それが評価され、一部のファンからは背番号7を託して来季のレギュラーに据えるべきという意見も出ており、間違いなく「残留」だ。

　一方で、マンチェスター・Uはジェイドン・サンチョ（23歳）について決断を迫られるだろう。昨シーズンと比較すれば間違いなくチームに馴染んできたウィンガーだが、それでもドルトムント時代の輝きには到底及ばない。そのため『ミラー』はマンチェスター・Uに「売却」を勧めている。さらにケガの多いFWアントニー・マルシャル（27歳）についても「売却」を提案。そして今季は出番が限られたスウェーデン代表FWアンソニー・エランガ（21歳）も「売却」。冬に2部のバーンリーからローン契約で加入したオランダ代表FWヴァウト・ヴェグホルスト（30歳）も「放出」となる。

　そう考えると、トッテナムのイングランド代表FWハリー・ケイン（29歳）の獲得も噂される前線は大幅なテコ入れが見られそうだ。今オフのマンチェスター・Uの動向に注目したい！

（記事／Footmedia）